景品に関するQ&A
ここでは、景品類に関するQ&Aを掲載しております。
景品提供企画を立案する場合の参考にしてください。
景品類の定義
景品類の定義
景品規制
一般懸賞規制の概要
共同懸賞規制の概要
総付景品規制の概要
事業者に対する経済上の利益の提供は景品規制の対象となるか
景品類の価額の算定基準
景品類の価額の算定方法
非売品を景品類として提供する場合の価額の算定基準
消費税は景品類の価額に含まれるのか
宝くじを景品類として提供する場合の価額の算定基準
ショッピングサイトでの販売価格により景品類の価額を算定してよいか
取引の価額
消費税は取引の価額に含まれるのか
過去の取引金額を「取引の価額」とみることはできるか
購入額の多少を問わないで景品類を提供する場合の取引の価額
来店者に景品類を提供する場合の取引の価額
販売価格が異なる場合の取引の価額
景品規制の適用対象外
中古品の買取時における物品等の提供の考え方
-
Q17
セット販売の考え方
謝礼の考え方
モニターへの謝礼は景品類に該当するか
キャッシュバックは景品類に該当するか
同一品の付加は景品類に該当するか
フリーペーパーや印刷されたクーポン券は景品類に該当するか
ポイントカードによる支払充当は景品類に該当するか
自他共通で使用できるポイントカードによる支払充当は景品類に該当するか
値引と景品類の提供とを併せて行う場合の考え方
労働契約における考え方
一般懸賞
来店者への懸賞による景品類の提供
売上予定総額の算定の考え方
同時期に複数の懸賞を行う場合の景品類の制限額
複数回の抽選による景品類の提供の考え方
-
Q31
総付景品の提供と一般懸賞を同時に実施する場合の考え方
懸賞における残念賞の価額を景品類の総額に合算する必要はあるか)
メーカーと小売店が同時期に実施する懸賞企画の考え方
インターネット上のショッピングサイトで懸賞を行う場合の取引付随性の考え方
懸賞の抽選方法
共同懸賞
「一定の地域」の考え方
「相当多数」の考え方
商店街が行う懸賞における「相当多数」の考え方
「一定の種類の事業」の考え方
ショッピングビルが共同懸賞を行うことは可能か
ショッピングサイトで行う懸賞を共同懸賞として実施できるか
共同懸賞と一般懸賞を同時に行う場合の景品類の制限額の考え方
総付景品
来店者への総付景品
来店時の取引の価額の算定の基準となる「通常行われる取引」の考え方)
先着の考え方
商慣習に照らして必要なサービスの考え方
見本品の考え方
割引率が記載された割引券の提供に当たっての考え方
割引額が記載された割引券の提供に当たっての考え方
割引率が記載された自他共通割引券の提供に当たっての考え方
開店披露・創業記念等の考え方
オープン懸賞
無料メールマガジンの購読者に対する懸賞企画は景品規制の対象となるか
その他
業種ごとの景品規制
景品類として提供することが禁止されている物品等の有無
応用編
割引券の機能付き物品の販売
商品購入の際に値引きポイントを使用した場合の取引価額
自社が提供する景品における他社キャンペーンの告知について
売上予定総額の算定方法
購入することを条件に提供する経済上の利益
回答
- Q1 景品表示法上の「景品類」の定義を教えてください。
- A
景品表示法上の「景品類」については、同法第2条第3項において、
- 1顧客を誘引するための手段として
- 2事業者が自己の供給する商品又は役務(サービス)の取引(不動産に関する取引を含む。)に付随して
- 3取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益
であって、内閣総理大臣が指定するものをいうと定義されています。
内閣総理大臣は、この規定に基づき、「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」(昭和37年公正取引委員会告示第3号)において、法第2条第3項と同様に上記1~3のとおり規定した上で、具体的にどのようなものが「景品類」に当たるかを指定しています。
その内容は次のとおりです。
- 物品及び土地、建物その他の工作物
- 金銭、金券、預金証書、当選金付き証票及び公社債、株券、商品券その他の有価証券
- きょう応(映画、演劇、スポーツ、旅行その他の催物等への招待又は優待を含む。)
- 便益、労務その他の役務
ただし、正常な商慣習に照らして値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益及び正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務に付属すると認められる経済上の利益は含まないこととされています。
- Q2 取引の相手方に提供する経済上の利益が「景品類」に該当する場合、景品表示法上どのような規制を受けるのでしょうか。
- A
取引の相手方に提供する経済上の利益が、景品表示法上の「景品類」に該当する場合、提供できる景品類の最高額などが規制されます。具体的な景品類の最高額などについては、景品類提供の方法、すなわち、いわゆる「懸賞」(→Q3及びQ4参照)か、「総付景品」(Q5参照)かによって異なります。
- Q3 懸賞とは、どのようなものなのでしょうか。
- A
「懸賞」とは、抽選やじゃんけんなどの偶然性、クイズなどへの回答の正誤、作品などの優劣の方法によって景品類の提供の相手方又は提供する景品類の価額を定めることをいい、景品類を提供する「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和52年公正取引委員会告示第3号)により提供できる景品類の最高額、総額などが規定されています。「懸賞」のうち、一定の条件の下で複数の事業者が共同して行うものは「共同懸賞」、それ以外の懸賞は「一般懸賞」と呼ばれています。
一般懸賞においては、提供できる景品類の最高額及び総額が定められており、景品類の最高額については、取引の価額が5,000円未満の場合は取引の価額の20倍まで、5,000円以上の場合は一律10万円までとなります。また、景品類の総額については、懸賞に係る売上予定総額の2%以内とされており、最高額及び総額両方の制限内で行わなければなりません(下表参照)。
懸賞による取引の価額 景品類限度額 1最高額 2総額 5,000円未満 取引の価額の20倍 懸賞に係る売上予定総額の2% 5,000円以上 10万円 - Q4 共同懸賞とは、どのようなものなのでしょうか。
- A
複数の事業者が共同して行う懸賞であって、次の要件を満たす場合は、いわゆる「共同懸賞」として実施することができます。
- 1一定の地域の小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合
- 2一の商店街に属する小売店又はサービス業者の相当多数が参加して行う場合(ただし、中元、年末などの時期において、年3回を限度とし、かつ、年間通算して70日の期間内で行う場合に限られます。)
- 3一定の地域において一定の種類の事業者の相当多数が共同して行う場合
共同懸賞においては、一般懸賞と同じく、提供できる景品類の最高額及び総額が定められていますが、一般懸賞に比べてその制限額は高く設定されており、景品類の最高額は取引の価額にかかわらず30万円、景品類の総額は、懸賞に係る売上予定総額の3%以内とされています(下表参照)。
景品類限度額 最高額 総額 取引の価額にかかわらず30万円 懸賞に係る売上予定総額の3% - Q5 「総付(そうづけ)景品」とは、どのようなものなのでしょうか。
- A
一般消費者に対して「懸賞」によらないで提供する景品類は、一般に「総付(そうづけ)景品」などと呼ばれており(「ベタ付き景品」と呼ばれることもあります。)、具体的には、商品又は役務の購入者や来店者に対してもれなく提供する景品類がこれに当たります。また、商品若しくは役務の購入の申込み順又は来店の先着順により提供する景品類も、原則として総付景品に該当します。
総付景品については、提供できる景品類の最高額が定められており、提供できる景品類の最高額は、取引の価額が1,000円未満の場合は200円まで、1,000円以上の場合は取引の価額の10分の2の金額までとなります(下表参照)。
取引の価額 景品類の最高額 1,000円未満 200円 1,000円以上 取引の価額の10分の2 - Q6 当社は産業用の機械のメーカーです。取引先はすべて事業者であり、消費者向けの販売は行っておりません。
当社製品を購入してくれた取引先に対し、抽選か、もれなくかのいずれかの方法で物品を提供したいと考えていますが、この場合、提供する物品は景品表示法上の「景品類」に該当するのでしょうか。 - A
取引に付随してくじなどの方法により物品を提供する場合は、提供の相手方が事業者であっても一般消費者であっても、景品表示法上の懸賞として、景品規制の対象となります(→Q3参照)。
一方、懸賞によらず提供する場合は、一般消費者向けに提供するものは総付景品に該当し、景品規制の対象となります(→Q5参照)が、事業者向けのものは原則として景品規制は適用されません。
ただし、医療用医薬品業、医療機器業及び衛生検査所業については、例外的に、医療機関等の事業者向けに提供する物品・サービスについて、景品規制の対象となります(詳細はQ54を参照してください。)。
- Q7 景品類の価額は、どのように算定すればよいのでしょうか。
- A
景品類の価額は、景品類と同じものが市販されている場合は、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格によることとされています。
景品類と同じものが市販されていない場合は、景品類を提供する者がそれを入手した価格、類似品の市場価格などを勘案して、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入することとしたときの価格を算定し、その価格によることとされています。
- Q8 非売品を景品として提供しようと考えていますが、類似品も市販されていません。この場合、景品の価額はどのように算定すればよいのでしょうか。
- A
景品類として提供されるものが非売品であり、類似品も市販されていない場合は、景品類を提供する者がそれを入手した価格、当該景品類の製造コスト、当該景品類を販売することとした場合に想定される利益率などから、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入することとしたときの価格を算定し、その価格を景品類の価額とみます。
- Q9 景品類の価額は、消費税込みでみるべきなのでしょうか。
- A
景品類の価額は、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格により算定するとされていることから、景品類の価額は消費税を含んだ金額となります。
- Q10 景品として宝くじを提供する場合の景品の価額は、当選金の額を考慮する必要があるのでしょうか。
- A
景品類の価額は、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格により算定するとされていますので、宝くじを提供する場合の景品類の価額は、当該宝くじの販売価格(例えば、年末ジャンボ宝くじなら1枚300円)であり、当選金の額を考慮する必要はありません。
- Q11 景品類の価額の算定に当たり、インターネット上のショッピングサイトでの販売価格を参考にしてもよいでしょうか。
- A
景品類の価額は、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格により算定するとされていますので、提供しようとする物品について、ショッピングサイトで購入することが通常といえるのであれば、ショッピングサイトでの販売価格を参考とすることができます。
なお、参考とするショッピングサイトでの価格について、すでに販売が終了していたり、販売の実態がない場合などは、通常購入するときの価格とみることはできません。 - Q12 取引の価額は、消費税込みの価格でみるのでしょうか。
- A
取引の価額は、消費税込みの価格となります。
- Q13 昨年1年間に、当店で10万円分以上の商品を購入してくれたお客様を対象として、今後の取引を期待して「お客様感謝デー」を実施し、来店してくれたお客様にもれなく景品を提供する旨をダイレクトメールで告知しようと考えています。この場合、取引の価額を10万円とみてよいでしょうか。
- A
既存の顧客に対して景品類を提供する場合の取引の価額については、原則として、当該企画が、同企画を告知した後の取引を期待して行われるものであると認められることから、取引の価額は、当該企画を告知した後に発生する通常の取引のうち最低のものということになり、過去の購入額を取引の価額とすることはできません。
御質問のケースは、来店を条件として景品類を提供するものと認められますので、取引の価額は100円又は当該店舗において通常行われる取引の価額のうち最低のものとなり、提供できる景品類の価額は取引の価額に応じたものとなります。 - Q14 当店では、購入額の多少にかかわらず商品を購入してくれた顧客を対象に、景品を提供したいと考えています。この場合の取引の価額はどのように算定すればよいでしょうか。
- A
商品・サービスの購入者に対し、購入額の多少にかかわらず景品類を提供する場合の取引の価額は、原則として100円となります。ただし、対象となる商品・サービスのうち最低のものが明らかに100円を下回っているときは、当該最低のものが取引の価額になります。また、対象となる商品・サービスについて通常行われる取引の価額のうち最低のものが100円を超えると認められるときは、当該最低のものを取引の価額とすることができます。
なお、この考え方は、懸賞、総付景品のいずれの方法で景品類を提供する場合でも同様です。
- Q15 当店では、商品を購入したかどうかにかかわらず来店してくれた顧客に、景品を提供したいと考えています。この場合の取引の価額はどのように算定すればよいでしょうか。
- A
商品・サービスの購入を条件とせずに、店舗への来店者に対して景品類を提供する場合の取引の価額は、原則として100円となります。ただし、当該店舗において通常行われる取引の価額のうち最低のものが100円を超えると認められるときは、当該最低のものを取引の価額とすることができます。
なお、この考え方は、懸賞、総付景品のいずれの方法で景品類を提供する場合でも同様です。
- Q16 メーカーが実施する景品提供企画なのですが、取引先小売店における販売価格がまちまちである状況において、取引の価額をどのように算定すべきでしょうか。
- A
景品類の提供者がメーカー又は卸売業者である場合の取引の価額は、景品類提供の実施地域における対象商品の通常の取引価格を基準とします。
したがって、本件については、例えば特売セールでの販売価格など通常の販売価格とはいえない価格を除き、景品提供企画を実施する地域における対象商品の通常の販売価格を取引の価額とすることになります。
- Q17 当店は、古本や中古CDの販売と買取りを行っています。このたび、消費者から古本やCDを買い取った際に、当店のロゴが入ったバッグを提供したいと考えていますが、当該バッグは、景品類に該当するのでしょうか。
- A
自己が商品などの供給を受ける取引、例えば古本などの古物の買取りは、景品表示法上の「取引」には該当しません。したがって、古本などを買い取った際に提供するバッグは、景品類には該当せず、景品表示法による規制は受けません。
- Q18 単体で販売している商品Aと商品Bを組み合わせて、「商品Aと商品Bをセットで○○円」として販売したいと考えているのですが、このような販売方法は景品規制の対象となりますか。
- A
単体で販売している2つ以上の商品を組み合わせて販売していることが明らかな場合は、取引に付随する提供には当たらず、景品規制の適用対象とはなりません。
ただし、商品Aの購入者に対し懸賞により商品Bを提供する場合や、取引の相手方に商品Aの購入を条件として商品Bを提供するかのように認識される告知を行うなど景品類であると認識されるような方法で提供する場合(例 「商品Aを買えば商品Bをプレゼント」、「商品Aを買えば商品Bが付いてくる」、「商品B無料」など)は、取引に付随する提供に当たることとなり、景品規制の対象となります。
- Q19 紹介者キャンペーンとして、新規顧客を紹介してくれた人に提供する謝礼は、景品類に該当しますか。
- A
自己の供給する商品・サービスの購入者を紹介してくれた人(紹介者)に対する謝礼は、「取引に付随」する提供に当たらず、景品類には該当しません。ただし、紹介者を自己の供給する商品・サービスの購入者に限定する場合には、「取引に付随」する提供となり、景品類に該当し、景品規制の対象となります。
- Q20 商品の購入者の中からモニターを募集し、当該商品の使用感について報告をしてくれた人にもれなく提供する謝礼は、景品類に該当するのでしょうか。
- A
事業者が、自己の供給する商品・サービスの購入者の中から募集したモニターに対して提供する謝礼については、モニターとしての作業内容が相応の労力を要するなど、その仕事の報酬などと認められる程度のものであれば、景品類には該当しません。
- Q21 当店では、期間を限定して、商品A(1,000円)を10個買ってくれた人を対象に、もれなく3,000円のキャッシュバックを行いたいと考えています。この場合、景品規制の対象となるのでしょうか。
- A
キャッシュバックなどの方法により、取引通念上妥当と認められる基準に従い、支払った代金の割戻しを行うことは、値引と認められる経済上の利益に該当し、景品規制の適用対象とはなりません。
ただし、懸賞によりキャッシュバックを行う場合、割り戻した金銭の使途を制限する場合、又は同一の企画において景品類の提供を併せて行う場合は、景品規制の適用対象となります。
- Q22 同じ商品を5個買ってくれた人に、更にもう1個同じ商品をプレゼントする場合、景品規制の対象となりますか。
- A
取引通念上妥当と認められる基準に従い、ある商品・サービスの購入者に対し、同じ対価で、それと同一の商品・サービスを付加して提供することは、値引と認められる経済上の利益に該当し、景品規制の対象とはなりません。例えば、「コーヒー5回飲んだらコーヒー1杯無料券をサービス」などもこれに該当します。
本件については、上記コーヒーの例と同様と考えられますので、景品規制は適用されません。
- Q23 当社では、飲食店などの情報を広告形式で掲載し、また、一部の飲食店の広告面に「飲食代金から500円引き」、「飲食代金から○○%引き」、「飲食してくれたお客様にドリンク1杯サービス」等のクーポン券が印刷してあるいわゆる「フリーペーパー」を発行しています。このフリーペーパーを駅の改札口や繁華街の街頭で配布したいのですが、このフリーペーパーは景品表示法上の景品類に該当するのでしょうか。
- A
このようないわゆるフリーペーパーの発行元が景品規制を受けることはありません。ただし、フリーペーパーに掲載されている店舗が、フリーペーパーに印刷されているクーポン券を持参した顧客に対して物品などを提供する場合は、これら店舗と顧客との個々の取引において景品類が提供されるものと認められ、これら店舗が行う景品提供企画に対し、個別に総付景品規制が適用されます(クーポン券が、当該店舗で使用できる割引券である場合は、値引に類する経済上の利益に該当し、景品規制は適用されません。)。
- Q24 当店では、ポイントカードを発行し、商品の購入者に対し、次回以降の買い物の際に支払いの一部に充当できるポイントを提供することを考えているのですが、景品規制は適用されるのでしょうか。
- A
取引通念上妥当と認められる基準に従い、取引の相手方に対し、支払うべき対価を減額すること又は割り戻すことは、値引と認められる経済上の利益に該当し、景品表示法上の景品類には該当しません。
なお、対価の減額又は割戻しであっても、1懸賞によって減額又は割戻しの相手方を決定する場合、2減額又は割戻しをした金銭の使途を限定する場合(例:旅行費用に充当させる場合)、3同一の企画において景品類の提供とを併せて行う場合(例:取引の相手方に金銭又は招待旅行のいずれかを選択させる場合)は、値引とは認められず景品類に該当することとなり、景品規制が適用されます。
本件においては、当該ポイントが支払いの一部のみに充てられるものであれば、値引と認められる経済上の利益に該当することになります。
- Q25 当店では、ポイントカードを発行し、商品の購入者に対し、次回以降の買い物の際に、当店だけでなく他店でも支払いの一部に充当できるポイントを提供することを考えているのですが、景品規制は適用されるのでしょうか。
- A
自己との商品・サービスの取引において値引と認められる経済上の利益を提供する場合は、景品類には該当せず、景品規制は適用されませんが、自店だけでなく他店でも共通して支払いの一部に充当できるポイントを提供することは景品類の提供に該当します。
他方、自店及び他店で共通して使用できる同額の割引を約する証票は、正常な商慣習に照らして適当と認められるものであれば、景品類に該当する場合であっても総付景品規制は適用されないこととされています。本件におけるポイントカードが、自店及び他店で共通して使用できる同額の割引を約する証票と認められる場合には、正常な商慣習に照らして適当と認められる範囲であれば、総付景品規制は適用されません。
- Q26 当店では、ポイントカードを発行して、商品の購入者に対しポイントを提供することとし、当該購入者は、ポイントの点数に応じて、1次回以降の買い物の際に値引として使用する、2景品類の提供を受ける、のいずれかを選択することができることとしたいと考えているのですが、この場合、景品規制は適用されるのでしょうか。
- A
取引通念上妥当と認められる基準に従い、取引の相手方に対し、支払うべき対価を減額すること又は割り戻すことは、値引と認められる経済上の利益に該当し、景品表示法上の景品類には該当しません。
ただし、対価の減額又は割戻しであっても、同一の企画において景品類の提供とを併せて行う場合などは、値引とは認められず景品類に該当することとなります。
しかしながら、景品類に該当するとしても、ポイントカードを1の次回以降の買い物の際に値引として使用する場合は、自己の供給する商品・サービスの取引において用いられる割引を約する証票と認められますので、正常な商慣習に照らして適当と認められる範囲であれば、総付景品規制の適用はされません。
- Q27 当社は人材派遣業を営んでいます。派遣社員として当社に登録をした人を対象に金品を提供したいのですが、景品規制は適用されるのでしょうか。
- A
人材派遣会社への登録は労働契約に係るものであり、基本的には景品表示法上の「取引」には該当しません。したがって、登録者への金品の提供については、景品規制は適用されません。
- Q28 当店に来店してくれた顧客に、商品を購入したかどうかにかかわらず、抽選で景品類を提供したいと考えています。この場合、提供できる景品類の最高額及び総額はいくらになるのでしょうか。
- A
商品・サービスの購入を条件とせずに、来店者に対して景品類を提供する場合の取引の価額は原則100円となりますので、来店者を対象として行う懸賞(一般懸賞)において提供できる景品類の最高額は100円の20倍である2,000円となります。ただし、当該店舗において通常行われる取引の価額のうち、最低のものが100円を超えると認められるときは、当該最低のものを取引の価額とすることができます。
なお、提供できる景品類の総額は、懸賞実施期間中の当該店舗での売上予定総額の2%以内ということになります。
- Q29 一般懸賞において提供できる景品類の総額は、懸賞に係る売上予定総額の2%以内と規定されていますが、結果的に、実際の売上総額が売上予定総額を下回り、景品類の総額が売上総額の2%を超えてしまった場合、問題となるのでしょうか。
- A
売上予定総額について、合理的に算定したものではないなど根拠のない金額を売上予定総額とすることはできませんが、例えば、前年の同時期の販売実績や同種の懸賞企画を行った際の販売実績などを参考にして、合理的に算定しているのであれば、結果的に、実際の売上総額が売上予定総額を下回り、景品類の総額が売上総額の2%を超えたとしても、直ちに問題とはなりません。
- Q30 当店では、商品Aの購入者を対象として懸賞を行い、また、同時期に、商品Bの購入者を対象とした懸賞も実施する予定です。2つの懸賞を同時期に行う場合、提供できる景品類の最高額及び総額はどのように算定すればよいでしょうか。
- A
商品Aに係る懸賞と商品Bに係る懸賞は、それぞれ別の取引を条件として行われるものですので、それぞれの懸賞において提供できる景品類の最高額及び総額を算定し、その制限の範囲内で実施して構いません。
- Q31 商品A(1,000円)の購入者を対象に、抽選により景品を提供し、1回目の抽選に外れた人を対象にダブルチャンスとして懸賞を行う場合、提供できる景品の最高額及び総額はどのように算定すればよいでしょうか。
- A
2回目の懸賞が1回目の懸賞に外れた人を対象とし、1回目の懸賞と2回目の懸賞に同時に当選するものではないことから、景品類の最高額については、1回目の懸賞、2回目の懸賞共に2万円(取引の価額の20倍)まで提供が可能です。
また、景品類の総額については、1回目の懸賞及び2回目の懸賞で提供するすべての景品類の価額を合算した金額が、これら懸賞の実施期間中における商品Aの売上予定総額の2%以内になるようにする必要があります。
- Q32 商品A(3,000円)を購入してくれたお客様にもれなく景品類Bを提供し、さらに抽選により景品類Cを提供したいのですが、景品の最高額及び総額はどのように算定すればよいでしょうか。
- A
総付景品の提供と懸賞を同時に行う場合は、それぞれの規制の範囲内において景品類を提供することができます。
本件では、総付景品の上限額は600円(取引の価額の10分の2)となり、また、一般懸賞については、景品類の最高額は6万円(取引の価額の20倍)、景品類の総額は、懸賞実施期間中の当該商品の売上予定総額の2%までとなります。
- Q33 当店では、商品を一定額購入したお客様を対象に、抽選で賞品を提供する懸賞を実施しようと考えております。この懸賞においては、抽選に外れたお客様にも残念賞として粗品を提供するつもりですが、粗品の価額を景品の総額に合算する必要はあるのでしょうか。なお、粗品は、当選者には提供しません。
- A
懸賞において、当選しなかった人にも残念賞などとして景品類を提供し、懸賞への参加者すべてがもれなく景品類の提供を受けるとしても、例えば、一等の景品類が高価なものである一方、末等の景品類が安価であるなど、提供される景品類の価額に差が生じるのであれば、残念賞などとして提供される景品類も末等と同様に懸賞により提供される景品類に該当しますので、これら末等などの価額を景品類の総額に合算する必要があります。
- Q34 メーカーが、商品A(1,000円)の購入者を対象に抽選により景品を提供するキャンペーンを実施し、同時期に、小売店が、メーカーが行う懸賞とは別に、商品Aを必ず含んで、1,500円分以上の商品を購入した者を対象に抽選により景品を提供するキャンペーンを実施する場合、提供できる景品の最高額及び総額はどのように算定すればよいでしょうか。なお、この2つの企画は、それぞれ独自に実施するものであり、共同企画ではありません。
- A
同一の取引に付随して2つ以上の懸賞による景品類の提供が行われる場合の景品類の価額の考え方は、次のとおりです。
- 1同一の事業者が行う場合は、別々の企画によるときであっても、これらを合算した額の景品類を提供したことになります。
- 2他の事業者と共同して行う場合は、別々の企画によるときであっても、それぞれ、共同した事業者がこれらの額を合算した額の景品類を提供したことになります。
- 3他の事業者と共同しないで、その懸賞の当選者に対して更に懸賞によって景品類を追加した場合は、追加した事業者がこれらを合算した額の景品類を提供したことになります。
本件については、メーカーが商品Aの購入者を対象に懸賞を行い、一方、小売店が商品Aを含む商品を1,500円以上購入した者を対象に懸賞を行うものであり、メーカーの懸賞で提供される景品類と小売店の懸賞で提供される景品類は、同一の取引に対して提供される景品類と考えられるところ、共同企画でないならば3に該当します。
この場合において、重複当選を制限していないのであれば、提供できる景品類の最高額は、メーカーの懸賞では、商品Aの価額の20倍(2万円)であり、一方、小売店の懸賞では、応募の条件である1,500円の20倍(3万円)からメーカーが提供する景品類の価額を差し引いた価額です(例...メーカーが、最高15,000円の景品類を提供する場合、小売店が提供できる景品類の最高額は、30,000円-15,000円=15,000円となります。)。
また、提供できる景品類の総額については、メーカーと小売店のそれぞれの懸賞に係る売上予定総額のうち、重複する商品Aの売上予定総額を、どちらかの売上予定総額から除外して算定する必要があります。
なお、小売店が、商品Aの購入を条件とせず商品を一定額以上購入した者を対象に懸賞を行う場合は、購入商品の中にたまたま商品Aが含まれていたとしても同一の取引とは認められないので、メーカーの懸賞と小売店の懸賞のそれぞれにおいて提供できる景品類の最高額及び総額は、合算することなく個別に算定して構いません。
- Q35 インターネット上のショッピングサイトにおいて、無料の会員登録をした人を対象に、抽選により物品を提供することを考えていますが、当該企画は懸賞に該当するのでしょうか。
- A
ウェブサイト上で行われる懸賞については、懸賞サイトが商取引サイト上にあったり、商取引サイトを見なければ懸賞サイトを見ることができないようなウェブサイトの構造であったとしても、消費者は当該ウェブサイト内のウェブページや各事業者のウェブページ間を自由に移動できることから、懸賞に応募しようとする者が商品・サービスを購入することに直ちにつながるものではありません、したがって、懸賞応募の条件として、商取引のための無料の会員登録をすることを求めたとしても、商品・サービスの購入を条件としていなければ一般懸賞には該当しません。
ただし、商品・サービスを購入しなければ応募できない場合や、商品・サービスを購入することにより、クイズの解答やヒントが分かるなど懸賞企画に応募することが可能又は容易になる場合には、取引に付随すると認められることから、一般懸賞に該当し、景品規制の対象となります。
- Q36 懸賞において、抽選で当選者を決定する場合、例えば、抽選に第三者を立ち会わせるなど、抽選をどのように行うかについての規制はあるのでしょうか。
- A
景品表示法においては、抽選により当選者を選ぶことは懸賞に該当し、景品規制が適用されますが、抽選をどのように行うかについては規定されていませんので、抽選の手順などは懸賞を実施する者の判断で決定してください。
しかし、例えば、あらかじめ告知した抽選方法とは別の方法で当選者を選定することは、参加者に疑念を抱かせることになるので適切ではないでしょうし、また、実際の当選者数が告知した当選者数に満たないときなどは、取引条件に関する不当表示として景品表示法第5条第2号違反となるおそれがあります。
- Q37 商店街が行う共同懸賞以外の共同懸賞については、「一定の地域」において行う場合に実施することができるとのことですが、「一定の地域」とは具体的にはどの程度の範囲をさすのでしょうか。
- A
「一定の地域」とは、共同懸賞に参加する店舗又は営業施設の所在する市町村(東京都にあっては特別区又は市町村)の区域又はそれ以上の区域を指します。
なお、市町村よりも狭い範囲の場合は、一律に実施できないというものではなく、実施可能かどうかは、当該地域における競争の実態等を総合的に勘案し個別に判断されます。
- Q38 「一定の地域」において「小売業者又はサービス業者」又は「一定の種類の事業を行う事業者」の「相当多数」が参加して行う懸賞は、共同懸賞として実施できるとのことですが、この場合の「相当多数」とは、具体的にはどの程度の数なのでしょうか。
- A
「相当多数」とは、共同懸賞の参加者が「一定の地域」における「小売業者又はサービス業者」又は「一定の種類を行う事業者」の過半数であり、かつ、通常、共同懸賞に参加する者の大部分である場合を指します。
なお、複数の事業者が懸賞を行う場合であっても、1共同懸賞への参加資格を売上高等によって限定し、又は特定の事業者団体の加入者、特定の事業者の取引先等に限定する場合、2懸賞の実施に要する経費の負担、宣伝の方法、抽選券の配分などについて一部の者に対し不利な取扱いをし、事実上共同懸賞に参加できないようにする場合は、共同懸賞として実施することはできません。
- Q39 「一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数」が参加して行う懸賞は、共同懸賞として実施できるとのことですが、この場合の「相当多数」とは、具体的にはどの程度の数なのでしょうか。
- A
「一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う」懸賞は、共同懸賞として実施できます。この場合の「相当多数」とは、原則として、小売業者又はサービス業者が30店以上であり、かつ、それが通常共同懸賞に参加する者の大部分である場合ということになります。
なお、例えば、地域によっては、商店街の店舗数が30未満の場合もあるかと思われますが、その場合、一律に共同懸賞として実施できないものではなく、地域の実情などを勘案して判断されることになります。
- Q40 当社はコンビニエンスストア「○○ストア」のフランチャイズチェーン本部です。このたび、ある市に所在する加盟店50店がすべて参加する懸賞を行うこととなったのですが、当該懸賞を共同懸賞として実施することはできるでしょうか。なお、同市では、他のコンビニエンスストアも多数存在しています。
- A
一定の地域において一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う懸賞は、共同懸賞として実施できますが、この場合の「一定の種類の事業」とは、「日本産業分類」の細分類として掲げられている種類の事業(例...○○製造業、△△小売業等)が判断の基準となります。
コンビニエンスストアは、「一定の種類の事業」に該当しますので、本件について共同懸賞として実施する場合は、「○○ストア」だけでなく、実施地域に所在するすべてのコンビニエンスストアの相当多数が参加するものである必要があります。したがって、「○○ストア」のみが参加して行う懸賞は、一定の地域における一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が参加しているものとは認められませんので、共同懸賞としては実施できません。
- Q41 近接する複数のショッピングビルが、相互に協力して、一つの共同懸賞を実施することはできるのでしょうか。
- A
「一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う」懸賞は、共同懸賞として実施することができます。具体的には、その商店街に属する小売業者等が30店以上で実施するもので、かつ、その参加店舗数が当該商店街において過半数である場合です。この考え方は、いわゆる商店街だけでなく、これに準ずる店舗を有するいわゆるテナントビル、ショッピングビル等においても適用されます。
本件のように、近接する複数のショッピングビルが、相互に協力して一つの懸賞企画を実施する場合は、これらの複数のショッピングビルに入居する小売業者又はサービス業者の合計が30店以上であって、かつ、その参加店舗数がこれらショッピングビル内の店舗数の過半数であり、さらに、これらショッピングビルが一の商店街を形成していると認められる場合には、共同懸賞として実施することができます。しかしながら、一の商店街を形成しているとは認められない場合は、一般懸賞として行うこととなります。
なお、複数の事業者が懸賞を行う場合であっても、1共同懸賞への参加資格を売上高等によって限定し、又は特定の事業者団体の加入者、特定の事業者の取引先等に限定する場合、2懸賞の実施に要する経費の負担、宣伝の方法、抽選券の配分等について一部の者に対し不利な取扱いをし、事実上共同懸賞に参加できないようにする場合は、共同懸賞として実施することはできません。
- Q42 通信販売業者が出店しているショッピングサイト、いわゆる電子商店街において、出店している50の事業者すべてが共同して懸賞を行う場合、当該懸賞を共同懸賞として実施することはできるでしょうか。
- A
共同懸賞は、1一定の地域における小売業者又はサービス業者、2一の商店街に属する小売業者又はサービス業者、3一定の地域において、一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う場合に実施できます。
本件については、電子商店街において行われる懸賞は、「一定の地域」において行われるものとは認められませんので上記1及び3の要件には該当しません。また、当該懸賞は、電子「商店街」において行われるものですが、2の条件は、電子商店街のような仮想のものではなく通常の商店街についての規定ですので、当該懸賞は2の要件にも該当しません。したがって、当該懸賞は共同懸賞としては実施できません。
- Q43 当店は、年末企画として商店街で実施される共同懸賞に参加する予定なのですが、同時期に、当店独自の懸賞を行いたいと考えております。応募は、共同懸賞と当店独自の懸賞ともに、商品を5,000円分以上購入することが条件となります。この場合に提供できる景品類の価額はどのように算定すればよいのでしょうか。
- A
同一の取引により、共同懸賞と一般懸賞の両方に参加することができ、かつ、重複当選を制限していない場合、提供できる景品類の最高額は、それぞれの懸賞で提供する景品類の最高額の合計額が30万円以内(共同懸賞における制限額)であり、かつ、一般懸賞で提供する景品類の最高額が、取引の価額の20倍又は10万円のいずれか低い額である必要があります(本件の場合、共同懸賞で最高25万円の景品類を提供するのであれば、一般懸賞で提供できる景品類の最高額は5万円です。)
また、景品類の総額については、まず、一般懸賞においては、当該一般懸賞実施期間中の当該懸賞に係る売上予定総額の2%以内の景品類が提供でき、また、共同懸賞においては、当該共同懸賞実施期間中の商店街全体の当該懸賞に係る売上予定総額から、一般懸賞を実施する店舗における売上のうち、共同懸賞実施期間中の売上を差し引いた売上予定額の3%以内の景品類を提供することができます。
- Q44 来店してくれたお客様全員に、商品を購入したかどうかにかかわらず、景品を提供したいと考えています。この場合、提供できる景品の最高額はいくらでしょうか。
- A
購入を条件とせずに、来店者にもれなく景品類を提供する場合の取引の価額については、原則として100円とされていることから、提供できる景品類の最高額は、取引の価額の10分の2の金額(当該金額が200円未満の場合は200円)、つまり200円となります。
ただし、店舗において、通常行われる取引の価額のうちの最低のものが100円を超えると認められるときは、当該最低のものを取引の価額とすることができ、この場合は当該取引の価額の10分の2若しくは200円のいずれか高い額が上限となります。
- Q45 当店は美容院です。来店者にもれなく景品類を提供したいと考えています。店内には飲料の自動販売機を設置しているのですが、この場合、取引の価額は飲料の最低価格となるのでしょうか。
- A
来店者に景品類を提供する場合の取引の価額は、原則として100円となりますが、当該店舗において通常行われる取引の価額のうち最低のものが100円を超えると認められる場合は、当該最低のものを取引の価額とすることができます。
美容院において通常行われる取引は、飲料の販売ではなく美容施術の提供であると認められますので、当該美容院への来店における取引の価額は、飲料の販売価格ではなく、通常行われる美容施術のうち最低のものの価額と考えるのが適当でしょう。
- Q46 商品の購入者や来店者に対し、先着で景品類を提供することは、懸賞に当たるのでしょうか。それとも総付景品の提供に当たるのでしょうか。
- A
来店又は申し込みの先着順によって景品提供の相手方を定めることは、偶然性や優劣で選ぶことには当たらないことから、懸賞には該当しません。したがって、原則として、商品の購入者や来店者に対し、先着で景品類を提供することは、総付景品の提供に該当します。
しかしながら、例えば、ウェブサイト、電話、ファクシミリ、郵便等による商品等の購入の申込順に商品を提供する場合等に、商品等の購入者が、申込時点において景品類の提供を受けることができるかどうかを知ることができないのであれば、偶然性によって景品類の提供の相手方が決定されることに等しいと考えられますので、この提供の方法は懸賞とみなされることがあります。
- Q47 当店にはお客様用の駐車場がありません。そのため、車で来店したお客様に近隣の時間貸し駐車場を御利用いただき、その駐車料金を当店で負担すること、又は最寄り駅から当店までのバス等の交通手段の利用券を提供することとしたいのですが、問題ないでしょうか。
- A
商品の販売若しくは使用のため又はサービスの提供のため必要な物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるものについては、景品類に該当する場合であっても、総付景品規制は適用されません。
御指摘の場合における駐車料金の負担や、交通利用券の提供は、正常な商慣習に照らして必要なサービスと認められますので、総付景品規制は適用されません。
- Q48 当店では、あるペットボトル飲料をメーカーから仕入れて販売しています。この飲料は、350ml入り(150円)、500ml入り(250円)、1リットル入り(350円)のものがありますが、このたび、メーカーと共同の販売促進企画として、350ml入りのものを見本品として来店者に提供したいのですが、問題ないでしょうか。
- A
見本品その他宣伝用の物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるものは、景品表示法上の景品類に該当する場合であっても、総付景品規制は適用されません。
市販されている商品・サービスそのものを見本品として提供する場合は、最小取引単位のものであって、試食、試用などのためのものである旨が明りょうに表示されていれば、見本品として提供することができます。ただし、最小取引単位のものがすべて見本品として認められるわけではなく、正常な商慣習に照らして適当と認められるかどうか、個別に判断されることになります。
本件においては、当該飲料のうち容量の最も小さい350ml入りのものの容器に、「見本品」などと見本品であることを明記すれば、当該飲料を見本品として提供することは正常な商慣習に照らして適当と認められる範囲であると考えられ、総付景品規制は適用されません。
- Q49 当店で商品を2,000円分以上買ってくれた顧客に対し、次回の買い物の際に当店で使用できる30%割引券を差し上げようと考えていますが、この割引券は景品類に該当するのでしょうか。
- A
自己の供給する商品・サービスの取引において用いられる割引券その他割引を約する証票により対価を減額することは、それが自己との取引に用いられ、取引通念上妥当と認められる基準に従っているものである場合は、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」となり、そもそも景品類には該当しません。これは、商品・サービスの購入時に対価を減額する場合だけでなく、次回以降に商品・サービスを購入する際に対価を減額する場合も含み、また、同一の商品だけでなく、別の種類の商品について対価を減額する場合も含みます。
- Q50 当店で商品を2,000円分以上買ってくれた顧客に対し、次回の買い物の際に当店又は他店で使用できる500円分の割引券を差し上げようと考えていますが、この割引券は景品類に該当するのでしょうか。
- A
自己又は他者の供給する商品・サービスの取引において共通して用いられる割引券その他割引を約する証票による割引は、「値引と認められる経済上の利益」には該当せず、景品類に該当します。ただし、この場合において、正常な商慣習に照らして適当と認められるものについては、景品規制は適用されません。したがって、提供する割引券等の価額が、取引の価額の10分の2の金額を超えていたとしても、正常な商慣習に照らして適当と認められるものであれば問題となりません。なお、「正常な商慣習に照らして適当」であるかどうかについては、例えば、その業界での従来の商慣習であるからといって問題ないということではなく、また、その業界で従来行われてきた商慣習であるか否かにかかわらず、個別に判断されることになります。
ただし、特定の商品・サービスと引き換えることにしか用いることのできない証票(例えばドリンク1杯無料券、ケーキ1個引換券)や、他店でのみ使用できる割引券(例えば飲食店が図書券を提供するような場合)等の場合は、景品規制の適用除外とはなりません。また、自店の割引券を懸賞により提供する場合も、懸賞規制が適用されます。
- Q51 当店は、両隣の店舗と共同して、それぞれの店舗で1,000円分以上の買い物をしてくれた顧客に対し、それぞれの店舗で使用できる「300円割引券」又は「30%割引券」のどちらかを提供しようと考えています。割引券については、総付景品規制が適用されないと聞いたことがあるのですが、今回提供する割引券についても同様と考えてよいでしょうか。
- A
自己の供給する商品・サービスの取引において用いられる割引券その他割引を約する証票であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるものについては、景品類に該当する場合であっても総付景品規制は適用されません。
この考え方は、自店と他店共通の割引券についても当てはまりますが、注意が必要なのは、「同額の割引を約する証票」、つまり、「○○円割引券」のように、割引金額が一定の場合に限るということであり、「○○%割引券」のように、購入金額によって割引金額が異なる場合は、総付景品規制が適用されることになります。
したがって、本件においては、「30%割引券」については、総付景品規制が適用されますので、提供する場合は、割引金額に上限を設けるなどの対応が必要であり、本件においては、200円が上限となります。
- Q52 当店はこのたび新装開店しました。ついては、宣伝のために、来店者に景品を提供したいと考えていますが、この場合、総付景品規制は適用されるのでしょうか。
- A
開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるものについては、景品類に該当する場合であっても総付景品規制は適用されません。
ただし、店舗改装のために長期間休業していたなど、開店披露と実質的に同視しうるような場合でなければ、総付景品規制の適用除外とはなりません。
- Q53 当社では雑貨を販売しており、当社の商品情報等を掲載した無料のメールマガジンを発行しています。このメールマガジンの購読を、ホームページ又は携帯電話から申し込んでくれた方に対し、抽選で賞品を提供したいと考えているのですが、この企画は景品規制の適用対象になるのでしょうか。
- A
当該メールマガジンの購読について、商品又は役務を購入したり、店舗に来店せずに申し込むことが可能であり、また、無料であることから、取引に付随するものではないと認められます。したがって、御質問の企画には景品規制は適用されず、いわゆるオープン懸賞として実施することができます。
- Q54 懸賞に関する規制や総付景品に関する規制以外に、景品表示法に基づく景品規制としてはどのようなものがあるのでしょうか。
- A
現在、1新聞業、2雑誌業、3不動産業、4医療用医薬品業、医療機器業及び衛生検査所業の各業界については、景品表示法第4条の規定に基づく景品類提供の制限に関する告示が制定され、これらの告示により、各業界において提供される景品類に制限が設けられています。
規制の具体的内容は以下をクリックし、それぞれの告示を御覧ください。
- 新聞業における景品類の提供に関する事項の制限(平成10年公正取引委員会告示第5号)[PDF: 62KB]
- 雑誌業における景品類の提供に関する事項の制限(平成4年公正取引委員会告示第3号)[PDF: 57KB]
- 不動産業における一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限(平成9年公正取引委員会告示第37号)[PDF: 48KB]
- 医療用医薬品業、医療機器業及び衛生検査所業における景品類の提供に関する事項の制限(平成9年公正取引委員会告示第54号)[PDF: 61KB]
なお、これら告示によるもののほか、出版物小売業においては、業界の自主ルールである「公正競争規約」により、一般の景品規制とは異なる自主規制を設けています。
- Q55 景品類として提供することを禁止されている金品・サービス等はありますか。
- A
景品表示法に基づく景品規制は、景品類の限度額、提供の方法などを規制しているものであり、特定の金品・サービスなどを景品類として提供することを禁止する旨は規定されていません。ただし、景品類として提供するものが、他の法令などにより規制を受けていないかどうかは確認する必要があるでしょう。
- Q56 キーホルダーのメーカーです。特定のレストランや小売業者と提携し、レストランや小売業者のロゴマークの入ったキーホルダーを製造・販売し、購入した一般消費者が当該キーホルダーをレストランや小売業者の店舗において提示すると、一定の割引が得られるシステムを実施したい。割引が得られる権利はキーホルダーの取引に付随した景品類にあたりますか。
- A
一般消費者が商品を購入後に得られる経済上の利益であっても、正常な商慣習に照らして取引の本来の内容をなすと認められるものは、「取引に付随」する提供に当たらないことから、景品表示法の景品類ではありません。
当該キーホルダーが常に割引券の機能付きで販売されているのであれば、キーホルダー型をした割引券の販売ととらえられ、取引の本来の内容をなすと認められることから、割引が得られる権利は景品類ではありません。
- Q57 当店ではポイントカードを発行しており、100円お買上げごとに1ポイント提供しています。貯まったポイントは次回以降の買い物の際に1ポイントを10円として支払に充当することができます。この度、2,000円のA商品の購入者を対象とする懸賞企画を実施しようと考えているところ、A商品を購入する際に、貯まったポイントを使用した場合であっても懸賞企画に参加することは可能とします。このように貯まったポイントを対価の支払に充当することにより商品を購入することが可能な場合の取引価額はどのように考えるのでしょうか。
- A
本件の場合、貯まったポイントをA商品の購入の際に使用するか否かは購入者の判断によるものであり、貯まったポイント分を対価の一部に充当することによりA商品を購入することは、現金とポイントによって2,000円という対価の支払が行われたものと考えられるので、本件における取引価額は2,000円となります。
- Q58 当社はスニーカーメーカーです。
ある衣料品メーカーはその商品販売ウェブサイトでTシャツを販売しているのですが、当該ウェブサイト上において、Tシャツの購入者に対し、もれなく次回以降のTシャツの購入に当たって使用できる割引券提供キャンペーンの実施を告知しています。
これと同時期に、当社は自社の販売するスニーカーの販促キャンペーンとして、スニーカーの購入者に対し、もれなくこの衣料品メーカーのTシャツを景品として提供しようと考えています。ただ、衣料品メーカーから景品用として仕入れたTシャツのパッケージには上記割引券提供キャンペーンが告知されています(キャンペーンの内容は衣料品メーカーがウェブサイトで告知しているものと変わりません)。当該割引券提供キャンペーンはスニーカーの購入者でなくても衣料品メーカーの商品販売ウェブサイトで閲覧することは簡単にできるのですが、当社のスニーカーを購入した者に提供するTシャツのパッケージに割引券提供キャンペーンの告知がなされている以上、当該割引券はスニーカーの取引に付随して提供される景品となるのでしょうか。 - A
本件については、スニーカーの購入者であるか否かにかかわらず、衣料品メーカーの商品販売ウェブサイトでTシャツを購入すればTシャツの割引券を提供するものであり、スニーカーメーカーは、スニーカーの購入者に対し、当該割引券提供キャンペーンが衣料品メーカーによって実施されていることをスニーカーの購入という機会にも告知しているに過ぎません。よって、Tシャツの割引券は、スニーカーの取引に付随して提供されるものとは認められず、Tシャツの取引に付随して提供されるものであるため、スニーカーの取引に付随する景品類としての総付景品規制の適用は受けません。
したがって、Tシャツを消費者が通常購入するときの価格が、スニーカーの取引価額に照らして、総付景品規制の範囲内であれば、問題はありません。
- Q59 当店はスーパーですが、商品を合計3,000円以上購入してくれた顧客を対象に、抽選で景品を提供したいと考えています。この場合の懸賞に係る取引の売上予定総額は、1当店で商品を合計3,000円以上購入する顧客から見込まれる抽選実施期間中の売上予定額、2当店における抽選実施期間中の売上予定額のどちらで算定すればよいでしょうか。
- A
懸賞に係る取引の売上予定総額とは、懸賞販売実施期間中における対象商品の売上予定総額を指します。
本件では、抽選対象を商品を合計3,000円以上購入した顧客に限定しているものの、特定の商品を購入した顧客に限定しているわけではないため、懸賞に係る取引については、スーパーで販売されるすべての商品の取引が対象となり得ると考えられますので、本件における懸賞に係る取引の売上予定総額は、2当店における抽選実施期間中の売上予定額とすることができます。
なお、抽選対象を単価3,000円以上の商品を購入した顧客とした場合には、特定の商品を購入した顧客に限定することとなり、懸賞販売実施期間中における対象商品は単価3,000円以上の商品と考えられますので、この場合の懸賞に係る取引の売上予定総額は、単価3,000円以上の商品の売上予定額となります。
- Q60 当社は、自動車の販売を行っている事業者です。自動車の購入に興味を持つ一般消費者を対象に、「カーナビプレゼントキャンペーン」と称して、ウェブサイトや新聞広告等で広く告知し、自動車の購入を条件とせず、ウェブサイト上において応募を受け付け、応募者の中から抽選で当該物品を提供する企画を考えています。
しかし、当該企画の当選者が当該物品の提供を受けるためには、当社から自動車を購入する必要があります。キャンペーンへ応募する時点では自動車の購入を条件としていないことから、懸賞規制の制限を受けることなく実施することは可能でしょうか。 - A
キャンペーンへ応募する時点では自動車の購入は条件となっていませんし、ウェブサイト上で応募を受け付けるため、来店も必要とはしていませんが、当選者がカーナビという経済上の利益を受けるためには、自動車を購入することが条件となっていることから、事業者が自己の供給する商品(=自動車)の取引に付随して相手方に経済上の利益を提供するものであり、景品表示法上の景品類の提供に当たります。
また、当該企画は、当選者が実際に自動車を購入する際には、景品類の提供を受けられることがあらかじめ明らかになっているため総付景品に当たります。
したがって、当該企画は、自動車の購入という取引に付随した総付景品の提供として景品表示法の規制対象となりますので、その規制の範囲内で実施しなければなりません。
担当:表示対策課