記者会見要旨
(2026年7月29日(水) 16:30~17:00 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
本日の消費者安全調査委員会では、現在調査中の事案である「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故」、「音楽イベントにおける混雑に伴う事故」及び「スキー場のベルトコンベア式移動設備(接地型エスカレーター)における事故」、この3件について審議を行いました。「音楽イベントにおける混雑に伴う事故」、「スキー場のベルトコンベア式移動設備における事故」、「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故」の順番で審議概要を御説明いたします。
まず、音楽イベントに関してです。8月は委員会が予定されていないので9月になりますが、経過報告を出します。その案について事務局より報告を受けて審議を行いました。これまで、事業者に対するアンケート、消費者アンケート、シミュレーション等をやっておりますけれども、それから分かる範囲のことを9月の段階でお出ししたいと思います。
大体の傾向といたしましては、こういった室内での群集整理に関する既存の知見がある程度あり、そして、それを使えば、恐らく問題なく我々が把握しているものは対応できた可能性が高いのではないかという方向で検討しております。
2番目は、スキー場のベルトコンベア式移動設備に関する事故についてです。御存じのとおり、6月に国土交通省の実態調査が出ました。これは事業者にいろいろ聞き取りをしたというものです。いわゆるスキー場設置事業者に対して、どのようなベルトコンベア式移動設備があるか、取扱説明書はどのように管理しているか、監督、見張りがついているか、そういったものを全国の事業者に聞き取りをしたようであります。
もう一つは、今回事故が起きたスキー場の運営会社が設置した第三者委員会の報告書が4月に公表されました。それについても事務局より御報告をいただいております。
これからさらに調査を進めてまいりますが、基本的には、製品設計上、雪が降る中で使いにくい部分があったのではないかというところで、設計の良し悪しといったことに踏み込む調査になるかもしれません。それから、取扱説明書等、メーカーからの情報提供が十分あったかについても検討することになろうかと思います。
メーカーは全て外国製です。2社がヨーロッパ、もう1社が中国製で、大体その3社のどれかが日本に入っているということです。それぞれ説明書を見ると、それぞれの国における安全基準というのはそれなりにしっかりとしたものがあって、どのような危険があるかもかなり公知の事実となっている。だから、監視がいなくてはいけない、見張りがいなくてはいけないし、いろいろな安全設備があるのだというようなことが書いてあるわけなのですけれども、それがうまく日本で利用されてきたかといった辺りは、検討する必要があろうかと思っております。
難しいのは、そもそもこれは法的には何の設備だというところです。今日、委員から御発言があったのですが、以前この委員会が取り上げた立体迷路と似ています。あれがどこの省の管轄なのかが問題になりましたが、それと同じような問題が起きそうです。現時点ではこれを規制する法律はありません。どこにも当たらない。例えば、スキー場には必ず索道事業者がいますが、これは索道ではない。その意味では、索道事業を管轄する国土交通省の所管ではないです。先ほど国土交通省の実態調査があったと申し上げましたが、国土交通省は所管外だけれども調査をしたというような整理をしております。
それから、こういう動く歩道系、動く道路といいますか、設置して動くものというのは屋内であれば動く廊下があります。屋内であれば国土交通省の住宅局、要するに建築物の一部になるのですけれども、スキー場にあるものはどうかと詰めていくと、一応建築物ではないということで、国土交通省の住宅局としては所管外という立場である。そうすると、現行法では法的には全くの空白地帯であるということになります。
そうすると、立体迷路のときのように、どこに所管を持ってくるかが問題となります。スキー産業であるという側面からみて経済産業省になるのかどうか。この辺りが恐らく難航するだろうと、そういう意味では報告書まで少し難航するかもしれないという予感がしている状況です。
最後に、車椅子使用者を自動車で送迎中の事故についてです。これは本日、経過報告の公表について決定いたしました。皆様のお手元に経過報告があると思います。経過報告とは、調査を開始してから1年以内に調査が終わらない見込みの場合に出すものです。多分、今まで全件出してきたと思いますけれども、今回も1年以内で終わらないということで、これまで分かったことについて調査の経緯等を含めて出すということです。
調査開始の経緯を確認いたしますと、本件調査は、車椅子使用者を自動車で送迎するサービスが介護サービス事業者等において広く行われているという事実がある一方、事故が発生している。事故も大きな車の事故ではなくて、急停止、あるいはせいぜい対物で事故を起こしたという場合に、単にけがをしたというよりも割と死につながりやすい事故が起きているということで調査対象にいたしました。
これまで行った調査は、事故情報の収集・分析、個別事故についての情報収集、それから、法制度、現在JISの策定が進められているという情報も入っています。
そのような中で、皆様にお渡しした経過報告の中では、6ページの5、現時点での課題というところで、我々が現在考えている問題の分析を示しています。今後どのようなことを検討していくかということを整理しています。
車で車椅子使用者を運ぶということですから、その安全性は2点です。まずは車のほうに車椅子を固定できる仕組みがなくてはいけない。留め金みたいなものがなくてはいけない。それがないような車を使って車椅子使用者を移動させるというのは、今のところ事務局で把握していないと思いますので、そういった車側のほうの問題は、今のところ我々はあまり重視しておりません。
他方、車椅子の側の問題で、車椅子が車に固定できるようになっているのか。それから、固定した上で、今度はシートベルトを適切にかませることができるか。シートベルトもかければいいというものではないわけで、しっかりと腰骨がシートの背中の部分について3点で留める。腰と腹部と肩から留める感じです。これは固定シートの場合と全く同じことなのですけれども、それができると固定シートの一種ということになります。そのような形で運搬すればいいのですが、実際はそこまできれいにできる車椅子が多いわけでもないので、どうするかというところなのです。
こういったところで、これは先ほど申し上げたJISが、今言った車椅子側の設計についてかなり踏み込んだことを言うのではないかという情報が入っております。
現時点ではガイドラインを業界で作っております。基本的には固定が中心のようですが、恐らくもう少し進んだことも書いてくれるかもしれません。あるいはガイドラインとJISがどうなるかまだ分からない状態ですけれども、固定の仕方がよりやりやすくなるかもしれません。そこら辺はまだ分かりませんが、いずれにせよ、固定とシートベルトの重要な2点セットの問題になりますので、その辺について、どのように危険が生じてけがや死亡に至りやすいかという辺りの情報を整理しているところです。
車両と車椅子、最後は制度的な受け皿です。これは介護事業者側の負担になるわけですけれども、介護のために移動させるという行動について、介護保険の制度的な位置付けがあるのだろうかというところも私たちは気になっておりまして、それが全て介護事業者側の負担ということになると、安全対策もなかなか進まないということになります。3番目は制度的な問題ですけれども、これについて何か打開策がないかというところも検討している。ここら辺が課題として分かり、そして、今後さらに検討していこうというところであります。
今申し上げたのが、6ページの(2)車椅子の固定、それから、(3)シートベルトの装着。シートベルトも、人によっては非常に腰が曲がっていて、きちんと後ろに背中をつけられないという人は、そもそもシートベルトができないですので、その人の場合はシートベルトによる安全というのは期待できない。これは致し方ないとは思うのですけれども、そうではなくて、シートベルトがかけられる状態にするのであれば、車椅子の構造上、シートベルトをかけられるようにしておくことが望ましいというようなことを検討したところです。
制度的な点が、7ページの(4)安全を確保する仕組みというところです。介護保険を例に挙げましたが、どういう仕組み、どういう制度で受け止めるのがいいのか、まだ分かりませんので、一例として介護保険制度ということで申し上げた次第です。
その上で、7ページの(5)事故発生時の情報収集ということで、情報収集があまり十分に得られていないところもあります。事故情報のシステマティックな収集、それによって安全を改善していくということも必要になってくるだろうということで検討しているところでございます。
以上が今回の経過報告です。本日は3件検討いたしました。
次回の消費者安全調査委員会は、先ほど申しましたように8月は休会でございますので、9月30日(水)14時から行う予定であります。
私からは以上です。
質疑応答
-
問
朝日新聞の井上です。
今調べている点について、まず、車椅子を車に固定するための装置についても調べているということでいいのですか。
-
答
(中川委員長)
ガイドラインで出ておりますけれども、例えば固定がとにかく重要であるが、それについてあまり認識されていない事故が多い。そもそも固定が不十分で事故が起きていることもありますので、認識してもらうことと同時に、固定しやすい方法、今のガイドラインについて十分固定しやすいのかということも含めて調査する予定です。 -
問
ということは、車椅子を車に固定するための装置とか、シートベルトについて事故を防ぐための配慮がなされている設計になっているかということも調べているのですか。
-
答
(中川委員長)
そうです。 - 問 あとは、適切な方法で固定装置とかシートベルトが使用されているかについても調べている。
-
答
(中川委員長)
はい。 - 問 車椅子そのものについてはどうですか。
-
答
(中川委員長)
車椅子そのものも、今、ガイドライン準拠のものがありまして、ガイドラインどおりであれば固定できるはずです。そこまで確認できています。そこから先はまだ確認できていません。 -
問
そうすると、車椅子の設計などについても何か提言するようなことはありますか。
-
答
(中川委員長)
我々は具体的な設計を提言するわけではありませんけれども、今のもので十分かどうか。JISが出そうだということなので、恐らくそこでしっかりとしたものが出るだろうと思って期待しているのです。 -
問
分かりました。
介護サービス中の事故ということで数字が出ていますけれども、介護施設が運営している乗り物で起きた事故という意味ですか。
-
答
(中川委員長)
そういう意味です。 -
問
北海道新聞の角田です。
小樽の事故についてお伺いします。他国では危険性が公知の事実となっていてというようなお話だったと思うのですけれども、他国だと、法規制とか、所管とか、そういうのははっきりしていたということなのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
法規制と言ってよいのかどうか。ヨーロッパの場合は規格でしたよね。だから、法規制ではなくて、日本でいうJIS規格かなと。正確に私もまだ分かりませんが、義務ではないのだけれども、事実上通用している、義務に近いものかなと想像しています。中国のものは正確には何でしょうね。
(事務局)
同じく規格でございまして、法令等については現在調査中ですが、安全基準があるというところまで確認しているところです。 - 問 規格があるというのは、使用している国でということですか。それとも製造国でということでしょうか。
-
答
(中川委員長)
製造国ですよね。使用しているし。
(事務局)
ヨーロッパ、中国、そのエスカレーターが使用されている国について確認し、そういった規格があることを確認したところでございます。 -
問
その規格がなかったのは、調べた中では日本だけだったということでいいでしょうか。
-
答
(事務局)
日本にはなかったというところで、世界中調べたわけではございませんが、中国、ヨーロッパにはあった。日本ではまだ確認できていないというものです。 -
問
分かりました。ありがとうございます。
調べた中では日本だけだったということでいいですね。
-
答
(中川委員長)
アメリカとかも多分あるだろう、オーストラリアもあるだろう、ニュージーランドもスキーをやっているし、あるはずだと思うのですが、日本に製品が入ってきていないので、今回そこまで調べていないです。日本の場合、日本では製品を作っていないのです。したがって、いわゆる事業者団体がいない。外国から製品を輸入してスキー上に設置しているという形なので、産業界がないといいますか、事業者団体がないのです。
そういう状況は、本当に以前取り上げた木造立体迷路と似ている。外国から輸入して設置して、それが事故を起こしたパターンです。そのパターンなので、事業団体がいないから、規格を作ろうという動きもない。省庁のほうも規制法を作ろうということに気付かなかった。そういう状況だと思います。 -
問
引き続きですが、第三者委員会の報告書の件もあったと思うのですが、事故原因の特定については少し前進している感じでしょうか。
-
答
(中川委員長)
そこはまだ公表できないです。 - 問 最後に、所管がはっきりしないというところで、最終的な報告ではどこが持つべきかとか、そういうところまで含めて。
-
答
(中川委員長)
今申し上げたように、多分国土交通省か警察かというところだと思います。どちらが適切かとかいうことを検討していく。各省庁の既存の知識や知見、所管している業態との近さというところから、どちらが適切かなということを考えるということかと思います。 -
問
日本消費者新聞社の渡瀬です。
死亡事例が24人ということで、死亡事例の理由というか、事例については、転落して頭部を打ったりして、その後、死亡したと書いてあるとか、そういう事例はあるのですけれども、例えば胸部圧迫とか、ほかの事例もみられるものなのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
事務局からお願いします。
(事務局)
資料の4ページをお願いいたします。例としては、一番下のオですと、こちらは全員シートベルトを着用して腹部を強く打って死亡したというような死亡例がありまして、死亡の例については、こんな事故例で5件記載しているものになります。 -
問
読売新聞の竹田です。
御説明ありがとうございました。車椅子の関係で、改めて車椅子が固定しやすいものなのかどうかとか、それをどのように分けるか、複合的な課題だったり、改めて、その中でも介護施設の方々が、どうしても利用者の方がベルトは嫌だとかそういうことで少し外しているとか、そういうケースもあると聞いているので、現時点で全体の課題の難しさというのはどこら辺にあるのか、もう一度お伺いできればと思います。
-
答
(中川委員長)
介護施設事業者からすると、優しくしようとすればするほど危険になるというところがありまして、両立しない問題なのです。そうすると、優しくしようとしたことはいけないのだと、まず意識改革をしてもらわなくてはいけないなというところが、とても難しい問題だと思っております。
あと、その認識もあまり持っていないかもしれない。今回調査した中で、関係者、事業者もそうだし、それから、高齢者の方もそうなのですけれども、車でちょっと移動するぐらいだから大丈夫だろうという感覚でいると、実はそうではないという事故例が起きてきているけれども、あまり知られていない。運転手の注意不足だとか、そういうところになってしまっている。本来は、この程度で亡くなるのはおかしいのですというところ、亡くなるような事故ではないのだからというところが伝わっていないと思います。
我々がよく直面する問題ですが、まず消費者の認識を変えてもらう。子どもの転落事故と一緒ですけれども、認識を変えていただくというところをどのようにしてやるか。
もう一つは、事業者のほうに変えていただく。つまり、厚生労働省経由でやってもらうということが一つあるかなと思っているのですけれども、それが先ほどの制度の受け皿というところにも関わってくるのです。そういう意識を変えていただくためにも、制度的な問題、単に事故が起きるメカニズム、それを防ぐ対策だけではなくて、対策ができやすいような状況を作ると同時に意識を持っていただく。意識を持っているだけでは先立つものがないということで対応してくれないと思いますので、その両方を同時にできないかなと思っているところです。 - 問 今のお話にもあるのですけれども、認識の部分というソフト面みたいな対策になると思うのですが、これはまだ早いのかもしれないのですが、最終的な段階とかを含めて見ると、厚生労働省とかでそういうソフト面とか、介護事業になってくると思うので、ソフト面とかの周知をやってもらうみたいな、そういうものが考えられると思います。
-
答
(中川委員長)
それはあると思います。考えております。単に周知するだけではなくてという、もう一歩進みたいと考えています。 - 問 もう1点、音楽のイベントの関係で御説明いただいたのですけれども、委員長から、既存の知見があってそれを使えば対応できるものもあるかもしれないというお話があったと思います。これは9月に報告書が出されてという話もあったと思うのですが、出口的なスケジュール感というのは割と、1年たってから中間報告みたいなことだと思うのですけれども、その後の出口は割と近いところが見えてきているということなのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
まだ私の感覚ではそんなに近くに行っているとは思わなかったのですけれども、やることがいろいろあると思っております。消費者がどんな行動を起こすかとか、それから、本当に従来の知見でどこまでできたかというのは、今やっているシミュレーションを基にどこまで言えるかという精度を高める必要もあるので、私はあまりそんな近いという感じはしなかったです。 -
問
北海道新聞の角田です。
先ほどの補足なのですけれども、日本に入ってきている製品を製造している中国とヨーロッパについて調べたということだと思うのですけれども、何か国を調べたとかというのは分かりますでしょうか。
-
答
(中川委員長)
ヨーロッパはEU全体としての比較なので1地域、あとは中国。 - 問 EUと中国ということですか。
-
答
(中川委員長)
そうです。 - 問 そのいずれも民間ガイドライン。
-
答
(中川委員長)
ウイーン規格というのは民間と言い切っていいのか、正確なものは保留させてください。 - 問 公的なガイドラインという言い方だと合っていますか。
-
答
(中川委員長)
感覚としては公的です。政府が決めたかというと、そこまで限定はされていない。官民共同でやっているイメージです。中国の場合、そういう言葉を使うかどうかよく分からないので、何と表現していいか正確には分からないのですけれども。 - 問 事実上のガイドライン。
-
答
(中川委員長)
ガイドラインはガイドラインです。公的なという言葉を使うのであればいいのかなとは思うのですが、あまり責任を持った回答ではないのですけれどもね。 -
問
朝日新聞の井上です。
これは委員長ではなくて事務方にお答えいただくことになると思うのですけれども、事故情報データバンクの定義というか説明として、行政機関などが事故情報を共有するために設けている、共有するために設けているというような表現でもいいですか。これはそもそも共有できるのですか。
-
答
(事務局)
事故情報データバンクはウェブ上で公開されてございますので。 -
問
みんなが見られるので共有でいいですよね。ありがとうございます。
それと、円グラフの話なのですけれども、3ページの円グラフで24件死亡事故が起きていて、死亡事故以外10件とあるのですけれども、この死亡事故以外というのは、けがをしている事故という考えでいいのでしょうか。それとも、けがをしていないのも含めて事故は事故なのですか。
-
答
(事務局)
全てけがをしている事故ということで記載してございます。 - 問 そうすると、34件の年齢別の内訳が出ているのですけれども、死亡事故24件に特化した年代別の数字は出ますか。
-
答
(事務局)
今回の経過報告で示してございません。 - 問 ということは、公にしないということですよね。
-
答
(事務局)
はい。