記者会見要旨
(2026年5月27日(水) 16:31~17:24 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
それでは、本日の委員会の概要についてお話しいたします。
まず、冒頭に2件、フォローアップ事案を公開審議で取り上げました。一つが「木造立体迷路における事故」、もう一つが「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」の案件です。
「木造立体迷路における事故」については、意見先となった経済産業省及び国土交通省の担当者をお招きし、ヒアリングを行いました。当委員会では、令和6年11月27日に経済産業大臣に対し、屋外の木造大型複層遊具について、腐朽による劣化の危険から消費者の生命及び身体の安全が確保されるよう、設置及び管理に関する安全基準を策定する等の対策を取るとともに、同基準を遵守させるための施策を講ずるよう意見をいたしました。
これに対しまして、本日、経済産業省の担当者より回答がありまして、検討会を設置していること、そして、安全基準を作成し、令和8年4月にウェブサイトに掲載し、周知を図ったとの報告がございました。また、関係事業者に安全基準を遵守させるための施策についても確認を行いました。国土交通省からは、都市公園にあるものについても同様の経済産業省が作った安全基準を周知しておりますというお話でした。
私たち委員会側からは、まず、ガイドラインについては、我々の想定したとおりの内容の詳細なものを作っていただきましたという点で満点の対応をしていただいたと思っております。
あとは事業者にどこまで確実に伝わっているか、事業者がどういう対応をしているかというところでありますが、国土交通省担当の都市公園については、全国で一ケタという非常に少ない施設数ですので、これは全部きちんと対応できているということは確認済みですというお答えでした。
他方、経済産業省においては、大手事業者についてはこのガイドラインに基づいてチェックをし、そして、問題があるかないかの確認をしているというところまでは報告はいただいているけれども、それ以外についてはまだこれからであるということでした。その事後報告、どこまで具体的に、この立体迷路が今でも稼働しているものがどのぐらいあるのか、もう止めたものがどのぐらいあるのか、新しいものがあるかどうかということについてのデータといいますか、数値を、この後をいただくということになろうかと思います。
以上が立体迷路についてであります。
もう一つのフォローアップ事案は「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」です。これは報告書を出した後も御存じのとおり事故が続いている案件であります。本日は意見先となった国土交通省、経済産業省及びこども家庭庁の担当者から対応の取組について公開でヒアリングを行いました。
当委員会では、令和7年6月24日に国土交通大臣に対し、子どもが窓及びベランダから転落する危険への対策をした住宅を普及させるため、住宅を供給する事業者等に対してガイドラインの普及、子どもが窓及びベランダから転落する危険への対策をした住宅の新築・改修に対する支援等の施策を講ずるよう意見をしております。
また、経済産業大臣に対しては、子どもの窓及びベランダからの転落防止のための製品の研究・開発が進むよう、関係団体に働きかけることを意見しております。
さらに、こども家庭庁長官に対しては、子どもが窓及びベランダから転落するプロセス及び転落事故防止方法について、保護者等に対する周知啓発の施策を講ずるよう意見しております。
本日は3省庁から、今申し上げたことをやっておりますという回答をいただきましたが、比較的長い時間を取って質疑がありました。
私たち委員会側からは、3つ対策の柱があるうち、一つはとにかく、子どもは転落するということを現実感を持って知っていただくことで、これが出発点である。これは事業者にも知っていただきたいし、もちろん保護者にも知っていただきたい。それから、保護者の周りの祖父母とか、知り合いの方とか、そういう意味では全ての住宅を使う方、そして、事業者の両方に知っていただきたいということです。事業者については、主には国土交通大臣経由、事業者の中には管理組合の団体もありますので入っております。それから、利用者といいますか、住宅を利用する側の消費者については、主にはこども家庭庁からということです。
こども家庭庁には非常にきれいな絵を作っていただいて、分かりやすい案内を作っていただいていると思います。けれども、それが例えば一部の親御さんにしか行っていない可能性がある、さらには中身を読んでいただいていない可能性もあります。こども家庭庁のほうでは全戸訪問事業というのがありますが、そこで担当者が家に訪れた場合に、転落の関係ではこういう危険がありますので、このような家具配置はしないようにとか、あるいはこういう補修の方法もありますということの案内をしてほしいという意見が委員からありました。それから、今日は国土交通省から管理組合にも直接言ったほうがいいのではないかという委員の意見もありましたので、その辺りの周知の方法について、もう少し意味があるところにちゃんと伝わっているか、周知したというだけではなくて、結果についてフォローをしていただけないかというお願いを一つしました。
もう一つの柱が新製品の開発です。これは、子どもが小さい間、取り付けることができる転落防止の機能を持つ製品があれば非常に便利であります。それについては経済産業省のほうで検討会を行っており、そんなに開発が難しいというわけではないという感触はあるという回答をいただきました。
3番目が建物の構造変更です。子どもが落ちにくい構造にするということなのですけれども、これについては、補助金の制度でやっている。しかしその利用戸数が上がっていない。累計でいまだ数千戸程度でありまして、しかも賃貸が対象でありますので、それでは少ないのではないかという意見が多くの委員から出てきました。予算の問題でもあるとは言っておりましたけれども、むしろここで言われることで予算につながっていくのだろうと思いますので、今後、まずは賃貸、それから、できれば分譲についても、そのような形で、分譲の際にも使えるような補助金としていただきたいと考えております。
以上がフォローアップ事案についてです。
そのほか、本日は「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故」につきましても、これは1年を超えることが明らかでありますので、再来月の7月の経過報告書発表に向けての検討を行いました。これもなかなか難航している調査案件です。
さらに、本日は「パーソナルトレーニングにおける事故」について調査報告書の公表を決定いたしました。昨今、パーソナルトレーニングと呼ばれるサービスが広く利用されているにもかかわらず、高齢者を含む幅広い年代の消費者にけがが生じる事故が発生している事例が見受けられたほか、サービスの内容や安全基準等が不明確であるという状況から調査を開始いたしました。
まず、定義づけなのですけれども、本調査においては、パーソナルトレーニングを個人の健康状態や運動能力に応じてトレーナーが運動プログラムを定め、その指導の下、消費者が運動を実施することを内容とするサービスとしております。こう言われてみれば当たり前かもしれませんが、そういう定義で報告書を取りまとめております。
このパーソナルトレーニングにおけるけがは、一般的なスポーツのけが、いわゆる試合とかがあるようなスポーツでのけがとは違う側面があります。トレーニングは管理してやるものですから、本来そんなにけががあるはずはない。そこの認識が我々の出発点です。偶発的な事故がほぼないはずなのです。そういう意味では、パーソナルトレーニングでのけがは非常に珍しいはずなのですけれども、しかし、着実に事故は起きている。急速に広まっていますので、これからさらに事故数は増えるだろう。事故が起きてけがをしても、事故とあまり考えずに届けてないことのほうが多い可能性もありますので、これが事故だと認識されると、今後かなり増えていきかねませんので、広がり始めの今のうちにもいろいろ対策があるならば打っておこうという観点でこの調査を始めたものです。
調査の結果を申し上げます。事故の直接的な原因は明らかです。直接的な原因は、種目、回数、負荷、フォームなどが適切ではない運動が実施されたことに尽きます。問題はなぜそれが起きたかです。先ほど言ったように、管理されているはずなのに、なぜそういう適切でない運動をさせたのかということであります。
ここからは報告書の概要版を使ってお話をいたします。概要版の3ページ、3の原因というところがございます。これは先ほど申しましたように、これから事故が増えていくであろうということが書いてあります。そして、現実の事故としては、我々が実際に行って話を聞けるものは少ない。詳細に聞けたのは1点だけです。それ以外は事故の概要の情報がいろいろあります。報告されていない事故もたくさんあるだろうということで、一定の推測を交えています。消費者安全調査委員会としての経験を踏まえまして、似たような事案でこんなことが必ず起きてきたので、こういう要素もあるだろうというようなある程度の推測も踏まえて、3ページの3の(2)の、事故の発生メカニズムを描き出しました。
➀インプット、➁プラニング、➂実施とありますが、これはぐるぐる回っていると思ってください。➀➁➂の青いところはトレーナーがどういう動きをするかというプロセスです。まずはトレーナーへのインプットです。身体状況、トレーニングに来た消費者の身体状況をトレーナーにインプットする。➁はプランニング、どんな運動をするとよいか、プログラムを作ります。そして➂でそれを実施します。運動を補助するというのは、おかしなところに負荷がかからないように、正しい姿勢、正しい持ち方を指示する。それがどうもうまくいかないならば直ちに修正をする。そして、場合によっては中止し、違うメニューに変えていく。この➀➁➂の3つのプロセスは必ず取るはずだろうと考えられます。
それに対して、下のオレンジのほうに消費者の役割がどこにあるかが書いてあります。➀については自分からトレーナーに身体状況を伝える。➁プログラムの策定については自分の意向を伝える。このぐらい、これは大丈夫、もっと強くしたい、あるいは、私は何を目的としてやるとか、いろいろなことを伝えるわけです。そして、➂運動の実施については、実際にやってみて違和感、重すぎる、痛い、不安である、そういったことを伝える、あるいは自分で止めてしまう、こういった消費者からの動きがあります。こういうコミュニケーションの中でトレーニングは起きているはずだということで、青いほうがトレーナーから見たトレーニングのプロセスであり、オレンジのほうは消費者の関わりというところであります。
きちんと身体状況が共有され、それに応じて意向などを踏まえながらプログラムを策定し、そして、運動実施についても消費者の違和感などに応じて中止するということも含めて、そういう違和感を伝えやすい環境の中で運動の補助、修正、中止があれば、けがが起きないはずである。
次の4ページを御覧ください。けがが起きているということは、このプロセスのどこか少なくとも1箇所でうまくいっていないところがある。➀の身体情報が十分に共有されていないか、そもそも、➁のところで、この人に、あるいはこういう状況の人にこういうプログラムでは駄目なのに選んだという、不適切なプログラムが選ばれたのか、あるいは➂で仮に不適切なプログラムをやられても、やらせてみておかしいと思ったら、すぐに修正すれば事故は起きないわけですけれども、それがされずにずっと続けた結果、事故が起きているということもあります。そうしますと、➀➁➂のどれかで、うまくプロセスが動いていないということが原因になります。
さらに、では、何で➀➁➂のどれかがうまく動いていないのかというのが、4ページの真ん中のA、B、Cです。Aは分かりやすいと思います。まず、トレーナーのほうでトレーニングそのものについての知識、技術、経験が不足している。我々が具体的に調べた揺りかご運動という事例が報告書に載っていますけれども、あれであれば、足を抱えた状態で背中を、しかもゆっくりと動くというのは、これは皆さんもやってみれば分かりますけれども、相当負荷がかかるのです。体勢によっては腰のほうにも負荷がかかる。
そうすると、そもそもこの人にやらせていいのかどうかという辺りは、最初に考えなくてはいけない話なのですけれども、そういった負荷を防ぐためにはどのような指示をすればいいのかというのは技術です。それから、その人の顔とか様子を見て、これは駄目なのか、それとも、もう少し頑張らせていいのかという辺りは経験的なところがすごく大きいと思います。経験というのは、自分の先輩の監督の下、実際にやってみて、失敗を繰り返しながら分かってくる。知識とか技術を実際に応用できるようにしていく経験です。
まずはそういった知識、技術、経験が不足しているというのがAです。これはすぐに誰でも思いつくところです。他方、BとCは、我々が今回これもあるだろうと考えるところで、Bについては、Aすなわち知識や技術、経験があっても失敗する。これは医療現場でもよくある話です。みんなよく分かっているのだけれども、一瞬のエラーが起きる。患者を取り違えるとか、そういうヒューマンエラーが必ずあります。そうすると、ヒューマンエラーがあるという前提で考えなくてはいけないのです。そういうヒューマンエラーがあるという前提で、どういう対策を先に打っておくかという対策です。どうもこのトレーニングの場面では、そういう意識があまり共有されていなかったのではないか。
もう一つがCです。先ほどオレンジ色と申し上げましたけれども、トレーニングは消費者の側で自分の体のどこにどう効いているかと意識することがとても重要なのです。それを基にトレーナーにコミュニケーションをする。すごく効いていますとか、ここが痛いが大丈夫か、そういうことを言いながら、それは本人しか分からないことですので、それを伝えながら、それを聞いて、トレーナーが運動を修正するという、トレーナーと消費者が一体となって消費者の体に必要な負荷をかけていくのがトレーニングだろう。そういったコミュニケーションがあってはじめてトレーニングは成り立つのだ。トレーナーが一方的に何か言って、ただそれに従えという場ではないという認識が共有できているかというのがCです。
そこの認識がずれていると事故の原因となる。つまりトレーナーのほうで、むしろ積極的に消費者側に発信してもらわなくてはいけない。そのための環境作りの不足が事故を起こします。トレーニーの側からすると、コーチの言うことはちゃんと聞かなくてはいけないかなと頑張ってしまうわけです。あるいはだんだん高揚してきて、もっとやってやるぞという感じになってけがをする。いずれも自分の体の状況が分からなくなってしまうので、トレーナーのほうからちゃんと声がけをする。今、調子よくなりすぎていませんかとか、そんなに気張っては駄目ですとか、あるいは消費者のほうから違和感を言いやすい環境を作るということも、必須の安全なトレーニングのための技術です。
こういったA、B、Cのどれか一つでも欠落していれば、先ほど言った➀の身体状況の共有の不足、➁運動プログラムの不適切な作成、➂運動実施過程での修正、あるいは中止が適切にできないということで、けがが起きる。このように事故のプロセス及びうまくプロセスが動かない原因を整理したわけです。
トレーナー資格については、もちろんいろいろな資格があります。どの資格を見ても基本的にAを見ているのです。知識、技術、経験です。他方、Bのヒューマンエラーをどうやってなくすかというのは、資格を取るための要件となっているかというと、我々が見る限りではそう明確になっていない。それから、Cの相手と一緒にトレーニングをしていくので、本人しか分からないことはもっと積極的に出してもらって、むしろ本人に中止してもらっていいですよと、そういう雰囲気を作るようなところも出てきていない。現状の資格制度には様々なものがありますけれども、BやCについてまで踏み込んで明確にしているものはどうもなさそうです。 それから、実はAについても、統一的な体系といいますか、標準的なものがあるわけでもなさそうです。ばらばらに知見が業界に存在しているという状況です。
4ページの(3)は、こういった状況がなぜ起きたのかです。すぐお分かりのとおり、急速に広まったからです。90年代からパーソナルトレーニングが日本でも始まったようなのです。もちろん一部の方は非常によく勉強されていて、少なくともトレーナーとしての知識、技術、経験については立派なものを持っておられたと思うのですが、それがほかの人に伝わるかというと、どうもそういう状況ではない。トレーナーであればみんなが知っているはずの標準的な知見は何かについて、一致した考え方があったとは聞かないのです。
その後、状況の変遷です。コロナの辺りだったかもしれませんが、アスリートに対するトレーニングではなくて、一般消費者、運動経験もあまりない人を含む実に様々な人に対してトレーニングをするというサービスが急速に増えました。利用者が多様化します。運動経験、年齢、基礎疾患もある人もトレーニングにやってくる時代となりました。
他方、トレーナーのほうは、何かトレーニングの需要があるらしいということでどんどん参入してくる。何の規制もありませんし、資格も任意ですから様々な人がやっている状況で、実際そもそも現状何人トレーナーがいるかも分からない。推測するのさえ難しいというほどたくさんいるし、把握できない状況です。非常に裾野が広くなったというわけです。
まとめますと、事故が増えている原因を一言で言うとノウハウ不足です。様々な消費者に対するトレーニングをするためにはこういうノウハウが必要ですという標準的な知見が共有されないまま、利用する消費者もトレーナーも裾野だけが広がっていった。そうすると、裾野の部分でノウハウが分かっていないトレーナーが事故を起こしているということです。
概要版5ページの(4)の事故原因の総括です。1、2、3は先ほど申し上げたA、B、Cです。まずはA、すなわち知識、あるいは技術、経験など、基本的なところが抜けているトレーナーが裾野の部分にはいる。
それから、2番目がB、ヒューマンエラー、必ず誰にでも起きるヒューマンエラーを防止するための手順、確認する手順も作られているわけではない。
3番目はCで、消費者からトレーナーへの発信はとても重要である。消費者のためにもなるし、トレーナーのためにもなる。消費者からの発信をやりやすいような環境を作るという点がトレーニングにとって重要なのだということが共有されていない。
最後の4番目が、そういった環境は、トレーナー個人がやるというよりは、トレーナーを抱える経営者がしっかりとA、B、Cをトレーナーに身につけさせるような準備ができてから動き出すべきです。しかし経営者のほうでそういった認識が全般的にあるかというと、どうもそうでもない。かなりばらばらである。個人でやっているトレーナーもたくさんいらっしゃるようでありますが、本人にそういう意識が多分なければ、いろいろ欠落したままトレーニングをしてしまう。
再発防止策は4番目です。先ほどA、B、Cと言いました。Aが知識、技術、経験、Bがヒューマン防止のための手順、Cが消費者が申告、中止等の行動、消費者から発信しやすい環境作りの手順、こういったものを体系的に標準化してください。業界の一部には知見の蓄積があります。Aは絶対にありますが、B、Cは明確にはなっていい。経験的には知っているトレーナーもおられますが、そこを明確に言語化して体系化し、標準化していただきたいということです。
これについては➀の最後の3行のところに書いてありますように、我々が接触した複数の団体にかなり知見があり、また、彼らも私たちと同じような考え方を持っていることが確認できました。そこで、まずはそういう大きな団体に、自分たちの総力を結集して、こういった安全基準を作るように動き始めてほしいと考えております。
立体迷路の場合もそうでした。あのときも、腐朽をどうチェックして、どうやって対応するのかというのは、ある組織だけがよく知っていましたが、その知見が業界に知られていたわけではなかった。必要な知見は、あるところにはちゃんとあるのだけれども、それを普及させることが事故防止にとって重要な対策です。AにB、Cを加えた形で標準的な知識やノウハウの全体像を作ってくださいということを、まずは対策として考えております。
それから、➁は経営者側、こういった基準を作った上で、その基準を踏まえたトレーナーの育成及び管理、常にトレーナーが水準を維持できているか。そういった経営者側の取組は大きく必要である。
➂は、今後、基準ができ、経営者がトレーナーの育成を管理した上に常に水準をアップデートしなくてはいけません。今まで知らなかったタイプの事故が起きているかもしれませんので、事業者横断的に事故情報を収集・分析し、その結果、基準の改定に使っていく。事業者横断的にこういう仕組みができると対応策になるだろう。これが3つの対策であります。
ということで、6ページに行っていただきますと、今言ったのは中期的な対策です。すぐにできるわけではありませんので、すぐに何をやっていただくかということになりますと、6ページの(2)と(3)です。
まずは(2)トレーナーです。トレーニングがどこの筋肉にどのように効くか、どういう姿勢が重要かというトレーニングの基礎知識、それから、技術、経験のみならず、いろいろな消費者がいますので、安全を最優先した形でトレーニングをするのだという意識にすぐに持っていける。もちろん、安全最優先という意識は当然に持っているトレーナーがほとんどだと思いますけれども、先ほどから言っているように裾野で事件が起きています。トレーナーの多くの方はよく意識していると思いますけれども、そうではない人が周りに、あるいは知り合いにいるかもしれませんので、そこは今後、この業界がもっと発達していくためには、そうではないトレーナー、ちょっと怪しいなというトレーナーに対して教育をしていただきたい、啓蒙をしていただきたいと思います。
それから、(3)消費者に対する情報提供です。消費者が一番できる対策は、自分の体の調子や違和感などの情報をとにかくトレーナーに発信することです。これは(3)の2番目と4番目の黒ポツを見ていただきたいです。
2番目の黒ポツ、トレーナーは消費者の全てを知ることはできません。これは当たり前です。なので、消費者のほうで過去のけがや骨折等で気になることはとても重要で、いつでもトレーナーに伝える。それが御自身のためでもあるし、トレーナーのためでもあるという意味で、積極的に遠慮せずに伝えていただきたい。
それから、4番目、不安や痛みを感じたら自分で止めるということは決して失礼なことではない。それはトレーニングのためにもとても重要なのだということ。それによってトレーナーはどうしましょうかと考えるわけですので、よりよいトレーニングのスタートになる一歩です。これは是非消費者が意識を変えていってほしい。よりよいトレーニングの一因となるように消費者のほうもこういう意識を持っていただくと、みんながハッピーであろうと考えているわけであります。
ということで意見です。7ページですけれども、メインは経済産業大臣です。経済産業省は業界団体、これは先ほど申し上げた2つの業界団体ですが、パーソナルトレーニングにおける事故の防止、または被害の軽減を目的とした以下を中心とする仕組みの創設・運用を促すこと。そして➀➁➂、これは先ほどから申し上げたA、B、Cです。➃が今度は経営者側に対してトレーナーの育成管理を行うということ、➀➁➂を意識した育成管理をしてほしい。それから、➄が事故情報の業界横断的な収集です。このような業界の組み立てとなるように経済産業省から業界団体に対して指導してくださいということです。
(2)ですけれども、事故の防止方法の周知ということで、経済産業省からは業界団体や関係事業者に周知してくださいという、これは周知の依頼です。同じ周知の依頼については、文部科学大臣、厚生労働大臣、消費者庁長官にも書いております。文部科学省と厚生労働省については、それぞれの所管団体、スポーツ関係団体であるとか、健康作りに関係する団体がありますので、そこからも事業者向け、トレーナー向けの周知をしていただきたい。消費者庁のほうは、消費者に対し直接、先ほど申し上げたような発信をすることがあなたのためにもトレーナーのためにもなりますという意識を伝えてほしいという意見にしております。
以上が、報告書の内容です。
今回、報告書に併せて、こういうポスターを作っております。これはトレーニングジム等で貼っていただけないかということです。これは消費者に伝えるためのもので、自分から体調等を発信することがあなたにとってもいいことなのですということです。先ほど言ったCのところです。
裏面を見ていただくと、けが防止のために、伝えましょう、確認しましょう、止めましょうという形で、皆さんのほうから違和感等がありましたら積極的に伝えてください、それがトレーニングの質を高めることになるのですからという趣旨です。決して失礼なことでもないし、トレーナーと対立するわけでも全然ない。むしろトレーナーも知りたい情報です。そういう意識を持って消費者にトレーニングしていただくことが、パーソナルトレーニングを今後さらに大きく、健全にしていくための大きな一歩ということです。
このほか、一葉も発行します。第21号です。これは今回の報告書の報告について紹介するほか、調査に当たっていただいた大藏専門委員のほか、産業技術総合研究所の梅村様、それから、沓澤様のコラムも載せております。読んでいただければ分かりますように、お三方とも、トレーニングにおいてトレーニーが自分が体のどこでどう感じているかをトレーナーに伝えることはとても重要なのだと書かれています。先ほどのA、B、Cで言うとC、消費者からの発信によってトレーニングがよりよくなるということです。
それによって、もちろん安全になるのですけれども、トレーニングの質も高まるというわけです。御参考いただければと思います。
以上が本日の会合の概要であります。
次回の消費者安全調査委員会は、来月の6月24日(水)の14時からの予定であります。
私からは以上です。
質疑応答
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問
NHKの佐々木です。
トレーナー側への対策のところで、業界団体に対して基準の作成だったり、安全管理の方法を標準化してほしい、体系化してほしいというようなことでしたが、そういう会に所属していないようなトレーナーはたくさんいると思います。そうした人たちに対してはどういう対策が必要と考えているのか御教授いただけますか。
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答
(中川委員長)
どこにも属していないトレーナーはかなり多いと推測しています。正直なところ、実態も把握できない状況です。まず、私たちはトレーニング知見等の基準を形にするところをやろうと思っています。それができた後、どこにも属しないトレーナーがどういう行動を取るかを見たいと思っています。
今回の報告を踏まえてトレーナーのガイドラインができて、それに基づいたトレーニングをしようということになって、消費者が、うちのトレーナーはこれをやっているのですかとなれば、非常に効くと思います。逆にどうもそうならないというのであれば、公的な資格制度の導入などというところに入っていかなくてはいけないかもしれません。
まずは様子を見るしかないかなという状況です。先ほど言いましたように、トレーナーの裾野がすごく大きいので、能力的な意味での裾野という意味ですけれども、その裾野をどこで切っていくかというところが最終的な目標になりますが、今、そこまで一気には行けていません。何しろ、基準自体が明確化されていない段階なので、裾野をどこで切るべきかも分からない状態です。まずは基準がしっかり作られるかというところを見たいとして、今回はここで終えているところです。
そういう意味では、御質問に対しては現時点では何もしないという答えになります。当然ながら、そこに一番問題があるとは思っておりますけれども、一気にそこまで行けない。まずは基準を作って、その後、業界全体がどのように動くか。例えば業界団体が、お客さんに一生懸命に基準の宣伝をして、基準を知らないトレーナーはいますけれども、私たちとして、それは安全とは思っていないということを、業務妨害とならない程度ではありますが、宣伝をするかというところにもかかってくると思います。そういう動きをまずは見たいと思っておりまして、今回はそこまでは残念ながら行けなかったというところであります。 -
問
ありがとうございます。
あと1点、今回、トレーナーさん側の問題と消費者側の相互の問題というところで。
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答
(中川委員長)
消費者は問題ではないです。 - 問 先ほど、トレーナーと利用者の両方でコミュニケーションを取って作り上げていくものだというようなお話もありましたので、改めて消費者に対して、そういう意識を向けるような注意喚起を一言いただけますか。
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答
(中川委員長)
パーソナルトレーニングというのは、運動をやっている消費者の声が伝わることで、トレーナーにとっても方向修正などを通して、いいトレーニングにしていくという役に立ちますので、積極的に声を出してください。消費者の発信がトレーニングの一部ですということです。 -
問
共同通信の山本です。
パーソナルトレーニングの話ではなくてあれなのですが、住宅転落で、議論を傍聴してなくて恐縮なのですが、転落防止の新製品、経済産業省の検討会云々で先ほどおっしゃいましたけれども、新製品は例えばベランダに付けるとか、外廊下に付けるとか、どういうイメージでしょうか。
-
答
(中川委員長)
窓に後付けする形で、例えば窓の下のほうが開かないようにして上だけ開くとか、子どもが勝手に開けられないようにする。あるいはそもそもはめてしまって、大人しか窓を開けられないようにするとか、そのような製品です。
事務局、具体的にありますか。
(事務局)
おおむねそのような形であったりだとか、もしくはベランダに取り付けてベランダを延長するような、乗り越えられないような、そのような製品開発が進めばいいと考えております。 - 問 窓というのはベランダに通じる掃き出し窓だったり、もしくは開けたら外につながっている窓のことであったり。
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答
(中川委員長)
窓にはめ付けるのは腰高窓をイメージしています。ベランダの場合は出られなくなってしまうので、はめ付けは無理です。我々の検討段階では、例えば顔認証で大人しかベランダの窓を開けられないようにできないかと思ったのですけれども、その後その種の開発については話を聞かないです。なかなか難しい。 - 問 そこまでの話は聞いていません。
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答
(中川委員長)
やはり掃き出し窓は閉めてしまうわけにいかないので、先ほどおっしゃったように、ベランダのほうを高くする製品ぐらいかなということです。 -
問
読売新聞の竹田です。
パーソナルトレーニングで、先ほどの注意喚起に関連するのですけれども、利用者に対しての注意喚起ということで声を上げてくださいということだったと思うのです。前提はトレーナーさんがより体系的に、知識とかを標準化しながら底上げを図って基準を満たすという話だと思うので、要するにトレーナーさんも非常に意識を変えてかないといけないというか、知識のある方はいいと思うのですけれども、そうではないような方は多分恐らくいっぱいいる状況だと思うので、トレーナーさん側に向けて注意喚起という意味合いで委員長からいただければと思います。
-
答
(中川委員長)
トレーナーの多くの方は非常に立派だと私は思っています。よく勉強されているし、消費者といいますか、利用者の様子についても非常に気をつけていらっしゃると思います。事故が起きているのは、専門家が、何でこんな運動を実施させたのかと驚くような場面です。あり得ないような運動をさせている。しかも、それを修正もせずに続けさせているのです。今いらっしゃる立派なトレーナーの方にお願いしたいのは、そうではないトレーナーをいかに勉強させるか。自分と同じレベルにしていくかということです。自分たちの業界のために、少し危ないトレーナーを引き上げてほしいと思います。
そうしないと、今の立派なトレーナーに対しても風評被害が生じ、自分のためにもならないと思います。パーソナルトレーニング業界は今後も大きくなると思います。よりよくしていくためにも、勉強していないなというトレーナーに対しては、周りのトレーナーが手を貸してあげていただきたいと思います。 -
問
NHKの佐々木です。
今の御質問に関連してなのですけれども、今、御回答で、周りのトレーナーに声をかけて、みんなで一緒に引き上げということでしたが、自分はできているみたいな慢心だとか、そういうこともこういう事故につながっているのかなと想像するのですが、そういうことを含めて、今、指導されている人の意識の部分について何か一言いただけますか。
-
答
(中川委員長)
既に知識等がある方でも、人間であるから必ず起きるのがヒューマンエラーです。ヒューマンエラーは必ず起きる前提で、慢心せずに、手順を決めて自分の万が一の判断間違いを防ぐということは実践していただきたいと思います。これは医療過誤をどう防ぐかと同じ話です。トレーナーの方には医療過誤を防ぐのと同じレベルの責任を自分は負っているのだという意識でやっていただく、そういう意識が重要なのだろうと思います。トレーナーはそれぐらい体の機微に関わる重要な仕事をされています。
先ほど申し上げた消費者からの発信についても、やられているトレーナーが多いと思うのですけれども、要するに雑談でいろいろなことを聞いて、そして、自由に言いたいことを言ってもらう環境作りです。それがお互いのためになる、消費者は安全になるし、トレーナーのほうは事故を起こさずによりよいトレーニングを提供できるという意味で、充実したコミュニケーションを取っていただきたいと思います。 -
問
朝日新聞の井上です。
経済産業省を通じて業界団体側に求めるところについて詳しく教えてほしいです。まず、この基準なのですけれども、知識、技術、経験とか、何の基準と言えばいいのだろうか。
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答
(中川委員長)
これは報告書の何ページでしたか。 - 問 概要版の5ページに、4の再発防止策というところがあるのですけれども。
-
答
(中川委員長)
もっと詳しいのが報告書にあります。報告書の53ページの(1)というところで、トレーナーに共通して求められる知識、技術、経験というのはというので、➀トレーニング及び運動に関する一般知識、➁解剖学、生理学、バイオメカニクス等々、➂加齢や性差による身体機能の変化に関する基礎知識、➃ヒアリング、運動プログラムの作成、実演を含む運動指導、評価等の運動指導に関する技術等々、ここに書いてあります。 - 問 トレーナーが安全にトレーニングを行うために必要な知識とか技術とか経験について盛り込んだ基準ということなのですよね。
-
答
(中川委員長)
そうです。 - 問 その基準に従ってトレーナーを育成とか管理する仕組みを業界団体に作るように求めるということ。
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答
(中川委員長)
そうです。報告書53ページの(1)の基準は、まずアがあって、今言った知識、技術、経験です。業界団体に作ってもらう基準です。もう一つの基準が54ページのイ、ヒューマンエラーをなくすためには、毎回手順を踏むことによってうっかりをなくす。そして、ウも基準が必要です。つまり、先ほど言った発信しやすい環境を作るにはどのような手順を取るのか。例えば始まる前に必ず雑談をするとか、この人はどういうことを言えばしゃべりやすくなるのかとか、そういうノウハウです。これも基準です。アに比べると、イ、ウはもちろん中身は少ないと思いますけれども、ア、イ、ウについての基準を作ってくださいと。 - 問 つまり、それぞれの基準を作った上で、それをトレーナーが実装できるようにする。
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答
(中川委員長)
そうです。 - 問 育成をして。
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答
(中川委員長)
ア、イ、ウをちゃんと身につけて、そして、それがなくなっていかないように育成管理するということを経営者側はやってくださいということです。 - 問 それを業界団体に求めるのですよね。
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答
(中川委員長)
結局、業界団体しか知見を持っていないのです。経済産業省の職員にそんな知識を持っている人がいるわけではありません。しかし、経済産業省が音頭を取って、業界団体が中心になって、ア、イ、ウの基準を作って、そして、経営者がア、イ、ウに従ったトレーナーを育成してください。さらには事故情報の共有までしてください。といったことの音頭を取っていただきたいのが経済産業省です。 - 問 つまり、国が国家資格を作ってとか、そういう話ではない。
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答
(中川委員長)
現時点ではそこまではまだ踏み込んではいません。先ほど佐々木さんから質問でお答えしたように、まずは基準を作ってみて、これが非常に人気が出れば、団体に属しない人も利用するようになってうまくいくと思うのですけれども、そうではなくて、基準を守らなくて事故が起きているとなると、今度はその次のステップとして、国が関わるようなトレーニングの規格ないし資格を作るということはあると思います。