記者会見要旨
(2025年9月25日(木) 16:30~16:55 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
まず、各部会の報告から行います。9月の事故調査第一部会では、「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故」の調査計画案について審議を行いました。また、事故調査第二部会では、「パーソナルトレーニングにおける事故」の報告書の作成に向けた審議を行いました。
そこで、本日の調査委員会です。報告書の審議といたしまして、「パーソナルトレーニングにおける事故」について審議を行いました。また、先ほど申しました「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故」について、今後の調査計画について検討を行いました。
このうち「パーソナルトレーニングにおける事故」につきましては、報告書案について審議を行いました。様々な意見が出まして、まだ時間がかかるという感じでおります。9月ですから、10月、11月、2か月ほどかけて審議を深め、報告書を作っていく。恐らくですけれども、11月で実質的に審議を終えられると思っております。であれば、普通は12月公表なのですが、12月は委員の都合がつかなくて委員会の開催がないため、ちょっとずれ込む形で、今のところ1月の公表を目指しております。
そして、「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故」につきまして、本日は本当に最初の検討でありますので、調査の方向性について検討いたしました。
そして、本日は新規調査事案についても決定いたしました。「音楽イベントにおける混雑に伴う事故」を次の調査事案として選定いたしました。本件は申出事案に起因するものです。申出者からの情報によりますと、あるアーティストのライブ公演開始前、入場口から座席までの通路が混雑し、あちこちから悲鳴が起こるほどの体圧を感じる状況が30分続いたということであります。
この件につきまして有識者に御見解を尋ねたところ、将棋倒しなどの群集事故により死亡者が数十人出ていてもおかしくないという見立てでございました。これをきっかけとして、「音楽イベントにおける混雑に伴う事故」を取り上げることにしたわけですが、この事故については大きく3つほど特徴があると思います。
第1は、音楽イベントにおける聴衆行動の変化ということであります。トキ消費、推し活などという言葉がありますが、例えばグループでいる場合であれば、この人を自分は見たい、その席をどうやって狙うかというような行動があります。それから、海外から来日するイベント参加者も増えていて、より積極的にパフォーマンスに参加するという楽しみ方に変わっていっているということがあろうかと思います。
そして、公演数及び入場者数が非常に増加しておりますので、従来のコンサートホールだけではなくて、多目的のために建造された施設を使うことが増えております。この場合、来場者が一斉に移動することを前提としている音楽イベント用の建物と同じような設計上の配慮がされているかどうか確認ができておりません。多目的であるということから、その点について設計上の工夫がもしかしたら足りない施設があるかもしれないということです。
そして、こうした施設は現在増えつつあります。スタジアムが34件、アリーナを45件、現在計画中であるということで、今後こうした多目的施設、ないしはアリーナといったものを使って音楽イベントを行うことはますます増えていくであろうと考えられます。
現時点では身体事故というところまでは至っておりません。今回の申出事案についても事故が起きたわけではありません。ただ、かなり危ない状況であった。そして、こういった混雑といいますか、人が入り乱れて動く場合における事故というのは、屋外の場合は過去に幾つか大きな事故がありました。その経験をふまえて、屋外については現在ではノウハウがある程度整理されております。ところが、屋内イベントの入退場となりますと、私たちの予備的な調査の範囲では、ノウハウというものが関係者に共有されているわけではない。そもそもそれほど危険だという認識もないようであります。
申出事案を含めて、まだ生命身体事故には至っていないのですけれども、SNS上のいろいろな発言を見ておりますと、ヒヤリハットのようなものはそれなりにありそうだということも分かってまいりました。
そういたしますと、ノウハウがない、そして、ヒヤリハットが起きている、そして、同じような状況、こういった音楽イベントというのは今後どんどん増える状況にあるということからしますと、音楽イベントにおける混雑による事故というのは、今のうちに解明をしておいて、そして、今後のイベント関係者に対してノウハウの提供、それから、もし、設計上の工夫をする必要があることが分かればの話ですけれども、その場合には、現在建築中のところに対して設計、ないしは設備、イベントごとにどういう設備の工夫をするかといったノウハウを提供することが望ましいであろうと考えて、今回、新規事故として調査するということを決定した次第であります。
以上が本日の委員会での審議事項であります。
次回調査委員会は10月30日(木)14時から行う予定であるということです。これは今までなかったのですけれども、今回から言うようになったようであります。
私からは以上です。
質疑応答
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問
朝日新聞の井上です。
1ページ目の申出のあった事案についてなのですけれども、この申出というのは、会場を訪れた御本人からの申出ということでよろしいでしょうか。
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答
(中川委員長)
そのとおりです。 - 問 あと、この申出があったのは昨年ということでよろしいでしょうか。
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答
(中川委員長)
はい。 - 問 あと、申出があった事案というのは、負傷者は出ていないと言い切っても大丈夫でしょうか。
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答
(中川委員長)
そこはどうですか。
(事務局)
現時点ではまだ確認できていないというところが正確なところです。 - 問 負傷者については確認できていないということですね。ただ、今のところ事故扱いとはしていないわけですね。
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答
(事務局)
はい。 - 問 分かりました。ありがとうございます。
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答
(中川委員長)
将棋倒しとかが起きれば、これは当然事故という形ではっきりするのですけれども、擦りむいたとか、あざがついたとかという状況だと、恐らく本人も言ってこないし、誰も分からない。私たちが問題視しているのは、これが将棋倒しになる可能性が十分にあったのではないかということです。そうであるならば、これは屋外事故でも分かったように大変なことになりますので、屋外事故の屋内版という形で先に調査を始めようという趣旨です。 -
問
共同通信の山本です。
申出事案、昨年申出があったということは、ライブ自体も昨年の開催だったという理解でいいでしょうか。
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答
(事務局)
はい。 -
問
ありがとうございます。
新設のアリーナとスタジアムが何件という話なのですけれども、アリーナとスタジアムはどのように定義されているのでしょうか。
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答
(中川委員長)
それは事務局にお願いします。
(事務局)
厳密に定義とかを調べたわけではないですが、例えば野球で使うのであればスタジアム、今回のアリーナというのが新設されている背景には、バスケットボールのプロリーグが26年からある程度収容人数を確保しないといけないというのがあって、アリーナの新設が多くなっているというところで、バスケットボールなどはアリーナというような位置づけになるかなと思っています。 - 問 今回、スタジアムもアリーナも両方調査対象になり得るのでしょうか。
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答
(事務局)
はい。 -
問
NHKの佐々木です。
申出のあった事案についてですが、こちらは先ほどスタジアムとかアリーナという言葉が出ましたが、この箱はどれに当たるのでしょうか。
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答
(中川委員長)
いろいろな目的で使う、例えば大きな展示会とか、大型カンファレンスをやったりとか、学会などでも使うのです。そういう意味で多目的施設です。いわゆるスタジアムやアリーナという感じではないです。スポーツ用ではないです。 -
問
ありがとうございます。
もう1点なのですが、今回の調査を経て、いろいろノウハウ、新たに知見を、そういうイベント関係者だったりとか、そういうところに提供なりしたいということだったと思うのですが、このノウハウといった中にどういったものがあるのか、例えば誘導方法とかも然り、もしあれば具体的に教えてもらえますか。
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答
(中川委員長)
恐らく屋外の場合の誘導方法と似たようなものになるだろうと想像します。ただ、屋内になるとどのように変化するのかが分からない。何人ごとにどういうグルーピングをするのかとか、どのような表示をしないと見えないとか、どうやって人に言うことを聞かせるかということです。そのためには最初にどういう仕掛けをしておくか。そのようなノウハウになるのではないかなと想像はしております。 -
問
日本経済新聞の藤田です。
基本的なことなのですけれども、こういった事案の関係者はどういう会社になり得るのかという確認をしたくて。
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答
(中川委員長)
分かりました。まずは主催者側が委託する警備会社、ほかに何かあるのかもしれませんが、主催者を中心にどういうところに委託していますかというのを調べて、そこら辺が関係者になる。それから、ホールとか建物とかスタジアムとかの運営側です。 - 問 今回の調査では、そういった関係者全般に対してヒアリングであったり、調査をされる予定ということでいいですか。
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答
(中川委員長)
その予定です。 - 問 あと、冒頭発言とか質疑応答と重なっていますけれども、改めてノウハウを提供するに当たって、特にこういうところの実態を把握したいとか、そのためにこういう調査をしたいというポイントみたいなものがあったら教えていただけますか。
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答
(中川委員長)
今の段階で一番不明といいますか、苦労しそうだなと思っているのは、どのように聴衆が動くか。入退場とありますけれども、公演の途中で動くこともあるかもしれないので、どんな公演でどのように人が動いているのかというのを調べるのは、一々見に行かなくてはいけないのかということになると、結構大変だと思うのです。そのパターン化をどうやってしていくかというのは、まず大変かなと思います。
群集事故は、一般に人々が予定したとおりに動いているはずなのだけれども、車の渋滞と一緒で何かの拍子で急に詰まってしまうという状況が起きます。それをどうやって再現するかというのも難しいかなと思っています。これは結構大変な作業になって、数理的に解析することは一応予定しておりますけれども、うまく成果が出るのかなと、私はそういった解析には素人ですから想像の範囲を超えませんが、思っております。まずはその辺りが難しいかなと思っています。
他方、そこがある程度データとしてまとまってきたならば、それに対する対策は非常に常識的に導かれるのではないかなと思っています。誰にどういうノウハウを提供するかも、先ほど申し上げたように今の段階で大体分かります。一番難しいのは、そもそも群集が音楽イベントでどのように動くのか、どのように団子状態であるのかという辺りの情報をまとめていくのが一番難しいかなと想像しています。 -
問
ありがとうございます。
今おっしゃったのが、最後のページにある選定後の調査の(5)とか(6)でいいのでしょうか。
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答
(中川委員長)
そうです。(5)群集シミュレーションがそうです。おっしゃるとおりです。 -
問
読売新聞の竹田です。
今おっしゃられた、例えば実際の人の動き方がどうなっているのかというのが一番難しいというのは、何となくそうだろうなと素人目からも感じるところです。具体的に調査をしていく中で、いわゆる大型イベントとかを視察といったら変ですけれども、見に行くみたいな具体的なところはあったりするのでしょうか。
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答
(中川委員長)
それは恐らくあると思います。幾つか特徴的な動きをしているらしいという、その情報をどうやって得るのかも、差し当たりはSNSで得るのですけれども、あとは主催者にお願いをして見に行くことになると思います。 - 問 あとは、委員長の御説明の中で、屋外、明石の花火大会の事故とか、日本でも幾つかあって、そのノウハウみたいなものがあるという感じでお聞きしたところだったのですけれども、実際にそのノウハウというのは、屋外の場合は何かしらあるものなのですか。
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答
(中川委員長)
屋外のほうはある。まさに明石の重大事故で、関係者は一度非常に痛い目に遭っていますので、今はその教訓をいかしているはずだと私は理解しております。ただ、それが十分かどうか、そこまで私たちは分かりません。場合によっては、屋内の本件の調査の結果に照らし合わせると、屋外ももう少し工夫の余地があるというように応用は可能かもしれません。ただそれはまだ先の話です。要するに、屋外に関してノウハウはある。このようにやりなさいという一定のノウハウの共有は、警察を含めて関係者にあると聞いております。 - 問 それは既にあるノウハウも参考にしながら、それが室内に当てはめられるようなものであれば、準用していくみたいなイメージもあったりするのですか。
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答
(中川委員長)
もちろんです。それがどこまで応用できるかということを検討するのが、まさに今回のテーマになります。 -
問
朝日新聞の井上です。
今の話なのですけれども、屋外にはノウハウがあるというのは、省庁とかが作っているものなのでしょうか。
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答
(中川委員長)
詳細は事務局でお願いできますか。
(事務局)
まずは公表資料のほうの2ページを御覧ください。このページの脚注のところの一番下を見ていただければと思います。まず、明石の事故を受けて事故調査報告書というかなり分厚いものがまとめられておりまして、こちらは現在ホームページでも公表されているものです。あと、ここには引用していませんが、これに基づいて兵庫県警のほうでまとめた雑踏警備の手引きというものが、かなりいろいろなところで参照されているようです。 -
問
日本消費経済新聞の相川です。
公表資料の1ページにあります過去の音楽イベントの事故なのですが、例えば2023年4月にドーム公演で酸欠で倒れる人が複数いたとか、あと、脊髄損傷とか、打撲を負った、あと、Twitterのテキストマイニングで分析すると、事故に遭った経験があるようだというようなところなのですが、これはどのくらいのことを把握されているのでしょうか。
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答
(中川委員長)
これも事務局からお願いします。
(事務局)
まず、1番と2番の件につきましては、我々もまだ報道ベースで情報に接しているだけです。最後のテキストマイニングにつきましては、こちらの資料の後ろのほう、5ページに結果のほうを抽出しておりますので、こちらを御参照いただければと思います。 - 問 具体的にはあまり分からないということなのですね。分かりました。ありがとうございます。
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答
(中川委員長)
念のために加えておきますと、今回、事故はまだ起きていません。しかし構造的に見て、これから事故が起きてもおかしくない。私たちが最大の危機感を持ったのはノウハウがないということです。今まで我々安全調査委員会が扱った事故もそのほとんどが、関係者がおよそノウハウを持っていないという特徴がありました。例えば木造の立体迷路の案件も、木造で建物を屋外に造ったらどうなるか、どう対策するべきかというのは、当然誰かがノウハウを持っていると思ったら、そうではなかった。専門家中の専門家の方は知っているのだけれども、実際の立体迷路を設置するような関係者は誰も知らなかったという状況でした。
最近ここで報告書を発表するたびに思うのですけれども、そういうパターンが多いのです。ノウハウがない、あるいは知見がない、そして事故が起きるべくして起きる。まさに本件もそのパターンではないか。これはいつか大きな事故が起きると考えたわけです。また、屋外と屋内、屋外にはノウハウがあるのに屋内には全然ないということで、これはまさに構造的に事故が起き得る、かなりの確率で起きる可能性があるので取り上げようと、事故はまだ起きていない段階で取り上げようという考え方で採用した次第です。 -
問
NHKの佐々木です。
これから調査されるところで恐縮なのですけれども、このノウハウの提供というところで、最終的にどういう形でノウハウを提供したいと考えているのでしょうか。
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答
(中川委員長)
私たちのほうでは、最低限これとこれをやってくださいという形の大ざっぱなものを作って、その後は、どこが関係業界になるのか分かりませんが、専門性を持っているところに詳細を作ってください、この方向で作ってくださいということをお願いし、そして、そこから役所を通じて関係者にまいてもらう。そういう形になるかなと想像しています。今までそういうパターンが多かったので、そういうことを想像しております。 - 問 この最低限大ざっぱなものというのが、事故調の作るガイドラインみたいなものになるのですか。
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答
(中川委員長)
報告書の中で、こういう観点が必要であるとかといったことを書いて、それだけでは抽象的で実務的には使えないので、あと、実務的に落とし込めるように、詳細版を関係業界か誰かに作っていただくようになると思います。