記者会見要旨
(2025年4月23日(水) 16:45~16:58 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
それでは、本日の会議の内容をお話しいたします。二つあります。
一つは、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」について報告書の検討をいたしました。もう一つは、フォローアップですけれども、「トランポリンパーク等での事故」の審議を行いました。
まず前者、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」につきまして、本日、報告書案の内容を見ながら最終的な意見調整を行いました。今のところ予定どおりで、当初の予定からは大分遅れていますけれども、来月に最終的なチェックをして再来月に発表の予定です。前から申し上げているように、最終発表の1か月前が実質的な最終審議ですので、6月の最終公表に向けて最後の調整をしているところです。
内容的には今までお話ししたとおりですけれども、3点ぐらいあります。
一つは、子どもの転落はあるものだと考えてほしい。どういうメカニズムで、そのためにどういうチェックリストが家庭でできるかを、保護者その他の関係者に知っていただくことが一つです。
もう一つが、建物の設計面で、今よりも子どもの転落を防ぐような方法があるのかというと、一定程度知見は既にある。ただし、それは任意基準ですので、それを推進するような支援事業が始まっているようであるということが分かっています。かつ、私たちの調査によるそういった任意の基準を守ると、今まで起きていた事故もある程度以上は防げそうである。完璧にではありませんが、しかし、ないよりずっとましだということで、それを推進していくことがとても重要ではないかということです。
最後が、これも最初から言っていた後付けの錠とか、あるいは後付けではなくて、最初から新築の場合につけるような転落防止の工夫を凝らした窓であるとか、そういったものについての開発です。これは既存の法制度とのバッティングがあり得るので、私たちでこれがいいという設計の方針まで示すことは難しいのですけれども、しかし、課題は列挙した上で進めてくださいということです。
以上の3本柱でやっていくということです。
今回、報告書案のいろいろ細かいところに意見が出て、それについて修整していくということで、順調に進んでいるという印象を持っております。
次に、トランポリンパークのほうです。これは今年の3月27日、先月、意見先の省庁をお呼びして公開ヒアリングを行いました。そのときに先方の各省庁から御報告をいただいた取組状況について、基本的には私たちの意見どおりやっていただいているということで、取組のフォローアップは終了します。ただ、1点だけ、これは私たちの意見で、トランポリンパークの運営に関しては国際規格が既にある、ISOがある。それを基に国内の規格を策定してはどうかという意見を経済産業省に対して出しています。
それに対して、昨月の3月の公開ヒアリングで経済産業省から、国内規格としてJISを作ろうと思うと事業者団体での議論が必要なのだけれども、この業態にはそれがない状況である。なので、国内規格は難しいのではないか。ただ、国際規格であるISOで十分細かいことが決まっているので、直接ISOに準拠した運用をするように、個社に対して経済産業省から直接要請をするということを言っていただきました。それなら話は早いので、是非そのようにお願いしますということになりました。
実際に本当にISOを守って操業しているのかとか、いろいろなことが問題になり得るのですが、それは引き続きフォローアップで、経済産業省がどのような工夫をされているかも含めて確認しようということで、ISOに準拠したトランポリンパーク等の運営の確保については、経済産業省の取組を引き続き確認するということにしております。
それ以外については、こちらが意見したとおりのことをやっていただいていますので、取組の確認は終了する。こういう結論にいたしました。
以上が本日の会議の概要です。
そのほか、各部会なのですが、4月の事故調査第一部会では「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」、第二部会では「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」の審議、「トランポリンパーク等での事故」のフォローアップにおける審議を行いましたということでございます。
私からは以上です。
質疑応答
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問
NHKの佐々木です。
ベランダと窓の転落事故の件で確認です。まず、今日の報告と別の部分で、そもそもの事故のデータを分析されたと思うのですけれども、それはどれぐらいのことまで分かるのかもう少し伺えればと思って。前回、足掛かりが大半だったという話があって、そうなると、足掛かりが大半だったというと、では、足掛かりを置かなければいいというところで終わってしまうような形の分析なのか。実は鍵が閉まっていたとか、閉まっていたのに開けてしまったとか、どういうところまで分析しているのかというのを伺えますでしょうか。 -
答
(中川委員長)
それは各事故でどこまで情報が得られたかによるのですけれども、ベランダに出たということは、窓の鍵が開いていたということです。なので、その時点で鍵が開いていたことが分かる。それを自分で開けたのか、それとも、もう開いていたのかというのは、分かることもあれば分からないこともあるのです。
なので、ベランダからの転落だと、まずはベランダに出さないという対策をしなくてはいけなくて、もし、出た場合でも足掛かりがなければ普通は落ちない。ただ、身長によっては落ちる。だから、建築基準法上のベランダの高さよりももう少し高いほうが安全なのです。もし、それが建築基準法で義務付けられているものよりも少し高いと、結果的にベランダに出ても助かったかもしれない、そういう分析です。なので、先ほど、建築基準法よりも少し高い基準というのが実は存在していて、ただし任意の基準です。それを当てはめると、一定程度の事故については防げた可能性がある。無論、それでも防げなかったものもあると思います。
そういう分析の仕方をしていますので、事故ごとにどこまで詳しく分かっているかはばらばらです。だから、推測を入れているところもあります。先ほど言ったように、そもそも窓が開いていたのか、子どもがこじ開けたのかというのは、子どもさんが亡くなってしまって分からないことが多い。その分、自分たちで想像している部分はどうしてもあります。ただ、それでも共通して見えてくるのは、子どもは窓を開く、そして、子どもは多少の高さがあっても工夫してよじ登ってしまうというのは共通したパターンなので、それは大半ということなのです。結局、同じプロセスで事故は起きている。
問題は、保護者その他関係者は転落は起きないと思っていることです。関係者というのはマンション事業者も含めてです。確かに確率的にはめったに起きるものではないと思うのですけれども、普通に起きるものです。例えばベッドというのは窓際に置くことが多いと思います。それでもう既にいつでも子どもが窓外に落ちる状態になっているわけです。言われてみれば当たり前、簡単なメカニズムなのですけれども、転落プロセスが身近にあると思っていないところが重要なので、先ほど3点の中で最初に言った、まずそれを知ってくださいということ。
建築基準法は、そういう目的でできていない、子どもの転落防止の目的でできていないというのは確認しています。したがって、適法の建物なのだけれども、子どもの転落については自分で注意するしかないというのが現状なのです。それを何とかしようというのが今回の報告書ですが、これでお答えになっていますか。
個々の事故の分析は粗いものもあります。粗いというのは想像を加えているという意味です。無論、はっきり分かっているものもある。本当に偶然によるので、その辺りは統一されていないと理解しています。 -
問
ありがとうございます。
あともう1点、先ほど申し上げた任意の基準というところで、もちろんそれをいかしていくことが重要ではないかとするとともに、補助錠だったりとか、そういう後付けのものとか、そういう応急的な対策についてもある程度重要ということで示す形になると思います。一時期、補助錠にこだわってやられていたかと思うのですけれども、このタイプの窓にはこういうものが取り付いてとか、それは前回まとめようとしていたときは、そういうことを示そうとされていましたが、今回はどうされますか。 -
答
(中川委員長)
一覧表みたいなものはやらないです。結局うまくいくものが実はほとんどないという大変なことが分かってしまったからです。そこで先ほど言った3つの最後に言った、開発してくださいという意見になります。我々が実際に取り付けてみて、結局うまくいかない。すぐ落ちてくるとか、意外に簡単に子どもに開けられているではないかとか、そういうことが分かってきたのです。
あと、私たちが最初から気にしているのは、後付けの補助錠で余りガチガチに閉めてしまうと、例えば消防法との関係で消防士が外から入ることを防いでしまうが大丈夫なのかという辺りもよく分からないのです。消防法上、これがいい、悪いという、きちんと統一的な規格があればいいのですけれども、現状それはありません。窓の位置によって消防が入ることが必要なところと関係ないところがあるので、なかなか窓の錠だからこうという感じで単純にいかない。そうなるとますます複雑なので、私たちのほうでこうだとは言えない。ただ、こういういろいろな条件があるということを羅列して、開発してくださいという方向に方向転換することになります。