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記者会見要旨
(2025年1月22日(水) 12:32~12:50 於:消費者庁記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
では、本日の会議の概要を申し上げます。
本日は、個別事案といたしまして「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」についての審議、また、フォローアップ事案である「エレベーター事故」の審議を行いました。
「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」につきましては、本日は方向性をいろいろ検討いたしました。一つは、パーソナルトレーニングの事故とは何を意味するかということについて少し検討いたしました。トレーニングですから、ある程度の不調といいますか、筋肉痛等があるのは当然なわけでありまして、どこからが事故になるのかという辺り、通常有すべき安全性という消費者安全法の概念に照らしまして、今日はあまり詰めることができませんでしたが、今後、その下限値といいますか、どこまで以上が事故なのかということについて少し詰めていこうということになりました。
また、これはまだ最終決定ではありませんが、恐らくこのパーソナルトレーニングの対象者として、子どもであるとか、あるいはアスリートとか、体育の授業の補習的な形で行っているものは外していくことになるだろう。その代わりに、パーソナルトレーニングというと普通念頭にあるのが大人です。特に中高年の健康維持といったもの、それに絞っていくということにしようという方向性が、本日決まったわけではありませんが、恐らくそうなるだろう。両者で大分考慮することが違いますので、差し当たりは大人、中高年という辺りを念頭に置いた事故に絞って、いろいろなインタビューであるとか、統計とか、アンケートとか、そういったものを絞り込んでやっていこうということの方針を大まかに確認いたしました。
出口、すなわちどのような報告書になりそうかということですけれども、恐らくサービスの標準化、パーソナルトレーニングとしてはどのようなことをトレーナーとしてはやらなくてはいけないのか、つまり注意しなくてはいけないのかといったことの標準化、サービスの標準化という方向で検討を進めていくことになろうかということです。それについて、関係団体、事業者団体がどのような標準化といえるようなガイドラインのようなものを出しているのか、いないのか、それから、諸外国でどのような共通認識があるのかということについて、引き続き調査をしていくということになりました。
本日はいろいろな意見を委員からいただきました。2か月後の3月の委員会の記者会見では、もう少し今の話について詰めたことが申し上げられるのではないかと思います。本日は議論ということで、大体そういう方向で議論しましたというお話でございます。
もう一つ、フォローアップ事案ですけれども、これは「エレベーター事故」についてです。平成18年6月3日に東京都内で発生した事故を取り扱ったものでありまして、平成28年8月30日に当委員会から国土交通省に対して意見具申をしており、かなり古い事案であります、消費者安全調査委員会としては象徴的な出発点となった事故であります。かつ、かなり長い間調査をいたしまして、フォローアップがまだ続いているかなり特異な事故でありますので、新たな委員に向けての説明も含めまして、事務局から説明をいただいておりました。
特にフォローアップについて新たな意見が出たわけではございません。いわゆる戸開走行防止装置の後付けが非常に重要なのですけれども、それがなかなか進んでいない。新規の装置であればもちろんそういった機能は盛り込まれているのですが、既存のものについて、このままでは安全ではないので、戸が開いたまま走ることを防ぐような装置もあるのですけれども、それを付けることが望ましいという報告書にはしております。
ただ、これは結構お金がかかることでございまして、所有者において踏み込んで取り付けていただく方が少ない。無論、徐々には増えている。国土交通省も補助金を出していただいているのですけれども、非常に遅々とした歩みですので、引き続きフォローアップをしてきたところです。今回もやりますけれども、補助金以外に妙案がないので、あとは補助金を頑張ってくださいと言い続けるしかないという状況で、フォローアップも目新しいアイデアがあるわけではないのですが、パーセンテージは覚えておりませんが、非常に低い設置率ですので、引き続きフォローアップをしていくということを続けております。
本日は、このほか、新規選定事案について審議を行いました。4月頃にはもう少し詳しい報告ができると思います。引き続き情報収集となったものが1件ありますので、それについて調査委員会で取り上げる可能性があれば、またお話をすることがあろうかと思います。
本日の委員会については以上です。
部会ですけれども、1月の事故調査第一部会では、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」、第二部会では、「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」の審議及び「トランポリンパーク等での事故」のフォローアップに係る審議を行ったということでございます。
私からは以上です。

質疑応答

NHKの佐々木です。
パソトレのほうの質問です。対象を大人の中高年に絞っていくところで、今、20代の人とかもジムに通っている人とかが身の回りで意外と多いなと思っていて、中高年というのがどこぐらいを指しているのかと、なぜそこの中高年に絞ったかというのを教えてください。

(中川委員長)
中高年というと、大人と中高年は違うといえば違うので、どこら辺まで下限を、20代、30代というところまでいくのかというのは微妙なのですが、これから詰めていきます。イメージとしては、体をこれからつくって鍛えていく、もっと上に向かって行くというような人に対するトレーニングではなくて、体が下降しているところを維持しようとしている人に対するトレーニングを今回取り上げようということです。なので、下降している人に20代が入るのかは結構微妙です。下降し始めだと思いますから、40代は入るかなという感じはするのです。その後、20代、30代はどうしますかというのは、恐らくその辺はざっくりと、大人だから入れましょうということになるかと思います。
なぜ大人に限定して子どもにしなかったかというと、大人の場合、特に先ほど中高年と言った趣旨は、自分は衰えているのだけれども、それを認識していないというところで出てくるトレーナーとのコミュニケーションギャップといいますか、消費者のほうが、いやいや、まだ頑張れると自分で誤解していて事故が起きるといったことは、一つの典型的なパターンであるのではないか。そういう場面を取り上げようというわけです。
子どもの場合はそういう事情はありません。それから、体育の授業をしながら補習としてやっていくというようなものも、育てていくというタイプですので、そこは注意すべきところが大分違ってくるのではないか。ということで、差し当たり子どもにまで広げるのではなくて、まずは大人でいこうと。大人だったら利用者の数からしても中心は中高年だろうなということで、考慮しなくてはいけない部分は変わってくる可能性が高いので、そういう方向でいこうと。
ただ、もちろんやってみて、結果的に実は関係ないということが分かってくれば、最終的に元に戻すということももちろんありますけれども、差し当たりはふだんからトレーニングしているわけではない人をイメージしようと。もちろん中高年でもめちゃくちゃ元気な人はいらっしゃいますから、言っていけば切りはないのですけれども、大ざっぱにという意味で、子どものトレーニング、アスリートのトレーニングを少し外していこうということになりました。
私たちは中高年をメインターゲットと今言いましたけれども、それに対して、得た知識といいますか、先ほどサービスの標準化と申し上げましたが、それは結局のところ、応用すればアスリートとか、それから、例えば子どもたちの放課後、部活が無くなってきているので、町でのクラブでやるというところにも応用は可能だと思うのです。ただ、我々の調査として、情報を集めていく対象としてあまり広げすぎると、拡散してしまってまとまりが遅くなるので、差し当たりはそこでまとめていく。
今言ったのはトレーナーの視点が違ってくる可能性があるということですけれども、もう一つの理由は意見先も違ってくる。つまり、子どもであれば、あるいはアスリートであれば、文部科学省とかスポーツ庁になってくるのですが、今のところそこまで考えていなくて、パーソナルトレーニングというサービスが一般人向け、自分の筋力とかについてあまり知らない人、素人向けにやっているのが増えてきていて、そこで共通の認識があまりないままに行われている可能性があるのではないかということで始まったものですので、そこに焦点を当てていこうというわけです。そうすると、意見先は経済産業省であるとか、場合によっては厚生労働省であるとか、恐らく文部科学省は入ってこないということで、そういった意味でもあまり広げすぎると遅くなっていくので、ほんの少しですけれども、焦点を絞りましょうという趣旨で、差し当たり大人ということにしていこうという話になった次第です。

ありがとうございます。
関連の質問で、トレーナーが少し過激なというか、その人に対して少し負荷が大きいものを与えてしまって、トレーナーはできると思ってそういうメニューを与えたのかもしれないけれども、実際は体がついていかないとか、あと、若い人でもオーバートレーニング気味なことをやってしまってけがをしているようなケースとかもあると思っています。
そうした場合、先ほどトレーナー側の配慮という言葉も出ましたけれども、能力というか、そういうところも一部ではばらつきがあって問題があるのかなと思うのですけれども、そういう意味で多分サービスの標準化の話もあると思うのです。ガイドラインということを言っていましたけれども、トレーナー側の資格について言及していく予定はあるのでしょうか。

(中川委員長)
それも考えております。資格も、任意の資格で幾つもあるのですけれども、サービスの標準化に当たって、資格という観点からもアプローチすることは当然あり得ると思うのです。単純に、こういうやり方でやってくださいという標準のガイドラインを作るだけで済む話なのか、それとも、一定程度訓練をしなければ、ガイドラインにしたところで実際に実施できないという内容であれば、それは資格に連動させないとガイドラインが実効性を持ちませんので、それはどういう標準化ができるかによって、資格制度に、法的なのか、それとも、民間の例えばこういう要件を満たした資格であれば十分なのか分かりませんけれども、資格にも関連づけなければ標準化がうまくいかないということになるということは当然考えておりまして、今日もその話になりました。
資格はいろいろあるそうですが、トレーナーがどれだけ取っているかということも分からないし、どれが適切な資格なのかも分からないです。その辺りも調べていくことになっております。

先ほど言っていた中高年にした理由のところで、体が衰えていることのギャップとかが生じているようなケースという話があったのですけれども、最近ボディメイクとかもすごくはやっていると思っていて、そういった中での事故とかは除外していく感じになるのでしょうか。

(中川委員長)
ボディメイクをパーソナルトレーニングとすると、定義の仕方なので、私は今、ボディメイクの業態とパーソナルトレーニングの業態がどれだけ一致するか、答えはないのですけれども、それはどうですかね。その話は今まで出たことないので私からは答えられません。
事務局のほうで何か分かりますか。

(事務局)
ボディメイクですが、言葉の定義なので、これというものはないのですが、一般的に筋力トレーニングで体をつくっていくところもあるので、多分対象になるのではないかと思っております。

(中川委員長)
そうすると、定義的には入りそうな、結局筋肉に負荷をかけてつくっていくということだから、トレーニングといえばトレーニングですので、入るのではないかという気はしますけれども、その言葉では今まで議論したことがないので急には答えられないということです。恐らく入りそうな印象はあります。

ありがとうございます。
別件で、転落事故の件で、前回のレクの場で、多分、丸田さんから御提言があった、報告書がまとまる手前で1回何らかの形で、これだけ事故が相次いでいるので、一旦注意喚起のメッセージを出せたりとかということもありなのではないかという御発言があったと思います。その辺りはその方向で議論が進められているのか、そうはならなそうだなということか。

(中川委員長)
今日は取り上げなかったので、それはどのように進んでいるか分かりません。今日取り上げなかったのは、今、事務局は転落案件について急いでいろいろ作業をしていまして、なので、会議の項目に入れずに、彼らに作業に集中してもらっていますので、私は今の段階でどのようになっているかという情報は持っていません。

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