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記者会見要旨
(2024年12月19日(木) 16:30~16:54 於:消費者庁記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
本日の消費者安全調査委員会ですが、個別事案といたしまして、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」について審議をいたしました。また、フォローアップの案件といたしまして、「トランポリンパーク等での事故」の審議を行いました。
先に「トランポリンパーク等での事故」についてお話ししますと、これは令和5年4月20日に経済産業省、文部科学省及び消費者庁への意見具申をしたものであります。これにつきまして、本日は文部科学省及び経済産業省、消費者庁からどのような取組をしているのかの回答をいただきまして、それを踏まえて、私たちからどのような質問をこれから行うかということについて、委員から意見を出していただきました。これはまだ日程が確定しておりませんが、公開のフォローアップは、来年の3月か4月か、その辺りになろうかと考えております。
もう1件、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」についての審議を行いました。新しい期の委員になってから、木造立体迷路についての総仕上げに大分時間がかかっておりましたので、新委員としての子ども転落事故についてのスタンスといいますか、私たちがどのような問題意識を持って、どのように調査をしていくかについて、改めて委員の間の認識のすり合わせを行いました。かつ、その間、木造立体迷路を審査している一方で、事務局において、各省庁でどのような転落事故に関する取組をしているのかという情報も相当集めていただきました。かなり集まりました。
新たな情報を基に、新たな委員の間で認識のすり合わせをいたしまして、本日、方向性として決まったのは、まず、子どもの転落のメカニズムといいますか、シナリオといいますか、これはもう少し分かりやすく明らかにしていこうと。誰にでも起きることなのだと、子どもの転落というのは本当に私たちの想像を超えて起き得ることなのだということを、まずは明らかにすべき、それが出発点だということが一つ。
そして、それを基に、先ほど申しました様々な転落防止のための措置はあるのですけれども、にもかかわらず事故が起きているということから、先ほどのシナリオに照らして、現在ある転落防止措置が子どもにとってどのように有効でないのかということを、できるだけ一覧化していこうというのが第2点です。
第3点として、それを踏まえて、どのような設計が望ましいのか、あるいはどのような製品が望ましいのか、あるいはどのような後付けの製品であれば使ってもらえるのかといったことを提案するということです。
最後にとても重要なことで、第4点といたしましては、子どもの転落事故に関する意識・認識が、関係業界、それから、省庁において、私たちから見ると十分ではないのではないか。つまり、子どもが小さいときだけの一時的な問題だと、すごく矮小化されて捉えられているのではないか。そういう認識についても踏み込んでいけないか。
こういった4点ほどについて、委員会で本日は認識の共有化が図られたのではないかと思います。
このような観点で資料がさらに増え、それから、今申し上げたような結構踏み込んだ感じ、今までは、これが安全だから対策が必要だということに誰も異論がなかった案件ばかり扱ってきたのですが、子ども転落も事故ではあるけれども、今までやってきた対策では駄目で、もっといろいろなところに負担がかかる、はっきり言えばお金がかかるような対策が本当に必要なのだというところについて、社会においてみんな認識を共有しているのかなという辺り、そういったところにも踏み込んでいくような報告書になる、踏み込んだ感じになるのではないかと今のところは考えております。というわけで、少し変わった報告書になるのではないか。今までとは違うものになるのではないかと考えております。
以上が本日の審議内容です。
部会につきましては、12月の事故調査第二部会で「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」の報告書作成に向けた審議を行ったということであります。第一部会については休会であったということです。
私からは以上です。

質疑応答

NHKの佐々木です。
転落事故のことで質問です。4点ほど整理してお伝えいただいたと思います。2点目の、いろいろな措置だったり対策とかはあるが事故が起きていて、子どもにとってそれらが有効ではないということを明らかにしたいというのが1点ありました。これは今までの対策について、こういう点がまだ足りないとか、そういった提言というか指摘になるのでしょうか。

(中川委員長)
最終段階でないと明確に言えませんが、恐らくそうなると思います。だから、今まで、例えばベランダの手すりはこのぐらいの高さがなければいけない、それはもちろん子どもにもよるのですが、子どもからするとかなり高い、でも、転落するという観点からすると高さだけでは駄目だった、あるいはこのデザインだったらよじ登れないだろうと思っていたのだけれども、よじ登ることは十分に考えられるというような形で、今まで子どもの動き方が見過ごされていたのではないかと、そういう形で問題点を指摘できるのではないか、あるいは私たちが指摘しなければいけないのではないかというような方向性です。

あと、3点目に御説明いただいた、どんな製品が望ましいかとか、どうやったら使ってもらえるかみたいなところは、以前、この委員のメンバーが替わる前に少しお話しいただいていたようなことを想定していればいいのか、また別の方向で詳しく最終的に示されるのかを伺いたいです。

(中川委員長)
3点目はそんなに変わっていないと思います。デザイン性とか、あと、付けるといろいろ操作しなくてはいけないので面倒くさいといったことは考えていたような気がします。多分、第3点は以前と変わらないと言っていいと思います。

ありがとうございます。
それでは、どんな製品が望ましいかとか、どんな設計だったらいいのかとか、そういったことは、また調査をされるということなのか、これまでにやってきた中でまとめられるのか。

(中川委員長)
新たな調査は今のところないだろうと思っています。断言はできませんが、今までの調査の情報を使えばできるのではないかと思っております。

最後に、各省庁での取組を集めたということで、お話しいただける範囲で、どんなことをやっているのかとかがあればお願いします。

(中川委員長)
一つだけ御紹介します。これは公表されているものですけれども、国土交通省の国土技術政策総合研究所が、子育て配慮住宅の計画手法というガイドライン案を出しております。これはどのように設計をするかの話です。そのガイドライン案は2018年に公表ですから、新しいといえば新しいですけれども、これに沿ったものでも転落事案があるかどうかは、またこれから確認です。
ただ、それは非常に調査が難しいのです。事故が起きた関係者にいろいろ聞くのは非常に難しいことですので、私たちとしては、聞くのではなくて、このガイドラインに沿ったものができた場合に、先ほど1点目として申し上げた転落のシナリオを当てはめると、どれぐらい大丈夫なのか、見落としがあるのかというのを評価していく。そういう意味では仮説的な評価になります。そういう形でやっていこうと思っています。
それ以前、2018年のこのガイドライン以前にも安全対策、転落防止対策とかは当然あったわけで、建設事業者もやってきたわけです。それは大人なら落ちないのだけれども、子どもの行動特性を落としていた可能性があるということを、どこまで明確にできるか分かりませんが、そのようにしていきたいと思います。どこまで明確にというのは、建築基準法上の基準だけを守っているのであればどうなのかという、そういう形で出していければと思っています。

朝日新聞の大村です。ありがとうございました。
説明いただいた4点中の最後の4点目のところです。業界・省庁の意識・認識が不十分ではないかというところに踏み込みたいということですが、この点は委員の意見を相和させる形で議論するのか、新たに調査をするのか、どういった形のことをお考えになっていますか。

(中川委員長)
これは多分、前の期からそういうことは言っていたと思います。今回、新しい委員でも同じような問題意識を持っている、軽視されているのではないかという問題意識を今日確認したというわけです。私たちのスタンス確認といいますか、子ども転落に対する特に設計、お金がかかるものについて、どれだけ強く打ち出すかという問題なのです。お金がかかる話、あるいは子ども転落防止の作り付けのサッシだと当然値段は上がるのではないかと思います。だから、買ってくれない、なので作らないという循環がそのままでいいのかという問題なのです。
それに対して、私たちが何を言うべきなのかということを今日議論いたしました。例えばそういうところにはお金をかけたくないという理屈はいろいろ聞くのです。例えば子育て期間は5年間である、5年たったらもう要らないのだから、そのときだけ気をつければいいとか、あるいはほかにもいっぱい気をつけることがあって、これ以上やるのは大変だとか、それから、転落事故の確率は非常に低い、そういう確率論的な議論であるとか、いろいろ後ろ向きの発言が出てくるわけです。
もう一つは、これは誰が言ったかというのは言えませんが、乳児の保護者に対して転落事故の周知はしているけれども、乳児はまだ早いですよねという発言が今日紹介されました。それに対して委員から、それがそもそも認識の間違いだ、乳児も転落しているのだと、乳児も実は動くのだと、関係者はそういうことを知っているはずの立場の人なのだけれども、そこからしてもう間違っているというように、様々なところで認識を誤っているのではないのか。
例えば確率論にしても、ほかの問題は確率論抜きでどんどん対策しているではないか、何で転落事故だけ確率論が出てくるのだとか、そういうことに私たちとして強く出るべきか、それとも、そういう反論もあるから、そこはそこで尊重するのかというところについて、強く出たほうがいいのではないかという方向性が本日は確認された。前の期もそうだったのですけれども、新しい期でも確認されたということでした。委員は2人以外全員変わりましたけれども、同じ結論でありました。
いろいろなところに問題が起きていて悪循環が起きているという言葉を使われた委員もいました。その悪循環をどうやって切るか、簡単には切れないと思いますけれども、少しでも切るきっかけとしてこの報告書を位置づけるべきではないか。それが第1点です。理論づけというか、理論構成といいますか、なぜこれが重要なのかということの説明をきちんとしていくことにも時間を割くべきだという議論をしたのが第4点です。

ありがとうございます。
もう1点、報告書のまとまる時期の見通しというのはいかがでしょうか。

(中川委員長)
年度内という予定でいたのですけれども、今言ったことを全部やっていくと年度内はきつい。前も説明したかもしれませんが、3月に発表するということは、2月にほぼ99%決まっていて、そのためには1月に全部できてなければいけない。ということは、12月に本日行ったような認識合わせをしているので、全然間に合わないので年度は超えます。しかし、きちんとスケジューリングをして、できるだけ早くということは今日も事務局にお願いをしました。それから、部会長にもお願いしましたし、部会長もそのつもりでいらっしゃいますので、年度を越えるけれども、できるだけ早くというところです。
ガイドラインなどの評価もしていくわけですから、それなりに慎重にやらなくてはいけないし、慎重でないと、せっかく頑張った報告書も変なところで足を取られてしまうと、先ほど言った4点目でうまく悪循環を断ち切れないことになります。そういった意味では少し時間がかかるかもしれません。だけれども、ずるずるやっていればまた事故が起きますので、その意味では早め早めにしたいと思いますが、年度内はどう見ても無理ということでした。

NHKの佐々木です。
時期のところで確認です。パーソナルはもともと来年の5月みたいなお話で、この転落が3月みたいなイメージ感だと思うのですけれども、ずれていくとパーソナルとかち合ったりとか、いろいろあるかなと思って、今どのようなスケジュールですか。

(中川委員長)
パーソナルは5月で大丈夫ですかね。今日は審議をしていませんが、報告を聞いただけですけれども。

(事務局)
パソトレについても今見直しをしていますので、5月は厳しいかもしれません。それにしても早めに出せるように努力します。

(中川委員長)
立体迷路で意外に時間がかかったのです。新しい期ですぐ出しましたよね。新しい期になったけれども、丸々前の報告書案をしゃんしゃんで認めるのではなくて、議論していって、そして、もう少し木造について詰めることにしました。結果として結構厳しいことを言ったつもりだけれども、メディアの皆さんに通じなかったような気がするのですが。木造を分かっていないぞと、あれはかなり広がりがある問題だと思います。なので、逆にかなり気を遣った表現にしたのですけれども、あちこちに飛び火してもらっても困ると思って、それに大分時間を取ってしまったのです。木造の話はかなり問題の質が深いということで時間を取った結果、事務局のリソースをそこにものすごく注いでもらったので、ほかが全然できなくなってしまった。だから、子ども転落についても今日やっと体制がきちんと整ったというところです。
パーソナルトレーニングについては、まだ目線のすり合わせをやっていないのです。だから、本当にスケジュールが大分ずれています。パソトレは、私は今の報告、部会からの感じではまだまだかかるかなと。ただ、これは部会が違うので、同時並行でしたいと思っていますので、5月からどれぐらいいくか分かりませんが、でも、ずるずるとはしたくないので、それが一番よろしくないので、頑張るとしか言いようがないですけれども、随時指示をしながら、できるだけ早くしたいと思います。

7月とか8月ぐらいまでには2つとも終わっているのが理想形ということですか。

(中川委員長)
もちろんそうです。そうしたいと思います。8月だとすると、6月にほぼ終わっている。転落はできるのではないか。

(事務局)
頑張ります。

(中川委員長)
うーんという顔かもしれません。
部会は違うのですけれども、事務局の多くの人が一つのところに取りかかってしまうので、転落にどれぐらい事務局の手が多く取られるかによって、パソトレにどれだけ影響があるかというのが出てくるのではないか。私は事務局の動き方を把握はしていないのですけれども、転落次第かな。立体迷路からするとそんな感じです。立体迷路は本当にリソースを取られました。

日本消費者新聞の丸田です。
パーソナルトレーニングは今調査されているとはいえ、事故が起きていると聞いておりますし、今の転落事故についても、各省庁の転落事故の取組について収集されていると。その中で、子育てに配慮した住宅のガイドラインが出てきていて、それについて問題があるのではないかという御指摘があった。報告書をまとめるに当たっての期間の間で、同種かどうか分かりませんけれども、いろいろな事故が起きている。それに対して、事故調として問題点があって、最終報告がまとまる前に何らかの形で、例えばパーソナルトレーニングであっても国民生活センターが昔注意喚起を出しているということから考えると、事故調として事故の防止に向けて何らかの対応ができるのではないかと思うのですが、これについてはどうでしょうか。

(中川委員長)
丸田さんにいつもそれを言われるので、聞きながらそうだと。今思いついたことなので委員会としての決定ではありませんが、私の個人的な思いつきです。先ほど4点に分けた最初の1点です。どういうシナリオといいますか、どのように子どもが動くのかというのが今回の報告書の出発点なのです。それはある程度分析しているのですが、もう少し粒度の細かい分析をしなくてはいけないという指摘になったのですけれども、それだけを先に出すことはあるかもしれません。
結局、自分の子どもの転落が自分ごとになっていないのではないか。そのためには、このように自然に起きるのだということを、例えば一葉でもいいですけれども、先に出すことはあるかな。それだと数か月以内にできると思います。もちろん最終報告書のときには少し差し替わるかもしれませんが、その留保つきで、現時点ではこのように起きていて、あなたの身にも起きますということを発信するということが必要かと思います。それはいいのではないか。急に思いましたけれども、検討してみてください。ありがとうございます。いい御指摘をいただきました。

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