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記者会見要旨
(2024年10月30日(水) 12:45~13:09 於:消費者庁記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
それでは、本日の審議内容についてお話をいたします。
本日は、報告書の審議といたしまして、「木造立体迷路の床板の落下による事故」、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」、「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」の3事案について審議を行いました。
まず、「木造立体迷路の床板の落下による事故」につきましては、本日で実質的には最終的な審議を終えました。細かい文言調整のほか、関係者への意見聴取をしなければなりませんので、その関係者を誰とするかということも含めて、本日、最終的な決定を行いました。そこで、来月11月の委員会で正式決定の見込みとなりました。これについてはまた後でいろいろ御質問いただければと思います。
次に、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」について、報告書の全体像について、部会の部会長、それから部会の委員、そしてその他の委員の間で全体像の確認をいたしました。今後どのように調査を進めていくかの方向性も確認をいたしました。事務局からは、現時点で調査済みの事項について報告を受けました。これについては前回お話ししましたように、本年度中、年度内に最終正式決定ができるように進めていくということの確認を再度いたしました。
3番目ですが、「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」につきまして、事業者及び一般消費者、事故経験者へのヒアリング及びアンケート結果について、事務局から報告を受けました。これは転落事故に比べますとまだ非常にざっくりとした調査段階ではありますけれども、どのような方向性があり得るのかについて、様々な委員からの御意見をいただいたところです。これは来年の5月ぐらいを目指そうと思っております。まだアンケートが済んだ段階ですので、どういうことになるか必ずしもはっきりしませんが、我々の目標としては来年5月の正式決定を目指しているところです。
その他、消費者安全調査委員会から一般消費者に対して情報発信をしております「消費者安全調査委員会からの一葉」がお手元にあると思います。本日これの第14号が消費者庁のウェブサイトにて公開されております。今回は第7期が始まったことに伴い、新たに委員会の委員に就任をされました5人の委員の御紹介という号になっております。それぞれ意気込みを簡潔でありますけれども書いていただいておりまして、今後の活躍を是非見守っていただきたいと思います。
各部会についてです。
10月10日の第7期最初の委員会後の記者会見でもお伝えいたしましたけれども、第6期までは製品等事故調査部会とサービス等事故調査部会の2部会制でございましたが、名称を変更いたしまして、事故調査第一部会、事故調査第二部会という名称の事務改正をいたしました。
そして、10月の事故調査第一部会においては、「木造立体迷路の床板の落下による事故」及び「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」の報告書作成に向けた審議を行っていただきました。
また、事故調査第二部会では、「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」の報告書作成に向けた審議を行っていただいております。
私からは以上でございます。

質疑応答

日本消費者新聞の丸田です。
木造立体迷路の事故ですけれども、来月に報告書をまとめる、それで発表するということでいいのですか。

(中川委員長)
そのとおりです。本日が実質審議の最終で、その後、関係者への意見聴取があり、あと組織内部的な決定手続がありますので、そういったことも含めて来月のこの会議のときに報告書が公表されるという段取りです。

分かりました。
それと組織の編成替えということまではいかないのでしょうが、部会ですね、第一部会、第二部会、前の製品等事故調査部会、サービス等事故調査部会、どういうふうに決められますか。前回、委員長の判断でということだったのですけれども。

(中川委員長)
委員長というか、委員会での判断、どっちへ振りますかと。

第一、第二はどっちがどうなのかというのは。

(中川委員長)
基本的には今までと同じです。製品とサービスという傾向はあると思うのですけれども、必ずしもそれに限定する必要もないとか、あるいは事故によっても、製品でもあり、製品プラスサービスということが多いので、製品とサービスに部会の名前を分けること自体があまり現実的でないということもあります。あと、どれだけ手持ち案件があるかによっても変わってくるということがあります。
その結果、第二部会にある案件を手が空いているので割り振ったのだけれども、第一部会の委員が1人だけ実はその案件に専門性があるという場合は、その第一部会の委員に第二部会にも参加していただくというような、そういう柔軟な対応もしております。従来からしていたことですが、今回からよりそれを柔軟にしていこうということで、そういう意味で、非常に適時適正なやり方ができるようにしたということです。

分かりました。
一葉についても、新しい方々が今回載っています。前は専門委員であるとか委員に限らず載っていらっしゃったような気がしたのですが、一葉というのは、位置づけとしては事故調の新しい情報発信となると、事故の事例の紹介、事故防止、これまでもありましたけれども、そういうものも含めて、専門委員の方々も何らか出ていただければなと思っているのですが、いかがでしょうか。

(中川委員長)
今までもそのような号があったと思います。各委員が自分のいろいろな思いを語る号です。1ページないし2ページだったかもしれませんが、それは引き続き今後も続けていく予定です。なので、事故調査の対象にしなかったけれども、発信したい、事故を予防する、あるいは事故がありますよと発信する号もあれば、各委員の紹介もあるし、各委員からの発信もあると。専門委員で書かれたことはありますね。なので、それも当然含まれていくということになると思います。

NHKの佐々木です。
転落事故のことで質問があります。前回のこの場で少し報告のタイミングが延びるという話があって、新しい委員で検討したら、ここはもう少し議論したほうがいいのではないかとか、いろいろあったということを御報告いただいたのですけれども、今回、何か方向性というのはどのように定まったのかなというところと、今後の調査の確認をされたということで、どんな調査が必要だと今日の議論ではなったか教えてください。

(中川委員長)
ほぼ決まった方向性としては、まず出発点として、現在の建築に関する法令ないしは任意基準でも転落防止制度はあるのですけれども、基本的には大人の転落を想定している。子どもが何をするか分からないということまでは想定しきれないので想定していないのです。実際、子どもの行動を想定すると何もできない、全て出口を塞ぐしかないということになりかねないので、していないということは一定の合理性はあるのですけれども、とはいえやはり放置できないだろうということが出発点です。つまり、子どもの挙動を想定したことを考えると相当に難しい問題であることの確認をした上で、対策をやろうと思ったらかなり時間が、数年かかる。なので、2段階に分けようということで、取りあえず今年度中にできそうなものを最初に出して、長期的なものについては、いつできるか分からないけれども、2段階に分けようと。
今回は2つに絞ります。それ以外の方法はないという意味ではなく、差し当たり2つに絞る。それは腰高窓というベランダへの窓ではないほう、そこから落ちない方法と、それからベランダに関していうと、ベランダの掃き出し窓をどうするかですね。その2点に集中した上で、緊急対策、それから設計なんかも含めた中期的なものを考えようという方向に絞りました。
今まではベランダに出たあとをどうするかということも考えていたのですけれども、ベランダへ出てしまうと、ベランダをどう安全にするかというのはものすごく考える要素が増えて、いつまでたっても報告書が出ない。そういう方策を考えないという意味ではないのだけれども、今回はやめておこうという感じで絞り込む。そういった議論をやりました。ですので、今はその2つの窓に注意を集約をすることを考えています。ベランダに出ない。それから、腰高窓を大きく開けないと。
それだけでも結構やることがたくさんあって、勝手にサッシに物を付けると、サッシ業者からすると非常に困ることだと思うのです。歪んでしまうとか、いろいろなところからいろいろな意見を聴かなければいけないので、その2つに絞ったとしても結構大変です。今、大急ぎでいろいろなことをやっているところなのですけれども、そういう状況です。

今後の調査というのは、もし何か具体的に言えるものがあったら教えてもらいたいです。

(中川委員長)
具体的に言えるものとして、例えば緊急対策であれば、これは前から言っていることですけれども、補助錠は、転落防止用のものは今はほとんどないので、1種類ぐらいあるんだったかな、ほとんどないので、防犯用のものばかりですから、それを転落用に目的外使用するということについて、我々としては、本来そういう目的外使用をしてはいけない、目的外使用を勧められない立場なので、にもかかわらず勧めていいのかという辺りの、本当に苦渋に満ちた判断をしなければいけない。もし推奨するならば、どういうデメリットがあるかということも伝えなければいけないし、そもそもうまくはまらないということが多いことが多いとか、はめることによって既存のサッシにどういう悪影響があるか、これはもう業界のほうへ聴かなければいけない。
それから、中期的な課題としての設計面、これから作る窓はどうあるべきかというところも、いろいろ難しい。単価が上がるとか、本当に消費者はそのような窓を要望しているのかとか、高層マンションでの工夫がどこまで横展開できるのかとか、やることはたくさんあるわけです。そういうことをいろいろ調べていっているということです。
いろいろな対策をするに当たり、関係法令、たとえば消防法に違反しないかなど、いろいろなことがあります。消防法以外にも何かあるのではないかということも確認しなければいけない。そのような状況です。

ありがとうございます。
あと、パーソナルジムの関係でも1つ確認なのですけれども、今回、アンケートの報告を受けたということで、これまで取っていたアンケートが今回集計が終わったということなのかなと思うのですけれども、今の段階でどういう結果が得られたのかということを言える範囲のところで教えてもらえないでしょうか。

(中川委員長)
アンケートは終わったけれども、その集計についていろいろ意見が出ました。まだこういう分析をしろ、ああいう分析をしろというのがあって、そういう意味ではまだ分析中というか、もっと分析をしなさい、もっといろいろな見方があるでしょうということの指摘を今日たくさん受けましたので、まだ分析中ということで、申し訳ありません。答えをまだ持っていないという状態です。

立体迷路、来月に報告があるということなのですけれども、今の段階で方向性というか、最終的なものがどんなふうに出るのかというのがもう少し詳しく分かるとありがたいです。

(中川委員長)
もしかしたら皆さん遠慮されていたのですか。珍しいな。
立体迷路についてはこれまでもお話ししてきたように、まずは法令がない、それから任意の安全基準もないというところが出発点です。ある意味、転落事故とよく似ているのです。
では、どのような安全基準が雨ざらしの立体迷路にあるべきだったのかの検討をずっとしてきました。我々もこうしろというところまでははっきり分からないのですけれども、そもそも知見として、木造のものを雨ざらしにしたらどうなるか。例えば歩く木製デッキとかそういうものについてはたまたま安全基準があったみたいなのですけれども、立体迷路のようなもの、遊園地にしかないといいますか、人気があれば続くけれどもなければすぐなくなるという商品を想定した基準というものがそもそも見つからないということが分かりました。
それをどう作っていくかということになると、どこに知見があるのか、その知見を持っているところを探すのがなかなか大変だったという状況で、しかし、それは見つけました。なので、1つの柱としては、安全基準をとにかく作らなければいけないということです。
それに併せて、応急といいますか緊急、つまり安全基準はすぐできないので、本件と似た木造の構築物については、安全基準はないけれども、取りあえず我々が示すような専門家に話を聴いてもらってほしいということです。既存のものに安全が欠けているかもしれないという認識を持っていただいて対応してもらうと。この2点が中心になります。
法令化をどうするかという話があり、結局これがものすごく難しいということが分かってきました。どういうアプローチをするかがたくさんある。建物っぽいから建築基準法にかかるのではないかと思うかもしれませんが、建築基準法の建築というのは屋根があるものが前提ですので、雨ざらしの構造材に関する防腐規定なんてないのです。現行の建築基準法令を木造立体迷路に適用したところで何の意味もない。
では、遊園地法などの新法を作るのか。遊園地法の対象となる施設は何かと考えるとかなり広そうですが、私たちは立体迷路しか見ていないので、どうなのでしょうか。しかも、安全基準を作ってみると、例えば5年に1回壊さなければいけない、更新しなければいけないということになるかもしれず、また、安全基準を満たそうと思ったらコストに見合わないということになって、そもそも作られなくなってしまうかもしれない。そうすると、誰も作らない施設について法律を作る必要があるのかというふうに、非常にあらゆる選択肢がある。
それから、遊園地施設という観点ではなくて、およそ木造の構築物という観点からの立法もあり得るところで、その辺りのことは報告書に詳細に書いてありますけれども、いろいろな選択肢があって、どこになるかによって所管省庁も違ってくる。それぐらい、すごく大きな穴であったということに気付いたわけなのです。深過ぎてどう埋めればいいか分からない。深過ぎて大き過ぎる穴というところです。
方向性としては、とにかく誰も気付かなかった、行政も遊園地設置者も、それから施工業者も管理者も誰も気付かなかった、雨ざらしにすれば木製の構造材は腐りますよという当たり前のことなのですけれども、誰も気付かなかったところをまずは埋めようというので、安全基準を作ってもらうということを第一にしています。
法制化については、今言ったように非常に難しい状況を考えた上で、まず安全基準を作って、その安全基準の内容に照らして、それを守らないような人がいるならば法制化は必要になってきますので、そういったことも考えて法制化に進んでいただこうと。どういう法制化が必要か、こちらでは候補はいろいろ書いていますけれども、これだというふうに意見としてまとめるには至っていないという状況です。
私が今日ここまでお話ししたのは、是非その辺りを皆さんにもお分かりいただきたいという趣旨です。検討した結果、自分たちが足を取られそうなぐらい大きな穴だったということが分かったというところなのです。いかに大きな穴であったかに気付く事故であったというのが今回の我々が得た教訓といいますか、そう簡単に法制化の筋道も見えない穴があったということです。
ネオジムなんかの場合は、既に法令があって、指定すればよいという、ある意味非常に準備が整っている状態だったので、法制化を意見として言えたのですけれども、今回はそうではない。この委員会としては初めての経験だと思います。そのような方向で本日まとまりました。それの詳細を来月発表するということですので、よろしくお願いします。

付け加えて確認なのですけれども、安全基準のほうは、具体的にこういうものがいいのではないかみたいな候補というか、そういうことまで述べられる感じなのですか。

(中川委員長)
どういう着眼点、設置の度合いとか、点検の仕方とか、そういった着眼点はある程度述べています。その着眼点についての知見を誰が持っているのか、どういう組織があるのかというところも調べています。それ以上のことはますます時間がかかるので、それ以上は意見先の行政機関において、関係者の知恵を集めて作ってくださいと、そういうふうなまとめにしております。

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