記者会見要旨
(2024年10月10日(木) 12:50~13:17 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
大変お待たせをいたしました。
第7期の消費者安全調査委員会の委員長を務めることになりました、中川丈久です。前期から代わり映えしない顔で申し訳ございませんが、委員会のほうは大幅にメンバーが代わりました。御存じのとおり、私と宗林委員だけが留任ということでございました。
あと、今回から記者会見は、基本的には私一人でやるということにいたしました。ずっと委員長代理に来ていただいていたのですが、基本的に私が答えていたので、わざわざお忙しい人を引き連れ回すのもどうかなということで、私一人でします。けれども、報告書の決定等、重要な節目には、委員長代理ないしは部会長にも出ていただくことも考えておりますので、ふだんは私だけで十分かなと考えて、そのようにいたしました。
私の自己紹介は、御存じのとおりでございますけれども、消費者安全調査委員会につきましては、第1期、第2期のときに委員を務めました。
それから、第4期のときから委員長を務めております。4期、5期、6期と務めまして、今回7期ですので、4期目の委員長ということを仰せつかりました。第4期から第6期にかけては、それぞれ各期に3件ずつ報告書を取りまとめました。
調査委員会創設から12年たちまして、かなり環境が変わってきております。10年目のときに、委員長としての所感という形で、今、ホームページに載っておりますが、自分の考えを述べました。
その中で、消費者安全調査委員会は、この10年目を節目として、バージョン2に移行していっているのではないかという所感を発表いたしました。
そこで書いたのは4点でございまして、1つは、問題関心が拡大している。バージョン1、つまりつくった当初の消費者安全調査委員会から比べると、この10年間で、問題関心が拡大している。
それは、どういうことかというと、個別の事案解決型だったのが、社会とか産業を共に創っていく、共創する、コ・クリエーションすると。そういったより積極的な役割を果たす委員会になっていったのではないかということです。
もう一つ、意見具申をするだけではなくて、より広い関係者に働きかける。これは、一葉などで、直接、消費者あるいは関係事業者に語りかけることをするようになったことです。
それから3番目、バージョン2の特徴として3番目ですけれども、それまでは審議内容について非公開的だったのだけれども、非常に積極的に発信するようになった。これは、私が記者会見で審議中のことを、いろいろなことしゃべっておりますけれども、これをしゃべることによって、記者の皆様に、どのような問題であるのか、どこに苦心をしているのかというところをより理解していただくために、積極的な発信主義をするようになったということです。
4点目が、情報収集型から情報取得型へということで、これは新しいタイプの事項が今後発生するので、それを発見するような取組をしていきたいということを申し上げました。
今、13年目に入るのですけれども、最初の3点、つまり産業共創、それからより広い関係者に働きかける、それから積極的な発信主義、これは、ますます強めていくことになろうと思います。
間近に控えております、立体迷路事故の報告書、それから、転落事故の報告書です。いずれも、これは産業共創的な側面があります。特に転落事故のほうは、そうなろうかと思います。
立体迷路は、今後どれぐらい広がるか分かりませんので、産業共創になるかどうか分かりませんけれども。
それから、より広い関係者というのは、意見具申をする相手は中央省庁だけですが、その背景にいる様々な事業者、製造であるとか、設計であるとか、管理であるとか、その広いところに目配りをして、意見具申のときに、そういった広いステークホルダーに働きかけるような形の意見を省庁に対して出すという方向は、この立体迷路事故であれ、それから、(子どもの)転落事故であれ、強まっていくと思いますので、まさにこのときに所感に述べたようなことを、今後も積極的にやっていきたいと思います。
積極的な発信主義は、これも変わらずです。
4番目に書いた情報収集型から情報取得型へ、新しいAIとかを使った事故というのは、実は、まだ私たちは扱っておりません。これは、まだ目に見えては行えていないところです。
4番目についてはむしろ、古いタイプの事故の掘り起こしのほうが大きいかなと感じています。立体迷路にしても、転落にしても、事故の起き方としては昔からあるものです。もちろん事故対策でAIを使うということはあるかもしれませんが、そうではなくて、事故自体は古典的なものです。新しいAI製品の事故、ドローン系の事故というよりは、むしろ古典的な事故なのだけれども、見逃されてきたものを拾い上げるという意味で、4点目は、少し想定とは違って、まだまだ拾うべき古典的な事故があったと感じております。
ということで、消費者安全調査委員会2.0へというときに書いた4点のうち、最初の3点について、さらに一層進めていきたいというのが、私の第7期の委員長を引き受けるに当たっての所感です。
それから、新しいメンバーと、今日初めて議論をいたしました。今日先程の会議で、私、筋肉質という表現をいたしましたけれども、非常に躍動感のある顔ぶれです。現場で、特に部会で検討されてきた方々が多いですので、非常にプラクティカルといいますか、先に進めそうな、そういう印象を持ちました。頑張っていきたいと思います。
その他でありますけれども、消費者安全法第21条第3項の規定に基づき、私より宗林委員を委員長代理として指名し、御了解をいただきました。
本日は、新しい委員の方々にお入りいただきましたので、それぞれの御経験、本委員会への抱負などをお話しいただきました。これは公開で行いましたので、お聞きになったとおりであります。
続いて、これまでの審議状況について確認を行いました。
より効率的かつ充実した審議を実現するため、事故調査部会設置規程の改正を決定しました。今まで製品等事故調査部会とサービス等事故調査部会というように、製品とサービスに分けておりましたが、事故によっては、両方の性質があるものもあったり、製品事故が続くこと、あるいはサービス事故が続くことがあったりしましたので、製品とサービスで部会名称をつけることにも意味がないなということで、第一部会、第二部会としました。基本的には製品等事故調査部会→事故調査第一部会、サービス等事故調査部会→事故調査第二部会という関係です。
それぞれの部会のメンバーを見ながら、適宜、この事故は第一、この事故は第二と委員長が割り振るという、柔軟な形にいたしました。
以上が改正の主要なところです。改正後の規定は、後ほど消費者庁ウェブサイトに掲載される予定です。
本日は、まずは立体迷路について、事務局から概要の報告があり、そして、これは10月30日ですかね、次の委員会でほぼほぼ審議を終了したいというか、そういうつもりでおります。そうすると、11月で最終決定をするのに間に合うということになります。
それから、子ども転落事故のほうです。これは、立体迷路が11月になるから、子ども転落は12月だろうと、以前に私は申し上げていたのですが、今日これだけ時間がかかったのは、いろいろ私自身も含めて、もう少し検討しなくてはいけない項目があるのではないかという意見が出たためです。例えば、補助錠を付けるとか、あるいは転落防止のための新しい設計を作ると、それに対して、内から外に出ないようにするということは、逆に言うと、外から内に入れないから、消防法との関係は大丈夫なのかという話をしましたが、どうもそれ以外にも觝触が生じる可能性が出てきた。
少し言葉に語弊があるかもしれませんが、消防法ほど緊急性はないかもしれませんが、床面積にどこまで入るのかとか、例えば、ネットを張ると、それは、壁ということになると、計算が変わってくるのではないか、その辺り本当に大丈夫かどうかという確認をしておかないといけない。もし、それに問題があるということになると、意見先として、その省庁も加わってくることになります。消防法だけに集中するのではなくて、ほかも見ておいたほうがいいのではないかということです。
それは部会のほうで見ていらっしゃるので、多分そんなに時間はかからないと思いますけれども、それ以外にも指摘があって、例えば、サッシに物を付けるということについて、業界はどう考えているのかというところの情報も必要なのではないかとか。
完成品として、いろいろな製品としての機能が発揮できるものに対して、後付けをするということについて、どこまで我々委員会が言うべきかという辺りも検討が必要だろう。
それから、補助錠を付けた結果、補助錠が落ちてくるおそれがある。例えば、重いものを付けると、それでけがをすることはないのかとか。やはりそういった意味で、もう少し幅広に見ておいて、それで意見書にしたいということになりました。
部会ではほぼほぼ検討はされているようではありますけれども、本委員会で10月30日に審議して、それから11月に議論をして、いろいろ関係業界との調整が必要ということになると、あと1か月、2か月かかるかもしれないので、12月に決定というのは無理だという見通しです。12月に決定ということは、11月に実質終わりということですので、あと2回で実質終わりというのは、関係者との交渉の可能性が出てくるかもしれませんので、それはできないだろうと。
ですので、遅くとも年度内公表を目指したいと思っています。できるだけ急ぐようにしたいと思いますけれども、そういった残りの穴埋めをして最終決定をしたいと思います。決定というのは2個あって、実質的な最終決定と、形式的な最終決定です。形式的な最終決定というのは、報告書を公表するものです。そこまで出来上がったものを作るためには、その前の月に実質的に最終決定しなくてはいけませんので、我々としては、1か月前倒しになっているのですね。
ですので、例えば、来年3月に転落防止について、決定、公表しますということは、2月に実質的最終決定ということなのです。ということは、1月に文案についての調整を始めている、1月とか12月ですね。そうすると、実質議論は11月に終えなくてはいけないというように、かなり厳しい、そういう状況ですので、我々としては、全然発表が延びたという気はないのですけれども、ただ、見た目は発表が延びています。が、実質は、ほとんど作業時間はないに等しい状況でも走っているという状況です。繰り返しますと、11月は、いわゆる正式決定・公表というのは無理で、今年は超えます。できるだけ早くしたいと思いますが、年越えは確実ですということを申し上げたいと思います。
私からは以上であります。
質疑応答
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問
NHKの佐々木です。
第一部会、第二部会というのは、これは、例えば、製品のほうの部会が第一部会とか、そこはどのように。
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答
(中川委員長)
規定の上ではそうなっています。製品等というところを第一にして、サービス等を第二にしています。そうなのですが、部会の委員も大分変わったりしておりまして、結局その事案の性質と、それから専門性との関係で割り振ります。例えば、看護学の先生がどちらかの部会にいらっしゃるのですけれども、看護学の知識が必要だなということになると、そちらの部会になると、そういう感じでやっていきます。従来のように、製品だから第一とか、サービスだから第二という感じではない、委員の顔ぶれを見ながらとなると思います。
もし両方の部会に適切な委員がいる場合は、担当する部会ではない部会の委員も参加できるようにしております。これは、前の第6期からやっていますので、そういった意味で、一番ベストな組合せの部会のほうでやっていくことになっていくと思います。 - 問 あと、もう一つ質問で、転落については、遅かったら今年度末ということで。
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答
(中川委員長)
年度末。 - 問 そうですね。これは、すごく順調に進むと、年度末にかからずにということだと思うのですけれども、その感じだと、すごくスムーズにいくと、どれくらい。
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答
(中川委員長)
先ほど申したように、正式決定し公表する月の前の月に我々の議論が終わらなくてはいけないので、それでも2月か1月に実質的な最終決定ということですね、そのためにはいろいろな関係者との話合いがきれいに1月の初めまでにそろっていなくてはいけないので、そうすると、12月にということになります。 - 問 もう一点、立体迷路については、11月に最終決定間に合うということなのですけれども、今、これまでからしたら少し伸びているなと、私が思うのは、省庁間との調整のところで時間がかかっているという認識でいいのですかね。
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答
(中川委員長)
これは、委員会の中でいろいろな意見が出て、なかなかそこの意見収拾が難しくて、最終的には、だから委員長の決断ということで、こっちだとなったということです。
消費者安全調査委員会は、通常の審議会とは全く違いまして、事務局から出てきた案や方向性で議論するのではなくて、委員たちが、自分が事故調査をやっているというつもりで、平場の議論をしますので、いろいろな意見が出てくるのです。
例えば、安全を確保するためには全てを犠牲にすべきというと言い過ぎかもしれませんが、そこをやはり非常に重視される方と、でも現実的にそんなこと言ったって誰もついていきませんよという意見と、私から見ると、その両方が、左から右まであるわけなのですね。
そこでどこを取るかという差配をしなくてはいけないのですが、まずは、委員の皆さんに納得していただきたいので、徹底的に議論していただいたわけなのですね。今までは、ずっとそれでやってきました。基本的には部会から上がってきたものを親委員会で審議するとしていたのですけれども、なかなかそこのいろいろな意見が収拾しないまま、やはりそれぞれの委員の違うコンセプトで捉えているところがあったかなと思います。
9月の段階で多少収斂の方向性が見えたかなと思ったところで、前の期が終わったので、今回引き継いでいます。今日は、そんなに立体迷路はやらなかったですけれども、関わっていた人も何人かいますので、多分大丈夫かなと思っています。
繰り返しますが、本当にみんな熱意の塊ですので、一生懸命議論した結果、やはりなかなか委員間の溝が埋まらなかったというところだと思います。関係省庁とのやり取りがうまくいかなかったということではないです。こちらのスタンスがなかなか決まらなかったというところです。 - 問 パーソナルジムの関係は、これは、めどとかというのは。
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答
(中川委員長)
これもいろいろ出遅れているのです。最初のアンケートの仕方等で、これまたいろいろな意見が出て、そもそもどういう方向性で意見を出すか自体がまだ決まっていないというところです。
これについては、私は5月、6月ぐらい、夏前をめどにしたいと発言したと思います。それを目指したいと思いますが、今の感じだともう少しかかるかもしれません。
というのも、先ほど申しましたように、転落事故のほうを、3月、2月までには絶対に出したいと思っています。そうすると、そこに審議が集中しますから、少しパーソナルトレーニングが後回しになる可能性があって、そうすると、パーソナルトレーニングについては、やはり前の事案が早く終わるかによりますね。転落事故があまり何もなく、すっと進むと、そこにパーソナルトレーニングの審議を入れていけますので。部会と本委員会とで密接にやり取りしながら、効率よく進めていけると思いますので、今のところよく分からない状態です。でも、急いでいることは確かですので、今のところ、ちょっと分かりません、どうなるのか。 -
問
日本消費者新聞の丸田です。
午前中の委員懇談会の中でも、委員長がおっしゃっていたと思いますけれども、報告書をまとめるまでのスピードアップということに対して、委員の方も、少しそういう言葉を言われました。
中川さんのほうでは、仕組みというよりも歯車という言葉を使われて、委員会と専門部会との歯車の調整といいますか、改善とかということが、何か1つ課題としてありそうなことをおっしゃっていました。
今回、10周年に向けた、委員長のあれの中には、どの部分に入るのか。あるいはスピードアップというのは、かなり消費者も期待しておるところなのですけれども、そういうことに対しては、何か7期に向けて抱負とかがあれば、お願いしたいと思います。
-
答
(中川委員長)
10周年のときの所感には、部会と本委員会の関係は書いていないのではないかなと思うのですけれども。
10周年のときは、第5期が終わったときですね、むしろあのときは、部会にとにかくしっかり議論してもらうと、部会中心で動かせないかと考えていたと記憶します。
部会でしっかり議論をしていただいて、それを本委員会でざっと見て、それで文章等を直す。あるいは意見の在り方については直すけれども、決定していく。ですので、早く進むのではないかと、そういうもくろみでやってきました。それが一定程度うまくいった、事案によってはうまくいった。
第6期は、後半ぐらいから、やはり先ほど申しましたように、委員間で、かなり意見の方向性が違うもの、アウトプットをどうするかというところで意見が違うような事案が増えた。恐らく事案の特徴にその原因があると思いますけれども。隙間、立体迷路とか、転落も法制はないのですね、立体迷路とか子どもの転落ということについての法制はないですね。大人の転落は考えて、一般的な転落はしないように制度設計をするという法制はあるのですけれども。ですので、そういう意味では、完全にすぽんと空いたところについて、どうするかというところで、言わば初めての案件だったわけですね。
そうした案件については、法律の専門家か、そうではないかというところでも大分差が出てくるのですけれども、何か法律を作ればうまくいくのではないかという期待をされる方と、いやいやそんな簡単に法律などはうまくいかないよという方に分かれます。特に法律家のほうが法制化には、大体消極的といいますか、そんなに期待されても、そんなにうまくいくのではないというところで、大分温度差があるわけなのです。
そういう案件が続いたので、そうすると、歯車と申し上げたのは、やはりそういうときには、本委員会のほうで適宜意見しないといけない、このようにしてほしいとか、ここまで議論して、これ以上は議論しなくていいとか、そういうように、省庁への意見を最終的にまとめる立場から、部会に適宜発信しないと、部会のほうで、いろいろな可能性を全て議論し始めると、いつまでたっても終わらない。そういうことを発見できたのが第6期です。
ですので、10周年のときには書いていないのですけれども、第6期に発見できた。
委員構成自体は第5期も第6期もほぼ一緒なのですけれども、やはり事案の特徴の故だと思います。完全な隙間事案が出てきたので、特に法制との関係でどうしましょうかという、やはり今まではなかった課題が正面に出てきた。今までやった法制の隙間というのは、結構小さな隙間で、実は使える法制があったわけなのです。ネオジム磁石にしても、HIFUにしても、消費生活用製品安全法であるとか、医師法であるとか、それを使えば対応できるというものだったので、隙間と言っても単に法令がある、使っていなかっただけということなのですけれども、現在は何もないという事案が続きまして、さあ、どうしましょうという議論に我々は投げ込まれたわけです。その結果、時間がかかってしまったということで、その意味では歯車を回すために、私たち本委員会のほうからいろいろな考え方を部会に打ち出していくことも必要なのだなということが分かってきたと。ですので、そのような観点で少しやっていこうと、第7期は、その趣旨で歯車ということを強調したわけであります。