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記者会見要旨
(2024年9月26日(木) 16:47~17:17 於:消費者庁記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
大変お待たせいたしました。
本日の調査委員会では、個別調査事案としては、「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」及び「木造立体迷路の床板の落下による事故」について審議をいたしました。
まず、パーソナルトレーニングについてですけれども、現時点では事業者や消費者へ直接行ったヒアリング調査、パーソナルトレーニングに関する法令等の調査及びアンケート調査について事務局より報告を受けました。原因等をどのように整理していくかということは、これから構築をしていくということでした。
次に、子どもの転落事故ですけれども、関係行政機関への確認事項を含め、本日初めて報告書(案)について審議を行いました。これについては既にお話をしておるとおり、一つの柱として、転落事故を防ぐような十分な製品は現時点ではほぼないということで、今後の製品開発の進め方をどのように提言すべきかということが中心になっていくのだろうと思います。
前もお話ししましたけれども、中から開かないようにすると外から入りにくいということで、消防法のような法令との抵触の可能性が出てくるので、そこら辺の調整をこれから細かくやっていかなくてはいけないということが本日報告をされました。
次に、木造立体迷路です。これは9月に公表したいと申し上げておりましたけれども、先月になって9月に間に合わないかもしれないと言っており、結果、やはり間に合いませんでした。非常に努力をしていただいたのですけれども、分量が多くて今回はここまでとし、第6期が今日で最後ですので、第7期の委員会に引き継ぐことになりました。
ですので、新しい体制の下でいつ頃にどうなるかというのは分からないのですが、今まで私は何回か、期をまたいで委員をやったことがありますので、その通例からすると、10月にすぐ出すのは難しいだろうと思います。委員が交代して初めて資料を見て、それについて検討し、各委員に納得していただいて報告書を決定したいので、そうすると、早くても11月の公表なのだろうと予想しております。
立体迷路についてはこれまでもお話ししましたけれども、なかなか複雑であるのは、例えば安全基準というのが本当にどこにもない、どこにその専門知識があるのか、これを探すのがなかなか大変、いろいろなところに聞いて、誰がどういうことができるのか、その辺りで時間がかかっています。また、法制上は全く穴が開いているいわゆる隙間事案なのですけれども、法制を何か提言すればいいのか、どう提言すればいいのか、どの省庁が所管なのか、考えることが非常に多くて、かなり膨大な調査をしております。
方向性は前回の8月の段階で決まり、そして、今日はそれを更に細かくしたものを確認しました。恐らくほぼ完成品に近いものを次の委員会に送ることになると思います。次の委員会が決定し、公表するということになります。
その他、本日はフォローアップを行いました。今の委員会でフォローアップの公開の審議を行いましたので、この期の委員会として、必ず今月中に決定をしたいということで、フォローアップについての審議を行いました。
まずは「エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故」です。それから、「学校の施設又は設備による事故等」、この2つについて、その取組の確認を終了するのかどうかという審議を行いました。HIFUのほうは本年6月、それから、学校施設のほうは本年7月に意見先の省庁をお呼びして公開のヒアリングを行ったところです。
その結果、まず、「エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故」については、厚生労働省において令和6年6月7日付けでHIFU施術が医行為に該当する旨を通知し、施術者が医師に限定されたということの御報告を厚生労働省からいただきました。公開ヒアリングにおいて追加の確認事項としていたセルフHIFUについてですけれども、厚生労働省によりますと、医師が医療機関を自己使用するように指示すること、つまり病院でのセルフHIFUがどれだけ実例があるのか、そもそも分かりませんが、それも医行為に該当し得るということでした。その指示は医師としてしっかりしたものでなければいけないということです。ただ、それがしっかりしていなかった場合、現在の医師法に違反するかというと、努力義務規定みたいなものがあるだけで、別に法的制裁があるわけではないということなので、実質的には医療契約上の問題にとどまるという回答でした。
他方、エステのほう、つまり病院ではないところで客である消費者が医療機器を自己使用するような行為は医行為に該当し得るということで、これは医師でなければやってはいけないことをエステティシャンがやったということで、こちらは医師法上の違反となり得るという御回答をいただきました。
ということで、報告書公表時に各省庁へ意見をした内容、医行為としての施術者の限定、医師しかHIFUを使ってはいけないという限定を含めた全てについて、厚生労働省として対応していただいたことを確認しましたので、厚生労働省による取組の確認は終了することに決定をいたしました。
HIFUについては医師としての知識・技術が必要であるということを引き続き広く知っていただきたいと思っております。委員会としては取組の確認、厚生労働省による取組の確認はこれで終了いたしますが、エステ等におけるセルフHIFU、それから、数は少ないですけれども、病院でも事故が起きておりますので、そういった事故情報については引き続き注意してまいります。
他方、「学校の施設又は設備による事故等」のフォローアップですけれども、この意見は昨年3月に文部科学省に対して行っております。本年7月に先ほど申しましたとおり公開ヒアリングを行いました。その内容は7月の記者会見でも報告いたしましたが、本日は公開ヒアリングの結果を踏まえ、取組確認を継続するか終了するかということについて審議を行いました。
結論としては、取組の確認は一部終了、一部継続ということです。緊急対策、学校での窓のそばの物の置き方、これに登って落ちてしまうといったようなことの確認は、文部科学省に非常に頑張っていただいたという確認をいたしました。したがって、緊急対策についての取組の確認は終了といたします。
他方、もっと根本的に学校の安全点検の手法を考えることの取組については終了いたしません。その内容は、いわゆるリスクアセスメントという形で学校のリスクがどこにあるのかということを洗い出して、それぞれのリスクの高さに応じて誰がどのように確認していくのかといった体系的な取組、安全手法の改善、安全点検の手法の改善という点が第1点。もう一つは、それを誰がやるのか、学校の教員ではなくて、できるだけ専門家にやっていただきたいという点。手法の改善と担い手の支援の2点の意見をしたのですが、これらについてはまだ取組が十分ではない。無論、意見をしてからまだ1年ですから、1年間で全てできるとは私たちも思っていないぐらいかなり大変なことではあります。ですから、この取組については、現時点では文部科学省に頑張っていただいておりますけれども、まだ引き続きやっていただきたいということで、フォローアップは今後も続けるという結論になりました。
以上がフォローアップです。
その他、消費者安全調査委員会から一般消費者に対して情報発信をしております、一葉について、9月12日に第12号及び第13号が消費者庁のウェブサイトにて公開されております。今回は「リチウムバッテリーを使用したラジコンからの発火」及び「リチウムイオン電池内蔵のスピーカーからの発煙」であります。いずれも一般消費者による申出事案を用いた情報発信となっております。
ラジコンのほうですけれども、衝撃によるリチウムバッテリーの損傷が事故原因となります。動きにいつもと違った変化が現れた場合は特にバッテリーを確認する。それから、周りに燃えやすいものがないところでの使用という注意喚起をしております。また、リチウムバッテリーには複数の種類があることを参考情報として掲載しております。
スピーカーのほうですけれども、リチウムイオン電池、または内部の電気回路の損傷が事故原因と思われます。高温、衝撃、水に濡れる等のほか、本来の仕様と異なるACアダプターで充電した場合、長期間放置して過放電した場合でも損傷の原因になるということを注意喚起しております。ワンポイントアドバイスとして、ACアダプターは正規品を使用することの推奨、熱、衝撃、水などへの注意、長期間使用しない場合でも定期的な点検が必要であるということを掲げております。
また、今回この2件の一葉には委員コラムを掲載しております。第12号は持丸委員長代理から、第13号は河村委員から御寄稿いただいておりますので、是非、御一読ください。
それでは、部会の動きについて委員長代理からお願いいたします。

(持丸委員長代理)
持丸です。9月の部会の報告をいたします。
まず、製品等事故調査部会ですが、今報告のありました、ベランダ・窓等からの転落事故、それから、木造立体迷路の床板の落下による事故のいずれも報告書の作成に向けた審議を行いました。
私が部会長を務めるサービス等事故調査部会も、お話がありましたパーソナルトレーニング、こちらの事故と健康被害について、今、インタビューとアンケートはまだ終了していないのですが、かなり集まってきましたので、その経過を聞きながら議論を行いました。
私からは以上になります。

質疑応答

読売新聞の糸井です。
一葉に出ているリチウムバッテリーとリチウムイオン電池の事故なのですが、これは特に何か増えているとか、頻発しているとか、そういうところではなくて、こういう事案が近々にあったからという理解でいいでしょうか。

(中川委員長)
まず、私が分かることを申し上げますと、申出事案からですから、多いかどうかというのは必ずしも理由ではありません。実際に多いかもしれませんが、それでやったわけではなくて、多くの消費者が気付かないだろうなというところが、これを一葉に載せようとなった理由だと思います。使ってないから安全だろうとか、そういう誤解があるのでこの2つをやったと理解しております。
増えているかについて、事務局からどうですか。

(事務局)
事務局ですけれども、事故データベースを分析していくと、製品事故の中で大体2~3割、かなり多い割合が、リチウムイオン電池の事故といっても、アダプターですとかいろいろなところに使われているので、一つ一つの製品ということではないですけれども、リチウムイオン電池が使われている、関係する電子機器、この事故でいくと、かなり割合的には多い傾向がございます。経済産業省も消防庁もいろいろ研究されて対策を立てておられますけれども、依然として事故が多い傾向がございます。

分かりました。ありがとうございます。
転落事故についてです。今のところ、補助錠というのをずっと言ってらっしゃると思ったのですけれども、これを主力の対策にしていくような形は変わらないと考えていいでしょうか。

(中川委員長)
補助錠というか、先ほどお話ししたのは中期的な対策で、補助錠だけではなくて窓格子とか、あるいはベランダからの転落であればネットが取り付けられるような構造というか、フックを付けるとか、そういったようなことを今後開発できないかという話を先ほどしました。それとは別に緊急対策がありまして、緊急対策は今ある製品を利用できないか、あまり有効ではないかもしれないですけれども、特に取り付けができない、うまくつかないのも結構あるけれども、そうしたなかで何かできないかというのが緊急対策です。
それとは別に、先ほど消防との関係と言ったのは、中期的な製品開発の場合に、あまりしっかりした窓格子を付けてしまうと、火事のときに外から消防職員が入れないではないかという問題が起きてくるので、外から入ってくるのと内から落ちないようにするという矛盾したものをどうやって統一するかという辺りが、この報告書を出すまでの課題だと申し上げたところです。

中期的な課題ということが分かりました。ありがとうございます。
NHKの佐々木です。
まず、転落事故のほうで1点質問させてもらいたくて、めどとしてはいつぐらいに報告書をまとめたいという方針なのか。
あと、これまでの議論の中で、補助錠もこういうものに対してはこういうタイプのものなら取り付けられるとか、そういったもので幾つか種類があるみたいなお話があったと思います。その辺りは何か消費者の人に分かりやすく示すための一覧というか、購入の目安だったり、対策する上での目安になるようなものの作成をお考えなのかというのを伺いたいです。

(中川委員長)
1点目ですけれども、これは次の期の委員会の判断によるのですが、今日出てきた報告書(案)は、どの省に何を言うかというところを除いてほぼ出来上がった状態ですので、立体迷路と同時には公表できないとすると、次期委員会の最初の会合が10月にあって、11月が立体迷路だとすると、早くて12月が子どもの転落かなと予想はします。実際そうなるかどうか分かりませんけれども、一番早いのでそうだと想像します。
2点目の質問ですけれども、多分御質問の趣旨は中期的なものではなくて緊急対策、今あるものでどれがくっつくのかということですね。これはある程度分かるようにする予定です。それがどこまで具体的に分かるか分かりませんが、例えばレールに付けるようなものだと、こういうものは付きませんとか、ある程度分かりやすいような表といいますか一覧的なものは出さないと緊急対策にならないので、それは作る予定です。
それ以上具体的なこと、どんな一覧表か、事務局からありますか。

(事務局)
そこまでは。参考になる程度です。

(中川委員長)
個別の商品名まで挙げていいのかとか、全ての商品を挙げるのも無理なのでどう絞ってよいのか、そこら辺の配慮もしなくてはいけないのでなかなか難しいところなのですけれども、何らかの情報を出す予定です。

立体迷路のほうで伺いたいのですけれども、立体迷路の報告書としては、これまでも幾つか観点を分けて報告書をまとめるようなことをおっしゃっていたと思います。施行の段階とか、そういう段階に応じたところが記載されるかと思うのですけれども、建築基準法の部分でどこまで言及できたり触れられるのかというのが一番難しいところだと思うのですが、今ところの方針を差し支えない範囲で教えてもらえればと思います。

(中川委員長)
建築基準法は常に議論になっていて、建築物と準用工作物、後者は工作物のうち建築基準法が準用されているものですが、この2種類の定義に当てはまれば適用されるのですけれども、今のところどちらも当てはまっていません。仮に当てはまっていたとしても、建築基準法には地上から2~3メートルぐらいの木造の階段について、腐敗がしないようにいろいろやらなくてはいけないというのがやっと最近入ったばかりです。今回のようなあんな大きな立体迷路というのは、およそ建築基準法の関係法令でも安全基準がないのです。だから、建築基準法の適用があったところで、実は安全は全然担保されないということが分かってきた。というぐらい何も法令がないという状態でした。だから、建築基準法の適用があればよかったなどという話ではないということです。
同じようなことで都市公園法という法律もあります。地方自治体が造ったような公園を安全にしなさいという条文があるのですけれども、では、その安全にしなさいという条文の具体的な基準として、木造のものは防腐処置しなさいというのがあるかというとない。このように、本当に法令がないないづくしという状態であることが分かりました。では、どうするかというのがなかなか困難な問題で、いろいろ工夫しているところです。

安全管理をする人だったり、そういうものを誰にするのかという議論があると思うのですけれども、例えば誰にそれを求めて、誰が点検なり管理をするのかとか、そういうのは今回の報告書で明確にあなたはこうしてくださいみたいに示す予定はありますか。

(中川委員長)
私たちが具体的な基準を示すわけではないですけれども、今、申し上げたように安全基準がこの世にほぼ存在していないので、ああいう大きな木造の施設に対して、どのように防腐処置をしなくてはいけないか、その他、地震対策とかもあるのですけれども、まずは、その安全基準を作る。その安全基準はもちろん設計の段階、設計者がここに注意しなさいということ、それから、定期的に点検する事業者はこういうところを見なさいとか、それから、設計と点検の間にある設置、こんな杭の打ち方では駄目ですとか、そういった設計、設置、そして、安全点検・管理といった3段階で使ってもらう安全基準を作らなくてはいけないということは結論として出す予定です。
最終的にはそれを全部総まとめするのは遊園地の運営者です。そこもこういうことを知っておいてと。だから、自分が依頼する設計者、自分が依頼する設置者に対しては、そこをちゃんと見るようにという形の安全基準を作る方向になると思います。

日本消費者新聞の丸田です。
一葉のことについてですけれども、事故調が10周年のとき、何年前でしょうか、今後の取組の課題としてリチウムイオン電池が含まれていたのですけれども、2つ続けて一葉がリチウムだったので、もしかしたら、報告書のフォローアップをされ始めているのかなと思いながら見たのです。つまり、10周年のときにいろいろ出てきていた新しい課題であるとかということについて、報告書のフォローアップというのはどうでしょうかというのが一つです。
もう一つ、先ほどおっしゃったように、第6期の締めくくりであるということもあって、第7期に引き継ぐものがあるわけですけれども、第6期を委員長として振り返ってどうだったか。第7期が始まるわけですけれども、引き継ぐべき課題があるとしたら何だろうということをお聞きできればと思います。

(中川委員長)
まず、一葉は特段10周年との関係ということは意識していませんでした。言われてみればそうだなと。リチウムイオン電池はいろいろ事故が起きているから当然次の期もあるだろうと思って書いたのが結果的にそのとおりだったということ、それ以上のことではないです。
それから、これまでの第6期ですけれども、特に法制との関係が盛んに議論になった印象を持っています。うまくいった例といいますか、法制をきちんとやってくださいという意見を出して、そのままうまくいったのがネオジム磁石です。これは経済産業省が一部法改正までして対応してくれましたので、あれは私たちが思った以上にやっていただいたという意味で、提言をしたかいがあったと思います。
今回9月までにできずに立体迷路を次期に引き継ぎますけれども、これはネオジムとは全然違う意味で法制面が難しくて、先ほど申しましたように法令がないないづくしの状態なのです。法令の規制はなくても関係団体が何か安全基準を作っているとか、業界団体があるとかいうことはこれまでもあったのですが、今回はそれが一切ないのです。
法令もないけれども、安全基準も事実上ないというところで、どのように提言すればうまく行政が動いてくれるのかという意味で、法律だけではないいろいろなルールメーキングにつなげるような、言われたほうもなるほどこれならできそうだといえるようなもの、かつ委員会としてあまり出過ぎたことは言わない。あまり決め決めにすると言われたほうも選択肢が少なくなって、もっといい方法があると言われるかもしれない。その辺りのさじ加減が非常に難しい案件が続いています。
先ほどの転落事故の消防法令との関係というのも、もしかしたら、非常に深刻な法的問題かもしれないし、もしかしたら、製品の設計で簡単にクリアできるかもしれない。その辺りは現時点でまだ分からないのですけれども。もしかすると、かなり法制的に大変かもしれないというようなものが増えてきたかなと。あるいはそういうところを我々が取り上げるようになってきた印象を第6期は特に強く思っております。
なので、第7期がどのようになるか、私たちがかなり苦慮したところ、まさに立体迷路が長くなったのも、そこで喧々諤々の議論になって、いろいろなアイデアが出てきて、それぞれになるほどと思うようなアイデアが出てきて、その結果、確認事項がすごく増えて長くなったということです。そういう覚悟を持って、法制面にも切り込むような委員会に育っていってほしいなと思っております。
私からは以上です。

神戸新聞の金井と申します。
立体迷路の件ですけれども、今回9月こそと思っていたのですごく残念です。新しいメンバーになられても、基本的には皆さんが今まで積み上げてこられたことが踏襲されるということでよろしいのか。
あと、メンバー自体は全員交代されてということになるのでしょうか。

(中川委員長)
1点目ですけれども、常識的に考えて大きく変えることはないだろうと思います。これだけ議論とデータを積み重ねてきているので、誰がメンバーでもひっくり返されないだろうと思っております。
2点目は私が答えることではないので任命権者に聞いてください。

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