記者会見要旨
(2024年5月23日(木) 12:47~13:08 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
本日の調査委員会では個別調査事案として3つ審議いたしました。
「木造立体迷路の床板の落下による事故」、「住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」、そして、「スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害」、この3件です。
まず、木造立体迷路につきましては、報告書における原因の記載を中心に、事実の考察、原因の記載について検討を行いました。報告書における原因の記載とは、具体的に床が落ちた直接の原因は床を支えていた梁が腐朽したからである。これは以前から伝えておりますけれども、梁が腐朽する要因として何があったのか、なぜ事故を防げなかったのかというところで、製品の設計、施工、維持管理、この3つの場面について書き進めているということの確認をいたしました。これからまだ3回か4回ぐらいの審議が必要かもしれませんが、最終的な報告書の体裁をいろいろ議論しているところです。
次に、子どもの転落事故について。今までの調査結果を踏まえて再発防止策について検討に入っております。直ちに実施し得るハード対策、これは市販のもの等を使って何とか応急的に対応できるようなもの、それから、さらなる安全性向上のためのハード対策、この2種類のハード対策として再発防止策をまとめていくことを検討しております。また、6月に公表予定の経過報告書案についても審議いたしました。
次に、パーソナルトレーニングにつきましては、調査計画案について再構築がほぼ済みました。そして、アンケート調査について事務局から説明があり審議をし、これで決定をいたしましたので、アンケート調査に入っていくという状況であります。
委員長代理から、各部会をお願いいたします。
(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸です。
まず、製品等事故調査部会は今話がありました木造立体迷路の案件、それから、住宅の窓及びベランダからの子どもの転落の案件について、報告書に向けた議論を行いました。
サービス等事故調査部会も今話のありましたパーソナルトレーニングでおおむね調査計画案は整ってきましたので、あとはアンケート調査の詳細について部会でも議論を行い、本日、委員会でおおむね承認を得られたような状況でございます。
私からは以上です。
質疑応答
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問
読売新聞の糸井です。
子どもの転落事故なのですが、さらなる安全のためのハード対策というものなのですが、これはどういったものか、もう少し教えていただければと思います。 -
答
(中川委員長)
ベランダと窓でまた違うのですけれども、窓の場合であれば、今、市販で売っているような補助錠は本来転落防止用ではないものがほとんどなのです。子どもでも開けられてしまうということで、実はあまり役に立っていないのです。なので、同じ補助錠であっても子どもが開けられないような構造にしていかなくてはいけないわけです。ただ、市販でそのようなものがまず見つからない。さらなる安全性向上のハード対策というのは、市販されていないものをこれから作っていかなくてはいけない。そういった意味で、そうすぐには対応できないというようなものです。
ベランダで言えばネットを付けるとかが考えられますが、なかなかネットが付けられるような構造になっていないと思いますから、直ちに実施し得る安全対策とは言えないということで、時間がかなりかかるだろうなと思うのが、さらなる安全性向上対策です。つまり、さらなる安全性向上対策としてのハード対策に対して、直ちに実施可能な対策というのは、ないよりはまし、ただし、防げるかというと、そこは疑問点がつく。防げることもあると思うけれども、これを付けたから安心と思ってもらうのはかなり早計だという感じで、2つに分けて対策をつくっていくという方針です。 -
問
NHKの絹川です。
今の質問に関連してですけれども、直ちに防げるが、これを付けたから安心と思うのは早計という対策も具体的に教えていただけますか。 -
答
(中川委員長)
それは現在売っているような補助錠です。補助錠はほとんど防犯用なのです。なので、外からは開けにくいのだけれども、内からは開けられてしまう。子どもが開けてはいけないというのが落下防止ですので、その意味では防犯用は、子どもが届かないように付けることができればもしかしたらうまくいくかもしれないのですけれども、ただし、それも本当にそうなのか、うまくそのようにできるのか、我々も確認できていませんので、あまり無責任なことは言えないという状況です。 - 問 ちなみにベランダについては。
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答
(中川委員長)
ベランダについては、すぐにできるものというのは、今、市販されているものはないかなと思うのです。
(持丸委員長代理)
基本的には、とにかく何もできないというわけにいかないので、一つが、今言った補助錠を防犯用でもうまく活用する。補助錠の場合は今言った子どもが取り外しやすいとか、そもそも自分の家に合ったものが見つけにくいというようなハードルがあることは、こちらも了解をしています。
もう一つは、アラームみたいなものもありまして、ベランダと窓の違うところは、窓はいきなりそこから落ちてしまうのですけれども、ベランダは窓を開けて出たらすぐ落ちるわけではないのです。したがって、すごくいい作戦ではありませんが、組み合わせとして、例えばスマホに開いたというのが来るというので、出ては駄目というようなことが言えるかもしれないということで、幾つかの方策を組み合わせていくというので、まずは今対策できるところを出すとともに、長期的にもうちょっとしっかりしたこと、これはここから意見を出しながら、恐らく民間の方々の協力も得ながらやっていくことになるかなとは思ってますけども、やっていくのが長期的な方針という感じです。
(中川委員長)
今、持丸委員がおっしゃってくれたこと、資料を確認すると、現在、市販されているものはあるようです。ベランダの対策は、まず掃き出し窓から出ていかないということです。掃き出し窓に対して、現在市販されている安全対策品として、補助錠とか、鍵付きクレセントとか、窓開き検知アラームであるとか、あとはベランダ用ネット、これは窓から出たけれども、そこから先に落ちないというものです。一応あることはあるようではあります。ただ、それでどこまで確実にいけるかというのは確認ができていない。ただし、ないよりはましだろう。こちらは直ちに実施し得るハード対策です。さらなる安全性となると、本当に落ちないようなネットとか、そうなると、相当、付け方が今のものでは無理なのではないかという意味で、さらなる安全性向上のものは、今のところ売られているものはないかなという区別です。 -
問
NHK神戸放送局から参加させていただいております里村と申します。
神戸放送局というところの関係で立体迷路のところなのですけれども、報告書、今、原因のところの考察というところをおっしゃっていただいていましたが、見込みとしては、いつまとまる予定なのでしょうかね。
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答
(中川委員長)
先ほど3~4回と言いましたが、私の直感ではそんな感じです。まだ分からないです。そんな感じですか。
(事務局)
委員長の発言のとおりです。
(中川委員長)
分かりました。3~4回の審議は要るだろうという感じはします。我々の本委員会での審議が3~4回です。部会での審議に応じて我々はやりますので、今日の感じでは3~4回要るなと、原因をどのように書くか、腐朽の経緯は分かっているのですけれども、先ほど言ったように、設計した人、施工した人、それから、点検するような人、全部対応していなかったということが分かったということなのです。
では、なぜその対応ができなかったのかというところをどのように書いていくかというのは、実はその議論で本日は大分時間をとったのです。そこら辺はまず2回ぐらい審議をして決めていく。そして、出口、どういう対策をとるか、これも恐らく2回ぐらい要るだろうということで、3~4回と直感的に申し上げたのですけれども、そのぐらいの審議は必要だろうなと思っております。いろいろ考えなくてはいけないところがあって、今日は申し上げませんが、それなりに審議をしないと意見がまとまらないかもしれないと思っております。半年以上です。 - 問 半年ですか。
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答
(中川委員長)
半年ぐらいはかかる。半年よりは何とか早くしたいのですけれども、私はそう思っています。議論がまとまるかどうか次第です。そのぐらいをめどに考えたいと思っております。 -
問
ありがとうございます。
以前、5月か6月中かというところをお話で伺っていたところだったので。 -
答
(中川委員長)
それからすると大分遅れています。すみません。 - 問 施工だったり、維持管理だったり、点検のところだったり、それぞれ対応できていないところがあったというところを今おっしゃっていただきましたけれども、対応できていなかったところ、具体的にどのように対応できていなかったかというところを今後詰めていくというところでしょうか。
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答
(中川委員長)
そこはもう認定できていますので、どう対応できていなかった、なぜそれが対応できていなかったか、誤魔化していますけれども、なぜ対応できていなかったかというところがいろいろあるので、それをどのように描いて、そして、対策として、どこに打ち込むべきなのかというところの選び方を議論しているところです。今日、その議論が始まったところです。 - 問 ありがとうございます。
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答
(中川委員長)
分かりにくい説明だったかもしれませんが、検討中ですので、なかなかどこまでしゃべっていいか、変わるかもしれませんので、もごもごした言い方で申し訳ないですけれども、今日はその程度の説明で御容赦いただければと思います。 - 問 続けざまにすみません。認定できてどう対応できていないかというのは、認定できているところですけれども、それがどう対応できていなかったかというのは、報告書を待って質問したほうがいいのでしょうか。
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答
(中川委員長)
それが一番ありがたいですが、適宜質問していただければ、最終的な報告書を出す前でも固まってくればお話はします。設計、施工、維持管理、全部について具体的な原因が分かっている。これはもう固まったのでお話をしているのです。なので、固まってくれば適宜お話ししますので、そのたびごとに御質問いただければ、できる範囲でお答えしたいと思います。 - 問 ちなみに、今日お答えいただけるところは何かありますでしょうか。
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答
(中川委員長)
先ほど言ったとおりですけれども、腐ったメカニズムは明確に分かっています。いろいろな関係者が止めることができたのだけれども、全部抜けてしまった。そういったまさに事故が起きるときの典型的な場面です。やろうと思えば誰かが止めることはできたのだけれどもやらなかった。止めることができたといっても、そんな簡単にできたわけではないです。だからこそ事故が起きたのです。そういった意味で、関係者全ての目をすり抜けてしまって腐朽が起きたというところまでは、明確に認定できているところです。 -
問
ありがとうございます。
そうしましたら、報告書はもう少し時間がかかるというところで、それぞれの行政機関にどのような指導をするかというところも、最終的な出口としてはまだ時間がかかるという認識で合っていますでしょうか。 -
答
(中川委員長)
そこまで詰めてから報告書は公表となりますので、その対策という部分です。その議論は、あと2~3回目ぐらいから始めると思います。対策の部分ですから、ある程度方向性が見えてくれば、報告書の公表前にお話しするかもしれませんが、そこは多分今までの経験からすると、対策の部分は最後に決まるところでありますので、事前に今日みたいにここまで決まりましたという感じでお話をすることは難しいのかなと思います。 -
問
朝日新聞の井上です。
マンションの安全対策ですけれども、窓からの転落事故の件で、マンションに限って言うと、ベランダは共有部分に当たって、住民の意思によって例えばネットを張るとかできないと思うのです。それについて何か話は出ていますか。 -
答
(中川委員長)
出ています。だから対策が難しいということになっているのです。
それから、ベランダからの転落は半分ぐらいあって結構多いのです。なので、一番徹底した方法はベランダを使用しないとか、ベランダはなしということになるわけです。これは現実的ではないけれども、本当はそうなのだというところから議論をしているわけなのです。
これは前も申し上げたかもしれませんが、子どもの転落というのは、ニューヨークの調査の関係でも分かってきたことですけれども、私たちがマンション、あるいは窓であるとかベランダというものに対する今まで考えてきた使い方というものを少し変更しないと、本質的には安全にならないというところがあるのではないか。ちょっと何かすればうまくいくというものではない。そこで、直ちに実施し得るハード対策と、さらなる安全性向上のためのハード対策に分けています。後者はかなり難しい対策といいますか、皆さんにやってもらうのは大変な対策。でも、ここまでしないと転落は防止できない。そういう性質の問題、かなり厄介な性質の解決策が簡単に出てこない問題、私たちの日常生活の仕方が変わるかもしれない、そこまでしないと本当に転落は防止できない。そういう非常に困難な問題であるということが見えてきたところです。
なので、直ちにと、さらなるという2種類に分けて対策を出さないといけないなとなっています。
(持丸委員長代理)
おっしゃるとおり共用部分でありますし、高層になると、万が一飛んだときの被害が出るということで、そもそも外側に何か取り付けるなというような規定を持っていらっしゃるところも多いそうなので、我々がまず掃き出し窓のところに注力しているのは、そこのほうが共用部分よりは対策が施しやすい、受け入れられやすいだろうというようなところもございます。もろもろその辺りの事情も勘案しながら、原因と対策を考えているような感じです。 -
問
日本消費者新聞の丸田です。
原因究明、対策を急がせるという思いはとても伝わってきたのですけれども、外から見ると、スピード感ということについては課題があるのではないかと感じました。
一つだけお聞きしたいのは、昨日、実は国民生活センターが、アームリングつきの浮き具について重大事故が発生しているということについて注意喚起、それと、情報提供がされたわけです。
事業者に対しては構造上の問題も指摘されていて、それで改善ということで、こういうものは浮き具ですので、季節柄、これから使われるということもあって、事故が起きるのではないかということを言っていました。
例えば事故調のほうでは、浮き輪もやったしプールもやっているし、つまり、季節柄のことについては、子どもさんの事故防止を結構やっていらっしゃるのです。例えば昨日国センが出したことに対して、関連して情報提供とか、あるいは注意喚起とかということは、何か検討というのはなかったのでしょうか。 -
答
(中川委員長)
国センの発表された件の話ですか。 - 問 国センに絡んで何か出なかったのかということです。
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答
(中川委員長)
今日ですか。それは出ていません。