記者会見要旨
(2024年3月28日(木) 16:46~17:07 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
本日の調査委員会では、個別の案件といたしましては、スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害、木造立体迷路の床板の落下による事故について審議をいたしました。
まず、パーソナルトレーニングについてですが、現在までの調査の実施状況及び今後の計画案等をまとめた経過報告書案の審議をいたしました。これは1年以内に結論が出ないということでありますので、来月4月、経過報告書を出す予定です。その案の審議をいたしました。
また併せまして、事故の要因を明らかにし、対策を立てるための全体像を確認しました。いろいろなことをやっていて、委員にも全体像が見えにくくなっておりましたので、全体像について改めて委員で理解を共有するということを行いました。これが1件目です。
続きまして、木造立体迷路の床板の落下につきましては、報告書案の作成に向けての具体的な検討に入りました。事実関係、原因の記載、対策の記載について検討を行いました。
まず、床板が落下した原因は繰り返し述べておるとおり腐朽である。なぜ腐朽したかについての推定結果も記載する予定です。木造建築施設、そして、屋根がないということで水を完全に防ぐことができないものなのですけれども、腐朽による床板の落下を防止する方法はあります。それでもなぜ事故が発生したのかということで、これは様々な理由があるように見えてきました。もちろん最大の原因は一切法令の規制がなかったということで、当事者は別に法令違反は何も犯していないけれども、事故が起きるという典型です。
この施設には建築基準法の適用がございませんので、今後どうすべきかという対策も含めて、委員の間である程度議論をし、かなり理解が共有されてきているかと思います。非常に微妙な事案であります。いろいろなところに利害関係のある事案でありますので、正しく事故原因を究明できるような書きぶり等、非常に繊細な検討が必要であるというところで、かなり時間を取って委員の間で議論をいたしました。
以上が事故案件2件です。
そのほか、今日の審議案件ではなくて、一般的な消費者安全調査委員会からのお知らせとしてお話をいたします。
まずは、一般消費者に対して情報発信をしております消費者安全調査委員会からの一葉、一つの葉と書いて一葉(いちよう)でありますが、3月6日に第7号が消費者庁のウェブサイトにて公開されました。皆さんのお手元にもあると思います。今回は入浴施設での転倒事故に注意というものでありまして、一般消費者による申出事案からの情報発信となっております。
また、3月11日には、トランポリンパーク等での事故に注意とする啓発動画を公開いたしました。トランポリンパーク等で骨折などの事故が起きていることから、事故につながる危険行動とは何か、トランポリンパーク等で楽しく安全に遊ぶためのポイントは何かということを動画にまとめました。こちらは約3分の短縮版と約8分の完全版があります。どちらも消費者庁のウェブサイト、YouTubeにアップされております。それから、消費者庁のXでも情報が公開されております。
ここで今回の動画のうち、短縮版について記者の皆様に御覧いただきたいと思います。
(動画開始)
というのが短い版です。8分間版はもう少し長くて、これはトランポリンパークの中で流してもらうとか、そういうことをイメージしているものです。
続いて、持丸委員長代理より、部会の審議について御報告をお願いいたします。
(持丸委員長代理)
3月の製品等事故調査部会では、今、話のありました木造立体迷路の床板落下の事故、それから、住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故について、それぞれ審議を行いました。
それから、私が部会長を務めます3月のサービス等事故調査部会では、スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害、こちらの調査計画、その他について審議を行いました。
私からの報告は以上になります。
質疑応答
-
問
朝日新聞の大村です。
立体迷路の報告書の作成に関してなのですけれども、今日、作成の検討を行ったということですが、この先、めどとしてはどんな状況でしょうか。
-
答
(中川委員長)
表を忘れてきましたが、どのぐらいのめどでしたか。
(事務局)
年度の早い時期、年度初め。
(中川委員長)
3~4か月ぐらい、半年以内という感じです。 -
問
日本消費者新聞の丸田です。
パーソナルの件です。これは経過1年以上ということですけれども、大まかな理由をもう一度お願いしたいと思います。
-
答
(中川委員長)
1年以上かかっている理由ですね。それは、実態把握にものすごく時間がかかっている。例えばパーソナルトレーニングといった場合、何を指しているのかというのは事業者で定義が違う。だから、手作業で1個1個見なくてはいけないとか、業界内の共通了解が意外にないことが分かってきて、そもそも我々はどういうものをパーソナルトレーニングとして対象にするのかというところももう一度考えなくてはいけない。そういうところです。
業界全体としてみると、ジムでやっているところもあるし、個人でやっているところもあるというのも加えまして、把握自体がとても大変だというところで、てこずっている。てこずるという言い方がいいのか分かりませんが、最初のところでかなり困難にぶち当たっているというところです。 - 問 直接かどうか判断できないのですけれども、今、世の中でものすごく紅麹の事故が関心を呼んでいて、注意喚起を出されています。消費者事故調としては、この事故について把握というか、情報の収集はしているのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
それは言えないです。案件として選定したもの以外は何をどう見ているかというのは言わないことになっているので言えません。
他方で、これについては今のところは厚労省、それから、制度の関係では消費者庁もそれぞれ様々な作業しているところで、原因もこれから分かってくるのではないかと思います。その結果を見て、将来的に我々が関与することはあり得ないことはないと思います。
一般論を申し上げると、ほかに原因調査をやっているところがあれば、我々は隙間事故が主たる任務ですから、すぐにはいきません。ただ、他の省庁が行った事故原因、ないしは対策の打ち方について十分ではないのではないかについては、私達に権限がありますので、それで将来的に取り扱う可能性はあります。その意味では十分な注意を払っているところです。 -
問
分かりました。
よく言われていることに、メーカーが把握して、だけれども、2か月ぐらいたってから報告された。メーカーの対応に対して批判があるということは分かるのです。同時に、機能性表示食品の場合はそういう義務ではないと僕は理解しているのです。そういうものに対して重大事故、死亡ですから、死亡が一元的に収集されるシステムが、もともとは消費者庁が持っているという形でできてきている。つまり死亡事故に関しては、お医者様の報告義務もないから、そこについては報告がないわけですけれども、基本的には搬送された場合とか、消防庁とか、あるいは何かきっかけとして関与しているのであれば、消費者庁なりに通報されてくるのではないかと思うのです。つまり情報収集の一元的な対応について、何か問題があるかないかということについては、事故調が、ある意味でそういう意見を言えるのではないかと思っているのです。 -
答
(中川委員長)
我々のこれまでの案件でも時々そういうことを発言した記憶があります。データベースに載っていない事故が調べ始めて出てきたということです。そういうのは今のところ何度か経験があって、事故情報の収集システムの目詰まりというのが否めないというのは経験をしております。
それに対して我々調査委員会が一般論としてどうすればいいかというのは、なかなか言いづらい。というのも、自分たちが経験したことは分かるのですけれども、一般論としてどうなのかということになると、調べる必要があり、それをやると、今度は事故案件の進行が遅くなるということで、結局、毎回問題提起しながら、つまり事故収集システムの目詰まりがあるということを言いながら、我々として何か提案ができているわけではありません。
ここからは委員長としての発言ではないので、不規則発言かもしれませんが、消費者庁の計画作成の会議のほうで、消費者安全調査委員会だけではなくて、いろいろな関係機関、ほかの省庁、消防庁なども含めて、政府全体として事故情報収集の目詰まりをなくしていく、学校なども含めてです。そのような大きな単位での問題なので、我々委員会がどうこうというよりも、政府の中でやっていただくようなステージにこの問題を提案できないかなと思っております。私はその関係の委員なので、そこでは発言をしたような気がします。なので、事故調としては問題意識は持っているけれども、自分たちの今のリソースを割いてそれをやるかとなると、消極的というところです。 -
問
共同通信の市川です。
今のところの確認ですけれども、それをやるかどうかという話は、紅麹の話か、それとも目詰まりの話、どちらですか。
-
答
(中川委員長)
目詰まりの話です。ただ、今起きている某製薬会社の話も、結局目詰まりの一つ、情報が遅れたという意味ではそうですので、広い意味では今の案件も関係しますが、論点としては事故情報収集システムの目詰まり、全般的な、あらゆるところで、そういう意味で、それを消費者庁とか政府全体の課題として認識していただきたいという提案は、個人的にはしているところです。 - 問 個人的にというところは。
-
答
(中川委員長)
正式名称は忘れましたが、消費者基本計画のための有識者懇談会の委員としての発言です。安全調査委員会の委員長として問題意識を持っているので、そこで委員として発言したという次第です。 -
問
日本消費経済新聞の相川です。
木造立体迷路について、建築基準法の適用もない隙間に落ちる典型事例ということなのですが、微妙な、いろいろなところに影響があり、繊細な検討が必要という御説明でしたが、この辺について、もう少し分かりやすくお教えいただけないでしょうか。 -
答
(中川委員長)
これは端的に言って、法的責任に関わらせないような書きぶりを事故調査報告書としては行うということです。毎回それには気をつけています。今回は被害者が出ておりますので、当然ながら、それは刑事・民事の責任の問題になりかねない、なっていると思いますけれども、そういうところに我々としては極力影響を与えないような書きぶりをしたい。本来の目的は事故再発防止ですので、それに必要な限りは書いていくけれども、必要のない余計なことは書かない。 - 問 隙間を埋めるような提言みたいなことは出てこないということですか。
-
答
(中川委員長)
いや、そうではなくて、まさに隙間を埋めるために必要なことを言いますということです。再発防止策というのは、結局のところは基準がないところに最大の原因がありますので、それが法律なのか何か、何らかの基準が必要であろうというところに収れんをしていく。そういう方向で書いていく。その過程で、いろいろな関係者、いろいろな人がいるのですけれども、その人に法的責任があるかのような書き方はしないということです。我々はいつもそのようにしていますので、今回も特段のことがあるわけではありません。 -
問
神戸新聞の井上です。
重複の確認になってしまうのですけれども、木造立体迷路の床板落下事故に関して、報告書作成のめどというのは、年度の半年以内ということで間違いなかったでしょうか。
-
答
(中川委員長)
年度の前半ですから、今からちょうど半年以内を目指していますということです。 -
問
分かりました。ありがとうございます。
あと1点、同じく木造立体迷路の事故の関係ですけれども、木材の腐朽が原因で、なぜ腐ったかというところの経緯にも触れられるということだったのですけれども、例えば木材が腐ったところを点検で確認できなかったのかとか、腐った後の対応にも触れられるという理解でよかったでしょうか。
-
答
(中川委員長)
全部触れます。どのように造ったか、どのように管理したか、どのように設計、施工、点検、そういったものは毎回そうですけれども、全部見ます。それから、誰が造ったのか、誰が発注したのかということ、組織的な問題、システムの問題、システムの最たるものは規制がないということです。それを全部見ますので、その辺りは漏れなく原因を記す予定です。