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記者会見要旨
(2024年2月22日(木) 16:45~17:01 於:消費者庁記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
本日の審議内容について、かいつまんでお話をいたします。
まず、個別調査事案といたしまして3つです。
スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害、そして、住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故、そして、木造立体迷路の床板の落下による事故、以上3件について審議いたしました。
最初にパーソナルトレーニングについてですけれども、現在までの調査実施状況と今後の計画の確認を行いました。また、事故要因の分析及び再発防止策を講じるため、必要な情報を広く取得しようということで、パーソナルトレーナー向けアンケート調査案について審議をいたしました。なかなかアンケートというのは難しいもので、いろいろな意見が出まして、再構築をするということになっております。
次の子どもの転落事故についてでありますけれども、今までの調査結果を踏まえまして、今後具体的に検討していくこととなる再発防止策の考え方について整理いたしました。また、現在の調査状況について報告がありました。
これまで、後付けの補助錠等についての実験をやってきたわけですけれども、本質安全といいますか、今後作るものについての安全設計というのがどのぐらい可能かということとか、あるいは海外調査の話とか、そういった現在の調査・計画についての報告を受け、いろいろな委員から御指摘を受けるということをいたしました。
3番目の立体迷路における床板の落下事故につきましては、事故の概要、原因等事実の確認から、意見先、それから、根拠となる法令があるのかどうか、そして、再発防止策の検討まで、報告書の方向性といいますか、その方向性につきまして本日検討いたしました。
今までも隙間事案はありましたけれども、立体迷路は大きな隙間事案でありますので、どのような報告書ができそうかを取り上げました。今日は、この点を取り上げる第1回目の本委員会ですので方向性が決まったわけではありませんが、いくつかの方向性で意見ができるかもしれないということを議論いたしました。
以上が個別の事案であります。
そして、そのほかですが、「一葉」というものについてお話をしたいと思います。
消費者安全調査委員会では、報告書の公表以外に一般消費者に対する情報発信といたしまして、「消費者安全調査委員会からの一葉」というものを消費者庁のウェブサイトにて公開し、定期的に更新しております。皆様のデスクにもあると思います。今回、2月7日に第5号及び第6号として新たに2件の一葉が更新されましたので、お知らせしたいと思います。
まず、第5号でありますけれども、これはエア遊具における子どもの巻き込まれ事故についてのものであります。事務局に寄せられました消費者からの申出事案のうちから、この案件を選び出して情報発信の対象とさせていただきました。内容ですが、エア遊具の階段状の登り口を上っていた子どもが落下したため、下で遊んでいた子どもが巻き込まれて骨折をしてしまったという事故で、これについて消費者への注意喚起というものです。
第6号のほうは、先ほどもお話をいたしましたが、現在調査中の3件についてのポイントを紹介しております。また、第6号の裏面においては、宮木臨時委員のコラムを掲載しておりまして、消費者調査委員会が何やっているのかの広報という形で書いていただいております。
今回、記者の皆様には、委員会のホームページに掲載されているこの2件の一葉について特にお配りしております。是非今後とも、過去のものも含めて御関心を持っていただいて、適宜取材の材料とか記事にしていただければと思います。
以上が、本日の私からの最初の発言であります。
続いて、持丸委員長代理より部会の審議について報告をお願いいたします。

(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸でございます。
まず、2月の製品等事故調査部会、こちらは、木造立体迷路の床板の落下による事故、それから、住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故について、報告書に向けた審議を行いました。
私が部会長を務めます2月のサービス等事故調査部会は、スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害、こちらは、それのアンケートを実施予定なのですが、これに向けた審議を行いました。
私からは以上でございます。

質疑応答

読売新聞の糸井です。
転落事故の件なのですけれども、住宅の窓やベランダの転落事故について、基本的には、補助錠というのを優先的な対策として考えていって、それ以外の対策というのも、今後複合的に提言していくとか考えていく予定なのか、その辺をお聞かせください。

(中川委員長)
補助錠は一つの方法に過ぎなくて、あと、窓について言えば、窓枠というのですか、内側からブロックするようなものもあります。子どもの力では開かないようなもの。また,ベランダであればネットとか幾つかあるのですけれども、そういったものを総合的に検討していくということになります。

(持丸委員長代理)
あとはセンサーです。センサーを取り付けると、例えばスマホに「開けたよ」というのが来るので、それで対応いただこうとか、若干複合的なところも考えているということです。

センサーというのは、子どもが開けると、お父さん、お母さんのスマホに来るというイメージですか。

(持丸委員長代理)
残念ながら子どもは認識していませんので、お父さんが開けてもスマホには来ると思いますけれども、開いたという情報が来るということです。

(中川委員長)
あと、今日出てきたのは、親の顔のセンサー、顔認識センサーで親しか開けられないようにするというものとか、いろいろ商品はあるようなのですけれども、どれがどれぐらい使えるのかということは引き続き検討ですね。

ありがとうございました。
あと、床板の落下事故なのですけれども、これはもうかなり煮詰まってきているとか、もう少しで。もう近いのですか。

(中川委員長)
もともとは年度内を目指していたのですけれども、もう調査は全部済んでいて、最終的な報告書というか、意見の部分ですね。どこら辺の行政機関に何を言うかという辺りで時間がかかっています。立体迷路だけよくしてくださいというわけにもいかないだろうと。もう少し広げると。そうかといって、広すぎると今度は言われたほうが何をしていいか分からない。なので、アウトプットのスコープ、射程といいますか、その辺りをどのように書くのかという、本当に最後の検討段階です。今日はそういう話をしましたから、3月で全部決まると思いませんので、恐らく4月、5月と。その辺りになろうかなと。ずれ込む予定だと。見込みです。

毎日新聞の阿部です。
スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングの事故及び健康被害の調査で、これからスポーツジムに対してアンケートを実施する予定というお話で、今、内容を精査しているということだったのですが、スポーツジムはいろいろな業態があると思うのですが、どういった業態にどれぐらいの規模数でアンケートをするとか、そこら辺の御検討はいかがでしょうか。

(持丸委員長代理)
かなり検討は進んでいるのですけれども、やはり個人のトレーナーに対してアンケートはリーチするのがなかなか難しいということで、大手さん、もしくは協会に入っているところも中小まで入っているのですけれども、そういうようなところからまずは聞いていこうというような感じです。
基本的には、このアンケートでいきなり事故の対応とか事故原因が分かってしまうとは我々は残念ながら思っていなくて、実は皆さんから何度も聞かれて正確にお答えできていないのですが、パーソナルトレーニングのそのサービスの実態がどうなっているのかとか、一体どこまでの範囲が今回のパーソナルトレーニングの事故につながっているところなのかという辺りを我々もしっかり押さえなくてはいけないので、まず第一義はそこだろうと思っています。
その中で、仮説を持っているわけではないですが、どういう因子が関わっているかというのは、もちろん我々の中にも頭にありますので、それらの因子の状態はいろいろ聞いてみたいと思っております。

今回、ジムに向けてのアンケートですが、結局、健康被害だったり事故となると、やはり利用者さんの聞き取りというのも今後必要になってくるかなと思うのですが、そこら辺の道筋はいかがでしょうか。

(持丸委員長代理)
おっしゃるとおりです。ジムそのもの、ジム経営層から、それから、実際のトレーナーの方にも聞くつもりですけれども、利用者さんに聞くかどうかはまだ分かりませんが、一方で我々のほうは、件数は多くありませんが、ある程度事故情報も持っておりますので、それらについて、アンケートとは別になりますけれども、個別に聞くというようなことも十分考えられますので、アンケートだけで全部を押さえようとは思っておりません。

日本消費者新聞の丸田です。
子どもの転落事故の件なのですけれども、先ほど、窓枠、ベランダであればネットとかセンサーもおっしゃっていた。最初に委員長がおっしゃった本質安全設計というところで、補助錠との関係でおっしゃったような気がしたのですけれども、本質安全設計というのは、ベランダ全体を申し上げていらっしゃるのか、それとも、補助錠の範囲だけでおっしゃっているのかどちらでしょうか。

(中川委員長)
私の認識では、例えばサッシメーカーが、サッシについて、最初から転落防止の仕掛けを加えたものです。そのようなものは現在でも既にあるという話です。オプションで子どもが開けられないような錠つきのものというのはあるけれども、やはりオプションだけあって値段も高くなるのであまり買ってくれていないそうです。ともかくそのようなものは既にあるのだという話は聞いております。
ベランダで本質安全というのはなかなか難しいですかね。それはないのではないかなと思っていますが、いかがですか。

(持丸委員長代理)
ちょっと学術的になりますが、本質安全は、まず一つはベランダをなくせば大丈夫です。そもそもベランダに転落防止の全囲いみたいなものができて、もうそこには入れませんというのも、もちろんそうです。ふざけたことを言っているわけではなくて、本質安全というのは、何か防護措置ではないというようなものなので、それが絶対できないかどうかはともかくとして、それも一つの選択肢ですが、現実的ではないですね。
次が、先ほどから言っている安全防護柵というもので、安全防護柵の中に、機械的に守るものと制御的に守るものがあります。全体的には機械的に守るほうが安全性が高い、つまり、補助錠というのは機械的に守っているものです。センサーというのは制御的に守っているものです。その辺りは少し組み合わせながら、安全防護柵としても提供していきたいと思っているのですが、なかなか問題は厄介で、購入したくても現実的には自分のおうちにつく補助錠が見つからない方もいらっしゃるようだということで、とにかくこれをつけなさいと言っても、「いや、うちはつきませんよ」という話になってしまうので、そこは今、我々のほうで実験をしながら調べています。
その安全防護柵の、機械的ではない場合は制御的になるか分かりませんけれども、何かの組合せで解決できるようなものを用意するとともに、理想的には、皆さんに使ってもらえるようにメーカー側でも配慮していっていただけるとありがたい。なろうことなら簡単に選べるように仕立てていただけるとありがたい。このように思います。

分かりました。
それともう一点なのですが、先ほどの回答に関係するのですけれども、スポーツジムとかパーソナル、先ほど持丸さんは事故情報自体もそんなに多くないという形でおっしゃったような気がしました。事故情報も、調査の対象になってから関心が高まって、むしろ事故事例が来ているのではないかと私は思ったのですけれども、これが原因究明と再発防止策が出る、報告書が出る、それまでの間に事故が発生している場合、事故調として何らかのメッセージをやらなくてはいけないのではないかとずっと思ってはいるのですけれども、今回のこの件については、あまりそれは必要ないというか、大体、事故事例自体はそんなに多くないということでしょうか。

(持丸委員長代理)
まず、事実関係としては、我々も今気にしていて再調査をかけています。もちろん、始まる段階で一回調査をしておりますけれども、2つあって、おっしゃるとおり、エコキュートなどの場合、我々がやっていると言うと、「これは消費者事故なんだ」と思って上がってくるというのもありますし、やはり増えていますよね。
コロナ以降、悪いことだとは思いませんけれども、ジムも増えていて、利用者も増えていると思いますので、分母が増えれば残念ながら事故も増えるということはあると思いますので、それは調べながら、既にこうやって一葉は出しているわけなので、今、我々は残念ながら何が原因だと申し上げられるところまでいっておりませんので、少なくとも現時点では、「注意してください。こんな事故が起きていますよ」というようなことを申し上げられる程度を、こういう形で発信していくということになろうかと思います。

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