記者会見要旨
(2024年1月31日(水) 16:45~16:54 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
本日の調査委員会についてお話をいたします。
本日は、個別調査事案といたしまして、住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故、
及び、スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害について審議をいたしました。
子どもの転落事案におきましては、当初から緊急の対策の一つといたしまして、市販されている様々な補助錠に対し操作性等を確認する実験を行いました。その結果について、本日は事務局から報告を受けました。
実験の結果ですが、まだ実験したばかりですのでまとめてお話しすることはできませんが、一例を挙げますと、サッシの種類によって装着できない補助錠がそれなりにあることが分かりました。サッシの種類というのは、マンション用のサッシと戸建て用のサッシというものがありまして、これは大分細かいところが違うようです。それから、補助錠もレールに取り付けるものとガラスに取り付けるものと、それから框という、ガラスの周りの部分に取り付けるものの3種類ぐらいがあるのですけれども、レールに取り付けるタイプの補助錠だとマンション用サッシにはどうも取り付けられないのではないかというように、何が何に取り付けることができるのかというところから、かなり多様であることが分かりました。
その他、例えば窓ガラスに付けた補助錠をあまり引っ張ると今度はガラスが壊れてしまうということも含めて、様々な適合・不適合というのがあるということが分かってまいりました。
その結果、消費者が自分の家のサッシに適合した補助錠を自分で探そうと思ってもなかなか難しいというか、ほぼ不可能に近いのではないかというぐらい選択が難しいということが分かってまいりました。
では、誰に聞けばいいのか、これがまた難しくて、サッシの製造事業者は基本的に後付け補助錠とは関係がないので、補助錠の業者に聞かなくてはいけないのかもしれませんが、補助錠の業者はサッシを全部知っているかというとそうでもなさそうで、結局、実際に一個一個付けてうまくいくかをみなくては分からないという非常に困難な状態にあることが見えてきたところです。
それから、パーソナルトレーニングに関しては、本日は担当専門委員の選任を行いました。
続いて、持丸委員長代理に部会の審議についてお願いいたします。
(持丸委員長代理)
持丸です。
まず、製品等事故調査部会です。1月の製品等事故調査部会では、今、報告がありました住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故に関連した実験の報告、まとめ、審議を行うとともに、木造立体迷路の床板の落下による事故の報告書に向けた審議を行いました。
続いて、1月のサービス等事故調査部会です。こちらも今、話がありましたパーソナルトレーニングの事故及び健康被害に関してアンケート調査を実施するということを、今、進めておりまして、その具体的なアンケートの設計というところの審議を行いました。
私からは以上です。
質疑応答
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問
共同通信の市川です。
補助錠のことなのですけれども、以前の記者説明のときに、そういったサッシや補助錠の規格がばらばらなことで当てはまらないということを念頭に共通の規格を作るような話をされていたかと思うのですけれども、その実験を経てよりそういう方向性が強まったというのはありますか。 -
答
(中川委員長)
まずサッシの種類が複数あり、サッシが入っているレールの形状も様々なので、まずうまく合わせるものはどれかという意識を持って作ってもらわなくてはいけないです。しかも、子どもの転落防止を目的とする補助錠もあまりない。子どもの手が届かないような、子どもが外さないようなということを意識して設計する補助錠は今のところなさそうです。ほとんどの補助錠が防犯用です。
とはいえ、子どもの転落防止用の補助錠がいつできるか分からない話でして、作ってくれるかどうかも分からないので、今、市場に出ている補助錠でどうするか、どこを見ればいいのかといったものを応急手当としてやっていくことが一つ。それから、転落防止として本来きちっと機能させるには設計上こういうことが着眼点ですということを出していくことも考えられる。このように、中期的なものと今やるものと両面で考えています。
(持丸委員長代理)
私は標準の専門なので個人的コメントをしますが、もし中期的にやるとしたら、試験方法というのをやらなくてはいけないんですね。機能するかどうかというのはどうやって試験するのですかと。我々もある一定のやり方で試験をしたのですが、これぐらいの取り付けで子どもが押すようなことを何回繰り返したら開いてしまったとか、落ちてしまったというのは、5回なのか、10回なのか、押す力は何キログラムなのかというところをやらないと、メーカーさんはうちはそのつもりではありませんでしたということになってしまうので、そこがまず一つです。
それがあるとクリアする・しないができるのですが、今度は選び方。皆さんが雪のチェーンを買うときに、このチェーンはどのタイヤに合うのかというのを見比べる符号がついていたりしますね。今、そういうものが全くない状態ですので、そういうところは我々だけではできないので、もし中期的にやるのだとしたら、業界が一緒になって発展を阻害しない程度に何か見やすいルールを作るとか、やり方は分かりませんけれども、その二つは標準化の常套手段ですので、やらないと中期的には困るだろうなと。
当面は、今、委員長から話がありましたように、まずできるところ。全てが駄目なわけではないですから、使えるものがあるケースはそれをどうやって見つけていただこうかというのを、我々としてどうやって情報発信できるのかというのは少し考えていきたいなと思っているような状況です。 - 問 関連して追加で質問なのですけれども、おっしゃった中で防犯用のものがほとんどで、転落防止のものはほぼないと言っていたのですけれども、今回実験した中で転落防止というものはあったのですか。
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答
(中川委員長)
全部が防犯用で、その一部に、転落防止の用途もあると読めそうな表示もあるものが、全体の半分もないですけれどもいくつかあるという状態です。それ全部について実験をいたしました。 -
問
ありがとうございます。
あともう一点、中長期的な話をされているかと思うのですけれども、報告書の公表はおおむね1年以内ということで、来年の夏頃までを目指しているという話だったのですけれども、その中に「今後、フォローアップしていく」みたいな文言が入るのか、それともこの審査や委員会自体をもっと継続して長くやるという見通しはありますか。
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答
(中川委員長)
報告書を出したら必ずフォローアップはします。
もう一つの選択肢としておっしゃったのはよく分からなかったのですけれども。 - 問 次の委員会に引き継いでまた長期的に議論していくみたいな話があるのかということです。
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答
(中川委員長)
それは報告書でどこまで書くかによりますね。差し当たりここまでやって、一回出して、まだ課題が残るから、いわば第2弾として更に調査を行うということはあり得ないことではないと思います。今までやったことはないですけれども、あり得ると思います。
ただ、今回そうなるかどうかは分かりません。