記者会見要旨
(2023年12月15日(金) 12:32~12:42 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
本日の調査委員会では個別調査事案を3つ取り上げました。
1つ目が、スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害。2つ目が、木造立体迷路の床板の落下による事故。3つ目が、住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故。以上です。
今日は特に決定したことがございませんが、調査の進行状況をお話しします。
まず、パーソナルトレーニングについてです。これにつきましては、業界の構造が大体分かってきましたので、これから実態調査に取りかかるところです。実態調査がとおり一遍にならないように、施設、トレーナー、消費者、それぞれの立場から要因分析ができるように、慎重にアンケートの内容を今組み立てているところです。アンケートの専門家にも加わってもらって検討しています。
次の木造立体迷路についてですけれども、原因調査はほぼ終わって、具体的な再発防止策の提言に向けて最終段階に入っているところです。木材劣化診断士という木材の腐朽の専門家の方に現場を見ていただいた様子について報告を受けました。木材の腐朽は外から見ているだけでは分からないこともありますし、外から見て分からない腐朽を専門家がどういう方法で見ることができるのかといった辺りについて情報を得ているところです。
ここから先は種々検討中です。設計とか施工の段階での問題もあれば、管理の問題もあるし、本件をどのような事故の起き方であったと位置づけるかという辺り、詳細はお話しできませんが、幾つかの見立てがあり、そのうちどれを取るか、それによってアウトプットがどう変わってくるかといった大きな方向性の議論を今日始めたところであります。なかなか難しい議論でした。
最後の子どもの転落事故です。これについては従来からお話ししていますように、ハード対策を主とした再発防止策を検討しております。幾つか、補助錠をつけるとか、窓格子をつけるとか、ベランダにネットを張るとか、いろいろなハードによる防止策のアイデアがあるわけですけれども、それが建築基準法との関係で問題があるのではないかという指摘があります。建築基準法では緊急時に外部から進入できなくてはいけないということで、外部に人が転落しないように窓をガチガチに固めてしまうと、今度は外から入れないということで、転落防止と緊急時の進入という、ある意味で全然逆方向の両方の要請を満たさなくてはいけません。両方の要請をどうやって両立させるかという辺りが今後の検討の一つの重要なテーマになってくるかと思っております。
もう一つ、再発防止策としては短期的なものと長期的なものに分けて、短期的なものは先ほどから申し上げているハード対策、補助錠とか後づけのものです。長期的なものは規格のようなものがなくてはいけないのではないかと、それが出せるかどうかというようなことを検討しているわけであります。
この件に関してもう一つ、市販されている様々な補助錠の中でどのようなものが適切かについての取付実験が来週にも始まるという報告を受けております。
以上が、それぞれの案件につきまして本日審議した内容です。
部会の審議につきましては、本日、持丸委員が御欠席ですので私から申し上げます。
まず、12月の製品等事故調査部会では、住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故及び木造立体迷路の床板の落下による事故の報告書に向けた審議を行ったということです。12月のサービス等事故調査部会では、スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害の報告書に向けた審議を行ったと報告を受けております。
私からは以上です。
質疑応答
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問
朝日新聞の大村です。ありがとうございます。
2点目の木造立体迷路の件でお伺いしたいのですけれども、報告書に向けて大きな方向性の御議論を始めたということなのですが、そうすると、取りまとめるのに最終段階に入ったという理解でよろしいのではないかと思うのですが、目途としてはどれぐらいでまとめたいとお考えでしょうか。
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答
(中川委員長)
年度末を目指しております。前から申し上げているとおりです。とはいえ目標ですので、後で違うではないかと、あまり怒らないようにしてください。それを目指しています。 -
問
分かりました。
続けて、もう1点、転落事故防止のほうです。大きな論点として、建築基準法との矛盾というか、双方の要請を満たす必要があるという論点が出てきたということなのですけれども、素朴な質問というか、進入可能でないといけないというのは、普通、鍵をかけるとか、ガードをかけるということがあっても、ガラスを割れば入れるのではないかと思うのですけれども、どうして矛盾すると言えるのかというところをもう少し。
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答
(中川委員長)
補助錠は矛盾しないのですけれども、窓枠をはめてしまうと、はめ方にもよりますけれども、ガチガチにはめてしまうと開かない、ないしは消防が入るときに時間がかかる、そこで手間取って、その間に救出できなくなるという意味で、進入にとっては邪魔になることがある。ベランダのネットは下手をすると全然入れない。ネットを切らなくてはいけなくなります。ネットを切るだけではなくて、はしご車との関係で問題があるかもしれません。詳細はこれからですけれども、人が外に落ちないようにするためには空間的に封鎖をしますので、それが緊急時の進入、火災などで下から入れないときに上から入るとか、そういう別の要請に対しては完全にマイナスの要因になる。そういうことですので、基本的にベランダのネットであるとか、窓枠をはめて外に落ちないようにするというタイプの後づけのものに限った話であるとお考えください。 -
問
日本消費者新聞の丸田です。
パーソナルトレーニングで御質問です。これは業界の構造が次第に分かってきて、これから実態調査ということで、施設、トレーナー、消費者、それぞれに慎重に検討しながらアンケート調査をやっていくということですが、実態調査といった場合に、調査項目は大きなものでどんなものがありますでしょうか。
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答
(中川委員長)
それはまだこれから考えて検討するところです。こういう要因が考えられるとか、こういう団体がいるとか、こういう業態があるなど、様々な要素を考えながら、もれなく調査できるように考えています。今まだ、前提となる情報を専門委員の方から頂いた。本委員会としてもそういう方向でいいのかどうかということを検討したという段階です。 -
問
分かりました。
前にも御説明された、施設、トレーナー、消費者へのアンケート。
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答
(中川委員長)
アンケートは基本的には事業者ですよね。
(事務局)
全て行いまして、その前段階として、インタビューを経営者層ですとか、そういうところも検討しているという、それをサービス部会で揉んでいただいているという段階です。