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記者会見要旨
(2023年6月29日(木) 16:45~17:07 於:共用第4特別会議室)

発言要旨

(中川委員長)
それでは、本日の会議の概要をお話しいたします。
本日、3件取り上げました。
1件目は、スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故の事故及び健康被害についてです。
これは、担当専門委員の選任についてですので、今日は詳細はお出しいたしません。
2件目は、フォローアップとして、幼児同乗中の電動アシスト自転車事故について審議をいたしました。
これについては、関係官庁の取組が済んでいるということで、取組の確認を終了するという決定をいたしました。
3件目が、新規の調査事案です。
「住宅の窓及びベランダからの子供の連絡事故」を次の調査事案として選定することを決定いたしました。
子供の転落事項につきましては、行政、それから、各自治体が注意喚起をしていますけれども、先月、5月にも山口県で転落事故が発生するなど、昨年の10月以降、少なくとも7名の子供が転落事故により死亡しておられます。転落事故防止のための安全対策を行っている地域や団体もございます。それらと連携・協力しながら事故の再発防止を目指すということを考えております。
本件の調査では、各家庭で実施可能な、いわゆる後づけ可能な様々な製品がありますので、それらについての検討が中心になろうかと考えております。そのため、製品等事故調査部会での調査を進めていくということにいたします。
前後しますが、幼児同乗自転車についてのフォローアップは、先ほど簡単に申し上げましたけれども、次のような審議を行いました。
本年4月に公開で行った経済産業省へのヒアリングでの取組状況の確認結果を中心に本日の審議を行いました。経済産業省が実施する自転車協会の一般用自転車及び幼児用自転車安全基準、幼児2人同乗用自転車安全基準、及び製品安全協会の自転車用幼児座席のSG基準の改定を進めていただいているということが確認できました。我々の意見に対して必要な取組がなされていると評価しております。また、経済産業省以外の各意見先省庁による周知及び情報提供も適切になされているということが確認できました。
こうしたことから、経済産業省への意見である基準の改定が終了したことを確認できたというこの時点で、委員会としては、意見に対する取組の確認は終了することを決定いたしました。とはいえ今後も引き続き、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故情報は注視してまいります。
続いて、持丸委員長代理より、部会審議についてお願いします。

(持丸委員長代理)
持丸です。
まず、製品等事故調査部会です。
こちらは、今日選定されました新規調査事案の候補、この時点では候補ですか、住宅の及びベランダからの子供の転落事故の審議を行いました。
部会長を務めますサービス等事故調査部会では、これは先立って選定をされました、スポーツジム等におけるパーソナルトレーニングによる事故及び健康被害について、この調査開始に向けた審議を行いました。
私からは以上です。

質疑応答

NHKの秋山です。
まず、冒頭、新規選定案件について、中川委員長にお話を伺えればと思います。
転落事故は、これまでも再三注意喚起がなされていたにもかかわらず、直近だけでも7名のお子さんが亡くなられていて、今回、建物にある程度絞っての調査にはなるかと思うのですけれども、なぜこのタイミングで事故調としてしっかり取り組んでいこうと決められたのか、このタイミングと、どういった思いで取り組みたいのかをお話をいただけますでしょうか。

(中川委員長)
まず、タイミングですけれども、これは、このところ立て続けというぐらい連続して事故が起きているということで、座視できないという危機感が高まったところがあります。
まだ統計的な調査はできていないのですが、例えば報道ベースでどのぐらいお子さんが亡くなっているかということを簡易調査したところによりますと、9歳以下のお子さんで、住宅のベランダや窓から転落して死亡する事故が、報道ベースで10年程度の間に50件近くありました。報道ベースですから、実際はもっとあるかもしれないということです。
他方で、事故情報データベースには実は登録はないのです。そういうことで、我々としても報道でしか接していない情報ではあるのですけれども、この原因は何かよく分かりませんが、ほかの対策、例えば東京都がずっとやられているのですけれども、注意喚起あるいは経済的支援ではどうも駄目らしいということが分かってきて、そこで、我々としてできる限りのことをやっていこうということになったわけです。
思いについてですけれども、ハード対策という一つのキーワードをつくっております。注意喚起だけでは駄目だということがはっきりしておりますので、現在あるハードというのは後づけのものです。後づけの製品は結構いろいろ売られております。これを、まずそれがどのように機能しているのかとか、どれか1つでいいものなのか、複数と組み合わせなくてはいけないかとか、品質、使い方、それから、それをつけるべきなのにつけていない人に対して、誰がどうやってアクセスして教える機会があるのかというような、そういう環境的なもの。そして、最終的に、例えば新築の場合には、このような仕掛けがあったほうがいいのではないかということがもしかしたら言えるかもしれないと。
そういった意味で、法制までいくかどうかは分かりませんけれども、今あるものを総動員し有機的につなげていく、そういう意味でのハード対策を組み立てられるのではないかという考えで今のところはおります。

今、最後にお話しされた法整備、いわゆるルールづくりのところでいっても、建築基準法とか、様々考えられるとは思うのですけれども、やはり注意喚起だけだと限界だというところで、ハードが中心といえども、法整備の辺りまでも検討対象にはなり得るのか、その辺りはいかがでしょうか。

(中川委員長)
検討対象から外してはおりません。ただ、法整備は新築だけが対象になる可能性が高いです。例えば法整備として、考えられる一つのものとして、今日も議論で出てきたのですけれども、エアコンの穴みたいな発想がありうると。使うか使わないか分からないけれども、例えばネットを張ったほうがいいというときに、ネットを張りやすいようなフック、あるいはそういう構造にしておくとか、そのようなことを義務づけになるのか、あるいはお勧めということになるのか分かりませんけれども、そういったことを提案する可能性はある。
ただ、それはどちらにしても全く即効性はございませんので、そうしますと、中心は、今ある窓やベランダからどのように転落を防ぐかで、工夫をすればかなり防げる可能性はあるのですけれども、その工夫について、注意喚起だけではなくて、ではどうやってやるかという、これは消費者安全で常に問題になるのですけれども、そこも考えていきたいと。マンション組合の役割とか様々なことを考える必要がある。
これも今日出てきた話ですけれども、若い夫婦ではなくて、老夫婦だけが住んでいるマンションがあるとします。そこにお孫さんが遊びに来るときでも事故が起きるわけですので、そうすると、そういうところに何らかの介護の方がいらっしゃるのであれば、介護の方から、そういうことをお話ししていただくとか、いろいろあの手この手を使って注意喚起の力を増やしていくということ。
それから、最初に言いましたように製品そのもの。今あるものが本当にどれぐらい効くのか、あと、どれぐらい組み合わせなくてはいけないのか。1つだけでは安心ではない可能性もあります。
それから、転落防止のネットなどもあるのですけれども、つけにくいかもしれませんので、その辺り、気づく限りいろいろ検討してみて、体系的な対策にまとめていけないかなと考えております。

これで一旦最後にしますが、これから夏にかけて増えてくるということがデータとしては示されていると思うので、また、お子さんもたくさんいらっしゃって、待ったなしの事故のテーマだと思うのですけれども、スピード感というか、もしくは解決策が示された暁には、もう繰り返されないようにしたいというような、決意ではないのですけれども、強い思いがあればお聞かせください。

(中川委員長)
転落事故は、窓を開けてベランダに出るというところが最初のきっかけですので、初夏、夏の事故が非常に多いのです。ですので、来年の今頃のときには、少なくとも中間報告ができるようにしたいと思っております。
その時点で分かったこと、もし、もっと前に分かればその前にやりますけれども、その時点で分かったこと、特に、こういう使い方がある、例えば意外に安全ではない後づけがあるかもしれないし、逆に、これが非常に有効な製品である、これを使わない手はないというのがあれば、それも申し上げたいと思います。来年の夏、初夏には中間報告するという予定でおります。もちろん最終報告ができれば一番いいのですけれども、それはまだ何とも言えませんので、そういう季節感を持ってやっているところです。

日本消費経済新聞の相川です。
後づけの製品について、検討対象にどのようなものを考えているのでしょうか。
それから、先ほどお話があった、地域や団体で転落防止に協力しているようなところがあって、それはどのような情報で、どのような研究班がいらっしゃるのでしょうか。

(中川委員長)
1点目は、どのような製品があるかと。

後づけの様々な製品を検討したいということで、具体的にはどのようなものをお考えでしょうか。

(中川委員長)
それは、例えば錠をするとか、窓が十分開かないようにする、大きく開かないようにする製品であるとか、転落防止用ネットとか、あるいは転落防止のガードをつけるとか、要するに、後づけの製品です。窓を引き戸にするとかはめ込み型とか。そういったものもいろいろ売られております。まず、その製品がどれぐらい有効で、そして、どれか1つ、これだったらこれ1個で済むとか、あるいは、これではとても1個じゃ駄目だ、これもしなければ駄目だとか、子供の行動は予想できませんので、その予想できない子供のことを考えると、今の後づけ製品はどこまでできるのかという検討になります。仮に今ある後づけ製品ではまだ十分ではないということになると、新たにこういう製品がなければいけないという報告になると思います。
製品に関しては、まずそういうところです。これは繰り返しなりますが、既存のマンションへの安全対策が目的です。今あるものについて、後づけで何とか対応していく、これがまずメインになりますので、その後づけ製品についての相対的な評価ということをやっていくことになります。
2点目は何でしたか。

地域の方たちとか団体が、転落防止に協力を。

(中川委員長)
既にやられているところですか。
これはまず東京都です。東京都が非常に包括的な検討されました。
東京都は、ベランダからの転落に焦点を当てて、その安全対策について注意喚起、それから、経済的支援ということをやられています。東京都とは連携を取ってやっていきたいと思っております。
それから、この前事故がありました名古屋市でも検討を始めたと聞いております。名古屋市とも連携を取っていきたいと思っております。
あとは、官庁では、国土交通省が経済支援、子育て支援型共同住宅推進事業という中で、住宅内での事故防止や不審者の侵入防止などを目的とした、子供の安全確保に関する設備に対して支援するという取組をやっているというのも情報としては把握しております。
今のところそういう感じかなと思っております。

毎日新聞の阿部と申します。
報道ベースで幾つか、今回、転落事故が報道されていますが、事故そのものを検証したり、そういったことは御検討されているのでしょうか。

(中川委員長)
はい。それも当然入ってきます。それは、むしろ我々だからこそできることだと思います。事故はたくさん起きております。たくさんというか、統計的にはまだはっきり分からないところがあるのですけれども、減ってはいないことは確かなのです。増えているかどうかは分からないですが減ってはいない。そうしますと、比較的最近の事故というのは、捜査しておればデータがあるはずです。そこをできるだけ使わせていただくということを我々としては求めたいと思っています。個別の事案の分析をやるというのは我々の強みでありますので、そこはやりたいと思います。

フジテレビの藤村です。よろしくお願いします。
有識者からのヒアリングというのは、いつも割となさっているイメージがあるのですけれども、今回はどのようなタイプの専門分野の方にお伺いすることを想定していらっしゃいますでしょうか。

(中川委員長)
有識者のヒアリングというのは、専門委員としてお願いするという意味でしょうか。

そうです。

(中川委員長)
これは、今日選定ですので、これからです。
この件は分かりますか。

(持丸委員長代理)
詳細なお名前はなかなか申し上げにくい。まだ選定されておりませんので。ただ、例えば東京都の会議などで、こういうものに参画された先生方とか、人間工学や建設の観点からそういうことをやっている先生方とか。あと、一般的に、安全管理に詳しい先生方とか、そういう辺りを我々としては候補として考えて検討している段階ということになります。

例えばですけれども、学校の転落事故というのが過去にありました。あのときにお話を伺った方というのも参考人になったりする可能性はあるのでしょうか。

(持丸委員長代理)
私から申し上げるのも何なのですが、正直、若干かぶっていたりもするのです。そういうことも含めながら少し伺っていきたいと思います。

読売新聞の糸井です。
先ほども、注意喚起だけでは事故はなくせないというお話もあったのですけれども、消費者庁はこれまでも注意喚起をされたと思うのですけれども、なぜ注意喚起だけでは駄目なのか、注意喚起の限界というのはどのように感じていらっしゃるのかについてお願いします。

(中川委員長)
それは皆さんお一人お一人忙しい毎日を送ってらっしゃるからです。
注意喚起は本当いろいろなことたくさんやられているのですけれども、結局届かないのです。ウェブサイトに載せる、報告書を出す。たまにテレビや新聞で取り上げていただく。でも、それは一瞬です。継続的に、そして、近い人から情報が入ってくる、その両方が必要なのです。継続的に、かつ近い人から情報が入ってくるという環境をつくらなくてはいけなくて、それがない限りは、たまたま関心があって、その情報に偶然接したら覚えていくのですけれども、関心がない、忙しい、ばたばたしているという状態だと、たとえ報道があっても見逃してしまう、記憶に残らない。
世の中に注意することはたくさんありますので、そうすると、例えばこれであれば、少なくとも小さいお子さんを持っている方に焦点を当てる。それから、先ほど申しましたように、老夫婦でも、それは意外に起き得る話ですので、小さい子供と接点を持つ人は誰なんだというところに、その人に継続的に出会う人は誰なのかというきめ細かい作戦を練っていかないと、なかなか情報は伝わらない。伝わっても覚えてくれない。覚えてくれたことを、今度はそれをアクションしてもらうという、そこまでしなくてはいけないので、これは非常に考えどころなのです。だから、注意喚起というのは、本当に基本的に効かないものだというのが経験則です。
持丸さん。

(持丸委員長代理)
私は、これをそもそも研究していますので申し上げますと、まず1つは、情報に接することができるかできないかということです。皆様方には大変申し訳ないのですが、昔よりも新聞やテレビのメディアに接する人が減っておりまして、インターネットのメディアは、過去の検索事例に基づいて情報がプッシュされますので、事故情報をチェックしなかった人には、事故情報の注意情報がなかなか届きにくい時代になっています。残念ながらそういうことです。
次は、これが届いたときに、それが自分で起きると思うか起きないと思うか。よく言われますように、我々は正常化バイアスというのを持っていて「いや、うちはちゃんと見守っているし、きちんとやっているからうちは起きないよね」と思うと、これはそこで一回リジェクトされてしまうということです。
次は、そこに提示された解決策を受け入れることができるかどうか。「ちょっとつけるの大変そう」とか「外観が悪い」とか、そういうのがあると、今度は、注意情報も入って起きると思ったのだけれども、なかなかそれを受け入れることができなかったと。
これは、皆さんが、日常的に成人病になるから体を動かしなさいと言われてもできないのとほとんど同じ仕掛けになっていまして、やはり注意情報というのはすごく大事なことなのですけれども、それだけに頼らないで直していかなくてはいけないのだろうなと思っているということです。

NHKの秋山です。
転落のほうではなくて自転車のほうで伺いたいのですけれども、対策が十分進んでいて、フォローアップができているだろうという御判断での取組の終了、終結ということかと思うのですけれども、一方で、最近、自転車のルールがかなり大きく変わってきているような状況もありますが、改めてこちらのほうの注意喚起だったり情報発信というのは、何か、今後検討されていることというのがあったり議論というのは何かあったのでしょうか。

(中川委員長)
今回は官庁による取組の確認を終了するというものです。意見先の経済産業省等が、私たちの意見に対してどういう反応をしましたかというところ確認の終了だけです。引き続き、自転車の事故については、もちろんその発生件数などは全て見ておりますので、これが増えるということであれば、我々が意見をした対策によらない事故なのであれば、これはまた再調査ということになりますので、その意味では、ずっとアラート状態が続いているところです。

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