記者会見要旨
(2023年4月20日(木) 12:30~13:13 於:共用1208会議室)
発言要旨
(中川委員長)
それでは、本日の調査委員会について、皆様にお話しいたします。
本日の調査委員会では、報告書の審議といたしまして、トランポリンパーク等での事故,及び木造立体迷路の床板の落下による事故の2事案を取りあげました。そのほか、公開のヒアリングといたしまして、幼児同乗中の電動アシスト自転車事故の意見先である経済産業省をお招きし、公開ヒアリングを行いました。この3つです。
このうち、木造立体迷路の床板の落下による事故につきましては、来月で調査開始1年になりますので、経過報告書を発表する予定です。1年では調査が終了しておりません。とはいえ、原因ははっきりしておりまして、腐食です。この5月から連休に入りますので、恐らく、全国の立体迷路について、どのようにこれを使うべきか、多くの設置者が悩んでいると思いますので、経過報告書を5月に出すのでは遅いと考え、異例ではありますけれども、今日、案文についていくつか出た意見を踏まえてこの後、1週間程度で事務局において経過報告書をまとめていただいて、来月の5月の委員会を待たずに、経過報告書だけを11か月目で出すことにしたいと思います。経過報告書で、腐食が原因であって、どれぐらいひどく腐食することがあるかについて、広く遊園地の運営者に対して情報を提供したいと考えております。それが、1点目です。
2点目は、トランポリンパーク等での事故で、これについては、本日、事故等原因調査報告書を決定いたしました。この件は、2020年12月に、消費者庁や国民生活センターが注意喚起を行ったけれども、頚椎骨折など、重大事故が複数発生していることを受けまして、調査を開始いたしました。事故の原因は、トランポリン遊戯や宙返りなどの危険と隣り合わせであるトランポリンパーク等の施設について、施設運営者も、利用者も、その危険性を認識していないということです。トランポリンというと、跳ねるクッションのように見え、一見安全そうですけれども、実際には体重の数倍になる反発力をコントロールしなければならない非常に難しい遊戯です。その遊戯自体がリスクを持っております。また、そのような遊戯で事故が起きているにもかかわらず、その遊び方のルール変更を施設者側で行っていないなど、安全性向上の意識のない運営者がいることも分かってきました。国際規格に準拠した安全性確保が行われていないわけです。また、監視員・指導員が不在の施設があること、実効的な利用者への危険性・安全性の説明がされていないということも分かりました。さらに、消費者アンケートを行いますと、宙返り等が危険であるということですとか、そういった危険性の認知度が半数以下であるなど、利用者もリスクを認識していない、あるいはリスクを知らされていないということがよく分かりました。以上を踏まえまして、再発防止策といたしまして、まず、経済産業省には、各施設運営者に対し、個別に安全への取組を要請、支援をする、ということを意見いたします。小規模施設運営者もいらっしゃいますので、そうした運営者にも実施できるような実効性に配慮していただくということが重要です。また、長期的には、トランポリンパークの安全性を確保するためのシステム構築、例えば、トランポリンパーク規格といった日本の規格みたいなものをつくることも検討していただくということを意見しております。具体的には、施設運営者にリスクを低減する対策の必要性を周知すること、継続的なリスク低減の実践や国際規格等に基づく設計などの要請、専任の監視員や指導員として公認トランポリン普及指導員の資格取得者の採用、資格取得の促進、そして、中長期的には、先ほど申しましたトランポリン規格の策定などです。加えて、安全への取組状況の自主的公表を促していただきたいと考えております。このほか、文部科学省には、公益財団法人日本体操協会に、施設運営者への技術的な知識の習得、リスク認識の支援等の協力を促すこと、また、消費者庁には、消費者へのトランポリンの危険性の周知、事故情報の提供をお願いしたいという意見です。以上が、トランポリンに関する本日決定いたしました報告書の内容です。
3件目が本日、公開でフォローアップを行いました幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故に関してです。経済産業省からは、設計上の対策など、私たちからの意見に対して、自転車安全基準などの改正の検討を進めていただいているという状況を御説明いただきました。これから改正をするということですので、本日はその改正された基準を公表することはできませんけれども、近いうちに、数か月のうちに、多くの基準が改定されるであろうというお話でもございました。かつ、その基準の改定の内容は、各委員から十分なものであるという発言もありました。ですので、改定を見てから最終的な評価をしたいと思いますけれども、本日のところは、かなりしっかりとした対応をいただいているのではないかという評価であったということを申し上げたいと思います。
続いて、部会の動きについて、委員長代理から、お願いいたします。
(持丸委員長代理)
委員長代理です。
まず、製品等事故調査部会です。今話のありました木造立体迷路の床板の落下の事故の報告書に向けた審議を行いました。
私が部会長を務めるサービス等事故調査部会では、本日公表いたしますトランポリンパーク等での事故の報告書に向けた審議を行いました。
私からは、以上です。
質疑応答
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問
NHKのシマダです。よろしくお願いします。
以前、この案をもらったのですが、案と比べて、今回の報告書で何か変わった文言とか。特に大きなところでは変わっていないという認識でよろしいでしょうか。 -
答
(中川委員長)
いつぐらいに入手されたのですか。数日前ですか。
(記者)
そうですね。
(中川委員長)
そうであれば、本当に微小な字句修正だけです。
(記者)
承知しました。ありがとうございます。 - 問 続いてなのですけれども、意見のところで、各セッションに要請していくというか、その支援という言葉があったのですけれども、この支援というのは、もう少し具体的には、どういったイメージになりますでしょうか。
-
答
(中川委員長)
ISOの基準とかは、なかなか難しいので、素人が読んでも分からないので、施設運営者のほうで、安全規格に対するあるいは安全基準に対する理解が今のところはどうも浸透していないということが分かってきましたので、具体的には、あなたの場合にはこういうことをしたほうがいいのではないかと、かみ砕いて説明していただくということを想定しております。 -
問
ありがとうございます。
常時監視のスタッフの運営を確立するとありましたけれども、やはり小規模なところだとなかなか経済的な苦しさもあると思うのですけれども、そういったところの支援というのも想定されている、そういった意味での支援というのも、その経済的な支援みたいなものも想定しているというイメージでしょうか。
-
答
(中川委員長)
経済的支援は必ずしも入っていないのではないかと思います。委員長代理からこの点いかがですかね。
(持丸委員長代理)
支援という中で、別に決めているわけではないです。政策的判断ですから、もしかしたら経済産業省でこれは何らかの経済的支援をしましょうということになることもあるかもしれませんが、我々部会として想定しましたのは、今、委員長から話があったような件、並びに、日本の小規模事業者も含めた団体すらまだないので、団体を組織するということも支援の大事なアクションでして、そういうところで組織化をした上で、その人たちが自主的にそういう規格を自分たちにも使えるように直していくということを支援するというイメージがメインでございます。 -
問
分かりました。ありがとうございます。
最後に、委員長、改めてなのですけれども、今回の件は、施設運営者だけではなくて、利用者のほうにも、ある種、トランポリンの危険性をちゃんと十分に知っておくというところが求められるところなのですけれども、その点を含めて、改めて、委員長から、コメントというか、もう一度お話しいただけますでしょうか。利用者に対しても含めて。 -
答
(中川委員長)
利用者に対してということであれば、まず、トランポリンはクッションではないという認識を持っていただきたいと思います。トランポリンというのは、自分を跳ね上げるためのもので、したがって、跳ね上げた後、どうやって着地するかは自分の力でやるということですので、どのようにして着地していくかということをまずは教わっておかなければいけないということです。教われば、体力があれば、かなりの人は大丈夫、安全だと思いますけれども、その意味では、どのように遊ぶのですかということをしっかりと教えていただくような施設で遊んでください、ということが、まずは自分を守る方法だと思います。
(記者)
分かりました。ありがとうございました。 -
問
読売新聞のイトイです。
今の支援のところでまた伺いたいのですけれども、国際規格というのをどういう形で具体的に小規模施設も含めて周知していくべきなのかというのを、今、業界団体という話もありましたけれども、ISOというのは、先日のレクによると、なかなか伝えることが難しいというか、販売されているものなので、なかなかここにも載せられないし、なかなか伝えられないというお話だったのですけれども、どうやってもうちょっと具体的にやっていくのか、教えてください。 -
答
(持丸委員長代理)
まず、皆さんにお配りできなかったのは、著作権がある著作物ですので、そこは御理解ください。いずれにしても、まず、第一歩は、あることを知っていただくということですね。今回の中にも出ておりますが、そんなことがあるのも知らなかったという方が多いので、まず、あることを知っていただくことです。当然、あるのだから、それを購入していただくということになります。最初のハードルは、こう言ってはなんですが、まず、言語です。英語で書いてあるよね、これというところで、それを既に訳すところでハードルが高いかもしれません。そういうところを、先ほど申しましたように、各社でやるだけではなくて、何らかの組織体をつくって、そこで翻訳をしていく。翻訳をしていく段階で、私はそういう翻訳規格にはたくさん携わっているのですが、その中に入ると、これは何を言っているか分からないねというものも結構出てくるのですね。それについて、ISOに関わった人に聞いたり、あるいは、独自に解釈をしたりしていく。その段階で、今度は、事業者のそれぞれの特徴があるので、それってうちに適用するときにどうしたらいいか分からないという話が出てくるのですね。これをどこまでやるかなのですが、例えば、我々は、よく標準でやるときに、解釈マニュアルというものをつくることがあるのですよ。ISOでこうやってガイドラインを書いているのだけれども、それを、このような特徴を持った小規模事業者がやるときには、具体的にこのようなサイズにしましょう、このような高さにしましょうという形で押さえていく。それを、事業者だけではなくて、専門家が入って一緒に議論できるようにする。私が先ほど申し上げたそういう場をつくる支援を各省庁にやっていただいて、こう申し上げてはなんですが、省庁の担当者は別にその事業者のビジネスの詳細を知っているわけではありませんので、そこは事業者さんと専門家が入って、具体的に決めていくと。そのような感じになるのではないかと期待をしております。 -
問
ありがとうございます。
その主導をするのは経済産業省という理解でよろしいでしょうか。 -
答
(持丸委員長代理)
そうですね。「主導」という言葉が適切かどうか分かりませんが、少なくとも、もちろん、業界の幾つかのところが自主的に集まって、俺たちでこれが出たからやろうと言ってくだされば、それを、経済産業省が、我々もそこに同席させていただいて一緒にやりましょうという感じで、極めてスムーズに進むかもしれませんし、残念ながらなかなかそういう声が大きく出てこない場合には、やはり経済産業省のしかるべき部署が、ある程度、そういうところに声をかけて組織化をしていくということもやっていただく必要があるかなと思っています。
(記者)
ありがとうございます。 -
問
朝日新聞のコイズミです。
今の関連でちょっとお伺いしたいのですけれども、安全規格の策定の流れみたいなものは大体分かったのですが、これは中長期的な施策ということですけれども、例えば、大体何年以内ぐらいでできるとか、何か想定みたいなものはありますか。 -
答
(持丸委員長代理)
なかなか難しいですが、こんなことを言って、皆さんは残念かもしれませんが、意外とこういうものを翻訳して合意していくというのは時間のかかるもので、極めてスピーディーに進んだとして、1年で国内の規格がうまくできるとは、経験的には、なかなか思えません。ただ、こういう事案ですから、急いで、さっさとやらなければならないということで、とにかく業界が組織化できて、かなり頑張ってやれば、1年、2年待たずに、少なくともベースの部分の翻訳規格はできるのではないかと。その上で、その翻訳規格をつくったときの様々な疑問点に関する解釈マニュアルみたいなものをもし追加でつくるとしたら、それがもう1年かかる。中長期的と言いますが、大体標準というのは、国内でつくるにもそれぐらいの時間が一般的にはかかるものでございます。
(記者)
3~4年ぐらいということですか。
(持丸委員長代理)
いや、3~4年よりはもうちょっと短くいってほしいですね。つまり、最初の規格が1年半ぐらいでできて、その追加の詳細の規格までいくと2年半ぐらいでできるぐらいのペースで進むとありがたいなと思っております。
(記者)
分かりました。ありがとうございます。
(中川委員長)
私から念のために付け加えておきますけれども、今お話しになっているのは中期的な施策です。だから、2年か3年かというお話であって、取りあえずすぐにしなければいけないのは、例えば、宙返りを勝手にやらせるな、宙返りをするのだったらちゃんとこういう指導を受けてくださいとか、非常に分かりやすい部分です。それから、できれば、規格よりももう少し早くできるのは、指導員、監視員ですよね。跳ねた後、適当に着地すればいいわけではないのですよと、ちゃんとこのように両足で着地してくださいということを教える。非常に簡単と言えば簡単なのですけれども、そのレベルからきちんとやっていこうというわけです。そのレベルであれば、すぐにできる話なのですよ。これでかなり事故は防げるはずなのです。その上で、今後、この産業は広がっていく可能性がありますので、そこに向けては、中期的に、新しく新規参入する企業さんも、なるほど、こういうことをやらなければいけないのだという標準が分かるように、規格をつくりましょうということです。なので、規格ですぐに安全にしようという意味ではなくて、今すぐやらなければいけないことは、先ほど言ったような非常に単純なことを、まずは、施設運営者に経済産業省から連絡してもらう。できれば業界団体をつくっていただきたいのですけれども、それはちょっとまだ分かりませんけれども、そういう形です。緊急にやることと中期的にやることと2段構えですので、規格ができるまで何もしないというわけでは全然ありません。そこは誤解のないようにお願いいたします。
(持丸委員長代理)
私からも。
全くそのとおりでして、特に、今回、こうやって発表して、宙返りは、とにかく気をつけてください、結構リスクがありますよと申し上げているのは、実は、事業者の中には、既にそれは1回やめたところもあったと我々の調査の中では出てきていまして、ただ、利用者から、何でだよ、やらせてくれよと言われると、腰が折れてしまうのですね。いや、利用者の皆さんがやりたがっているから、やはりこの中止は取りやめにします。今回は、我々から、あなたが中止しているのではなくて、我々が中止を勧告しているから、つまり、利用者に、いや、うちはやらせてあげたいのだけれども、消費者安全委員会から強くこう言われているのですよと、そう断れるような形をつくってあげたいと、そのような感じもあります。 -
問
ニッポン消費者新聞のマルタです。
確認なのですが、意見の中で、消費者庁長官への意見なのですけれども、この事故自体は、事故情報データバンクに寄せられていると書いてありました。それで、消費者庁長官への意見の中に、一番最後のところに、収集されたトランポリンパーク等での事故情報をということであります。これは事故情報なのですけれども、収集のルートなのですけれども、遊戯施設の場合は、遊戯責任者、トランポリンパーク運営責任者に対する報告義務というのがあるかないか。ないのではないかと思っているのですけれども、今回、経済産業省に対して、個別に事業者に要請するということの中に、いろいろと改善策を提案されているのですけれども、事故情報の収集ということもこの経済産業省の要請の中に入っているかどうかということを確認したいと思いました。 -
答
(中川委員長)
そこは、私の理解では入っていないと思うのですけれども。事故情報収集で支障があったという認識は、特にこの事件であったというわけではないので。御質問は、その点でよろしいのですかね。
(記者)
事故の収集体制が、これに限らず、これは個別案件ということで考えると、関係省庁に対して、言うことに対して、要請すること、事業者に要請することに対して、事業者の注意喚起を促されて、自分たちで、注意喚起、注意をされるというところが、一般的に、前にあったのが、遊戯施設の責任、管轄責任官庁ってどこなのかと前にあって、今、この段階では経済産業省ということですので、それと、事故情報データバンク自体は消費者安全法に基づいて大枠が書かれていますけれども、消費者安全法の場合は、事故を知った自治体の長とか、関係省庁の長、国民生活センター長が知らせると。トランポリン自体の製品の問題になると、消費生活用製品安全法に基づいてメーカーということになってきますけれども、この遊戯施設、つまり、サービスを提供しているこういうところの事故が発生した場合は、どういう形で来るのか。消防庁、これは行政ですよね。だけれども、施設自体の責任といいますか、そこと考えると、今後の安全規制体制を考えるならば、そういう事業者、つまり、これまで義務化されていないところの事業者の責任として、事故情報の報告ということを、きちんと、努力義務が、個別案件ですから、要請されたほうがいいのではないかと思って、経済産業省はやっているのではないかと思いますけれども。
(中川委員長)
恐らく、役所的には、こういう指導をした以上、何かあったら知らせろというのは当然のように言うのではないかと思います。なので、その点は、特に私たちは気にしていないというか、やるのではないかという当然の前提があったので特に書いておりませんけれども、そういうことが、1つ、答えですね。
それから、もう1つ、事故情報の収集がどこかで目詰まりが起きているのではないかと、これは前から事故一般についてはいろいろなところで非常に感じるところがあって、今回は特に感じたことはないのですけれども、だから、トランポリンパークに限って事故情報の誰に義務づけをするかということを報告書で出すというのは、少し筋が違うかなと。もっと全般的な話、一般的な話ですので、それはまた別途の機会にそういうことを検討する時間があればいいなと思っておりますが、ただ、なかなかそれを検討する時間が今は全然なくて、やることがたくさんあって、その点の検討が進んでないと言えば進んでいないかもしれません。 -
問
再び、読売新聞のイトイです。
国内規格を新たにつくるということなのですけれども、これをつくった場合の、管轄するというか、その国内規格の責任の母体となるところは、これも経済産業省と考えていいでしょうか。 -
答
(持丸委員長代理)
これは、今、私から確定的にお答えすることはできませんが、日本の規格というのは、基本的に、主務省庁が最終的に制定するということになっていますので、どこかの省で監督して制定することになるだろうと。今回、サービス業として経済産業省が見ているということですので、やはりこういうサービスに関連する安全性というのは、その流れでいくと、もし国内規格をつくるとしたら、経済産業省が所管する形でできる可能性もあるということになります。
また、最近ですと、国内規格というJISみたいなものをつくらずに、フォーラムの標準をつくったりとか、JSASという日本規格協会が審議する標準をつくったりという形で、これはかなり早いのですね。JISよりもかなり早いので、もしかしたらそこは私が今言っているオーソドックスな流れではないものになるかもしれません。 -
問
ありがとうございました。
これはちょっと細かいのですけれども、英訳をしなければいけなくて、やはり3~4年かかる可能性もあるということだったのですけれども、この英訳というのを、その事業者団体などができなかったら、やはり誰もなかなかしないし、できないと思うのですよ。その場合、どうすればいいのか。 -
答
(持丸委員長代理)
ちょっと一般的になりますが、私どももこういうものに専門家として加わって、事実上、我々が翻訳をするというのはよくあることです。最近は、結構翻訳の道具もそろってきていますので、例えば、訳をそれでやった後、我々がざっと和訳をして、今回は日本語に訳すわけですが、我々みたいな人、研究者とか、そういう人がやる場合の最大の問題は、専門の用語がよく分からないのですね。それをそのまま片仮名で訳してしまったりすると、これも、最後、業界の人から、それはうちで何々と言っていますとかというようなものを合わせていくと、そのような感じで進めるのが多いですね。 - 問 経済産業省がやるとかではなくて、皆さん、学者の方々がやるのを業界団体としては待つというか、そういう感じ。
-
答
(持丸委員長代理)
ちょっと違います。専門的な質問になるのですが、JISとかいうものをつくるときは、3つの人が集まることが約束になっているのですね。1つが事業者、もう1つが利用者、そして、我々みたいな中立者なのです。3者が集まった中で、もちろん一番重要なステークホルダーは事業者なのですが、我々中立者もその事業者ができないところを助けて一緒にやるという形で、我々がつくって事業者の方がチェックするとか、そのようなタイプのものではなくて、もちろん事業者中心にやる中で、最初の翻訳はやってくれませんかとか、そのようなことを頼まれることはございます。 -
問
分かりました。
これもちょっと細かいのですけれども、そうなると、事業者団体なり、事業者、経済産業省に呼びかけたり、そういうのがあって、動きがないと、なかなか進まない。 -
答
(持丸委員長代理)
おっしゃるとおりです。幾つかありますが、本当にJISみたいなものになると、やはり、ある程度、事業者には、ちょっとあれですけれども、公平に声がかかって、うちは参加しないとかいう選択肢はありですけれども、ある程度、組織化ができないと具合が悪いというところがあります。先ほどのデータが集まってくるかどうかというのも、実は、事業団体ができると、多くの場合、事業団体でもデータを集めたりしますので、そういう意味では、ここは経済産業省への期待ですが、何らかの形である程度組織化ができるといいのではないかという気はします。 -
問
日本消費経済新聞のアイカワです。
1点、お教えいただきたいのは、フォームピットに飛び込んだ事例なのですが、フォームピットというのは、プールのようなところにスポンジを詰め込んでいるというものなのですが、アメリカの基準の1.5メートル以上を満たしているところは3施設しかなかったということになっているのですが、この3施設では、底に、ハンモックのような、もう一つ、マットのようなものが、基準に沿った形で設置されていたのでしょうか。 -
答
すみません。事務局のほうでも、我々部会のほうでも、そこまでは把握しておりません。
- 問 実は、ISOとか、米国のASTMの規格とかが数万円もして、購入をして、英訳をしなければならないということは理解いたしました。それで、私は事務局の方にしつこく聞いて教えていただいたのですが、ここに書いてくださっているトランポリンの何か、ここに書いてくださっているものも、何度も説明していただいて、ようやくハンモックのようなものを下に敷いて、床からの高さと上からの高さが決まっていて、その飛び跳ねが強いものと飛び跳ねが弱いもので、それぞれ基準がつくられているということが、何度も説明していただいて、ようやく分かりました。そして、今度は床から天井までの高さが5メートル以上あるようなことを求められているとか、そういうものも書いてくださっているということを教えていただきました。ただ、事故調の報告書の中に、そういうものをもうちょっと分かりやすく入れて、本当に、このまま、こんな悠長なことをしていて、死亡事故が起きないのでしょうか。これは、本当に、何か間違ったら、レントゲンなどから、死んでいたかもしれないと、専門家の方は、皆さん、おっしゃっていて、そんな悠長なことをしている場合なのか。1年もそれを訳すのにかけて、その解釈に1年もかけて、一体いつその施設は改善されるのですか。そんなところで自分の子供たちを遊ばせられますか。
-
答
(中川委員長)
まず、私からいいですか。
先ほどもこの件は話題になりましたけれども、この規格を翻訳していくという話は中期的な話です。今すぐの対処は、また別にやっています。今すぐできることは、要するに、勝手に遊ばせるな、ということなのですね。どのようにして遊ぶのか、誰がどのようなことをしていいのか、一緒に、同時に跳んでは駄目だと、そういった最低限のレギュレーションさえない現状ですので、それを、まずはレギュレーションをやってください。これも先ほど話題になりましたが、利用者から、何でそんな制限をかけるんだと言われますので、それに対しては、行政から、経済産業省から、そういう指導が来ていますと。これはよく事業者が使う言い訳ですけれども、非常によく効くのですね。「行政から言われているので、私たちは、やむなく、こういう利用の仕方を規制します、レギュレーションをします」という言い方でよいので、まずはやってください。それだけで、かなり違うだろうと。非常に単純な形で事故が起きています。その上で、この規格というのは、もっとこれから大規模にトランポリンパークを整備するという産業に育つときに、このような非常に様々な設計をきちんと工夫されたもの、漏れがないようなものをつくっていきましょうということです。むしろ、規格は、今後、産業が育っていくときのためのものだと考えていただくのが適切かと思います。今これで何とかしようという問題ではないというところと切り分けていただきたいと思います。 - 問 親が、切り分けられない。例えば、そこのところに頭から飛び込まなければ、本当に骨折はしないのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
なので、これはいろいろなところに骨折の危険があるのです。先ほど言ったように、トランポリンはクッションではないですから。だから、どのようにして遊んだらいいかというところを適切に教えてくれるところにだけ行ってください、もっと言えば、監視員がいるところにだけに行ってくださいというのが、消費者として、今すぐできることです。それは知りませんと言われたら、あとは事業者が改善するまで待たなければいけないので、それは時間がかかるでしょう。事業者全体が規格によって改善するというのはなかなか時間がかかると思いますので、まず、消費者がやるべきこと、自衛する手段としては、まともな事業者のところに行ってくださいということになります。 - 問 ただ、消費者事故調は、この3つの行為を禁止しましょうとはっきり言っていませんよね。はっきり言っていなくて、すごく曖昧な言い方の意見しか出ていないのですよ。これはもう事故調が、禁止してくださいとはっきり言うのですか。だって、意見が、リスクを低減する対策の必要性を周知って、何ですかという感じです。だったら、ここは事故調が禁止しなさいと。何ではっきり言わないのですか。この文章を読んで、それって伝わりますか。
-
答
(中川委員長)
施設運営者には伝わってもらわなければ困るなと思っておりますけれども。 - 問 施設運営者だけに伝わっても、国民に伝わらないといけないのではないですか。
-
答
(中川委員長)
国民には、先ほど言ったように、トランポリンは危険です、遊びですけれども、危険を伴っていますので、きちんと教えてくれるところに行ってくださいというのが、消費者に対するメッセージになります。
他方、運営者に対しては、およそリスクを理解していないような運営者が多いということで、まずは、そのリスク、遊び方の規制から始めてくださいということをすぐに言うということですよね。
宙返り等について禁止していないというのは、ほぼこれは禁止なのですけれども、ただ、絶対に駄目かというと、それができる人もいるわけですよね。誰ができるのかというところのレギュレーションをしてください。基本的には、そんなに簡単に宙返りなどはできないらしいです。競技の場合でも、まずは、最初は宙返り禁止だそうですので、遊戯といっても、本当にいろいろな宙返りがありますので、その意味では、宙返りだから全部禁止とすればいいかというと、ほかにどんな遊び方があるか、いろいろと危険な遊び方もありますので、それを、一つ一つ、今、全部分かるわけではないので、宙返りという一つの象徴的なものを出して、これはこれだけ危険ですから、基本的にやめてくださいという趣旨で書いてあるわけです。 - 問 事業者の方たちが、勝手に誓約書を書かせて、自分たちの判断でどうしてもやりたいというのであればやっていただいて、その代わり、実際に何か事故が起きたときも責任を負いませんみたいな誓約書を書かせていると。今後もそういうことが絶対に考えられると思うのですね。消費者契約法上で、そういうものは無効です。明らかに無効なのだけれども、そういうことも事故調は何も言及していないし、今回のこれだけを言っても、本当にやりたいといったときに、誓約書を書かせてやるということが考えられるのではないですか。
-
答
(中川委員長)
その点は、大分議論になりました。恐らく無効なのだろうという考え方ですけれども、ただ、私たちの所管として、消費者契約法の解釈を言えるわけではないし、いろいろと議論した結果、あえて言及していないということです。 - 問 どういう議論があったか、覚えていますか。
-
答
(中川委員長)
先ほど言ったように、消費者契約法に恐らくは違反して無効のはずですけれども、それを周知しなさいというところを、消費者安全調査委員会としてやるべきなのか、それはむしろ消費者庁の消費者契約法の所管課ではないかということがメインの話ではありました。ここは、本当に言うべきではないかという意見も強かったし、私もそういう感じを持っていたのですけれども、最終的には、今回はそれよりも先にどういう遊び方をさせるのかということをちゃんと教えてくださいと、そもそも認識を持ってくださいというところに焦点を当てたというわけです。 - 問 だから、このぐらいの言い方だと、その要望が強く、お金を払って皆さんは遊びに来ているわけですから、やりたいといったときに、禁止されているとまでは言っていないと読めるので、そこがやはり心配です。結局、同じようなことが繰り返される可能性を残していると思うのですけれども。
-
答
(中川委員長)
それはフォローアップをしますので。その後、この事故が、フォローアップの前に、フォローアップは大体1年ぐらいかけますけれども、その前に事故が起きるようであれば、恐らく再意見ということになろうかと思います。今回は法制化は踏み込んでいないのですけれども、もちろんその可能性も含めて考えることになろうかと思います。
(記者)
ぜひ期待しておりますので、よろしくお願いします。 -
問
TBSテレビのタケモトと申します。本日は、よろしくお願いします。
1件は、改めての質問になるのですけれども、今、直近で消費者ができる行動としては、自分で安全な施設を見極めて利用することということになると思うのですけれども、改めてどういった点がポイントなのかということを、簡潔にまとめて、もう一度、お話しいただけますでしょうか。 -
答
(中川委員長)
トランポリンはどのように使うとどういう危険があるかということを、まず、分かりやすく説明してくれていること。トランポリンは安全ですよ、と言うのではなくて、トランポリンはこういう危険が伴います、ということを正直にまずは説明してくれていること。そういう掲示があるとか、そういう説明を受ける機会がある。そして、どのようにすればその危険を防ぐことができますか、基本的には、どうやって着地したらいいのですかとかですね、それから、複数で飛び跳ねてはいけませんとか、そういう注意事項がしっかりある、それを守らせているというところ、これは見ていれば分かると思います。前の人がどんなふうに遊んでいるかということですよね。考えてみれば、特に小さなお子さんの保護者という観点からすると、これは当たり前のことかもしれません。子供をどうやって遊ばせるかについてきちんと教えてくれている施設かどうかということ、野放しにしていないということですよね。そういう意味では、非常に常識的に注意を働かせていただければ見分けることができるのではないかということです。野放図なところは駄目だと、使うなということです。 - 問 念のため、確認したいのですけれども、今回の報告書は、宙返りなどの行為だったり、複数人利用を禁止するということで提言しているということなのですか。先ほどそういった形で事業者に伝わらないと困るとおっしゃっていましたけれども、これは実際のところはどうなのですかというのを改めて確認したいです。
-
答
(中川委員長)
これは、ほぼほぼ禁止だと思います。ここに書いてあるような危険を回避できるような跳び方があるなら見せてくれということですので、回避することはまず難しいと思います。ところが、先ほど言いましたように、ごくごく小さな小規模事業者もありますので、そこで、宙返りというか、でんぐり返しみたいな感じで子供が遊んでいる、それが危険でないということもあり得るわけですので、総合的に考えて、ここで何歳以上の人がどういう跳び方をしたらそれは危険だ、これは危険ではない、宙返りといってもいろいろな宙返りがあると思いますので、本当のきれいな意味での宙返りもあれば、それに限りなく近いけれどもそうでもないものもあろうかと思います。様々な状況、様々な跳び方、様々な年齢の方がいますので、なかなか「宙返り禁止。」とは言いづらいのでこういう書き方をしたわけですけれども、宙返り自体がどれぐらい危険を伴っているかということをよく考えてくださいということですから、それは、基本的には、それを防ぐ方法がない限りは、禁止だという趣旨です。
(持丸委員長代理)
委員長の言ったとおりなのですけれども、トランポリンパークも含めて、これは、遊戯であり、少し進むとオリンピックの競技にもなるスポーツでもあって、このようなところからスポーツに進む人もいる土壌でもあります。宙返りは、実際にプロなり競技者はやっているわけですね。そのためには、きちんとした、恐らく指導員みたいな者がついて、もっともっと低い高さの頃から、こうやってやるのですよと手を添えて何とかをするとか、そのようなことが行われるのだと思います。そのようなことをしっかりやっているようなところであれば、そこまで我々は立ち入って、禁止、とにかく一律でやってはいかぬのだと言うようなことはない。ただ、やはり遊戯としてやっているときに、オリンピックの選手がやっているから俺もやってみようというのは極めて危険ですよということを、消費者も理解してほしいですし、やはり事業者もしっかり理解をして、そこはうちは指導できないのだからやらせないと、そのような形を我々は要請しているということになります。
(記者)
ありがとうございます。
(中川委員長)
皆さん、宙返り禁止に関心があるようなので、簡単な例を挙げますね。宙返りをするというときに、指導員がいて、背中を支える。これも宙返りですけれども、それは別にいいのですよ。だから、宙返り一律禁止とは書けないですねということなのです。指導員がいるのであれば、それは安全に遊べるわけですよね。それもいないのに、勝手にぽんぽん宙返りさせるということを許しているということであれば、これは禁止です。なので、宙返りが禁止であるわけではなくて、サポートのある宙返りは、それはあり得るということなので、こういう書き方になったというわけです。
(記者)
ありがとうございます。
私も、実はトランポリンパークは実際に取材させていただいていて、そこは元体操選手の方がやっているところで、一律に宙返りを禁止していないということだったので、そういったものが、今後、国内ルールとして駄目なのかという点を含めた質問でした。ありがとうございました。