記者会見要旨
(2022年11月29日(火) 16:33~16:51 於:消費者庁記者会見室)
発言要旨
(中川委員長)
よろしくお願いいたします。
本日の調査委員会では、最初に公開ヒアリングを行いました。令和3年6月25日に委員会として意見を述べた自動ドアによる事故のフォローアップとして、経済産業省と国土交通省に出席いただき、調査委員会からの意見に対する取組状況について、公開でヒアリングを行いました。
経済産業省からは、対応状況といたしまして、第一に製造業者または保全業者の関係団体及び商業施設団体に対しての自動ドアの安全対策に係る対応の要請及び周知を行ったこと、第二に自動ドアのセンサー検出範囲の確保、第三に通行者への周知、第四にJIS規格の改正、第五に全国自動ドア協会のJIS準拠安全ガイドブックの改訂等を行ったという説明をいただきました。
一方、国土交通省からは、日本建築士会連合会等の設計関係の団体に対して周知を行ったという説明がありました。
これに対して、我々としてどのようなさらなる対応を求めるべきか、今、検討中です。検討を終えた後、両省にお伝えをしたいと考えております。
このほか、本日の委員会では、報告書案の審議といたしまして、二つ検討を行いました。一つがトランポリンパークでの事故、もう一つが学校事故であります。
今日は大変残念なお知らせなのですけれども、トランポリンパークの事故については、12月の決定を予定しておりましたが、うまくいけば12月にできますけれども、もしかすると1か月遅れるかもしれないという状況になりました。
まず本件事案についての説明を改めてしておきますと、2021年6月に調査を開始したものです。事故情報データバンクには2017年1月から2022年5月までの約5年4か月間にトランポリンに関する事故が50件登録されております。そのうち、遊戯施設等でのトランポリン使用によって発生したと考えられる事故情報は31件、うち重大事故が3件です。3件というのは、2020年に1件、2021年に2件です。
トランポリン遊戯の危険性は、今日の審議でも出てきたのですけれども、クッションがあり、弾力があるので、安全だと多くの人が考えているけれども、実は体に,非常に不自然に強い力がかかって、本質的に極めて危ないものです。しかしそのことがおよそ一般に理解されていない。そして、施設運営者も十分には理解していない。それが現状であることをまず報告書では位置づけて、そして、どのような対応策を取るかを示すことを準備しておりました。
本日、異論がなかったところでは、例えば設備、レイアウト等で、まだ発行しておりませんが、近々発行されるであろう国際規格(2022年11月発行:事務局確認)がある。それに基づいた安全水準を目指すべきであるとか、監視員が常に必要であるとか、先ほど申しましたように、そもそも危険な遊戯であり、不自然な跳躍をしていることを消費者に対して周知する。こういった柱で行くということについては、異論がありませんでした。
今日ほぼ決まると思っていたのですけれども、私たちの言うことを素早く関係者に理解してもらうためには、危険の認識さえしていない施設事業者に対して、アセスメントをしなさいという抽象論だけでは何も動かないだろうということで、私たちのほうで何をどう見るかの具体化など我々でやるべきことがあるのではないかということが,議論になりました。
具体的なところは比較的早く書けるのではないかということではありましたけれども、それも含めて、あと1か月で全部の書き加え作業ができるかまだ分かりません。うまくいけば12月、つまり次回で決定できる。そうでなければ、1月の決定になります。なお、1月の会議は、1月中で調整できなかったので、2月2日開催予定です。
これがトランポリンパークです。
もう一つ、今日審議を行いましたのが、学校事故の報告書です。学校も,非常に危険な状態が放置されている、非常に危険な状態なのに全く認識されていないという意味で、トランポリン遊戯の案件とよく似ております。
これも年内の公表を目指しておりましたけれども、トランポリンのほうで、急遽報告書案にいろいろ書き加えたり、修正したりということになりましたので、それに押される形で、学校事故のほうは早くて2月、あるいは3月、そこら辺まで延びてしまう、押し出されてしまうのではないかと思っております。
学校事故の報告書については、以前から記者会見で発言しておりますけれども、学校の安全点検そのものが機能していない。学校の先生は安全の専門家ではありませんので、そもそも何を見ていいか分からないのに、点検をしろと言われており、実際には点検として機能していないということが分かってきております。なので、学校の先生の負担を増やさない形で、どのように安全を確保していくかという方向での意見の取りまとめを行っているところです。
先ほどのトランポリン遊戯と似ておりますけれども、安全対策をやりなさいと抽象的に言うだけでは駄目で、こちらである程度分かりやすく、そして、専門性が乏しくても実行できるような形でやるべき事柄を示したいと思っております。どこまでマニュアル化するかというのは難しいですが、少しでも分かりやすい形、明確な形で方針を示して、そこまでつくってから報告書にしたい。そうしないと、フォローアップしても、結局いつまでたっても何も変わらないということになりますので、我々自身がどこまで細かいところまで詰めるかというところで、時間がかかっているということです。
以上が本日の本会議です。
続いて、部会について、委員長代理からお願いいたします。
(持丸委員長代理)
申し訳ありません。今日は遠隔におります。委員長代理の持丸でございます。
部会の動きを説明申し上げます。
まず製品等事故調査部会ですが、こちらはエステサロンでのHIFUによる事故の報告書に向けた審議、それから、木造立体迷路の床板落下の事故があったのですが、これについて調査状況の報告と議論を行いました。
それから、私が部会長を務めておりますサービス等事故調査部会では、ただいま委員長から御報告がありました2件、学校事故の報告書に向けた審議、トランポリンパークの事故の報告書に向けた審議を行いました。
私からは以上でございます。
質疑応答
-
問
朝日新聞のテラダです。お願いします。
トランポリンパークの報告書が1か月遅れるかもというお話で、アセスメントとおっしゃっていましたけれども、それはどういうことで、何が必要だと考えられている状況でしょうか。 -
答
(中川委員長)
ISOによると、個々の施設でどの設備をどのように使うと、どのような危険があるかを一つ一つ評価していかなければいけないのです。危険をどのように低減するかという対策、監視員をどういうふうにつけていくかなどを具体的に考えていかなければいけません。
これは私が言うより、持丸委員長代理にお話しいただくほうが正確だと思いますけれども、取りあえず私で分かる限りでお話ししますと、どんな危険があるかをまず理解して、それは施設ごとに違うので、我が施設のトランポリンはこんな大きさがあって、あるいは何台あって、複数利用するとか、あるいは使っている人が多いとか、あるいは何歳ぐらいの人が多いとか、そういうことも含めて、どのような危険がどの程度の確率で起きそうか、それを防止するにはどのような監視の仕方があるか、あるいはどういう使用ルールをつくるか。そもそも複数利用は禁止とか、こういう場合にはいいですとか、これだったらいいですとか、そういった個別の施設ごとのルールをつくっていくというのが、本来あるべき姿なのです。けれども、そもそもトランポリンが危険だと思っていない施設運営者にそれをやってくださいといきなり言っても、何のことですかとなって、いつまでたっても何も変わらないだろう。
そこで、例えばこの人に頼んでください、こういう専門性のある人がいるのです、まずこの人にコンタクトを取ってくださいといった形で、分かりやすいガイダンスをこちらでつくる、ガイドブックみたいなものをつくるところまでは私たち委員会側でやったほうがいいのではないか。ガイドブックまでいかなくても、ガイドラインみたいなものです。そのようなノウハウをある程度こちらで明確にした上で、各省から参加の事業者に対して、このようなノウハウを伝えてくださいというところまでかみ砕いて意見を出さないと、実効性がないのではないか。
今日そういう意見が多数を占めまして、それはそのとおりだということで、それをつくるためにもう少し時間がかかることとなりました。つくること自体は比較的すぐにできると思うのですけれども、それをつくった上で書き込む。報告書は大分かかりますし、さらに詳細になっていきますので、書き換えて、かつ委員のオーケーですという承諾まで取ってということになりますので、うまくいけば12月に決定ですけれども、さらにこういうことが書けるという意見が出てくると、12月では決まり切らずに、次の月、1月期の会議である2月2日になる可能性もある、こういう見通しです。
持丸委員長代理から、いかがでしょうか。
(持丸委員長代理)
委員長からの説明のとおりなのですけれども、少し補足をいたしますと、ISOというところで、今、安全基準がトランポリンパークについて議論されておりまして、もう最終段階で、Final Draft ISというところになっていますが、ほとんど修正なくISに一般的には採択されるものであります。既にFinal Draft ISは手に入れることができますので、それを基に検討いただくこともできます。まずはこういう状況にあります。しだかって、こういうものをいち早く手に入れて、それに準拠して安全性を図ってくださいということが、まず最初のメッセージになります。
一方で、これはISOの一般的な方法論なのですが、トランポリンパークは、各国、各施設によって細かにいろいろ違っていて、全てにおいてこれは駄目、これはいいということは一概に言えないので、どの施設でもしっかり安全を担保しなければならない最低限のところは守らなければいけないことで書いてあります。それは今回守っていただいたらいいのですが、それだけで本当に十分かというと、そうでもなくて、各施設において、うちは小さいトランポリンが多いから、複数人で跳ねるのは危険だからやめにしましょうとか、そういう判断を個別にしていただく必要がある。これが専門的にはリスクアセスメントという工程になるのです。
その工程についても、今、委員長から指摘があったように、そう言われてもよく分からないから、具体的にどうしたらいいのかというところまで書いて、こういう点について個別に考えたらいいのではないかということまで委員会の報告書で伝えないと、実効性がないのではないかという御意見をいただいて、その部分を修正して、もう少し具体的なアクションが取れるようなレベルまで整えましょうという、そんな状況でございます。 -
問
ありがとうございます。
そうすると、ISOがつくった規格があって、これを使ってくださいとぽんと出すのではなくて、もうちょっとそれを個別の日本の企業に当てはまるようにどうしたらいいかということをこちらでつくるというイメージですか。
-
答
(持丸委員長代理)
個別にどうするかを書き込むことはなかなか難しいです。ただ、個別に何をしなければいけないか、どこに目をつけて、どういう人に相談して、何をしなければいけないかということまでは書き込めるのではないか、そういうイメージです。
(中川委員長)
今、持丸委員長代理がおっしゃったのは、報告書に書き込めるかという話です。質問があったのは、国際規格にどこまで書いてあるかだったと思います。
(持丸委員長代理)
国際規格は、今、申しましたように、そこまで細かくは書いていなくて、例えば監視員が常時監視しなければいけないとか、そういうことは書いてあります。
一方で、どの施設でも複数人で跳ねてはいけないとか、そういうことまでは書いていなくて、そこについてはこういう点に留意しましょうということが書いてあるのにとどまっています。
(中川委員長)
大枠だけ書いてあるのです。絶対に監視をしておけとは書いてあるけれども、こういう飛び方をしてはいけませんといったことまでは書いていません。それは施設に応じて様々だからです。上級者だけが使用するところもあれば、そうではないところもあるので、そこまで一律に国際規格でこうしろと言っているわけではない。したがって、使用者のレベルであるとか、設備によって、危険なものもあれば、大したことがないものもあるので、そのリスクは運営している施設ごとに考えましょう。そういう意味では自由度があるわけです。各施設の自由度と、それから、最低限こうでなければいけないというところの両方を両立させるのがISO、国際規格なので、そういう意味では、本当に最低限のことがまずは書いてあって、そのうえで、最低限のことだけをすればいいわけではなくて、ちゃんとリスクをアセスメントしなさいという、そういうことが書いてあります。
アセスメントせよいきなり言われても、各事業者は無理でしょう。なので、そこら辺についてヒントになるようなことを報告書に書き込めないかという御提案があって、ぜひそれでいきましょうということになったわけです。 - 問 ありがとうございます。
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問
(司会)
ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、オンラインで参加している共同通信のイケガミ記者からチャットで質問が来ているので、代読させていただきます。北海道のゴーカート事故について、どう受け止められているか。調査、取組に向けた検討などをされているのか、状況を教えていただければ幸いですとのことです。
-
答
(中川委員長)
本日の会議で事務局から報告がございました。政府として対応するということですので、今のところ、我々が具体的に何かするということではありません。我々は対応する官庁等がなかったら、やるというのが本来の仕事ですので。今のところはどこかがやっているということです。どこがというのは、私自身は具体的には存じませんが、政府関係者は、皆さん御存じだと思います。ただ、それが一段落ついて、例えば関係者からもう少しちゃんとしてくれとか、おかしいのではないかとか、そういう指摘があれば、場合によっては委員会が見ることがあるかもしれない。これはいつものパターンです。
この消費者安全調査委員会は、誰もやるところがないことについて取り上げる。また,どこかがやった調査であっても、それについて検証するということも所掌事務、権限の一つです。現時点でどこかが調査中ですので、今のところ前者はない。後者は理論的にはもちろん残されている。ただ、実際にやるかどうかは全く分かりませんので、本当に一般論といいますか、そういうお答えしか、今のところできない状況です。 -
問
(司会)
オンラインで参加されている方、よろしいでしょうか。
ほかに御質問のある方、会場参加の方、オンライン参加の方、大丈夫そうですか。
それでは、これにて記者会見を終了いたします。ありがとうございました。
-
答
(中川委員長)
ありがとうございました。
(持丸委員長代理)
ありがとうございました。