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記者会見要旨
(2022年9月29日(木) 12:30~13:07 於:消費者庁記者会見室)

発言要旨

(中川委員長)
お待たせいたしました。本日の委員会についてお話をさせていただきます。
本日の調査委員会では、消費者安全調査委員会設立10年の活動報告書を公開で審議し、決定をいたしました。
この報告書では、まず、これまで10年間の委員会の活動を検証、評価いたしました。
また、もう一つの点といたしまして、今後の社会経済環境の変化を見据えつつ、2022年10月から始まる第6期以降の委員会に求められる役割及び機能を提言するということです。
報告書の内容につきましては、8月の委員会で大枠を決定しております。そこから大きく変更したものではありませんが、幾つか変わっているところがあります。それを御説明いたします。
まずは第1に、資料編といいますかデータ編を追加しています。報告書の別冊として資料編がありまして、委員名であるとか、あるいは取り上げた事案などのデータをまとめております。
第2に、報告書本体に加えた記述ですが、まずは、本委員会と部会の役割、あるいは委員と専門委員と臨時委員の関係、そういった組織面について書き加えております。どのような役割分担にするのが効率的かというのは、この10年間、非常に工夫してきたところであり、現在も工夫しているところですので、それについて書き加えました。
それから、申出事案についても書き加えました。申出事案が採用されなかった場合でも、有用な情報が申出時案調査の過程で得られた場合には、それも申出者にお伝えしている。こういった申出事案の取扱いの仕方についても書き加えました。
本委員会と部会、専門委員の関係であるとか、申出事案の処理の仕方についてこれまでの報告書案で書いてこなかったのは、ある意味、我々からすると日常の話ですので、当たり前なことであったのであえて書かなかったのです。けれども、前回の記者会見でその辺りの質問が出まして、これはむしろ外部から見えないことだなということがわかりました。かつ、我々もこの10年間で工夫してきたことでありますので、ぜひ書いておいたほうがいいのではないかということで書き加えたところです。
あと、本日の公開審議で1か所、文言の修正といいますか、もう少し書きぶりを変えたほうがいいのではないかという御提案がありまして、ほかの委員からも異議はございませんでした。2か所について、同じテーマについての記述なのですけれども、少し表現ぶりを改めます。その表現を含めた確定版は来週の公表とさせていただきますけれども、それ以外については、本日、今お手元にあるもので確定いたしましたので、その限りでお手元のものが最終版であるとお考えいただいて構いません。
第3に、10年間の活動の報告書を踏まえまして、委員長名でのメッセージも別途用意しました。委員長所感というタイトルで、4ページぐらいまとめたものがございます。これは、報告書のエッセンスを私なりに一言でまとめるとどうなるかを書いたものです。安全調査委員会バージョン1.0からバージョン2.0へと。こういう形でまとめてみました。
消費者事故調というのは非常に困難な組織モデルであり、 なかなかその実施が難しい組織であるという難しさの中、何とか軌道に乗せた委員会の姿がバージョン1.0です。その後、現在は、包括的な消費者安全を目指すためには、この委員会が最後のとりでであり、委員会が見逃すと、包括的な消費者安全は実現できないという意味で、非常に重要な役割であるという自覚を持って、さらに機能を拡大しつつある現在の姿。これがバージョン2.0だというふうな形でまとめてみました。
少し敷衍させていただきますと、私は常々、安全調査委員会は困難な組織モデルであると表現しております。そういう表現は報告書でも採用していただいたのではないかと思います。
何が困難かということなのですけれども、第1に、対象があらゆる消費者事故であることです。あらゆる消費者事故を全て調査することはできませんので、そこから適切にピックアップしなければいけない。その目利きが非常に重要になってきます。これが第1の困難さです。
第2に、消費者被害者に向き合いながら原因解明をし、それだけではなくて、関係行政機関に対応策をとるよう求めるという点です。これは日本では今までなかった組織形態です。恐らく、海外でもまずないのではないかと思います。原因解明、それから、注意喚起はどの国でもやっており、日本でもそういう組織がいくつかあるのですけれども、さらに一歩進んで、どう対策すればいいか、例えばどういうルールを創るべきかということも含めて関係行政機関に対策を提案するのはなかなかない組織ではないか。この対策を考えるところが非常に難しいところで、これが2番目の意味での困難です。
3番目は、その原因解明に当たっては、ヒューマンファクターとか、「システム性事故」や「組織事故」といった様々な要因が関わってきている可能性があるので、非常に広い視野を持つ必要がある。このような解明の仕方は、私たち消費者事故調より前から、例えば運輸安全委員会もやっていると思いますけれども、そういった広い目で見る解明をしなければいけない。それを全ての消費者事故に対してやらなければいけないということで、これも困難さの一つであろうと思います。
それから、もう一つ言うならば、やはり専門性ですね。消費者事故は多様ですので、「消費者事故の専門家」がいるわけではない。様々な分野の専門家を集めて、そして、何が消費者安全性なのかという価値観を共有しながら分析を進めていくというところも、毎回毎回、新たな事故の調査が始まるごとにそれをやるわけですので、なかなか大変な作業です。
こういった4点で非常に困難な組織モデルであるというふうに考えております。とはいえこの10年間で何とか混乱がなく運営できるところまで来たのではないか。その姿が委員長所感でいうバージョン1.0です。当初n想定された消費者事故調がそれなりに軌道に乗ってきているという自己評価、これがバージョン1.0です。
私は、委員会立ち上げのときも委員をしておりましたけれども、その頃は本当に大混乱といいますか、自分たちが今、何をしているかもよく分からない。当たり前ですね、本邦初の組織ですので。事務局も委員もみんな右も左も分からずに走りながら考えている。そのときを思い出しますと、現在のスムーズな仕事ぶりは非常に感慨深いものがございます。
とはいえ、今日の公開審議でも委員から指摘がございましたが、いや、全然満足するには足りない、まだまだ足腰が弱いという御指摘がございまして、まだまだ成長過程であると。バージョン1.0が完成したわけではなくて、在り方検討会で提案された姿がそれなりの形は整えてきたけれども、まだまだ発展途上であるという御指摘があります。それはごもっともだと思います。
ですので、バージョン1.0の完成ではなくて、バージョン1.0が取りあえず姿を見せてきたと、そういうところまで来られたということであります。
そして、バージョン2.0は何かといいますと、この10年間でバージョン1.0、在り方検討会が提案した組織モデルが何とか立ち上がってきたと同時に、その在り方検討会では想像しなかった、すなわち当初は想定されていなかった役割とか機能なども自然と委員会の役割ではないかとして創り出してきたという自己認識を委員のみんなが持っている。次の姿ももう見えつつあるという意味で、バージョン2.0がもう見えつつある。そういうふうな自己評価をしているということです。
では、バージョン2.0というのはどういうものかということなのですけれども、委員長所感では4点ほどに分けて書いております。
個別の事故について原因解明し対策を考える。これがバージョン1.0の事故調のイメージです。それに加えて、この数年間、よく委員の間での議論で出てくるのですけれども、今目の前にある事故自体は重大事故に至っていないかもしれないけれども、これはこれから大きくなる、増えていくという事故の起こり始めを捉えて、起こり始めの間に我々が調査をして対策を打つことによって、法規制をする以前に事業者の方が、なるほど、そういうふうにすればいいのだというふうに分かってもらうというやり方です。事故の起こり始めを捉えて、事業者と消費者安全調査委員会がともに安全社会をつくっていく、共創する、コークリエーションというふうな発想を持ち始めた。これはこの10年間というよりも、ここ5年ぐらいだと思いますけれども、そのような形の意識が芽生え、少し役割を増やしていったというのが1点目です。バージョン2.0の1点目です。
もう一点は、バージョン1.0では行政機関への意見具申をするというのが我々の仕事であると考えています。つまり、国の行政機関に対してだけ発言するというのが本来の役割でした。しかし近時は、委員会、私たち自らも、消費者に働きかけなければいけないだろうと考え始めています。意見具申した行政機関に対策を実行してくださいと言うだけではなくて、とりわけその調査の途中で注意喚起するべく、消費者委員会自らがビデオを作ったり、あるいは1枚紙を作ったりという形で、被害者となり得る消費者に対して語りかける。何回かそういうことを行いました。そうすると、意見具申するだけが我々の役割ではなくて、できるだけ早い段階でその危険情報を出すというふうな働きかけをすることも我々の役割だと。これは法律には書いていない委員会の動き方ですけれども、そういうこともやってきました。
3番目ですが、これは記者の皆さんよくお分かりかなと思うのですけれども、消費者安全調査委員会は、設立当初から長らく非公開主義で、できるだけ情報は外に出さないという方式で運営してまいりました。それなりの理由があって、やはり事故調査ですので、被害者の心情をおもんぱからなければいけない。それから、いろいろな関係者から話を聞いているので、やはりその事業者から聞いた話をしゃべるわけにもいかないということです。本来、事故調の在り方からするとそうなるのですけれども、しかし、ここ数年は、積極的な発信主義を展開してきました。これは令和2年の発信力の強化に向けた考え方という委員会決定をしたことによって、ますます活発になったわけです。被害者の心情に影響を与えうる情報、それから、事業者とのやり取り情報などを除くと、外部に出せることが案外多いのではないかということで、記者会見のやり方もそうですし、それから、委員会で使った各種の情報についても必要であれば開示するというふうな形で方針を転換してきました。これがバージョン2.0の3つ目です。
そして、バージョン2.0の最後の4つ目ですが、これはまだこれからそうなるだろうという予想です。バージョン1.0の消費者安全調査委員会は、既に収集された事故情報を基に、先ほど言った目利きをして取り扱う事故を選んでいくという方法だったのですけれども、近い将来、例えば、AI等の技術を用いた事故であるとか、中古品、リユース品の流通といった事故が予想されますので、我々のほうで事故を予想して、こんな事故、あるいは事故のようなもの、ヒヤリハットというものがないかというふうなことを探していくという、こちらのほうから探していくという方向になるのではないかと予想しています。これは我々がまだやっていないところなのですけれども、そうなるのではないのかなというふうなことが委員からよく指摘されておりまして、これもバージョン2.0として、恐らく次の期以降、形をあらわしていくのではないかと思っております。
以上が、私が示しました委員長所感についての説明です。公開するのは今日が初めてでので、少し時間をかけて説明をいたしました。
本日は、その他、エステサロン等でのHIFUによる事故の審議を、委員会として初めて行いました。
それから、フォローアップ審議としてエレベーター事故についての審議を行いました。
このうち、エステサロン等でのHIFUの事故について、少しお話をいたします。
これまで製品部会で行ってきた審議内容について、本日は、詳細な報告が委員会にありました。前回、経過報告書を出しましたので、そこでHIFUの危険性について我々が今どう認識しているかは既にお示しをいたしました。ですので、それに加えて本日お話しできることがあるとするならば、再発防止策がどこら辺になるのかという方向性です。
一つは、HIFU機器による施術はやはり医師法による医行為である可能性が高いのではないかという方向で検討していることです。他方で、仮にこれが医行為に当たるとしても、それを確定しただけで本当に危険がなくなるのかというと、どうもそうではないかもしれないというところです。いずれもこれは法律問題でして、非常になかなか困難な課題であるというふうに認識しております。その辺りを再発防止策として検討しているというところまでを、本日はお話しいたします。
フォローアップ審議については、エレベーター事故に関して所管官庁の取組内容の整理、確認を行いました。
以上が本日の委員会での審議事項です。
続いて、部会の動きについて、委員長代理からお願いいたします。

(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸です。
まず、製品等事故調査部会です。今、話のありましたエステサロン等でのHIFUによる事故の追加実験の方法論に向けた審議を行いました。
それから、こちらもありましたが、エレベーター事故のフォローアップの方針についての審議を行いました。
続きまして、私が部会長を務めますサービス等事故調査部会です。
こちらは、学校の事故について報告書のまとめ方に関する審議。
それから、トランポリンパークですね。こちらの事故の報告書のまとめ方に向けた審議を行いました。
私からは以上でございます。

質疑応答

読売新聞のイシイと申します。
私は前半の公開審議にも出たのですけれども、まず、事実関係の確認をしたいのですが、先ほど、この10年間の活動報告書について、1点だけ手直しするという部分が、この通し番号でいうと57ページの、いわゆるその事務局職員が任期付職員を中心に構成されていて、知見が蓄積されにくいという課題という部分についてですね。これを取り消したけれども、委員からちょっとそこは残したほうがいいのではないかという、その課題という文言をここに当初案どおり入れていくという、そういう流れということですか。

(中川委員長)
はい、それだけです。

そうなった場合に、今日決定した、要は活動報告書については、我々は活動報告書が完成して公表するというと非常に分かりやすいのですけれども、今日の段階だとまだ公表には至らないけれども、活動報告書の何を決定したという話になるのでしょうか。つまり、一部まだ不十分でこれから手直しするという段階で、今日決まったのはこの活動報告書を、例えば、この活動報告書によるとで、こういうのが決まったとしても書けるのかどうかとか公表はいつ頃になるのかという。

(中川委員長)
これを使って書いていただいて構いません。条件付きの決定で、条件が先ほどおっしゃった、57ページでしたか。課題という言葉をもう一回復活させるという修正をします。課題が解決したわけではないのに、この案文だといかにも課題がないように見えてしまうではないかという御意見がありましたので、専門的な経験、知識の引継ぎというのは引き続き課題であるという文言を、そのページにもう一回復活させるというだけです。それ以外はお手元のもので確定です。本当に短い、1行もあるかなという感じの修正以外は確定ということです。ですので、その条件付きで今、公表しているということになります。そこの文言をどう変えるかは来週に公表ですね。その変更の部分を含めた最終版は来週になります。
そうですね、こういうふうにイメージしていただければいいですかね。裁判所から判決が出ますよね。判決が出て、そして、皆さんは速報でいきますよね。その判決文というのはいろいろ字の間違いとか、後で小さな修正が入るのですよ。訂正というものですね。今回の修正はその程度のものだと考えていただければ結構です。ですので、お手元のものを使っていただいて、これを引用していただいて構いません。
修文の箇所は、専門的な知識について課題がないというふうに読みかねられないので、そうではないよという趣旨の修正を念のために加えるだけです。案文だと課題という語を消しているけれども、課題がないと委員会は認識したというふうには受け取らないでほしいというわけで、先ほど申しましたように、課題という言葉を復活させますので、課題であるという認識は全然変わりない。ちょっと削り過ぎたなということですので、そこだけ気をつけていただければ、それ以外は引用して構いません。

分かりました。
つまり、その課題のところについてはまだ細かい文言が完成していないので、鍵括弧でどういう表現になるかというのは。

(中川委員長)
委員長預かりということになりました。

いずれにせよ、そこは課題だとしているというそこの認識は今日もう決まっているということでしょうか。

(中川委員長)
はい、おっしゃるとおりです。

分かりました。ありがとうございました。
それと、今回のその10年間ですね。中川委員長から率直に10年間の成果の課題、いろいろ書いていらっしゃいましたように、バージョン1.0から2.0とあると思うのですけれども、成果はいろいろ出ている。課題としても専門人材とかいろいろ出ていますけれども、今後の課題とか、あと、第6期以降の期待とかというのを簡潔にもし口頭であれば教えていただきたいです。

(中川委員長)
簡潔というのがなかなか難しいのですよね。

簡潔でなくてもいいです。

(中川委員長)
さっき言ったとおりなのですが、やはり一つは、先ほどから言っているように、困難な組織モデルをなんとか走らせるようにできたこと。これはあらゆる消費者事故のなかから適切にピックアップをして、そして、対策まで考えるというのは、非常に難しい作業だということを実感しているのが、私の委員長としては4年間です。委員としては最初の年から数年いましたので、それもあわせると全部で8年関わっている中で感じることです。
まず、消費者事故調というのは対策まで考えるし、しかも対象が広い。10年間で23件の調査報告書というと少ないように思えるのですけれども、申出事案は500件でしたね。この10年間で。ということは年間50件です。申出事案は全件を事前調査しているのです。事前調査した結果、本格的に検討事案として採用するものもあれば、継続観察といいますか、いただいた情報では判断が付ききらないのでもう少し様子を見ていくというものもある。それから、例えば、事故品がなくて全然事実関係が分からないからちょっとこれは取り上げないというのもある。23件の調査報告をした背後に、こうした膨大な作業がある。水面下で一生懸命アヒルが足をかいているような感じですね。それをすごくやっているというところを知っていただきたいなというのが1点目です。非常に難しい組織モデルで作業していて、かつ、外から見える以外のことを一生懸命やっているというのが1点目です。
2点目は、やはりこの10年間、特に2010年代の少し前ぐらいからですかね。デジタル化であるとか、それから、デジタルプラットフォームを通した個人輸入が増えたり、それから、個人輸入が増えた結果、国内で全く安全規制のない製品がたくさん簡単に手に入るようになったりした。これは一つの象徴なのですけれども、社会の変化によって、今までの消費者事故調の対策の在り方、一番多いのは自主規制ですね、業界団体に基準をつくってもらうといった今までの黄金のパターンというのが使えない場面が増えてくる。個人が輸入しているので、国内に業者がいないですね。個人にどうやって注意してもらうかという、これほど難しいものはないというか、恐らく、ほぼ不可能に近い状況です。そういったものにこれから我々が向かっていくので、本当に、次の6期以降さらなる荒波に入っていくなという気がしております。先ほどお話ししたHIFUなんかもそれに近いところが少しあるのです。あれはまだ業者が関わっていますけれども、磁石製品なんかであれば完全に個人輸入ですよね。流通の仕方が非常に多様になってきているので。デジタル化時代でですね。そこにどうやって対策を打てるのかという本当に知恵をすごく絞らなければいけない。そういう意味で新たな困難な波に向かっていくのかなと思っております。
その2点ですかね。そういうふうに申し上げたいと思います。

ありがとうございました。
ありがとうございます。日経新聞のワタナベといいます。
さっきのHIFUのほうに関してなのですけれども、これは医療行為になれば当然、医師しかできなくなるということだと思うのですけれども、具体的に、これに向けたハードルをもう少し具体的に教えていただきたいなというのと、あとは、今後のそういう方向へ進むとすれば、スケジュール感とそれに伴う事務手続というのはどういうふうになるイメージを持っていらっしゃいますでしょうか。

(中川委員長)
まず、スケジュール感ですけれども、今年度中というのを目標にしています。報告書の決定ということですね。そして、医行為になると医師しかできないはずですよね。なのですが、脱法というか、自分で個人輸入して家族に施術した、これはどうなるのとなると、これは医師法の話ではなくなるだろう。いわば自傷行為です。それはどうやっていくか、もう注意喚起しかないのかなとか、そういう辺りの課題が一つ出てくるかなと思います。そして、医行為になるかどうかというところも、必ずしも関係省庁がそう思っているわけでもなさそうでして、そこら辺の課題も今後出てくるのかなと思います。

ありがとうございます。
今年度中に報告書を決定して、その上で関係省庁に周知した上で最終決定ということでよろしいのでしょうか。

(中川委員長)
報告書の中で関係省庁に対する意見、こういうことをしてくださいと言いますので、だから報告書決定イコール周知ですよね。

それ以降は省庁が。

(中川委員長)
それ以降は、省庁がどういうことをやったかを我々がフォローアップすると。そういう構造になります。

分かりました。ありがとうございます。
朝日新聞のテラダです。
報告書の中身で、通し番号15ページのところでお伺いしたいのですけれども、意見具申のイの課題等のところで、課題に思われていることとして既存不適格の話かと思うのですけれども、これを念頭に置いての具体的なテーマというか事案は何かというのと、どういう難しさがあり、それをどういうふうに対策していくべきかというところまで考えられているか教えてください。

(中川委員長)
具体的にどの事案を今考えているかはちょっと控えさせてください。微妙な問題がありますので。では、どういう問題かというと、既存不適格という言葉は御存じですか。既存不適格というのは、法令が変わって新しく厳しい規制が入ったときに、その規制が入ったときよりも以前に作られていた製品であるとか建物については、原則としてはその新しい厳しい基準に合わせなくていいという取扱いをすることです。既存、すなわち昔からあるものについては、新しい法からすると不適格なのだけれども、適格とみなすと。そういうふうなルールがよく法律では置かれるのですね。
それをしないと、たとえば古い家は全部、消防法が変わるたびに全部やりなおさなければいけなくなってものすごいコストになりますので、それはさすがに無理だろうということで、できたときの規制に合っていればよいとするわけです。しかし、例えば、大規模な改築であるとかそういう場合にはほとんど建て替えと一緒だから新しい規制に合わせなければいけません。そういうルールがよくあります。それがあることによって、大規模ではない改修をすると、やりなおしなくていいと。そうすると、我々が安全ではないと言った製品についても取り替えなくてもいいということになるわけです。あるいは我々が安全ではないと言ってその関係省庁が法令を改正してくれても、新しい製品ではないといえれば、旧来の法律を守っていればいいだけだということになるのですね。そうすると、幾ら対策を取って法律を改正しても、なかなか安全が実現されない。なので、そもそも既存不適格、あるいは何が大規模なのかということ自体、これは今までは各省庁が決めてきたことなのですけれども、我々がその安全という観点からそういうところにまでその再検討をしてほしいということを言わなければいけないのではないか。
この既存不適格というのは、他方では、例えば、憲法問題にも関わるのです。財産権の保障という観点から、厳し過ぎると問題があるのではないかという非常に重要な問題でもあるわけです。既存不適格を否定していくというのは、つまり、新しい法令ができたら既存の製品もそれに全部合わせなさいということはそれ自体、いろいろな反論を、憲法上のことも含めて反論を受ける可能性があるわけです。なので、そう簡単ではないです。安全の観点からこうしてくださいと言うだけで済む話ではないので、そこも我々は理解しながら、でも、どの程度なら、例えば、大規模の定義を少し変えるとか、そのようなことをしていかなければいけない。これはまさに先ほど言ったバージョン1.0では考えていなかった委員会の役割です。法律論の一番中核の議論にまで消費者安全調査委員会が入り込むというのは、従来は考えていなかったのです。だけれども、そういうことも課題になってくる。法律の問題だから安全調査委員会は関係ありませんと言っていると安全は全く実現されないので、何ができないか。そういうその問題関心が委員の中で広まってきているのです。それがバージョン2ということです。私なりの言い方ですが。

分かりました。ありがとうございます。
すみません、1点だけ。
ちょっと確認になるかもしれないのですけれども、今日の委員会の中で、やはりこの第5期の最後の委員会と、さらに10月でちょうど10年になるということで、今回、10年間の節目の活動報告書というのをこのタイミングで決定するというのは、これは非常に大きな意義があると思うのですけれども、ただ、結局、委員から追加の意見が出ていて、公表には至らないと。公表は来週になってしまうと。もちろんニュースは出るかもしれないけれども、事故調として10月に合わせて出すのがちょっと遅れてしまうと。今日の委員の意見は確かにそのとおりだと思ったのですけれども、何か事前に見てこなかったではないですか。ちょっと事前に見ていなくて、ちょっと当日すみませんと。気になったのですが、ここはちょっと直したほうがいいのではないですかという。
要は、委員の方々は非常にやる気もあって、そういう問題意識についてしっかり発信をしていく一方で、事前にちゃんと見てくれないと、結局、それで大事なタイミングで決まらないと。中川委員長が、例えば、HIFUについては年度内とおっしゃっていますけれども、また年度内にちょっと追加意見が出てもう一回次回にという話になると、これが結局、調査件数が伸びないとか時間がかかるという。大きな理由にはならないかもしれないですけれども、そういう取りこぼしが多いというか、事前に調整すれば多分、もう1か月とか2か月短縮できたのではないかというのもちょっとあるのかなとちょっと思いました。
つまり、何が言いたいかというと、そういういわゆる事前調整を行うところの課題というのは、これは当然、こういう委員会だとあると思いますし、全てが予定調和もよくないとは思うのですけれども、これは6期以降はそういう事務局との連携というのはもうちょっとスムーズにというのは、これは常に課題としてあるのでしょうか。

(中川委員長)
2点お答えします。まず1点目。今日のようなことは結構普通に起きます。私は政府のいろいろな検討会をやっていますけれども、最後の最後で、えっ、今頃言うかという指摘が出てきます。ただ、それはむしろ言ってもらったほうがいいので、私はそんなに驚かなかったです。というか、もっとほかにも指摘があるかなと思っていたぐらいなので。また、案文は事前にものすごく打合せを、すり合わせをしているのですけれども、ただ、やはりいろいろな委員がいろいろなことを言うので。ほかの委員からすると、えっ、そこが変わるのということがおきる。そこが変わるならこっちはどうなる、と後から言わなくてはならないということがどうしてもあるのです。なので、それはやむを得ないかなと。1点目はそんなに驚くようなことではないのかなということです。
2点目は、まさにぎりぎりになってもまだ意見が出るのが、この委員会だというところを見ていただきたかったということです。我々の委員会は本当に委員が言いたいことを率直に言う。だから、しゃんしゃんではない。おかしいと思うところははっきり発言してお互いに意見を言い合っている。通常の審議を非公開にしているのは、ときにはかなり、いつもではありませんけれども、やはり対立するというか、消費者安全とはどうあるべきかということについて、いろいろな例を挙げながら対立することもあります。そういう更地の議論をしております。その一つの表れとして最後の段階でも委員から意見が出てきますよということを見ていただきたかったと思いますので、これが困った遅れにつながっているというふうには思わないというのが私のお答えになります。

分かりました。ありがとうございました。