記者会見要旨
(2022年8月25日(木) 12:30~13:15 於:1208特別会議室)
発言要旨
(中川委員長)
大変お待たせいたしました。本日の委員会の様子についてお話をいたします。
まず、本日の調査委員会では、消費者安全調査委員会設立10周年、10年の活動報告書案について公開で審議をいたしました。
この報告書では、これまでの10年間の委員会の活動を検証し、評価するとともに、今後の社会経済環境の変化を見据えつつ、2022年10月から始まる第6期以降の委員会に求められる役割及び機能を整理して提言するものです。来月9月に決定をする予定で、本日はその前の審議ということになります。
この消費者安全調査委員会は、2011年5月のいわゆる在り方検討会の提言を踏まえて、2012年10月に全く新たなタイプの行政組織として設置されたものです。私は第1期から委員を務めておりますけれども、特に当初数年は、文字どおり走りながら考えたという時期だったと思います。
そして、この10年間で、あらゆる消費者事故を対象として原因調査をし、かつ、事故防止対策を提言するという事故調査機関という困難な組織モデル、かつてなかった本邦初の組織モデルを実現できたと評価してよいのではないかというのが、本日の報告書案の原案であり、委員会でも、それについてはその方向でよいであろうということになったかと思います。
もちろん課題は残されております。
第1に、現場調査をもっと積極的にするべきではないかという指摘が委員からあります。
第2に、消費者事故の調査には、多様な分野の専門家を糾合して、原因を探るという特質があります。「消費者事故の専門家」という人がいるわけではなくて、様々な専門分野の方を訪ね歩いて、知恵を借りながら原因調査をするという特性がありますので、専門人材の確保というのは非常に難しいわけです。とはいえ、それをしなければいけないので、専門人材の確保及び拡充を続けていく必要がある。これが引き続き課題です。
第3の課題、これは安全委員会そのものの課題ではないのですが、事故情報収集体制はやはりまだ改善の余地がある。重要な情報が抜けている、我々のところには来なかったというようなことがやはりありますので、これについては、事故調査をする大前提である情報の目詰まりをなくすことが引き続きの課題であろうと考えております。
このほか、調査期間が長いのではないかという御指摘はこれまでにもいただいております。確かに調査期間が長かった案件もあります。他方で、ここ数年はほぼ1年と数か月、長くて半年、短ければ1と3か月程度というところまで短縮化をできています。
調査期間は、事案の性質によるところが大きいというところがあります。どうしても長くなるべきものはありますので、一概に長過ぎるからそれがどうかという評価は難しいなというのが本日の審議でありました。なので、一律に1年以内とか何か月以内というように目標値を定めるのではなくて、個々の事案の性質によってこれはもうじっくりやるしかないというものはきちんと長く取るけれども、短縮化できるものは、今までのノウハウの積み重ねもありますので、現在のところ1年と数か月まで来ておりますけれども、もっと短くできるものがあれば、それはもちろん短くしていくという努力は続けていくべきであるということを、課題として明確に書くということも、本日の委員会で決めたことです。
以上で、2011年の、いわゆる在り方検討会の提言については、ひとまずは概ね全てに達した組織づくりができているのではないかという自己評価をしているところです。
その上で我々の10年間を振り返りますと、在り方検討会の提言よりも一層踏み込んだ作業を始めているという委員会の姿も見えつつあるという気づきもあったところです。これも報告書に書かれております。
1つは発信力の強化です。
もうひとつは、個別の事案・事故のみならず、類似事故を含めたテーマ選定という形で、1つの事故の背後に隠れているような類似の事故を広く捉えることによって、あらゆる消費者事故という、非常に射程が広い消費者事故調ならではの特徴を何とか実現しようとしている。あらゆる消費者事故を扱うのは極めて困難な話なのですが、できるだけそれに近づくようにテーマ選定という工夫をしているということ。
それから、事故調査の知見を事業者に提供して、今後の製品開発に役立てもらう。つまり製品を開発する段階で事故が起きないような作り方について、我々の知見も使ってもらうというような動きも出てきたということ。
さらに、法制に関する意見を出すようになりつつあることです。法制に関しては、これまでも多少ではありますが意見具申したのですけれども、ここを1~2年でしょうか、単に法制化しろということではなくて、法制上無理と言われてきたものに対しても踏み込めないかという問題関心が委員会で生じています。
その1つの典型が既存不適格というものなのです。法律が改正された場合、それ以前に作られたものはお目こぼしするというのが既存不適格で、これは法制上やむを得ないと言われてきたのですけれども、本当にそうなのかといったところにも踏み込むべきではないかという意見が出てきています。
以上はいずれも在り方検討会の時点、2011年時点ではそこまでは提言されていなかったわけですけれども、我々が10年間走って活動してきた中で、もう少し踏み込んだ委員会の在り方、消費者事故調査機関の在り方もあるのではないかと、こういう気づきがあったということであり、それも報告書に書いています。
報告書では、今後新たに頻出する可能性がある事故の特徴としてこういうことが考えられるということも書いてありまして、国内製造の製品、国内提供のサービスによる事故で、関係事業者が明確に存在するというような古典的な事故ではない事故、こういうものをより頻繁に扱うことになるのではないかと思われます。Eコマースを通じて海外から個人輸入する場合、輸入事業者もいなければ製造業者も国内にいない。誰が作ったものであるかよくわからない。そういうものに対して一体どのような安全対策を意見具申するのかという非常な難問に今ぶち当たりつつあります。
まだ調査委員会では扱っておりませんが、AIなどを用いた製品の事故というのもこれから当然出てくるだろうと。
それから、中古品やリビルド関係の商品の事故などもこれから出てくるであろうということで、今後さらに困難を極める調査案件が出てくるであろうなということを想像しつつ、次の委員会に申し送りをするという構成の報告書になるであろうと考えております。
以上が設立10年の活動報告書案についての本日の審議内容です。
先ほど申しましたが、引き続き取りまとめに向けた議論を行っていきまして、現在の第5期の委員会が終了する来月の9月までに決定をし、公表したいと考えております。
本日、その他の審議としては、トランポリンパーク等での事故の調査案件、それから、学校事故についての調査案件についての審議を行いました。
このうち、トランポリンパーク等の事故については、施設側の問題、運営側の問題と、それから、利用者側の問題に分けて対策を検討中です。
施設側については、そもそもトランポリンの危険性についての認識が十分ではないという実態が判明しつつあります。また、利用者側にも、宙返り等の危険の認識が十分ではない、どちらも認識が非常に欠けているとても危険な状態であることが分かっておりまして、それぞれに向けてどのような対策を打っていくかを検討中です。
今日はその一環として、利用者向け、それから、施設側向けの動画を作ることを決定しました。まずは,そもそも危険だという意識を持ってもらうことが緊急に必要であるということで、動画を作るを委員会で決定しました。引き続き具体的な方策、防止策を検討し、秋の公表を目指しております。
学校事故の事案につきましては、学校で行われている安全点検そのものがやはり機能していないということ。そして、機能させるための支援が十分ではないというあたりが中心になりそうです。学校の先生は非常にお忙しくて、我々はそこに安全点検をもっとやりなさいということを申し上げるつもりではなくて、やはりこれは外部の関与ないし助力が必要であること。それから、もう少し学校関係者の幹部層といいますか、文部科学省、教育委員会、校長先生、そういう方々の安全に対する認識をもう少し深めていただく必要があるのではないかと、このような観点から、再発防止策を考えております。
対象となる学校が物すごく多いわけでありますので、どのような策を立てれば有効に機能するか、ここら辺は困難で、なかなか我々も苦労しております。検討に時間がかかっておりますが、これも秋のうちに出すということを目指して頑張っております。
以上が本日の委員会の概要でございます。
続いて、部会の動きについて、委員長代理からお願いいたします。
(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸でございます。
まず製品部会のほうです。
こちらではエステサロン等でのHIFUによる事故報告に向けた審議、それから、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故のフォローアップ、ならびにエレベーター事故のフォローアップについて審議しました。
私が部会長を務めるサービス等事故調査部会では、今、委員長から話がありました、学校の事故に向けた報告書、それから、トランポリンパークでの事故、こちらも報告書の審議を行いました。
私からの報告は以上になります。
質疑応答
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問
NHKのウエダといいます。よろしくお願いします。
先ほどの審議の点を伺いたいと思います。
トランポリンパーク、学校事案、いずれも秋の公表を目指しているということですけれども、具体的に何月までという時期的な目標は出せますでしょうか。
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答
(中川委員長)
秋ですから、一番遅くて11月です。この委員会メンバーが10月に改選されますので、改選されていきなり決定というのは、ちょっと難しいのではないかということで、恐らく11月になるのではないかと考えております。 -
問
ありがとうございます。
加えて、堺市でウオータースライダーによる事故が起きたことは御存じかと思いますけれども、その辺について消費者事故調として、何かしら調査に当たるような話は今の時点で出ているのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
今日の委員会では出ておりません。
事務局からなにか答えられることはありますか。
(事務局)
関係機関の調査を待って、我々注視しているという段階です。 - 問 ありがとうございます。
-
問
朝日新聞のテラダです。
10年の報告書についてお伺いしたいのですけれども、2点です。
まず、1点、例えば評価の仕方として、1つ、事故件数を意見具申した前と後で比べるということは結構分かりやすい方法かなと思ったのですけれども、この報告は、今回は取り切れていないので、そういう事故件数を見ることの、なぜ見なかったかといいますか、そういう方向ではないという理解でよろしいのでしょうか。その辺御意見をいただきたいです。
-
答
(中川委員長)
その点ですが、意見具申した後どうなったかは、全てフォローアップしております。フォローアップが終わったということは、委員会としては意見の実施について文句ないということなのですが、フォローアップが終わったのが今3件だけです。残り全部まだフォローアップ中、すなわち、意見具申したけれども、意見先機関によるその実施について、まだ委員会としては満足していないという状態です。この点は、報告書にはフォローアップの項目で書いております。
フォローアップについて追加しますと、こちらが満足していないという意味ですが、1件ぐらいはそもそも意見先と私たちがうまく意思疎通ができていないのではないかというものがありますが、ほとんどは、確かに意見内容からみて実施がそう簡単に進まないことがやむを得ないというものです。とはいえ、そういう案件であっても放置するわけではなくて、適宜、例えば年に1回,委員会に担当者が来ていただいて様子を聞く。必要であれば、私たちからもう一度意見を言う。ないしは新たな意見を言うこともあります。このようにフォローアップを恒常的にやっているわけなのです。
今の御質問については、報告書のフォローアップの箇所で答えているとお考えいただければと思うのですけれども、お尋ねになったことに対応していますかね。私の答えは。 -
問
ありがとうございました。
フォローアップの、例えば6ページのところに書いている
-
答
(事務局)
すみません。1点補足なのですけれども、事故件数での比較という御質問があったかと思うのですが、事故調、調査委員会の件に限らずなのですけれども、事故が発生したときに、その対策を打って、その後に事故がもう一度発生してしまったというときに、それが対策を打ったことで事故の件数が抑えられているのか、あるいは対策が不十分でもう一度事故が発生してしまったのかというのは、件数だけで見ることがなかなかできないので、単純な件数による比較というのは行っていないということです。 - 問 分かりました。ありがとうございます。
-
答
(中川委員長)
今の点ですけれども、類似事故が起きているかというのは、フォローアップで常に見ていますよね。
(事務局)
それはもちろんやっています。
(中川委員長)
起きていると、類似事故について、これは意見具申したとおりに意見先が対応していただければ起きなかったはずのものなのか、それとも、我々が気づかなかった新たな原因によるものや対策が必要なものなのかを見ているのです。新たなものであれば、追加意見という形で、さらに別の対策を打ってもらうというようにするわけです。
他方、必ず防げたはずなのに起きているというのは、我々が具申した意見が守られていない,実施されていないということですので、これは直ちに「どうなっているんだ」という意見先への問合せになるわけです。そういうような形でフォローアップをしております。 -
問
分かりました。
もう一点は、専門委員のところで、ちょっと勉強不足で恐縮なのですが、今いる委員の中で、そういった専門委員としていらっしゃる方がいるのか、専門委員というのはどういうような方々のことを言うのでしょうか。
-
答
事務局 何を答えればいいのですか。
- 問 課題として、専門委員の充実が課題ということなのですけれども、どういう方がいて、どのように増やしていったらいいのかというのを。
-
答
(事務局)
まず、専門委員の先生方というのは、本体の委員会と、その下にある部会に属している委員の先生がいて、事案に応じて、その事案に必要な専門的な知見を提供していただくために参画をしていただくという形の方々になります。
これまで様々な事故について、いろいろな専門委員の方に参画していただいているのですけれども、今後もいろいろな事故が、これまで取り扱っていないような事故というのが当然起こりますので、それらについては、新しい分野についても、そういう専門の先生に参画いただいて、新しい専門的な知見を委員会のほうに提供していただいて審議をしていかなければいけないという趣旨で記載しているという文章というところです。
(中川委員長)
私から追加しますと、専門委員というのは案件ごとに委嘱され、案件が終われば退任なさるというものです。案件ごとにお願いしますので、専門委員と事務局がまさに調査現場にいるメンバーなのです。それに対して部会の委員、それから、我々のような親委員会の委員は,案件を超えてパーマネントなメンバーです。パーマネントといっても任期はありますけれども、案件と関係なくいろいろ意見を言うという立場なのです。まずその違いがあるということです。
その専門委員の分野、人材確保というのは、先ほど10周年の報告書のところで申し上げたように、消費者事故それ自体の専門家はいない。消費者事故は多様ですので、例えばAIに起因する製品の事故となると、AIについて分かっている人を専門委員として探し出し、協力してくれる方を探し出さなくてはいけないという意味です。だから事故ごとに、この事故の原因はここら辺にありそうだから、その原因に一番精通していそうな分野の方を探し当てて専門委員の御依頼をする。それでやっと事故調査チームができるというイメージです。 -
問
ありがとうございます。
臨時というか、個別の事案ごとに呼んでくると。そうすると、その充実というのは、毎回探せばいいのではと思ってしまうのですけれども、その充実というのはどういうことですか。登録している人を増やすとかだと思うのですけれども。
-
答
(持丸委員長代理)
遠隔で持丸から補足をいたします。
どういうことかというと、だんだん起きている事故が変わってきているのです。物が壊れて事故が起きるというときは、機械に詳しい事故の方、これは結構学術的にもいらっしゃるのですけれども、例えばサービスに起因するような事故というと、物理的に強度とかそういうことではなくて、プロセスとかそういうような辺りにお詳しいことと、それ自身の事故をどうやって防いだらいいかということも考えられる先生方をやはり探さなくてはいけなくて、もちろん我々もいろいろな手でいろいろな先生をリストしているのですけれども、やはり新しい事故に全て対応するのに見つけるのが難しくなってきているのはそのとおりです。
これは、何とも申し上げられないのですけれども、事故にも詳しくてサービスプロセスにも詳しいアンドの方だけではなくて、それぞれお願いして、協力しながら専門委員を務めていただき、だんだん委員の先生方にもさらに詳しくなっていっていただくというような形で知恵を広げていけないといけないのではないかなと、私はサービス部会としてすごくそういう辺りは感じているということでございます。 - 問 分かりました。ありがとうございます。
-
答
(中川委員長)
考えればいいじゃないかという質問ですよね。 -
問
言い方があれですけれども、要件ごとに出せばいいのではないかと。
大きく、事案がいろいろ多様化しているので、専門委員も多様化しないといけない。いろいろな人が必要になってきますということですね。
-
答
(中川委員長)
恐らく探しにくいのだと思うのです。新しい分野の事故がそうです。そういう意味では、常日頃から非常に広く、つまり、今起きていないけれども、今後こういうことが起きるのではないかということまで考えて、常日頃からネットワークを広げておかなければいけない、そういうことは課題視しておかないと。事故が起きてから始めても遅いので、そういう意味で課題です。 - 問 ありがとうございました。
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問
毎日新聞のテラマチです。
先ほど、冒頭の御説明のところで、事故情報の収集体制、重要な情報が来なかったということがたびたびある、情報の詰まりをなくす必要があるということで、これは具体的に、例えば警察からどの程度情報が得られるとか、そういうところを指すのでしょうか。
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答
(中川委員長)
そうではなくて、事故情報のデータバンクシステムに入ってこない。私が今すぐ思い出すところでは、除雪機のもので類似事故が起きているじゃないかと言うのだけれども、データベースに載っていなかったというのがあったと思うのです。どこで目詰まりしたのか。これは警察かもしれないし消防かもしれないし、病院かもしれない。
それと、もう一つ、やはり病院関係の情報が必ずしも我々のほうに共有されていないのではないか。もちろん、病院のほうには行っているのですけれども、ここまで来ていないのではないかということもあって、「たびたび」は少し言い過ぎかもしれませんが、しかし、こんなものが来ていなかったという思いが一度ならずあったのは確かです。それはありました。そう考えています。以前もそういうことはどこかでお話ししたような気がします。 - 問 これは具体的に改善の方法はございますか。
-
答
(中川委員長)
これは我々委員会の所管ではなくて、消費者庁の消費者安全課だけの話ではなくて、ほかの省の持っているデータもこちらと共有できないかという話ですので、消費者庁などに対するお願いということになると思います。 - 問 あと、もう一点、トランポリンパークの現場なのですけれども、これは施設側にも利用者側にもそれぞれ。どういうイメージで見てもらうのか。
-
答
(中川委員長)
まず、利用者側には、トランポリンは楽しいけれども、こんなことをやったら当然こんなけがになりますよ、多少のけがではないこともあり得ますよという、いいところと、それから、気をつけないとこんなことになりますよというところ。スポーツというか、こういう遊びですから当たり前といえば当たり前なのですけれども、そこを印象づけるようなものを作ることになろうかと思います。これは利用者向けです。
施設者向けについては、まだ詳細は決まっていないですけれども、施設者のほうで、そもそもこんな危険があるということを認識できていないのではないかというのが、現在、我々の認識です。
そうすると、運営者というのはこういうことを考えなくてはいけないのですよというようなことから示すような動画になるのではないかなと思うのです。そういう意味では全然性質の違うもので、公衆で体を動かすような施設を営む以上、運営者側というのは、例えばこういう基準が。例えばアメリカにこういう基準がありますよと。読んだことはありますかと。そんな感じの。基準を読むだけではなくて、その基準で何が書いてあるか。例えばこのようなことについて、こういう構造的な問題とか、それから、少なくともこういう説明は最初にしないといけないとか。これは絶対駄目ということも言わないといけない。こういう動きは駄目よとか、そのような非常に最低限、運営側としてもやっていかなくてはいけないようなことを、動画ですから分かりやすく、まずは意識を持ってもらうということになると思います。 - 問 それは、どちらの動画も消費者庁の。
-
答
(中川委員長)
そうなるのだろうと思います。 - 問 ありがとうございます。
-
問
ありがとうございます。ニッポン消費者新聞のマルタです。
先ほどの回答に関連するのですけれども、22件という調査件数を含む報告書で、これは私は少ないと思うのです。年間の意見で。10年間ですので、畑村さんとか宇賀さんとか、今の中川さんの中で、やはりこれは少ないという理解で、ただし、ここにあるように、それぞれの理由があって、これは難しいということが書いてあるのは分かるのですが、先ほどの質問の中であったような専門委員の方々が何十人もいらっしゃるわけですよね。そういう方々との連携とか何かというも必要だということもあるのですけれども、どうしたら増やしていけるのかという観点から、つまり、私は少ないと思っていますし、では、増やすにはどうしたらいいかという、その観点から評価報告書をどこかにきちんと入れていただきたいなというまず1点あります。
-
答
(中川委員長)
増やすというか、もっと速くするということですね。速くするのは、もちろん事務局の人数が増えれば、横に、同時並行で増えますので、それはまず第1に必要なことです。ただ、これは現実的にそうなるのか、報告書に書いたところでどうなのかというところがあって、そこを強調するのもあまり現実的ではないのかなと。政府予算の問題です。
そうすると、我々の工夫しかなくて、だいたい1年半でやっているところで、あと何か月短くできるかとなると、1か月とか2か月ぐらいなら可能かもしれませんけれど。報告書が出来上がるまでの審議件数を考えると、最終的には2~3回、親委員会での審議をやるわけです。それだけで2~3か月かかるわけです。そうすると、その前を短くすればするほど大変になるわけですけれども、単に手数が増えれば早く済むのか、専門委員が10人いれば済むか、事務局の手が増えればよいかというと、それは逆に混乱するのです。なので、1年をさらに切るところまでいくのはやはり難しいのではないのかなと思っています。
これは本当に難しい問題で、ここはもう完全に私個人の意見なのですが、この委員会では、案件が立て込んでいるから新しい案件を採用しないということを一度もしたことはありません。やはり取り上げるものは全て取り上げるという方針で徹底してやっています。その意味では、取り上げるべきものはやって、22件かもしれないけれども、その時点で、これは絶対取り上げなくてはいけないものは全て選んでいる。
その一方で、報告書に書いてありますけれども、常時20件ぐらい、いつ調査対象の候補にするか分からないものがあるのです。申出事案とかで、いわば経過観察といいますか、もうすこし様子を見なくてはわからないものが多くあります。まだ1件しか事故としては起きていないのだけれども、もしかすると将来多発するかもしれないとか、あるいは、多発はしないけれども、またたまたまけがは大したことはなかったかもしれないけれども、少し状況が違うと亡くなっていたかもしれない、ただ、事故状況がよく分からないといった事案で、引き続き類似情報に注意しておくという取扱いの案件がかなりあるのです。
結局、事故が起きる前に予測できればいいのです。事故が起きてから原因調査をするのではなくて、事故が起きそうだという時点で先行して調査に入るのが理想的ですけれども、現在の法律でそれを委員会ができるのかどうかが分からないのと、仮に法律上はそれができるとしても、現実にそれをやろうと思ったら、もっと人数がいないと、つまり、報告書になるかどうか分からないものも調査を始めてしまうということになるから。
重大事故が起きる前の原因調査や対策決定ということになると、これはいろいろなシミュレーションをすることになり、お金もかかりますけれども、人も要る。そのようにすれば恐らく委員会が取り上げる事故数は倍ぐらいになるかもしれないのですけれども、現実には、事故が起きてから調査を開始するということになっている。起きるかもしれないものを潜在的な調査候補として抱えたままになっている状態です。
そういう現状があって、それを全部調査対象にするとなると、今の人員ではまずそれは無理です。だから、悪い言い方ですが、事故が起きた後でしか調査に踏み切れないのだと思うのです。 -
問
分かりました。ありがとうございます。
それと、委員長の言葉の中に、在り方検討会の中で提案されていたことのほとんどが、一応満たされていると、満たしているという自己評価をおっしゃいました。在り方検討会の中では、被害者、事故を受けた方々あるいは家族の方々に寄り添うというのが一つテーマとしてあって、寄り添うということについては曖昧なところがあるのですけれども、例えば、今お話があった申出制度の場合は、この調査委員会の申出制度は、申出をした人に対して、選定の結果とか、調査の途中であっても、定期的に配付する、通知するというのが国会でも議論されていて、つまり申出制度自体は、例えば景品表示法とか食品表示法とか、5月施行の取引DPF法とか、申出制度はありますけれども、申出をした人に対して通知しないのですよね。しないような運用になっている。
これは、今回というか、この事故調の場合は、相手方に教えてあげる、一つの寄り添うという形ではないかなと思ったのですけれども、この寄り添うということが、10年間の評価の中で事故調としてはどう評価していって、それを新たな6期の人にどうつなげるのかということについては、ぱらぱら見たのだけれどもあまり書いていないような気がしたのですが、それはどうでしょう。 -
答
(中川委員長)
寄り添うという言葉は、先ほどおっしゃったように、ちょっと曖昧なので、いろいろな意味を持っており、各人捉え方が異なります。報告書が「寄り添う」という言葉を定義して、あれこれと評価するのはちょっと難しいかなということで、あえてあまり書いていないのです。
それだけではお答えとしてつっけんどんなので、私なりの理解を申しますと、「寄り添う」の意味は要するに2個あって、1つは調査案件に対する態度です。この調査委員会の出発点であって、「これはあなたの誤使用です」ということは基本的に考えない。人間としてあり得るミスなのであれば、それは製品等の提供者側で当然考えなくてはいけない。あり得るミスというのは本当に多いのです。人間いろいろな状況あります。ぼうっとしているときにも製品を使うわけですから。そういうような観点で調査するということが寄り添うことの1つだろうと思います。
事故の被害者になってしまったことは,非常に不幸ですけれども、せめてその情報をきちんと分析をして、被害者側の人間としてあり得る行動を織り込んだ製品の設計その他運営について、どのような改善をするべきかというスタンスで調査し、対策を出すことが寄り添うことのひとつの意味なのだろうと考えています。
もう一つが、おっしゃった申出です。申出事案を出していただいた方にどう答えるかということです。委員会では、どのように通知するかというところまでしか審議をしていないのですけれども、私の聞くところでは、事務局の実務では必ず申出者に電話をしているようです。
その際に,通知書には書いていないこともお伝えすると聞いています。例えば、今回は事故品が残っていないから調査が不可能であるとか、事故の様子がよく分からないので調査できないということもあるわけです。そういった場合に、もしこういう事実関係があったならば、こういうところでこんな原因もあり得るから、そういうことも今後気をつけてくださいと、いろいろと我々が推測したことをできるだけお伝えしていると聞いております。
残念ながら調査対象案件としての採択はしなかったけれども、しかし、我々に分かったことがある。いろいろ調べてから、その結果、採択、不採択ということになりますので、得られた情報お伝えするようにしている。これも1つの寄り添うことかなと考えています。 - 問 確認なのですけれども、今回のこの報告書というのは、委員会で作られたということですね。
-
答
(中川委員長)
そういうことです。 - 問 外部のヒアリング。
-
答
(中川委員長)
そうではないです。自己評価書です。 - 問 分かりました。どうもありがとうございました。
-
問
共同通信のイケガミです。よろしくお願いします。
まず、これまでも何度も言われていることだと思うのですけれども、今回も1番の上のところに困難な組織モデルという表現をされていて、どういったところが、ほかの調査機関、捜査機関など比べて調査を困難にしているのかというところを、このタイミングで改めて確認してもいいでしょうか。
-
答
(中川委員長)
2つありまして、1つは対象です。あらゆる消費者事故を対象にすることです。行政組織というのは所管があって、所管のものに対して調査する。所管は整理されていて明確なのですけれども、消費者事故は、要するに消費者に事故が起きれば全部です。そのうち少なくない部分について、いろいろな他省庁が管轄していますが,そのような場合でも、運輸安全委員会が取り扱うものを除き,全て対象なのです。所管の官庁が原因究明をしていた場合、その原因究明が適切であるかも、我々の所管なのです。そういうわけでべらぼうに所管が広いというのが第1点です。
行政組織は、どの国もそうだと思いますけれども、やはりきちんと所管があって、その所管を分担しているのは行政組織なのです。しかしこれは消費者庁の1つの特徴でもありますが、隙間だけではなくて横断的です。この消費者安全調査委員会は隙間だけを扱っているわけではなくて、所管がはっきりしているものにも意見を言うことがあるということですので、少なくとも戦後の日本の行政組織の歴史において例のない、物すごく膨大なものを対象としている行政機関だというのが第1となります。
第2点目は、原因を調査するだけではなくて、対策を言わなくてはいけないことです。各省庁のトップに対して、こういう対策をしなければいけないということまで言わなくてはいけない。
これも考えてみたら変な話で、我々委員会の組織法上の位置づけは、消費者庁長官の下にあるわけで、その下にある機関が、他省庁の大臣等に対して、こうするべきであるという意見を申し上げるわけです。こちらとしては、意見を受け入れてもらえなくてはいけないですし、練りに練ったものを考えなくてはいけない。以上の2つの意味で本邦初であり困難であるという意味です。 -
問
ありがとうございます。
そういった中で、事故調の中で分野ごとに分けるとか、調査段階と提言段階に分けるとか、そういった分けていくようなことというのは、今後もあえてしないで、包括的に取り組まれていくという方針でよろしいでしょうか。
-
答
(中川委員長)
調査と提言を分けるというのは、どういうイメージでしょうか。 -
問
具体的というのは。
それこそ、何か1つの課題がやるときに、全てに対応するというのはなかなか大変だと思うので、事故調査の中で、専門組織ではないですけれども、さらに細分化していくという、そういうことは。
-
答
(中川委員長)
今のに対するお答えになるかどうか分かりませんが、大体のイメージとしては、部会のほうで、特に原因の解明については、より専門性が高いので、部会が中心になってやっているという私の印象です。
それに対して本委員会、親の委員会のほうは、基本的には意見を聞くことです。どの省庁に対してどこまで言うべきなのか。もちろん、その粗々は部会で専門家が作ってくれるのですけれども、それを実際に聞いてもらえるような、かつ有効であるような意見に組み立てていくというのは、むしろ本委員会のほうが中心にやっている形です。事実上ですけれども、何となくそんな分担はあるようです。でも、それは、結局、部会がある程度出してくれるから親委員会もできるので、分けてしまうというイメージではないということです。 -
問
ありがとうございます。
あと、この報告書案についてなのですけれども、今後、冒頭の御発言の中で、調査期間が長いところについては、再度書き加えるみたいな話もあったと思うのですけれども、今後、具体的に、特にどういったところが1か月後に向けて変わりそうだという点があるのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
そんなに大きくは変わらないのではないかなと。今日の議論を聞いていますとね。先ほど教えていただいたような、最初の意見、取りあえず調査期間がめちゃくちゃ長いのですけれども、それはいろいろな意味で例外的なものだろうと。委員会が最初に取り上げた案件だから気合いも入ったと思います。もう本当にフルスケールであらゆる調査検討を行ったということなのですけれども、頑張り過ぎて長くなり過ぎたというのもありえますし、事務体制も混乱していたということもありました。そういうことは書き加えますけれども、全体のトーンと言いますか、そういうものに変わりはないと思います。 -
問
ありがとうございます。
最後に、今後のお話を伺いたいのですけれども、今後もこういった報告書が出て、1つ課題をきちんと整理できるような状況になるかと思うのですけれども、この報告書を受けて、事故調さんの中で、さらに体制を改善するために対策委員会というか、さらに今後に向けて、具体的にここで出た課題を解決するための組織を立ち上げたりとか、そういったことは考えていたりするのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
それは私に聞かれても分からないのですけれども。現時点で委員会としては考えているわけではありません。委員会としては、自分たちで課題と思ったこと粛々と克服するよう努力するということです。例えば、事務局体制の拡充が必要と書いてあるけれども、自分でできるわけではありませんので、それは、これを読んで、先ほど申したように、これは自己評価ですから、自己評価をどう外部の方が捉えて、外部というのは消費者庁自体もありますけれども、どのような対応を取られるかであって、こちらとしては何かを言う立場ではないです。 - 問 分かりました。ありがとうございます。
- 問 10年ということで、最初はなかなか消費者事故に対して調査してくれるところがないということで、申出があって、どこから調査に入るんだろうみたいな時期もあったと思うのですけれども、その申出の数と、実際にやっている調査との関係は、この10年で変わってきていますでしょうか。
-
答
(中川委員長)
申出件数の変化とか、申出件数の何%が報告に至っているかとか、それに変化があるかという御質問でしょうか。 - 問 はい。22件のうちの13件が申出によるものだという、10年での結果ということなのですけれども、あまり申出をしなくても、事故調のほうで積極的にもう進んでいるので、申出件数が減っているとか、そういう感じの受け止めのようなものがあればお教えください。
-
答
(中川委員長)
私は分かりませんが、事務局のほうで、申出件数はどうか、分かりますか。
(事務局)
今の御質問なのですけれども、件数としては、今まで492件ございます。その中で、選定等がかなりあるということなのですけれども、最近の傾向からすると、申出がない案件の調査に至る傾向がどちらかというと出ているかなとは思っております。
大体、この1年ぐらい、月2~3件ぐらい、それぐらいの申出にだんだん減ってきている傾向にはあるのかなと思います。
(記者)
分かりました。ありがとうございました。