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記者会見要旨
(2022年7月26日(火) 16:25~16:44 於:1208特別会議室)

発言要旨

(中川委員長)
大変お待たせをいたしました。本日の審議について、お話をいたします。
まず、エステサロン等でのHIFUによる事故に係る事故等を原因調査について、経過報告を審議し決定をいたしました。
本件調査を開始した令和3年7月から1年以内に事故等原因調査を完了することが困難であると見込まれる状況にあることから、消費者保全法第31条第3項の規定に基づき、これまでの調査の概要と今後の調査について示した経過報告を公表いたします。
経過報告書にありますように、これは、お手元にあるかと思いますけれども、HIFUとは、ターゲット一点に集束させた超音波のことです。その超音波を出すHIFU機器は、エステサロンで美容目的として、痩身や、たるみ改善の施術で用いられております。
この機器は、目的に合った皮下組織に熱損傷を与えることで、施術の効果を生むわけですけれども、その一方で、神経、感覚の障害や皮膚障害、火傷など消費者事故にもつながっております。
今回、経過報告書を出すに当たりまして、現時点で分かっていることを幾つか公表したいと思っております。このお配りしました経過報告書の最後のページで下線をしております。
かいつまんで申し上げますと、先ほど申し上げたような性質を持っている機器でありながら、アンケート調査によりますと、施術者が注意事項等に関する利用者への説明を十分に行っていないこと。また、利用者も施術のリスクを認識した上で施術を受けているわけではないといった実態が分かってきました。
また、HIFU機器の照射能力についても懸念があります。調査開始時点では、エステサロン、セルフエステ等のHIFU機器と、それから医師のいる美容クリニックでのHIFU機器では、照射能力が明確に異なるのであろうと、そう考えておりました。
ところが、照射実験を行ってみた結果、HIFUの照射した箇所の温度を上げる能力に明確な差が見られませんでした。すなわち、非常に強い照射力をHIFU機器が広く使われている、エステサロンやセルフエストで広く使われている実態があるのではないかと考えております。このようにHIFU機器による施術の非常に危険な実態が分かってきました。
その一方で、再発防止策を検討するに当たりましては、法令による規制の確認、どのような規制をしているのかという確認、及び、このような危険な機器がエステサロンで入手できる物流の実態については、なお、調査を続行しているところです。そのため1年以内に調査を終えることができず、今回、経過報告書を出した次第です。
調査報告書案は、まだ、本委員会で本格的には審議しておりませんが、できるだけ早い取りまとめを目指しております。公表時期といたしましては、努力目標でありますが年度内を目途にしております。
その他、本日は、トランポリンパークでの事故、学校での事故の調査報告書の審議、フォローアップ審議として、エレベーター事故の事案について審議を行いました。
このうちトランポリンについて、現時点で分かっていることを申し上げますと、施設側がトランポリンの危険性についての説明あるいは危険回避のための指導、どのように飛べば安全かという指導、この点で、とても十分とは言えない実態があるということが判明しつつあります。
学校事故につきましても、教員による安全点検が機能しているとは言えないという実態が判明しつつあります。それに対する再発防止策について、本日もいろいろ議論いたしました。学校に対して、どのようにお願いするのかというのは、我々も難儀しているところです。非常に複雑な仕組みですので、検討しております。
いずれにつきましても、トランポリンも学校事項も比較的近いうちに報告書を出せるのではないかと思っています。比較的近いというのは、秋頃の公表を目指しております。
エレベーター事故につきましては、エレベーターの戸開走行事故が2件発生していたことが、本年5月に国交省により公表されております。これは先月の会見でお伝えしました。国土交通省への質問事項からの回答について、委員会として報告を受けましたけれども、さらに聞き取るべき内容が出ていると判断しまして、再質問を行うことにしました。
以上が、私からの最初の発言であります。
続いて、部会の動きについて、委員長代理からお願いいたします。

(持丸委員長代理)
すみません、今日は遠隔になります。持丸でございます。
私のほうから部会の活動について報告を申し上げます。
まず、製品等事故調査部会です。エステサロンでのHIFUによる事故、本日の経過報告書ですけれども、これに向けた審議を行いました。
それから、木造立体迷路、雨ざらしのと言ってはいけないのですけれども、屋根のない木造立体迷路の床板落下における事項の初動調査報告を受けて、それに伴う審議を行いました。
私が部会長を務めますサービス等事故調査部会では、学校の事故の報告書に向けた審議、それからトランポリンパークでの事故の報告書に向けた審議、さらに、自動ドアの事案に関するフォローアップ、こちらについての審議を行いました。
私のほうからの報告は、以上になります。

質疑応答

朝日新聞の寺田です。
学校の事故についてなのですけれども、追えていなくて大変恐縮なのですが、報告し得る内容を少し教えていただいてもよろしいでしょうか。

(中川委員長)
学校における事故が継続的に起きていて、窓から落ちたとか、そういうものですね、スポーツ事故ではなくて、施設あるいは設備による事故と、我々は呼んでおりますけれども、机を窓のそばに置くと、そこから窓外に落ちるとか、そういったものです。これまでは、それはふざけるほうが悪いのだと、子供が悪いという感じで受け止めていたことが多いのではないかと思いますけれども、しかし、これを労働安全の専門家の目から見ると、そもそも開ければすぐ落ちるような窓のそばで遊ばせているほうがおかしい、そういう構造になっているほうがおかしいという、そういう指摘を受けております。
そうしますと、労働安全と学校安全を比べると、はるかに学校安全のほうが危ないといいますか、低い、そして、いろんな機器、学校に置いてある施設、設備が古くなっていることをチェックしなければいけないというのだけれども、チェックも非常に甘い。分からない人がやっている、専門家ではない教員がやっているので、それは見逃してしまうわけです。
そういったいろんな意味で、安全文化というものが育っていない状況なのではないかという問題意識です。
ですので、事故が起きる原因ははっきりしていて、学校として安全チェックを十分にしていない、危険な状態で子供がいるということが分かっていますので、問題は再発防止策なのです。誰が何をしなければいけないのか。御存じのとおり、教員は大変忙しい状態で、かつ、安全チェックは、それは素人ができることでもないですね、できるところもありますけれども、全部できるわけではない。同じものを素人が見るのと、専門家が見るのでは全然評価が違うのですね、これは危ないと思うか、危なくないと思うかの評価が違うのです。調査した対象は公立の小中です。
ということで、誰に対して、どのようなことをしてもらうのかという再発防止策を練り上げるところで、今、苦労しているというところです。今日は、その苦労の一角として再発防止策について、いろいろなアイデアを出していただいたところです。

NHKのシマダです。よろしくお願いします。
HIFUの件でお尋ねします。
先生、今日新しく分かったこととして、説明不十分だったりとか、あるいは照射能力の非常に高いものが幅広いところで使っているのではないかというところで、非常に危険な実態が分かってきたということをおっしゃっていたのですけれども、今後、その調査の、先生が非常に危険な実態が分かってきたとおっしゃった中での、今後のポイント、一番主たるポイントというのは、どういったところになっていくのでしょうか。

(中川委員長)
これは、今後の調査のところにも書いてあるとおりなのですけれども、1つは、当然ながら、医師法であるとか、薬機法といった法律があって、それによって規制されている可能性が高いのですけれども、その規制が、どのようにされているのかというのが、まだよく分かっていないです。我々も、調査中なのです。
医師しか使えないとか、医師しか入手できないというのであれば、これは、美容クリニックでしかできないということになって、安全性はかなり担保されるはずなのですね。ところが、そうではなくて、セルフエステ、それからエステサロンという形で津川割れている。エステティシャンは国家資格ではありませんので、誰でもできる。
そこで、本来的には医師しかできないはずのことをやっている実態があると考えています。なぜ、法的にそういう状態が生まれているのかというところが、なかなか難しいわけです。これを、今、調査しているところです。
もう一つが、物流ですね。どうしてエステサロンが手に入れることができるのか、そもそも本来、これは医療機器ではないのか。そういう意味では、あわせていうと、法制的な問題がどうもはっきりしない。もちろん、担当省庁はきちんと運用しているのだと思うのですけれども、しかし、その結果として、きちんとしていない状態が起きているはずなので、どうしましょうか、どういうことを求めるべきかということなのです。最後、そこが残っています。そこは、私も説明を聞いても、まだよく分からないというところです。法律の解釈が、それでいいのかどうかですが、これ以上は、まだ不確定な情報がありますので、申し上げられませんけれども、そういう状況です。

読売新聞のイシイです。
HIFUの件なのですけれども、先週あった事前レクの中でも、特に法制度について記者側からの質問が集中しまして、その質問の回答の中で分かった点として、薬機法との関係で、HIFU、いわゆる前立腺がんの治療のためのHIFUというのは、薬機法上、承認は得ているけれども、そもそも美容クリニックで使われている痩身効果などを得るための、美容クリニックで使われているHIFU自体も、何か薬機法上、別に承認を得たものを美容クリニックが使っているわけではないみたいな話も聞きまして、そうなると、そもそもの前提として、なかなか薬機法上の問題としてくくるのが難しいのではないかと、そういう質問も出たのですけれども、この辺りについての委員長の、現時点での見解を教えていただきたい。
もう一点が、担当省庁は、しっかり運用しているのだろうというお話ですけれども、これは、私の取材した限りでは、いわゆる業界団体であるとか、経産省というのは、どちらかというと、事故調の問題意識は比較的近いのかと思う反面、厚労省はケース・バイ・ケースとか、薬機法を担当している省庁は、非常に独善的な形で、非常に取材をしていても、腹が立つ回答ばかりするような連中だったのですけれども、そういう中で、担当省庁はしっかりしている、つまり、もっとぶっちゃけ言うと、厚労省がしっかりしていないのではないかという疑問があるのですけれども、この辺りは、どうなのでしょうか。

(中川委員長)
語弊があったかもしれませんが、担当官庁がしっかり運用しているというのは、担当官庁なりの基準があってやっているはずであると、法を解釈し適用しているわけですからね、しかし、その解釈適用に我々が納得できるか、それは別の話です。どのような担当官庁から、どういう回答が来ているか、詳細は、まだ、委員会で審議しておりません。部会では審議しているのかもしれませんが、私はそこは分かりませんけれども、まだ、委員会審議の状況まで来ていないのですね。なぜ、こういう実態が生まれるような運用になるのかというところが、先ほど御質問があったような形で、禅問答みたいなことになっているのです。
それを我々がどう受け止めるかという前の段階で、事務局でいろいろ整理しているところです。これから、我々委員会として、この回答についてどう対処していくかというところに入っていく。今日は、そこまで審議していない。経過報告書ですので、今日は、分かっている事実を公表するということを審議いたしましたが、その後のことについては、今日は審議していない、まだ、これからです。
ですから、委員会で資料が出てきていないので、個人的見解も、まだ、今日は言わないほうがいいと思います。

分かりました。ありがとうございました。
製品等事故調査部会で、立体迷路の初動調査の報告を受けて審議したとありますけれども、今までどういうような報告を受け、どういう審議とか方向性が見えているのか、これについて教えてください。

(持丸委員長代理)
部会の持丸から把握している限りのことをお話しいたします。
基本的には、実態の事案が起きているところに関して、腐食の状況とか、幾つか来ているのもあるのですけれども、どういうような管理状況になっているのかとか、どういう状況になっているのかというようなことについての情報を得て、それから、一応、ある程度分かっているのが、建築基準法というのは、どういうふうになっていて、なぜ、それが建築基準法とか、そういうものの適用に、現時点ではなっていないのかという辺りを見ながら、これを今後のことも含めて、事案としてどのように扱っていくかという辺りの審議をしたと聞いております。

分かりました。ありがとうございました。