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記者会見要旨
(2022年5月26日(木) 12:30~13:06 於:1214会議室)

発言要旨

(中川委員長)
どうもお待たせをいたしました。
本日は、消費者安全調査委員会におきまして新規の調査案件を選定いたしましたので、発表いたします。
木造立体迷路の床板の落下による事故について調査を行うという決定をいたしました。この事故は、昨年、2021年10月に遊園地において、5階建ての木造立体迷路の3階の床板の一部が抜け落ち、利用客7名が2階に転落するという事故です。
本委員会は、事故発生直後、専門委員と事務局職員が現地調査とヒアリングを行っております。
現時点で確認できる情報は次の2点です。まず1点目、雨ざらしの床板の腐食による事故であることです。事故原因でございますが、御記憶の方もいらっしゃるかもしれません。2021年に八王子でアパートの木造の屋外階段の崩落事故がございました。つい先日、某新聞の報道で、警視庁の捜査によれば木材に腐食が見つかった。建築基準法で求められている木材に有効な防腐措置が取られていなかった可能性があるという報道がございましたが、それと似たタイプの事故であろうと想像しております。
もう一点確認できた事項ですが、この立体迷路というものが建築基準法上の規制対象かといいますと、建築物の定義には当てはまらない。また、いわゆる準用工作物という、建築物ではないけれども建築基準法を準用する工作物というものにも当たらないことです。準用工作物は政令で指定されるのですけれども、政令指定されていないということです。
皆さんのお手元に写真があろうかと思いますが、結構な大きさの建物なのですけれども、建築基準法は全くかかってこないという状況です。
対策としては、差し当たり誰でも思いつくのは、政令で指定すればいいではないかということなのですが、果たしてそれがうまくいくのかどうか、もっとほかの方法もあるかもしれないとか、様々な状況が考えられますので、調査に値する事故であると考えて決定をいたしました。
事故が再発した際に予想される被害の程度や規模ですけれども、これは床板の上の方が落ちられたということですが、仮に下に人がいると、さらに大きな事故になり得るということで、そういった点も総合的に勘案いたしまして、調査対象の選定指針に照らし、調査事案とするという決定をいたしました。
なお、この事故について再発防止に向けた調査等を行っている行政機関、業界団体等は、現時点では確認できておりません。
以上が1件目の新規の調査案件です。
2点目は、エレベーター事故のフォローアップの進め方について審議を行ったことについて発表いたします。
エレベーターの扉が開いたまま動いてしまうという戸開走行による事故について、委員会は既に意見具申を行っております。御存じのとおり、この委員会自体が、エレベーターの戸開走行事故が一つの大きなきっかけとなってできております。その意見具申後も、意見先である国土交通省の取組の進捗状況を定期的に聞き取り、フォローアップを継続してきました。
本日の調査委員会では、先日、国土交通省が公表いたしました報告書、すなわち大阪と神戸で発生したエレベーター事故の調査報告書について事務局から報告がございました。いずれも幸い生命被害等は出ておりませんけれども、定期検査、保守点検の直後、数日後だと聞いておりますが、エレベーターが戸開走行した事案です。いずれのエレベーターもいわゆる既存不適格、すなわち戸開走行保護装置がない。戸開走行保護装置を義務づけた法律より以前に設置されたエレベーターであるので、法的義務としては戸開走行保護装置をつける必要がないというものです。そこで事故が起きたという事案です。
事務局から、このほかに現時点の国土交通省の取組状況といたしまして、戸開走行保護装置の設置率、義務のものは当然やらなければいけないのですけれども、義務ではないのですが、安全のために自発的に戸開走行保護装置をつけるという設置率が本年1月で29%、その前の年からわずか3%の増加であるということで、戸開走行保護装置は必要なのだけれども、装備が全く進んでいないという状況も報告されました。
以上を踏まえまして、本委員会として、今後のエレベーター事故のフォローアップの方針なのですけれども、まず、この大阪と兵庫のエレベーター事故に非常に強い関心を持っております。たまたま大きな人身事故とはならなかった、軽傷ということなのですが、事故の形態からするとこれは普通に大きな事故が起きても全く不思議ではない、むしろそういう事故があったと考えるべきであるという委員からの強い指摘がございます。
委員会の意見具申では、まずは適切な保守点検きちんとやりましょう、マニュアルも共有してと、かなり強く意見を申し上げたところなのですが、先ほど申し上げましたように、保守点検をした直後に起きた事故です。しかも製造業者と同じ系統の保守事業者だと聞いております。保守点検が不適切でこの事故が起きている可能性が大きい。したがって、意見具申したことがどうも実現されていないということで、保守管理の点からまずは非常に強い関心を持っております。
もう一つ、先ほど戸開走行保護装置の設置率が本年1月でもまだ3割に満たないぐらいです。この設置促進は国土交通省としていろいろな努力はされております。今年からは助成金がさらにアップをされているということなのですけれども、なかなか目立った進捗を示していないというところがやはり最大の事故原因であります。
委員の意見ですけれども、今までのように既存不適格を認めていいのかという非常に根本的な問題関心もあり、その観点からフォローアップを進めます。本質的な安全策であるとか保護装置を、法的にはつけなくていいところでもつけなければ結局同じ事故が起きるということで、そこのところをどのように促進していくか、補助金だけでいいのかという観点からの関心を持っています。
以上、2点が本日の報告のメインです。
そのほか、本日の委員会では、学校の施設または物品により発生した事項等の調査報告書の審議を行いました。また、トランポリンパークでの事故の調査報告書及び経過報告の審議を行いました。
学校施設の事故につきましては、労働安全に比べて学校安全が格段に遅れているのではないかという、非常に強い危機感を持って、抜本的な対策を求めるという方向で検討を進めております。この夏中に報告書決定ができるのではないかと考えています。トランポリンパークの事故につきましても、今年の夏中の報告書の決定を予定しております。
本委員会につきましては、私からは以上でございます。
それでは、部会の動きについて、委員長代理からお願いいたします。

(持丸委員長代理)
続きまして、部会の動きを紹介いたします。委員長代理の持丸です。
製品等事故調査部会では、エステサロンでのHIFUによる事故の調査結果の報告と審議、並びに今、委員長から報告のありました木造立体迷路の床板落下事故の選定に関する審議、これもお話のありましたエレベーター事故のフォローアップ審議、さらにハンドル形電動車椅子の下り坂走行時の事故フォローアップの審議について行いました。
私が部会長を務めますサービス等事故調査部会では、これも話がございました学校の施設または物品により発生した事故、トランポリンパークでの事故について報告書の取りまとめに関する審議を行いました。
私からは以上になります。

質疑応答

共同通信のイケガミと申します。よろしくお願いします。
木造の立体迷路の件なのですけれども、確認なのですが、八王子であったアパートの階段崩落事故が、警視庁によると木造の腐食があった。それと似た構造の事故だと想定しているのですか。

(中川委員長)
八王子の事故をお話ししたのは、八王子の件は建物ですから当然建築基準法の適用があるのです。なのに、きちんと防腐がされてなかった。つまり、雨ざらしの木材で階段という場面であれば、建築基準法の適用があれば、必ず防腐の措置をしないと認められないのですが、この立体迷路の場合は建築規準法の適用がない。普通に考えれば、同じ木材で階段とか床板で雨ざらしなのであれば、防腐をしておかないと、それは腐るでしょう。そのとおり、これは腐って事故が起きたわけです。起きるべくして起きた事故であり、法令の適用はないのがいけないのか、それとも何か理由があって適用できないのか、そこは分かりませんけれども、事故の起き方としては分かりやすい事例として八王子の件をお示ししたという趣旨です。事故調査報告書には八王子は出てきません。

例えとして。

(中川委員長)
例えとしてです。

ありがとうございます。
原因としては、雨ざらしによる腐食だと見ていて。

(中川委員長)
腐食で壊れたというところは確かだと聞いております。

防腐対策が不十分だったと。

(中川委員長)
そうなのか、こういう立体迷路のような場合、構造にもよりますので、防腐対策をすれば何とかなるレベルなのかどうかも分からないのです。八王子のものはアパートで、例えば、鉄の構造に板だけつけていたかもしれないです。それだったら防腐でもいいということはあるかもしれませんが、これみたいに全部が木材という場合に、果たして全部を防腐すれば十分なのかというのは調べてみなくては分からないのです。
だから、もしかすると、建築基準法上の準用工作物ではない理由は、全部木造だったら準用などしたら造れなくなるということになるかもしれないのです。そこも調べなくては分からない。これは全て可能性を申し上げているだけですので、まだまだそういった意味で調べなくてはいけないことがたくさんある事故だなと考えた次第です。

ありがとうございます。

(持丸委員長代理)
ちょっと補足すると、ねじ部は金属が使われておりますので、原因は恐らく木材のほうだろうと思っておりますけれども、もう少しその辺りを調べていこうということでございます。

そうすると、現時点でまだ準用工作物として政令指定することを目指すとか、そういうことは。

(中川委員長)
そういうことも聞いておりません。

分かりました。ありがとうございます。

(中川委員長)
それが適切な解決策かどうかも分からない状態ですので。

朝日新聞のコイズミです。よろしくお願いします。
原因については木材の腐朽が疑われるということで、ある意味、ある程度は分かっている部分もあるのかなと思うのですけれども、そう考えたときに、この調査というのはやはり再発防止の部分がメインになってくるのかという御認識の確認をさせてください。

(中川委員長)
専らそうなると思います。今、持丸委員長代理がおっしゃったように、くぎとか、鉄製の何かほかの構造の原因があったかもしれない、それも寄与したかもしれないのですが、差し当たり、今分かる段階では、木造だと原因がはっきりしているので、対策は何が適切なのかと。こういうことが何度かこの委員会で議論したことがあるのですけれども、遊具を安全にしようと思えばいろいろな対策ができるのだけれども、そこまでやるとコストが高過ぎるとか、そもそも造れなくなる。そうすると、もう造ってはいけないとすべきなのかどうか。その辺りも考えなくてはいけないと思いますので、そういう出口、対策がどこなのかというところはそんな簡単に見つかるか分からない状態なのです。一見簡単に見えますけれども、本当に簡単かどうかというのは、今日少し議論しただけでも、意外にこの事故は対策の打ち方が多くなるかもしれないという見通しが語られたところもあります。

ありがとうございます。
もう一点は、先ほど準用工作物の政令指定がいいのかどうか分からないというお話がありましたけれども、委員長の御認識として、何かしらの行政による規制なり関与が必要だという御認識なのでしょうか。

(中川委員長)
そうなると思います。
恐らく、現時点では規制のかかるというところがなさそうな、そういう関係法令がなさそうな、一番ありそうなのは建築基準法なのですけれども、それも適用がないので、文字どおり隙間事故だと持丸委員長代理から御発言がありましたけれども、まさに消費者庁がやらなくてはいけない隙間事故。どこにも所管がない、あるいは法令がない。ですけれども、業界団体もありませんから、このままほっておけば誰も何もしない状態であろうと。
もちろん、持ち主の方は安全に配慮されていたようなのですけれども、結果的にはそれは十分ではなかったということで、自助努力に任せていると必ずしもいい結果が出てこないので、行政側が行政指導なのか法的な規制なのかというのは、事故の原因をもう少し確認した上で、ほかにどんな選択肢があるのかというのを考えて決めていくことになると思います。それ以上はまだ分かりません。

ありがとうございました。
読売新聞のイシイです。
建築基準法の建築物でもないし、準用工作物でもないということですけれども、普通に考えれば、木造の3階建て以上については、構造計算が必要だったり、私も子供を連れていくときがありますけれども、3階建てや4階建ての迷路があって、確かに本当に危ないなとは思うのですが、世界中にこういった立体迷路があるかと思うのですが、分かる範囲で構わないのですが、例えば海外だと法律の規制があるとか、もしくは、業界団体のほうで防腐対策について何かしらのマニュアル等があるとか、そういう先行事例みたいなものは現時点で何か分かることありますでしょうか。

(中川委員長)
私自身は知りませんが、確かこれは海外のものを持ってきたという説明が今日あったと記憶しています。製品自体が海外でつくられたものを持ってきて、それで組み立てて、先ほど申し上げた設置者自身もいろいろ気をつけていた。もともとの許容範囲の人数を減らして使わせていたのです。そういう意味ではちゃんと配慮があったわけですけれども、それだけでは足りなかったということです。
海外のことは、事務局は分かりますか。

(事務局)
事務局です。
今後、海外については調べていく要素だとは思いますが、現時点では把握できておりません。木材をいろいろなところから輸入してつくられているようなので、それをキットで買っているのか、それにプラスアルファで何かしているのか、その辺の防腐処理等をきちんと確認しようかと思います。海外の先行的な事例については確認できておりません。専ら国内の建築基準法、遊具の基準とか木橋の基準とかがございますので、その辺を見ながら対策の案として何か出るかもしれません。その辺は、今後の課題として考えたいと思います。ありがとうございます。

(中川委員長)
海外だと気候も違いますからね。日本は梅雨があるので、それは特に雨が多い。どの国の基準が我々にとって適切なのかというのを見なくてはいけないわけですので、どの国が参考になるのか、なかなかすぐにわからないかもしれませんね。

もう一点、方向性として、木材に腐食塗料を塗るとかその辺の話になってくるかと思うのですけれども、例えば、普通の家で考えれば、床板が抜けるというのは屋根からの水漏れで抜けてしまうことがあると思いますし、当然、防水シートとかで覆うことになると思うのですけれども、例えば屋根をつけろみたいな、構造上で屋根をつけたほうがいいとか、床に水がたまらないようにすべきだとか、そういう方向性の結論になることも可能性としてはありますか。

(中川委員長)
屋根を付けると建築基準法上の建築物にしろということになりますので、建築物という形でしか立体迷路施設を許すべきではないという法制の提案になります。そうすると、立体迷路に屋根を付けろと命じるのは何法でやるのか、どこが所管なのか。国土交通省かもしれませんし、経済産業省かもしれません。屋根が義務づけられて建築物になれば、そこからは建築基準法が適用されますから国土交通省の話なのですが、それ以前に,そもそも立体迷路は建築物としてしか、つまり、工作物としては駄目です、屋根をつけなさいという規制をどこの法律でするのかとなると、それはどこなのだろうと、にわかには分からないのです。遊具だということになると経済産業省かもしれません。そういうところも議論しなければいけないと思います。

分かりました。ありがとうございました。
度々すみません。共同通信のイケガミです。
確認なのですけれども、今は点検の不備というよりも、メーカー側の不備である可能性が高いということですか。

(中川委員長)
点検というよりは、恐らくそもそもの最初からの造りといいますか、防腐措置は最初からしなくてはいけないはずですので、防腐措置をやってなかった状態で使い始めた。だから、施設そのものの欠陥ではないかというのが今のところの見込みです。

施設そのものの欠陥。承知しました。その辺りを法的にどう整備していくかも含めて、これから検討されていく。

そうです。

ありがとうございます。
日本経済新聞のマルタです。
ちょっと遅れてきましたので、既にお話になっているかもしれませんが、トランポリンの件です。先ほど委員長のお話はこの夏の報告書の取りまとめということで、持丸委員長代理もおっしゃっていたような気がしますが、6月で1年経過ではなかったかと思いますが、つまり経過報告が出た後に報告書を出すというスケジュールですか。

(中川委員長)
そのとおりです。だから、ほんの2か月ぐらいですかね。例えば、6月に経過報告書を出して、8月に報告書ということももちろんあります。今夏中となるとそういうことになりますよね。

そうすると、ちょっと疑問だったのは、4月に消費者庁がトランポリンの事故防止の注意喚起を出して、そのときに消費者向けの注意喚起ということで、事業者ではなくて消費者です。だから、施設の中で管理が行き届いているかを消費者の方が確認するとか、本来、事業者がやるべきことであれば、事故防止の可能性があることについて消費者がそれを確認する必要があるみたいに読める感じで、お聞きたかったのは、事故防止、再発防止に向けた事故調が調査している対象の事案について、調査している最中、つまり報告書とか経過報告書が出る前に、検討している最中に、消費者庁のように注意喚起をする場合、事故調はどうしているのかなということをちょっと考えていて、事故調の関与といいますか。

(中川委員長)
関与というか、消費者庁の安全課は、我々がどういう動きかというのは当然知っているはずです。我々もいろいろ情報をもらわなくてはいけないので、意思疎通はしています。消費者庁が注意喚起をするのはあくまでも消費者に対してです。今、こんなことが起きていますから、まずは皆さん気をつけてくださいねという情報提供を消費者に対してしているわけです。
我々は事故をなくすためには、もちろん消費者の意識も重要ですけれども、事業者に何をしてもらうべきなのか、事業者にただ気をつけなさいではなくて、具体的に何をしなければ動いてくれないのか、そのためには関係行政機関がどういうことをしなくてはいけないか、場合によって法令の改正ということも求めるのが事故調ですので、別に矛盾も何もしてなくて、むしろ我々としては、事故調の調査報告書が出るのを待つまでもなく、先に安全喚起はしていただきたいと思っているわけですので、矛盾どころか場合によってはこちらのほうからお願いしているかもしれないぐらいです。

矛盾ではなくて、注意喚起をするときに、事故調として消費者庁に対して何かサジェスチョンをするとか。

(中川委員長)
そういうこともあったと思います。
具体的にありますか。

(事務局)
事務局でございます。
今回、消費者庁のほうで注意喚起をさせていただきましたが、もちろん調査の独立性が前提なので調査の内容ということでありませんが、その際には事故調のほうから集めておられる資料であるとか、あるいは専門家の先生を御紹介いただいて、専門家のコメントとして活用させていただくということもさせていただいております。

(中川委員長)
その面では連携していると考えていただいてもいいと思います。

NHKのアキヤマです。
エレベーターの件で1点だけ。戸開走行の問題は、ある意味で事故調ができるきっかけの理由の一つにもなっていましたし、社会的にも大きな注目を集めた一方で、もう十数年前に義務づけがされていて、まだ3割かというのが正直な受け止めだったのですけれども、これは100にはならないにせよ、3%ずつ伸ばしていくとあと20年かかるのかと。廃棄もあるので、もっと早くできる可能性もちろんあるとは思うのですけれども、フォローアップの強化だけではなくて、オーナーさんたちの意識づけだったり、変えていかない限りは同種事故がなくならないのではないかという危機感を感じているのですが、どのようにすると、もう一つねじを巻けるのかと考えてらっしゃるのでしょうか。

(中川委員長)
それはこれからなので、ここで言うのは不適切かもしれませんが、先ほど委員の意見として申し上げましたけれども、法的な対応を考えなくてはいけないという意見はもうずっとあります。つまり、今は既存不適格で、意識の高いオーナーさんたちだけが補助金を使いながら、とはいっても多分赤字になると思いますけれども、エレベーターを付け替える、戸開走行保護装置をつけるということをしていっている。しかしそれを待っていたのではまさに20年かかるので、そもそも、遡及適用してはいけないということ自体が本当に正しいのかという根本的な問題をさすがに考えなくてはいけないのではないか。特にエレベーターは、ほかとはかなり違って事故は非常に凄惨に起きますので、考えるべきではないかという意見はあります。
ですので、その意見がもし多数を占めるということになりますと、再度意見書を出すというところまで行く可能性があります。これは、国土交通省さんのヒアリングをしながらですので、向こうがどのような対応をお示しになるかによって違ってきますけれども、何もない場合はそうなる可能性も十分にあると思っております。

ありがとうございます。
あくまでも事故調としての装置設置率は、やはり100%に早くなることを願われているというのは変わりないということでしょうか。

(中川委員長)
そのとおりです。そこは全然変わっておりません。

ありがとうございます。
今のエレベーターの件で、補足でちょっと質問なのですけれども、エレベーターはたしか2020年問題、要は、設備の更新が一気に進むのが2020年で、その間にリニューアルが進むのではないかと言われていたと思うのですが、昨年から3%しか増えていないということですけれども、結局、更新を待っていたのでは時間がかかり過ぎるということだと思うのですけれども、2020年とか、更新が一気に進むだろうといった時期も大してあまり増えなかったという問題意識というのもあるのでしょうか。

(中川委員長)
2020年問題は、私は具体的に認識しておりませんが、これはどなたか分かりますか。更新が一気に来るということですか。

(持丸委員長代理)
よろしいですか。
実際、我々は実数としてどれぐらい機械の更新が進んでいるかというのは分からないのですけれども、実は法律の適用がなかなか難しいところがありまして、エレベーターを入れる穴は別に直していないのです。中の機械だけを直すというときに、その前に制定されたルールが適用されるかどうかというところがさっき言った遡及適用のところになっていまして、新しくビルを建ててゼロからエレベーターを入れるときは、明らかに戸開の装置を入れなくてはいけないのですけれども、前のものを我々から見ると丸ごと入れ替えているのですが、立てつけ上は部分的に入れ替えている、機械だけ入れ替えている。ええという気もしますけれども、その場合は、どうも必ずしもそれを入れなくてもいいという感じになっているのです。したがって、機械が入れ替わるタイミングで全部入れ替わると楽観できない状況が我々もあると認識しております。
そうすると、結構変わらないかなという気もしていて、委員の中でも意見を考え直さなくてはいけないのではないかと、そんな議論が出ているということでございます。

分かりました。
てっきりエレベーターの取替えのときには更新されていくものだと思っていたのですが、より問題が深いということは承知しました。ありがとうございました。