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記者会見要旨
(2022年6月23日(木) 12:13~13:00 於:1214会議室)

発言要旨

(中川委員長)
よろしくお願いします。
本日の調査委員会では、最初に、委員会設立10年の検証の論点整理を公開で審議いたしました。この10年間で、まず、在り方検討会が求めた事故調の在り方を私たちが十分に実現しているかに関する評価、2番目に、在り方検討会後の社会の変化、事故の変化に委員会がどう対応してきているかを可視化するということ、この2点を中心とした原案を審議しました。
まず1点目ですが、在り方検討会が求めた再発防止のための事故調査という理念については、ほぼ実現できてきたのではないかというのが本日の審議でございました。これは委員会がこの10年間で取り扱ってきた事故の変化に見て取ることができると思います。
第1に、製品そのものの欠陥、あるいはメンテナンスの結果に由来する事故、製品事故です。エレベーターであるとかガス給湯器、あるいは太陽光発電システムからの火災といった古典的な製品事故はもちろん取り上げております。
それから、2番目といたしまして、サービス提供に伴う事故も取り上げております。毛染めとか、あるいはプールでの溺水事故等です。
3番目が最近増えてきたものでありますけれども、製品の事故でもありサービス事故でもあるという両方の側面を持つ事故の類型にも取り組んできております。例えば子供の医薬品や玩具の誤飲、機械式立体駐車場、エスカレーター転落事故、安全装置を止めて利用するハンドル形電動車椅子、あるいは歩行型除雪機の事故、幼児乗せの自転車事故、自動ドアの事故、水上の遊具施設事故等、製品だけではなくて、それを使う環境についても意見を具申するというタイプにも広がってきております。
現在取り上げておりますトランポリンパーク、あるいは学校事故というのも最後のタイプで,製品の事故でもあるし、サービスというか利用の環境が原因の事故でもあるというタイプかと思います。
このように、委員会は、最初は第1類型、第2類型、製品だけの事故、あるいはサービスだけの事故ということが多かったのですが、最近はほとんど両面にわたった視野で事故を捉えております。このように視野を広げて事故原因を検討しているということは、そもそもこの在り方検討会が想定した隠された事故リスクを明らかにすること、事故リスクというと製品だろうとか、サービスだけだろうと決めつけるのではなくて、もっとほかにもリスクが隠されていないかということを柔軟な思考で考えていくという方針――これは最初の委員長である畑村先生が、私は畑村イズムと呼んでいます――をずっと現在も私たちは維持していると考えております。
あと、課題といたしまして時間面です。報告書が決定されるまで時間がかかっているのではないかということは、当初からよく言われておりました。これにつきましては、毎年毎年少しずつ短くするように頑張ってきているという自己認識でありまして、現在では、大体平均して1年数か月ぐらい、1年半を切るぐらい、そこまでは来ているのではないかと思います。それについては、先ほど公開の審議で意見がありましたように、これをさらに短くするのであれば、やはり人員がいなければ、難しいのではないかというような指摘もございました。
それから、もう一つの論点です。2点目として、在り方検討会の時代にはなかった社会の在り方、あるいはそこでは想定されていなかったような事態に対して、私たち委員会がこの10年間にどのような新たな取組をしてきたのかということも整理しておこうというのが2つ目の柱でした。
在り方検討会後の社会の変化は、象徴的なものがデジタルプラットフォームであろうと思います。デジタルプラットフォームの普及を通じて海外製品の輸入が非常に容易になっているということです。この場合、国内にいる事故の関係者は、輸入した個人、あるいは輸入した事業者ではあるけれども、その製品について知識がない、そういう事業者、他方、デジタルプラットフォームの提供者、これぐらいしか国内関係者はいない。製品の製造業者、あるいは輸入業者、あるいは販売業者、そういう人たちが全て国外にいるというタイプです。こうした状況でどうやって安全対策を打ち出していくのか、これが現在、私たちが毎回非常に頭を悩ませているものです。
もう一つの変化といいますか、在り方検討会で想定していなかったものは、やはり社会変化のスピードがさらに上がってきて、新しい製品、新しいサービスがどんどんできてくることです。そこで、調査委員会の在り方としても、事故が起きてから動くというのではなくて、事故の起き始め――小さな事故だったけれども、これは生命・身体の重大事故につながり得るというような重大事故の起き始め――を捉えて調査をし、そして、事業者とともに、安全な製品・サービスを開発していくという、コークリエーションという言葉を使うこともあるようですが、事故調査と産業の発展を同時に進めていく。そのようなスタンスで事故調査委員会が世の中に関わっていくことも必要ではないかというのが、もう一つ私たちが理解し始めたことです。
もう一つ申し上げますと、在り方検討会では想定していなかった意見具申の在り方というものがあります。フォローアップというのは在り方検討会では考えていなかったのですけれども、その後の委員会での独自の工夫、意見は言いっぱなしではないと、必ず1年に1回ほど、どのように進んでいるかということを聞く。そして、ある程度、こちらとして意見が実現されたというところを見届けてからフォローアップを終える。こういうやり方を工夫いたしました。
また、技術とか設計上の意見だけではなくて、関係者の組織運営、マネジメント、そういうところに対して意見具申をするということも、これは在り方検討会的には必ずしも想定はしていなかったものでありますけれども、その後、私たちが調査を進めるに伴いまして、やはりいろいろな関係者がいて、その人たちのマネジメント、ないしはガバナンスと言ってもいいかもしれませんが、そういうところの欠落が危険を生み出しているということがよく分かってきましたので、意見具申の範囲をそういった組織運営の在り方というところにまで広げています。
また、私たちの意見具申としては、事業者団体に自主規制を求めることが比較的多かったのですけれども、そろそろ法的な措置といいますか、法改正、立法といった言葉を視野に入れることも始まってきていると感じています。ルール形成に関して委員会が意見を言う。どこまで立ち入るかというのは案件次第ですけれども、そのような役割も在り方検討会では想定はしていなかったところです。
このように、在り方検討会で想定していたことについては、ほぼ達成できているとは考えている一方で、そこで想定されていなかった新たな工夫、あるいは社会の変化への対応、そういったものをこの10年間でいろいろやってきたのだなということが分かってきたという形での取りまとめを考えているところです。
引き続き取りまとめに向けた議論を行っていまして、今回第5期の委員会が終了する9月までに決定、公表したいと考えています。
以上が設立10年の検証に関しての概要です。
このほか、本日はトランポリンパークでの事故に係る原因調査についての経過報告を審議決定いたしました。本件調査は令和3年6月が開始でありますが、1年以内に完了しないということが見込まれますので、消費者安全法第31条第3項の規定に基づきまして、調査の概要と今後の調査について示した経過報告を公表することとしました。
経過報告書のポイントですが、調査対象に優先順位をつける方針でいます。トランポリンに様々な形態があるということで、トランポリンパークといってイメージするようなたくさんトランポリンが並んでいるというものもあれば、飲食店等にトランポリンが置いてあるとか、ゲームセンターに置いてあるとか、それもトランポリンではあるので様々な形態がございます。
これを全部調べていると、それこそいつ調査が終わるか分かりません。そこで事故がとりわけ多い類型といたしまして、トランポリンで遊ぶことを目的にした、いわゆるトランポリンパークとはどういうものかということを絞り込んだ上で、それに対する調査を優先して行うという形で、調査の対象を限定するわけではないのですが、重点的なところを絞り込むということにしています。
それ以外、いわゆるトランポリンパーク以外の利用形態のトランポリン、ハイウエイとかレストランなどに併設されているようなもので、トランポリンを利用したい人がそこにわざわざ来ているわけではない、行ったらあったというタイプについては、事故リスクとしては低いです。ただ、使い方次第で、トランポリンですから同じけがが起きるわけですので、こちらについては設営者にどのような行動を求めるか、どういう注意をしていただくかということで差し当たりは留める。まずは先ほど言いましたように、いわゆるトランポリンパークというものを中心に対策を考えていくという形でいくことを経過報告書で説明しております。
類型はいろいろあります。この意見についてはまだ経過報告ですから暫定ですので、差し当たり今はこんな感じで類型を考えておりますけれども、最終報告書になると、もう少し調査結果を踏まえて違った類型分けも出てくるかもしれませんので、そこは暫定的であるということは御承知おきいただければと思います。この秋の報告書の決定を目指しております。
その他、本日はエステサロンでのHIFUによる事故の経過報告書の審議、これは来月経過報告書を公表する予定ですが、今日は審議です。
もう一つ、フォローアップ事案として、ハンドル形電動車椅子の事故及びエレベーター事故についてフォローアップの審議を行いました。
まず、エステサロン等でのHIFUによる事故であります。これについては事故数が増加傾向であると聞いております。
HIFUの問題点は前にお話ししたかもしれません。薬機法、あるいは医師法上の位置づけが極めて不明確です。医療機器かどうか、あるいは医師以外でも使えるのかというところがはっきりしていないところが最大の問題点です。エステ自身もエステ業界に対する法令による安全規制がありません。業界団体はあるようですが、入っていない事業者も多いということで、そうしますと、業界団体の自主規制に期待することもなかなか難しいだろうという状況で、結果的に、HIFUに対する安全規制が欠落した状態でエステサロンやセルフエステで使われているという現状であるということで調査をしています。
この現状を明らかにし、どういう対策を打つべきかということについては現在検討中で、決定はこれも秋を目指しています。そういったことを記した経過報告書を今日審議いたしましたので、来月公表する予定です。
それから、フォローアップが2件です。
まず1件目が、ハンドル形電動車椅子事故については、委員会が下り坂走行時の事故を機縁として、新たな対策を打ち出すべきだと、再意見をするかということを考えていたのですけれども、経産省におかれて迅速な対応していただくということが分かりました。そこで、私たちがどのような対策を求め、経産省においてどのように実施される予定であるかといったものをまとめた文書を作成し、公表することにいたしました。これは本日そのように決定いたしましたので、公表は数日後かもしれません。文書として消費者庁のウェブサイトに載るのは数日後であると聞いております。一言で言うと、速度超過するものに対して製品の改良であるとかJISの改正といったことをしてはどうかと意見していたところ、経産省のほうで速やかに御対応いただいたということです。その経過を文書として公表する予定です。
もう一つのフォローアップですがエレベーター事故です。これも前回お話ししたように記憶しておりますが、エレベーターの戸開走行事故が2件発生しております。この点について、本年5月に国交省から公表されています。そこで、これについては、私たちが出した意見が守られているのだろうかと、実施されているのだろうかということで、非常に強い関心を持っていると申し上げました。そこで、この2件の事故、それから、取組状況について、事務局から国土交通省への質問がされているという報告を受けました。それに対する回答の締め切りが今月末ですので、その回答いただいてから、さらに私たちで検討し、どのような対応していくかということを決めていくことになろうかと思います。
本日の委員会では、以上の審議をいたしました。
引き続いて、部会の動きについて委員長代理からお願いいたします。

(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸です。
まず、製品事故調査部会は、今話にありましたエステサロン等でのHIFUによる事故の報告書に向けた審議、それから、こちらも今報告のありましたエレベーター事故のフォローアップに関する審議を行いました。
続きまして、私が部会長を務めますサービス等事故調査部会です。こちらは学校の事故に関連するものの報告書、これは今、章立てのまとめ方とか、そういう辺りの審議を行っております。それから、今日委員会で議論しましたトランポリンパークの事故の報告書に向けた審議、それから、フォローアップ事案ですが、体育館の床板が剥離して体に刺さってしまうという事故が起きて対策の意見を出したのですけれども、これに関するフォローアップについて審議をいたしました。
私からの報告は以上になります。

質疑応答

読売新聞のイシイと申します。
10年の検証についてなのですけれども、昨日、事務局より事前に説明もあったのですが、そこで私はあえて質問をしたのですけれども、なかなか新しい事故の形態も増えているし、発信力強化などで、事故調の必要性もそうですし、やるべきこともどんどん増えていくという中で、中川委員長が今おっしゃった人員のところについて、骨子ではあまり触れられていないように思うのですが、むしろそこを前面に出すべきなのではないかという意見を昨日私がしました。
要は人と金をくれと、委員長が10年の節目として、そこを明らかにすれば、それなりにインパクトが強いと思いますし、やることが多いのに体制が変わらないとなると、どこかに無理が行ってしまうわけですので、いろいろやるべき役割がどんどん増えていく中で、この辺について委員長として改めてどう思うか、これについてお聞きしたいと思います。
もう1点、例えば1年の経過報告については、もちろん法律の規定で報告はありますけれども、一方で、調査期間がどんどん短くなってきて1年半を切ると、これが今後もっとたって、例えば1年2~3か月で終わるというのに、1年の節目で経過報告を出して、その2か月後に調査報告を出すというのは無駄ではないかという思いもするのですけれども、仕事が増えるのであれば、そういう無駄なところをそぎ落とすとか、例えば事故が1年半以上かかって相当長期にわたる場合は報告するけれども、1年半以内とか短期で終わる場合は省略するとか、その辺のいわゆる今どきの言葉で言うとコストパフォーマンス、効率化とも言いますけれども、それをもっと求めないと、職員が疲弊してしまうのではないかと思うのですが、これについての意見を教えてください。

(中川委員長)
非常によい意見をありがとうございます。ぜひ作成委員会に入ってほしい感じがするくらいです。
1点目の人員について、これはポイントに入っていないのは確かなのですが、別にそぎ落としたという意味ではなくて、事務局にお願いしていろいろまとめていただいて、私の意見も整理してもらっているのですけれども、なかなか事務局から予算をくれという言い方はしづらいだろうと、今日の公開審議でもありましたけれども。しかし,私たちから自分たちはこのような仕事をしてきたのだから、言ってもいいだろう、私は言えるかなと思っております。
最初の時期、設立当初は、果たして安全調査委員会で何ができるのかという見方がされていた。これは新しい企画ですから当然だと思います。ですから、最初はとにかく結果を出すのだということで、与えられた人員で頑張ってきたわけなのですけれども、とはいえ、歴代の担当の大臣、長官の御尽力で予算がちょっとずつ増えてきている、人員も増えてきているわけですけれども、ただ、他方で事故がどんどん複雑化していく中で、もう少し増やさないと、さすがに対応できないというのも確かです。
そして、私たちが出している意見で、うまくいっているように少なくとも私たちのほうから見える。私たちが関わらないとできなかったことがあるのではないか。これも事故なのだ、これは当たり前と思うのだけれどもリスクがあるのだという気づき、ちょっと先乗りの発言になりますが、今やっている学校施設の事故などはそうなのです。こんなものが危険と思ってもいなかったのが、実はめちゃくちゃ危険であるということが分かってくるわけなのですけれども、そういう気づきであるとかです。
それから、今日の公開審議でも出ましたが、複数の行政機関をまたがった形で措置を執る。厚生労働省とどこでしたか、この前、協同してやればいいではないかという話が、なるほどということになりましたけれども、そういった私たちのような機関がいることで縦割を超えて効率的に事故対策を打っていくことができるという意味でも、存在意義は認められてきているのではないかなと思います。
かつ社会の変化10年間、先ほど省略しましたが、今後、デジタル化の話になって、実は非公開審議のところで話が出てきたのですけれども、例えば自動運転の車椅子ということになってくると、今言っているような車椅子をどのように速度超過しないようにするかだけではなくて、そこからデータを取って、それをどのように使うかという話になると、かなり法律の話になってくる。個人情報です。ますますこれから様々な専門人員が必要となってくるので、今やっていることに私たちの存在意義を認めていただけるのであり、かつこれからさらに視野の広がった事故の捉え方をしなくてはいけなくなるので、そうすると、かなり予算、つまり人員を大きくしないと、私たちがすべきことができなくなるだろうと考えております。
長くなりましたけれども、そういった意味で、初期のとりあえず私たちは存在意義を証明しなくてはいけないというところから、それはある程度、この10年間でできてきたと思うので、さらに次の一歩に行くために予算を拡大するべきであるということは打ち出そうかなと、今日の審議で考えました。
それから、経過報告書の件です。これは法律があるから事務方としてやらなくてはいけないことなのです。私たちとしても法律があるし、やらなければいけないのですが、今おっしゃったように、確かに2か月後に報告書が出ますというときまでやるのですかというのは当然の疑問だと思います。これをしないことで、どれだけ事務の負担が減るのかというのは分かりませんが、その辺りは、もし実質的に負担が変わるようであれば考えていきたいと思います。
他方で、今までの経過報告書が少し簡単過ぎたかもしれません。記者会見で最近私がしゃべっているように、現在こういうところまで審議していますという最終報告書に向けてのエッセンスを少しお見せするというような形であれば、関心を持っていただけるかもしれませんし、そういうメリットもあるかもしれませんので、とはいえ、どれぐらいこれをなくすことによって事務方の負担が少しでも減り、そして、本来の調査のほうに振り向けられるかという、これも調査しなくてはわかりませんけれども、本来の調査報告書の作成に全精力を傾けることができるか、そこは調べていきたいと思います。御提案をありがとうございました。

共同通信のイケガミと申します。よろしくお願いします。
私も10年のところなのですけれども、先ほど調査にかかる期間が、これまでかかっていたものが今は1年半を切るぐらいになっていったというお話があって、それは皆さんの御尽力の成果だと思うのですけれども、一方で当然、報告書が出て対応が早ければ早いほどその期間の分の被害をなくせるということもあると思うので、現在の時間が現状を踏まえて妥当・適当なところだと思っていらっしゃるか、できればもっと短くしたいと思っていらっしゃるか、そこの受け止めを伺えたらと思います。

(中川委員長)
あまり根拠がない話ではあるのですけれども、基本的にはかなり短くなってきたと思います。最初は2年とかそれぐらいかかっていたので、そうすると、切りのいいところで1年を目指す、そんな感じの話です。
ただ、組織ですので、一つ決定するにも部会をやって、本委員会でやってと、いきなり決定できませんので、その前に1回審議する。それを考えていくと、調査本体は終わっていても書面として外部に出すまでに、手続的なところがかかることはどうしてもあるので、その2回分ぐらいが決定のときと終わりのときにかかるので、それが1年を少し超えてしまう原因かなと思います。
なので、先ほどの御質問にありましたけれども、経過報告書というところ、1年の段階に出しますので、そこでできるだけ詳しくといいますか、書いてしまって、あと、手続的な細かい表現を直して、2か月後に発表されます。そうすると、実質的に1年という評価をしていただけるかもしれないという気もしております。今思いつきで申し上げました。それも含めて、1年というのが一つの意義かなと直感的には思います。

ありがとうございます。
別件で、的外れな質問だったら申し訳ないのですけれども、今まで想定していなかったデジタルプラットフォームの話ですとか、今後、さらに立法まで視野に入れていきたいというお話があったと思うのです。多分今回、ざっくりした方針を示すものだと思うので、あまり具体的な細かいところまで触れるものではないかもしれないのですけれども、もし何か具体的に、このような目標を設けたいとか、このように改革していきたいとかあれば、お伺いしたいなと思いました。

(中川委員長)
具体的な内容は報告書で示しますが、現在、もう既にそういうものは出てきておりまして、持丸委員が部会長をやられている部会での、トランポリンなどはまさにそうで、あれは意外に難しい問題なのです。誰が責任を持って、どこに知識があるのかというのがはっきりしない。見た目と全然違う非常に難しい問題なのです。それで関係者がいっぱい出てきて、これは法的に対処すべきなのか、でも、関係者がはっきりしないから法律をつくってもしようがないのかということになるのだと思います。一つの例です。
ですから、事故だから事故の原因を追究して、いろいろな事故のパターンを考えた設計にすればいいのだというだけではない。保守点検もそうですし、利用するときの助言者が必要ではないかとか、あるいはそもそも誰がこの製品を扱っていいのかという規制は要らないのかというような感じで、対策を打つ視野がどんどん広がっていくのです。だから、その一部として法も入ってくるし、組織運営という言葉を使っておりますけれども、組織の在り方論みたいなものも入ってくる。
一つ、これは分かりやすい例かどうか分かりませんが、ずっと前に幼稚園だったか保育園のプールの溺水事故、あれで刑事事件としては目の前で見守っていった教諭が有罪となったのですが、私たちの調査では、いや、そうではない、幼稚園というか学校に問題がある。こういう水遊びをさせるときに、誰がどういう指揮系統を持って、そして複数のことをやらせては駄目だと、子供の面倒、子供をあやしながら、事故をしないように見るというのは不可能なのだけれども、両方やらせている、その文化がおかしい、だから、組織運営の仕方をちゃんとしなくてはいけない、そこがむしろ事故の一番の原因だということを私たちは指摘したのです。
では、それをその後どうすればいいのかとなると、それは法制なのかどうかは分かりません。意識改革なのかもしれませんけれども、そういうところにまで視野を広げていく。その一環としては法改正もあるということですので、そこのところで言いたいのは、事故の原因を非常に広く捉えて、あらゆるところに事故の原因があるという発想を徹底してやっているところの延長線上に法改正がある。だから、法改正ありきでは全然ないのです。

法改正ありきの話なのかなと思いまして、本当にいろいろな原因を個別に解析したりした結果で、法改正が必要ならするし、幅広い視点でやられていくと受け止めました。ありがとうございました。
朝日新聞のテラダです。
戸開走行のことについてお伺いしたいのですけれども、どんな意見を出して、今、国交省にどんな質問をしていますというところなのでしょうか。

(中川委員長)
質問内容自体は公表しないということだそうですけれども、こちらの問題に関して、これは前も少し申し上げたかもしれませんが、強い関心を持っていると言いました理由は、事故が起きたのが保守管理した直後だからなのです。私たちの意見が正しく実現されているならば起きないはずの事故が起きているわけで、そうすると、意見に対する取組状態はどうなっているのか。こういうことを聞いている。
戸開走行の保護装置の設置に向けての取組、それから、保守管理がどのように意見したとおりの形で確保されているのか、そういった形で、フォローアップなのですけれども、意見の取組に対する国土交通省の考え方、それで十分だと私たちは考えるかということに話がつながってきますので、まずはどうお考えかということです。今ある事故について、これをなくしていくための意見具申を私たちがしたのですけれども、それが実現されていないのではないか、起きないはずの事故が起きているではないかなという趣旨です。

(持丸委員長代理)
ちょっと私からも補足をすると、何を質問しているかというか、問題意識はどこにあるかというのは、戸開走行保護装置というのは本質安全ではないのですけれども、保護装置として、ある程度有効であろうと思っているわけです。
一方で、摩擦で滑らないように止めるために保守点検をきちんとやる。これもすごく大事なのですけれども、どうも現実を見ていくと、保守点検をきちんとやれば必ず事故は起きないと、理屈はそうなのですけれども、やはり人が日本中にたくさんあるエレベーターの保守をやっている中で、100%というのは難しいのではないかと一方で感じる。
もちろんそれは目指していかなくてはいけないのですが、それが漏れたときに、もうそれ以外に事故を防ぐ手だてがないのでは困ってしまう。そのために戸開走行保護装置というのをやはりセットでつけていただかなくてはいけなくて、どういう認識かは我々としても分からないのですが、とにかくきちんとやればいいのだ、きちんとやれということだけで、この問題は解決できないことは、きちんとやっていただくことも引き続き大事ですけれども、やはり今20~30%弱しかまだ進んでない保護装置の普及をどうやって高めていくかというのも同様に大事なのだということは、我々としては引き続きフォローしていきたいなと思っております。そういうことです。

全くの別件で、先月、迷路の調査開始とありまして、迷路に関しては事故も非常に特徴的だったし関心も高いので、乗り出してまだ1か月ではありますので、なかなかお答えしづらい部分もあると思うのですけれども、調査の方向性です、たしか40か所ぐらい全国にあると思うのですけれども、現地での実態調査、既に事故直後に当該施設には行ってらっしゃると思うのですけれども、もっと広くそれを広げる方針があるかとか、統一的な書面照会を行うのかどうかとか、今現在、分かっている方向性みたいなものがあれば教えてください。今日の審議には入ってなかったので、まだそこまでの議論に至ってないというのであれば、それで結構ですので教えてください。

(中川委員長)
調査開始が決定したばかりですから、委員会としてはまだ何も、どういうことを審議するか分かりません。審議がまだ部会で始まったばかりではないですか。ただ、どの方向性か、これも前回お話ししたような気がするのですが、可能性として考えられるのは、法改正は一つあるかもしれない。ただし、法改正が本当に回答なるのかというのは、やはり分からないということです。
先ほどの御質問にありましたけれども、法改正というのは、木材が腐らないようにちゃんと措置をしなくてはいけないのではないかですけれども、その規制が出ていないので、そのままにすれば当然同じ事故が起きます。ということで、普通に考えられるのは防腐対策をするような義務づけとなるのですけれども、ただ、これは事故が起きた当初に考えついたことです。調べていくといろいろ事情があって、それをやると、立体迷路の意味がないとか、屋根をつけたらどうかという話もあって、どうやって義務づけるのか、どういう法律なのかというような、屋根を義務づけると建築基準法の対象になりますので、そうするといろいろ安全基準を見なさなければいけなくなるわけです。屋根があると立体迷路なのかというと分かりませんけれども、そういう事情をいろいろ見ないと最終的な結論は出てきませんということまでは考えています。
しかし、それ以上は調べなくてはなりませんと前回お話をして、まだ、今は翌月ですので、どのような調査をして、どのような方向性かまでは、まだまだ全然分からないと思います。

(持丸委員長代理)
個人的な予見なのですけれども、水上設置遊具の話があって、トランポリンパークの話があって、迷路の話があって、遊具が似ているということを言っているのではなくて、どこか1か所で製造、大手3~4社がやっていて、例えばエレベーターとかエスカレーターみたいに、そこの元栓を閉めて安全設計すれば何とかなるとか、設置事業者が非常に大手で、そこは事故が起きると評判被害が怖いから積極的に対応してくれるとか、どうもそういうことではない。その点で、私はトランポリンパークとか水上設置遊具に似ているなと思い始めていまして、先ほども申し上げたのですが、これはとても厄介かもしれないのです。
というのは、業界団体がないかもしれない。つくっているところもいろいろで、どこかの工務店がつくっているかもしれない、いいか悪いかというわけではなくて、設計を何かそういうことではなくて、海外のものを参考にしているかもしれない。そういう中で、誰にどうやって意見をして、原因が分かったとしても、最終的に再発を防止していくのか。我々として消費者に気をつけてくださいということだけだったら委員会の意味がないので、何とかそこを考えていきたいなと思っていて、気持ちとしては厄介そうだなという気がしているという感じです。

分かりました。ありがとうございます。
毎日新聞のクラモチです。
エステサロンのHIFUのことですが、これは自主規制に期待することが難しい安全規制が欠落した状態だということですけれども、まだ検討中とは思いますが、例えばどういった規制を設けるべきだとか、どういった方向での提言が考えられるのかですとか、その提言先というのがどこを想定されているのかとか、もう少し教えていただければと思います。

(中川委員長)
先ほど申しましたように、薬機法、医師法上の位置づけが明確であれば、これはそこでもう規制がありますので、そういう意味で先ほどの立体迷路と少し似ているかもしれません。立体迷路も結局屋根がないから建築基準法ではないので、そうすると、建物としては誰がつくっても何をやってもいいということになってしまう。それと同じように、今回のHIFUも医療機器のような気もするのですけれども、使い方によってはそうではないとか、はっきりしないのです。
なので、はっきりしない結果、結局、薬機法、あるいは医師しか使ってはいけないというような医師法上の規制がかかってくるとは限らず、それから、薬機法上の医療機器としての規制がかかってくるわけでもないことがあるという非常に曖昧な状態なのです。
立体迷路は屋根がないから建築基準法上の建築物でないのははっきりしています。それに対して、こちらははっきりしていないのです。非常にそこが私たちも分からないところで、使い方によっては明らかに医療機器だし、実際に手術用に使っていますから、その場合は当然医師しか使えないわけで医師法上の位置づけは明らかなのですが、使い方によってはそうでもないというのがあるらしくて、そうすると、薬機法、医師法の制約がかかってこないということは、誰がどう使ってもいいということになってしまう。
そこが立体迷路と似ているわけなのですけれども、はっきりしないという部分、絶対法規制がないという立体迷路と、あるかもしれないけれども、場合によるというHIFUとで違うのです。だから、現在のエステ目的で使われているものは医療機器でもないし、医師法上の制約もかからないという解釈ができるはずだという前提で皆さんは自由に使っている状態なのです。
しかし、これはもう体に対する侵害がありますので、多分これは何らかの法的規制が必要なものなのだろうと思うのですけれども、しかし、担当の厚生労働省が、なぜこの解釈を確定できないのかというところから、私たちは理解していかなくてはいけないわけです。そういう問題状況です。
かつ先ほど持丸委員長代理がおっしゃったような、例えばHIFUをつくっている業者が大手しかないとか、あるいはエステ事業者の業界団体ががっちりあって、みんな把握しているのであれば、それはそれで自主規制という感じで、別に法改正などしなくたって、安全確保に向かって行けるのですけれども、そうではない,違うのです。業界団体もあるけれども、小さいのがあるだけ、ほとんどは業界団体に属していない。それから、HIFUの機器自体は日本では作っていないのではないか。輸入をしている。そうすると、製造業者も国外にあるということで、まさに最近多いこのパターンです。誰が作っているかは全部国外、そして、国内は特に業界団体もない。そういう状況に対してということなのです。何かそういうパターンが多いですね。

(持丸委員長代理)
すごく多いですね。隙間になりやすい。

(中川委員長)
そういう難しさがある。

今おっしゃった、使い方によってはそうでもないというのは、例えばどういうことですか。

(中川委員長)
これは誰か、私が言うと不正確になりそうなので。

(事務局)
HIFU機器と言われて使われているものは、超音波を収束させて体の温度を上げるのですけれども、離して、しかも短い時間だけ当てるのであれば、委員長がおっしゃったような体への影響は少ないのですけれども、かなり近づけて1か所に照射をすると、当然体に侵襲ができる。使い方によって、医師がやっていますかという線引きがありますし、機器としての性能、近づけて照射すれば、それだけの最大値でも、能力を有する機器でもそういう使い方をするものではないということが医療機器に該当する。そこの線引きができるのか、できないのかというところも含めて今のところという感じです。

(中川委員長)
記者の方がまさに同じ反応なのですけれども、うーん、という感じの反応なのですが、私たちも同じように思っていて、だから不明確と書いています。同じ機器なのですから、そこははっきりしているはずだろうと普通は思うのですけれども、それを当て方によって危険だと、それは危険だろうと思うのですけれども、当て方によっては違う、だから対象ではないと言われると、はてと思うのです。それは私たちが分からないから、はてと思っているだけで、ちゃんとした理由があるのかもしれませんから、それは聞いてみなければ分からないので調査中ということです。

今のHIFUの件ですけれども、もともとHIFUの目的自体が痩せるとか弛みを取るとか、そういう意味では、効果があれば、当然侵襲もあるので体への影響もある。一方で、今言っていた、離して短い時間当てるというのは、確かに効果の面では非常に少ないかもしれないのですけれども、それであれば、むしろ効果をうたう表示のほうが、いわゆる景表法違反みたいな形になるのではないかと思うのです。
それこそAmazonとかネットで5万円ぐらいで売っているHIFUというのは、医師とかに取材すると、あれはおもちゃみたいなものというのか、効果がないと、効果がないものは、事故が起きないという意味では事故調の範囲から外れるかもしれませんけれども、それはむしろ同じ消費者庁のいわゆる表示違反というか、効果・効能規制をかたっているという、そっちの規制にかかってくるような気もするのです。
むしろそっちの分野については表対課と連携して動くとか、事故調単独でやると、もう一つのホットスポットで、要はまがいものみたいな、こっちのほうの規制をどうするかで悩んでしまうような気がするのですけれども、そっちを表示違反でまとめて、影響のあるものをこっちでまとめるみたいな、そういういわゆる消費者庁内の連携みたいな方向性というのは難しいのでしょうか。

(中川委員長)
いや、当然そうだと思います。あちらがやっているのは、効果があるものについて野放しではないかということです。実は壊れているとか、全然放射の力がないのに効きましたと言うのは、これは優良誤認なので、明らかに景表法違反ですから、そこを我々がどうこうしようという話ではないです。それは消費者庁の表示対策課のほうで当然把握しているはずです。

事務局が話していた短い時間を当てて体への影響が少ないHIFUというのは、これはどういう目的なのですか。これもいわゆる効果としては痩身効果とか弛みを取るとか、そういう目的は一緒なのでしょうか。

(事務局)
それもエステサロンごとではあると思っていまして、例えば国民生活センターの数年前の注意喚起でいうと、脂肪細胞を破壊しますと、それで痩せますと言っているのであれば、エステサロンが認識している施術というのは明らかに行為であると、それは医師でないとできないとなっているわけですけれども、だから、おっしゃるように、脂肪細胞を破壊しますといって施術をしている、それはそもそも医師法違反になる可能性が高いのですけれども、にもかかわらず使っている機器が、そんな能力を持っていない機器であるというのが、先ほどおっしゃられたような提供されるべき役務が提供されていないということで、そういう意味での消費者問題になる。
そういうエステサロンがあるかないかというところも含めて、今調査中ということで、分かったことがあれば庁内で共有していくということは、組織の在り方としてやっていく必要があるのかなと思いますけれども、共有できるほどの情報があるかどうか調査中です。