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記者会見要旨
(2022年4月28日(木) 12:20~12:35 於:共用第2特別会議室)

発言要旨

(中川委員長)
では、よろしくお願いいたします。
本日の調査委員会では、令和2年6月に公表した水上設置遊具による溺水事故報告書のフォローアップをいたしました。経済産業省に出席をいただき、調査委員会からの意見に対する取組状況について公開でヒアリングを行いました。公開のヒアリングは2回目でございます。
経済産業省からは、対応状況として、主に2点、御説明がありました。
まず1点目は、ガイドラインの周知体制を構築中であるということです。具体的には、水上設置遊具を設置する施設、いわゆる遊園地以外、例えば国土交通省や農林水産省あるいは観光庁の協力を得て、海水浴場や宿泊施設に対してもそのガイドラインの周知体制を構築中であるという報告をいただきました。
もう一点は、当該製品の安全基準を整備したということです。一般社団法人日本エア遊具安全普及協会、すなわちJIPSAといういわゆる業界団体による認定制度を創設し、その運用を開始したという説明がありました。
以上の説明に対して、委員会との間で質疑応答を行いました。
委員会からの指摘として一番重要な部分を申し上げますと、安全基準として示されたJIPSAの認定制度には、国際規格であるISO/IEC Guide 51の基本原則とは異なる部分がある、そこが十分理解されていないのではないかという懸念があり、したがって取組としては不十分ではないかという指摘がありました。
このほか、関係事業者を組織化しようとしているわけですが、組織はまだ構築中であるので、それについては今後どのように構築していくのかを引き続き知りたいという指摘があり、それから、そもそも関係者にどのようにガイドライン等を守らせていくのかについて、もう少し積極的な取組があってもいいのではないかという指摘もありました。こういった点を含めて、今後またフォローアップを続けていくことになっています。
以上が,水上設置遊具事故のフォローアップについてです。
そのほか、本日はトランポリンパークでの事故の調査報告書の取りまとめに向けた審議を行いました。また、その他のフォローアップといたしまして、立体駐車場で発生した事故、住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故についても検討いたしました。
本委員会については、私からは以上です。
続いて、部会の動きについて、委員長代理からお願いいたします。

(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸でございます。
製品等事故調査部会は、4月は休会でございました。
私が部会長を務めますサービス等事故調査部会では、今、少し話のありましたトランポリンパークでの事故の報告書の取りまとめに向けた審議、それからこれも今、報告のありました水上設置遊具事案のフォローアップについての審議を行いました。
私からは以上になります。

質疑応答

朝日新聞のコイズミです。よろしくお願いします。
トランポリンパークの調査報告の取りまとめなのですが、スケジュール感としてはどういう感じなのか教えてください。

(持丸委員長代理)
私のほうから少しお答えしたいと思います。
まだ骨子が全部整っていないので、もう少し時間がかかるかなと思ってもいるのですが、一方で、トランポリンパークそのものが、非常にいろいろなところにトランポリンがあるのですけれども、調査をしていくと、取りあえず今、リスクが高いところがもう少し見えてきましたので、そこにフォーカスを絞って原因究明と意見をまとめて、早めに何とかまとめられるように動こうという議論を今しているところでございます。まだ具体的な見通しまでは申し上げられません。

ありがとうございます。
早めというのは、今年前半ぐらいとか。

(持丸委員長代理)
まだはっきり申し上げられませんが、我々としてはできるだけ迅速に意見を出したいなと思っております。

(中川委員長)
期限は過ぎるので、文書を公表するのでしたね。事務局、そういうスケジュールですね。

(事務局)
委員会では、選定から1年が過ぎる場合には経過報告を出すことになっております。去年6月に選定しましたので、6月には何らかの経過報告を出すか、もしくは報告書をうまく取りまとめられるかという感じで今、作業はしております。

読売新聞のイシイです。
今のトランポリンパークの件で、追加で確認なのですけれども、今、持丸委員長代理が、調査をするとリスクの高いところが見えてきたので、そこにフォーカスを絞って早めに動こうということをおっしゃっていましたが、これはつまり調査報告書の中で、いわゆる最終的な報告について、いろいろな問題がある中の特にリスクが多いところに絞って報告書を出すということなのか、まずは危険性が高いところについては何かしらの発信をして、最終的な取りまとめはもう少しゆっくり行うということなのか、どちらの方向性で考えていらっしゃるのでしょうか。

(持丸委員長代理)
どちらもあり得るとは思っているのですが、どちらかというと前者かなと思っています。調査そのものは、トランポリンパークといったら何を思い浮かべられるか分からないですけれども、例えばたくさんトランポリンがあって、そこでいろいろ遊べるようなところから、例えばゲームセンターの一角にトランポリンが置いてあるというようなレベルのものまで、非常に多様なのです。一般的にはどこでも事故が起こり得るわけで、それらを全部カバーするという議論もあり得るのですが、調査は少し広めに網をかけた中で、先ほど申しましたリスクの高い施設に対して、少し具体的な原因究明と対策案を出して、それらがほかの施設でも参考になるというような形で報告書をまとめるようになるのではないかなと、今、私個人としてはそのようなイメージでおります。

分かりました。ありがとうございました。
毎日新聞のテラマツです。
今のトランポリンの関係で、今おっしゃれる範囲でなのですけれども、リスクが高いところというのは、具体的に例えばどういうところが特に見えてきたというのはあるのでしょうか。

(持丸委員長代理)
1個トランポリンがあってちょっと跳ねているというよりは、いろいろな跳ね方ができたりとか、宙返りができたりするようなところで、いろいろなスキルレベルの方が遊んでいるときに事故が起きるということがあるみたいなのです。大きな施設になれば、誰かが見ていたり、もしかしたら何らかの初心者指導みたいなこともできるのではないか。それがゲームセンターの片隅に1個置いてあるというところまでそれをやれと言うとなかなか難しくなってしまうので、出口を少し考えてというのは、そういうようなところまで踏まえて少し議論を進めていこうと、今そのようなつもりでおります。

初歩的な質問で恐縮なのですが、今回調査の対象となっている箇所数とかは、どれぐらいの規模でやられていますか。

(持丸委員長代理)
これは事務局のほうから。

(事務局)
具体的な数字等は申し上げられないのですが、今、重大事故が報告されていたりとか、その詳細な事故情報を集めたりとか、周辺情報は集めて、最終的に取りまとめ結果に反映したいと思っております。数というのは、正直な数字は今、手持ちがないということでございます。

ありがとうございます。

(持丸委員長代理)
持丸です。
もともと米国でこの手の施設が多くて、米国の例を見ていると、当たり前ですけれども施設が増えるにしたがって事故が増えているのです。日本でも、団体とかがまだないのでちゃんとした調査はなかなか難しいのですが、ただ、施設は着実に増えているようで、そうすると、別に同じ人間が遊ぶわけですから、日本でもやはり重篤な事故が増えていくだろうということは我々も懸念をしている状況です。

読売新聞のイシイです。
水上設置遊具に関するヒアリングのところで、ちょっと分からない点があって教えていただきたいのですが、業界団体がつくったガイドラインについて、ISOと比べて基準を満たしていないと。ガイドラインとISO規格については自分でも勉強してみたいのですが、今の段階で一番大きく足りない点というか、ここがないというものがあれば教えてください。お願いします。

(持丸委員長代理)
これも持丸から回答いたします。
もう少し具体的に言うと、ここで言う国際標準というのは、Guide 51と呼ばれる極めて一般的な安全予防の観点なのです。リスクをアセスメントして、本質安全から制御安全、最後はコミュニケーションに至る3ステップで安全を守っていきましょうと。
実はここに書かれている業界でつくったものも、よく読むとそれに類することもあるのかもしれないのですけれども、どこが本質安全で守られていて、どこが管理上で守られていて、最後が残ったリスクをコミュニケーションで守っているのかという整理があまりなされていないのです。
何でなされていないことが大事なのかというと、一般論になってすみませんが、一般的に本質安全をやるのは大変なのです。だらだらと書かれていると、やりやすいところから手をつけるわけです。一番やりやすいのは注意喚起なのです。ステップ3の残留リスクを顧客に表示するというのが一番やりやすいわけです。そこを重点的にやったからやりましたということになると、これはISOの根本的なポリシーとは反していて、水上設置遊具だから、例えばそもそも落ちない、水の中へ潜らない、これが本質安全です。万が一そうなってもこういうふうに助けることができるというのが2番目で、3番目がそのさらに残ったところ、どうしても拭い切れないところをコミュニケーションで何とかしましょうということを理解した上で、最初の1つ目、2つ目の順番できちんと対応していっていただくことがとても大事で、そういうことを事業者の方もきちんと理解した上でガイドラインを運用してほしいというのが我々からの一番のお願いだということです。
したがって、何かのポイントが足りないとか、どこかのステップが完全に抜けているとかということ以上に、そのような重要度の考え方と、上からきちんと潰していくのだということをしっかり構成の中に書き込んでほしいなという、そのような意図でございます。

そうすると、今後ガイドラインの改訂とか、ちょっと文言を変えたりとか、先ほどおっしゃっていたようなつまみ食いでいいのだということではなくて、順番に行うことが大事だというところを文言としてしっかり盛り込んでほしいと、そのような要望ということなのでしょうか。

(持丸委員長代理)
そうです。ガイドラインをどういうタイミングでアップデートしていただくのかというのも、我々としては、事故が起きたらという前に、実際にいろいろな事業者さんにできたものを使ってみていただきながら、ちょっと具体的ではなくて分かりにくいとかということも多分あるでしょうから、そのようなものに基づいて改訂が必要かどうかを考えていただくきっかけにして、そのときにぜひ3ステップメソッドをきちんと理解いただけるようなガイドラインの書き方、もしくはガイドラインの使い方みたいなものを用意していただくとか、そのようなことが要るのではないかという感じです。

分かりました。ありがとうございました。

(司会)
ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
よろしければ、これにて記者レクを終了いたします。ありがとうございました。