記者会見要旨
(2021年7月30日(金) 16:10~16:50 於:於:消費者庁12階1214会議室)
発言要旨
(中川委員長)
よろしくお願いします。
それでは、本日の会議の概要を説明いたします。
まず、エステサロン等でのHIFUによる事故について、調査を開始することを決定いたしました。選定の経緯ですが、エステサロン等で、痩身、美顔、脱毛等の施術を行い、身体被害が生じたというトラブルが従来から多く寄せられております。その中で、特に、体内の特定部位に超音波を集中させ、直接影響を与えることで、小顔、痩身や美顔等の効果が期待できるとうたわれているHIFUは、身体への侵襲性が非常に高いものです。切開を伴わずに、小顔、痩身等の効果が期待できる新技術であるとして需要が高まっているわけで、人気も高まっているようです。今後、事故数が増えていくおそれがあり、不適切な施術によって神経損傷などの重大事故となる可能性もあることから、調査を開始することにいたしました。
これは申出に基づく調査の開始です。申出の内容は、エステサロン等で医師資格のない者からの施術により被害を受けたというものです。これを受け、調査を開始することにいたしました。
どのような事故が起きているかというデータ的なことですが、障害の程度が1か月以上のもの17件を含めて、約10年間で77件の事故情報があります。これは事故情報データバンクの2009年9月から2021年6月までのデータです。HIFU施術後、皮膚障害が発生し、完治には半年から1年かかると診断されたという事故があります。また、HIFU施術後、強い痛みを覚えた、左眉の上の三叉神経が損傷している可能性があると言われたといった事故もあります。このような事故状態でありまして、今回、調査を開始することを決定いたしました。これが1点目です。
その他は、検討中といいますか、審議中のことでありますので、内容については、今日、発表いたしませんが、何について審議したかという項目だけ申し上げます。
ハンドル型電動車椅子を使用中の事故のフォローアップについて、検討いたしました。
また、住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等のフォローアップについて、検討いたしました。
また、水上設置遊具による事故のフォローアップについても、検討いたしました。
そのほか、新規選定事案について、委員の間でのディスカッション、それから、申出事案についての検討を行いました。
以上が、本日の会議の概要です。
続いて、部会の動きについて委員長代理からお願いいたします。
(持丸委員長代理)
私は、今日、遠隔から失礼いたします。委員長代理の持丸でございます。
今月開催いたしました部会の議論を御紹介いたします。
製品等事故調査部会では、本日選定となりましたエステサロン等でのHIFUによる事故の選定に関して審議を行いました。
それから、私が部会長を務めておりますサービス等事故調査部会では、以前に出しました住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等のフォローアップに関しての審議などを行いました。
私のほうからは、以上でございます。
質疑応答
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問
読売新聞のイシイと申します。
数日前に事前レクという形で今回のお話もお聞きしたのですけれども、そのときに私を含めて一番質問が集中したのが、これまでの事故調が調査をしている案件というのは、身近なものであって実はこういう危険性があるという、設計の不備であるとか、改善点を主張するものが多いと思うのですけれども、HIFUに関しては、非常に法に触れるような、つまり、医師でない者が行うとか、インターネットで販売されているとか、セルフHIFUの問題とか、非常に法的な規制も必要なのではないかというような質問等も私はしたのですけれども、今回の調査に当たって、そういういわゆる法規制とか、そういったところまで検討される御予定はありますでしょうか。教えてください。
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答
(中川委員長)
法規制をどのようにするかということまで我々が結論を出すわけではないだろうと想像しておりますけれども、現在は、そもそも法規制がどうなっているのか自体はっきりしていないのです。HIFUを使った施術がそもそも医行為に当たるのかということもはっきりしない。HIFUは本来、医療用の技術のはずですけれども、医療器具として承認されているかというとそうでもないし、医療器具の定義に当てはまっているのか当てはまっていないのかもはっきりしないというように、何もかもはっきりしない状態なのです。誰がどのように使っていてどのように事故が起きているのかという基本的な情報さえはっきりしていない状態です。法規制もはっきりしていませんから、違法かどうかも分からない。だけれども、事故が起きている。そういう本当にグレーな状態なのです。
その意味では、本件が今までとは全く雰囲気の違う調査案件であることは確かです。最終的な出口は、こういうふうにいろいろ問題があるという事実があるので、法的に、例えば、これが医行為に当たるのかどうか、あるいは、こういう使い方をすれば医行為に当たるかといった検討をするための基礎となる事実を集めていこうということです。どのような状態で事故が起きているかという現状を広く調べてみようという調査です。法的な規制に至るまでのその根拠となるような事実を整理していこうという趣旨です。 -
問
ありがとうございました。
今の質問に関連してなのですけれども、先ほども中川委員長も今までとは雰囲気の違う案件だと。別の見方からすると、これは、本来、事故調が調査をするのではなくて、例えば、厚労省とかがそもそも法規制をダイレクトで考えたほうが早いのではないかとか、いろいろな意見もあると思うのですけれども、その中であえて今回事故調で調査すると。国センが注意喚起してから3年近くたっていて、業界団体も施術を禁止するような通知も出している中で、それでも起きているという中で、あえて一つクッションを入れるというか、事故調で調査をする意義ですね。ここを改めて教えてください。
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答
(中川委員長)
先ほど申しましたように、法的状態がはっきりしていないのは、この問題が厚労省と経産省の両方にまたがっていることも関わりがあろうかと思います。医療機器であると考えれば、そして、それが医師が扱っていると考えれば、厚労省の管轄なのですが、他方で、ほとんどの問題は、エステサロン等で起きているので、厚労省ではなくて、むしろ、サービス業として、経産省の所管にも入っている。問題の核心は両省にまたがった部分なのですね。なので、どちらか単独だと、所管を超えてしまうので十分な調査ができないという状態ではないかと。
まさにそういうところに消費者庁の存在意義があるわけです。隙間といいますか、重複事案といいますか、そういうものでありますので、我々でまずは実態を調査して、その情報を基に、厚労省はこういうことができるのではないか、経産省はこういうことができるのではないか、それ以外にもあるかもしれません。取りあえず厚労省と経産省と言いましたけれども、それ以外もあるかもしれませんが、差し当たりはそういう形になるだろうと想像をしているということです。 - 問 分かりました。ありがとうございました。
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問
朝日新聞のスギウラです。
まず、この事故情報なのですけれども、先ほど約10年ぐらいとおっしゃったのですが、3ページのものだと2015年から出ていて、この2ページの(1)だと、この事故情報データバンクは2009年、多分これはできたときからだと思うのですけれども、最初の報告はいつだったのかは分かりますか。
記事で何年以降何件みたいに書く際に。
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答
(中川委員長)
事務局からお願いします。
(事務局)
そちらに事故情報として載せておりますけれども、事故情報データバンク自体は2009年から2021年ですけれども、該当の事故があったのが2015年からということになりますので、約6年分ということになります。取りあえず、今、事故情報として手元に持っておりますのは、この事故情報データバンクの情報ということになります。 -
問
ありがとうございます。
先ほどのイシイさんの質問との関連なのですけれども、過去、2017年に国民生活センターが注意喚起をしていて、それを拝見すると、エステで使うなと結構強く書いてあって、しかも、その後の2019年でしたか、エステの業界団体からも使うなと、両方ともかなり強いメッセージだったと思うのですけれども、続いているということで、使っているほうも知らなかったと言うのかもしれないのですけれども、普通に考えたら危険性は分かっていてやっているのではないかという案件だと思うのです。
それで、実態調査をするのは非常にいいことだと思うのですけれども、これまでとちょっと違うという面で、まずはガイドラインを事故調がつくることによって、過去、刑事立件されたケースもあるとお聞きしているのですけれども、そういうものを促すという機能というか、狙いというのも考えられるかなと思うのですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
つまり、厚労省も経産省もやらないから、事故調が明確にこれを法律に当てはめたときにどういうことが言えるかというガイドラインをつくることによって、全国でばしばし検挙することにつながったほうがいいのではないのかなという気もするのですが、その辺りは。
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答
(中川委員長)
最終的な報告書でどこまで踏み込むかですけれども、例えば、これが医行為に当たるかという医師法の解釈を我々ができるかというと、それは厚労省に最終的にやってもらわなければ駄目だろうと思います。だから、その一歩前の段階ですね。こういうふうなものはどう考えても医行為ではないかとか、あるいは、そうではない可能性もあるのでケース・バイ・ケースの判断になるのか、それともかつて脱毛行為について出たみたいに、一律としてこれは医行為と言うべきだとなるのか、まさにそれを調べるのが我々の仕事だと。 - 問 今、何行為とおっしゃいましたか。
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答
(中川委員長)
医行為です。医師しかやってはいけない行為。法律上の概念ですけれども。 - 問 ありがとうございます。
-
答
(中川委員長)
それから、これは先ほどの質問にはなかったかもしれませんが、現状は業界団体が禁止しているのですけれども、それは業界団体のメンバーには通じるのですが、どのぐらいなのか分かりませんが、かなりのところが業界団体に入っていないようです。アウトサイダーという呼称が適切かどうか分かりませんが、そもそも法的規制もないので、業界団体が禁止しても、団体会員でないからおよそ関係ないというスタンスの事業者も多いようで、やはりそれだけでは動かない。我々は今までの調査案件では、業界の組織率が高い場合は業界団体がガイドラインを出せばそれでうまくいくだろうというように対策をとることが多かったのですが、今回は、そもそも法律もはっきりしないということもあって、業界団体主導だけでは必ずしもうまくいかないだろうと想像しています。なので、それなりの対処が必要なのではないか。しかし、我々が最後の着地点まで決められるわけではない。最終的には、厚労省、経産省に何かをしてもらうということになるのですが、そちらをむしろ促進する動きをすることになるのかなと思っています。 - 問 ありがとうございます。
-
問
日本消費者新聞のマルタです。
よく分からないのは、2017年に国民生活センターが報告書を出したと。調査結果ですね。そのときに、国センとして、今では本当にまれな政策提言といいますか、厚労省に対して要望を出しているわけですよね。これは医師法違反に当たる事例があるということとか、被害防止に向けた調査とか、指導をしてほしいということを厚労省に出した。今のお話だと、隙間事案であったりとか、例えば、経産省と重複事案であるかもしれないということで乗り出すということだと思うのですが、国民生活センターがそもそもああいう政策提言を出したのは、要するに、行政に対して動いてほしいということで、その後にどんな状況で動いたのか動かなかったのか、対応したのかしなかったのか、これが、要するに、事故を防止できなかった理由の一つではないかと思うのです。
そうすると、原因究明といったときに、事故の防止に向けた事故の原因究明といったときに、行政がなぜ動かなかったのか。要するに、厚労省、経産省。経産省に対しては、たしか情報提供をしているはずなのですよね。消費者庁に対してもしていた。ただ、国センはその政策提言という要望は厚労省に出していた。そのときに、要するに、どう動いたのか動かなかったのかというのも事故の原因の一つではないかと思うときに、それはなぜということを事故調として検討されていくことは必要だと思うのですが、それについてはどうでしょうか。 -
答
(中川委員長)
まず、動くべきこれだけのエビデンスがありますよということを、集めていくというのが一つです。
なぜ、以前に厚労省、経産省、その他消費者庁の安全課に情報が来たときに、目立った動きがなかったのか。それぞれ事情があったのかなと想像します。先ほど言ったように、一つは所管がはっきりしないということです。医行為かどうかから決めろと言われても、本当はエステについてどうしたいかが見たいので、厚労省にとってはちょっと端っこの問題ですね。では、経産省の問題かというと、そもそも医行為かどうかが決まらなければいけないということです。誰が本当の主役かというと、よくわからないのです。日本ではエステティシャンが国家資格ではないので、産業自体が医師のような形できちんと規制ないし把握されていないので、そういうことになるのですね。その意味では、まずは消費者庁が行動するしかないだろうなということです。
当時の安全課が何をしていたのか。それは聞かなければ分かりませんけれども、今、言ったように、これは相当調査が大変そうな問題です。いろいろなことの実態がよく分からないのです。今回、ちょっと事前調査をしていますけれども、私たちから見てこんなことも分からないのかというぐらい分からない。結局、所管がはっきりしていないので、情報がいろいろなところに中途半端にあるのですけれども、全体が見えてこないのですね。そこを明らかにしようということです。だから、今までのようないわゆる事故原因の調査とは毛色が違います。どんなふうに事故が起きるかという事故発生のメカニズムの大体のことは分かっているのですけれども、誰がどのように使っていて、何でこんな機械がこんなところにあるんだということも含めて、何もかもグレー。それを全体的に明らかにしていこう。そこからどういう規制をするかというのが始まっていくのだろうと思います。 -
問
NHKのアキヤマです。
今、中川委員長がおっしゃっていたみたいに、実態が分からないから調査するというのは当然のことだと思いますし、やるべきことなのだと思うのですけれども、いわゆる2017年の段階で国センがやったものと、今回出てきているデータもいわゆる消費生活情報を吸い上げて出てきているものだと思うのですけれども、いわゆるアウトサイダーたちの情報を、ある意味で、業所管をしていないところを探すというのは、本当に大変なことなのだと想定されるわけですけれども、そうすると、いわゆるどこまでいっても本当の実態をつかめているのかというのが、ある意味で、ないものを探すという悪魔の証明みたいなことをしなければいけなくなるのではないか。それがいわゆる事故の原因究明とは少し毛色の違う調査なのだと思うのですけれども、そこをどう乗り越えていこうと考えていらっしゃるのかというところを、調査手法的なところと、ただ、そこを乗り越えていかなければいけない事故調というか、消費者事故というか、乗り越えていくべき意義みたいな、その2点について教えていただけますか。
-
答
(中川委員長)
団体に入っていない、独立派といいますかね、アウトサイダーというよりも独立派と言うべきかもしれませんが、それは別に悉皆調査をする必要はないと思います。事故が起きていますし、何しろ超音波を皮膚の下に強化して入れて温度を上げるわけで、手術に近いような話。侵襲性が高いものです。それを誰がやってもいい、エステサロンで、セルフで、自分でやっている。ネットでも機械自体が売っているわけですね。周波数はかなり弱いかもしれませんけれども。ということで、それは事故が起きて当たり前の状態です。
例えば、どのぐらいの人がセルフエステをやっているかといったあたりは、確率的に、統計的に大体このぐらいでしょうというものは出てきそうです。問題は、そこから先の話ですよね。ですので、簡単な調査とは思いませんけれども、調査ができないわけではないだろうと思います。本当のアングラというわけではないので、そこはできるのではないかと思っています。
2番目は、我々がやらなければいけないというのは、先ほど言ったように、身体に危険だということは分かっていて、最初に、読売新聞の方ですか、違法だとおっしゃいましたよね。直観的にはみんなそう思うのです。だけれども、調べてみるとはっきりしないのです。その理由が、どうも複数の省にまたがっているからではないかということなので、我々しかない。逆に言うと、我々が今までやらなかったので規制も進まなかったのかなとさえ思っているわけですので、やりましょうということです。 -
問
ありがとうございます。
1個目の質問として、例えば、分からないのであれば、ある意味で、消費者を仲間に引き入れるではないですけれども、情報提供を呼びかけるというのも一つの手段なのではないかなと思うのですけれども、ある意味で、申出制度はそもそもそういう立てつけなのだと思うのですが、今までになかったような調査のやり方みたいなもののアイデアがあるのかなというところが1つ目の疑問だったのです。
-
答
(中川委員長)
ありがとうございます。
それはありますか。
(事務局)
今、いろいろヒアリングで御協力いただいている団体さんは、会員には禁止と通達しているところではあるのですけれども、そこの役員さんやスタッフの方だと当然業界に慣れていらっしゃる方なので、一つはそういう方々に御協力いただく。それから、その会員の枠を外れたというか、エステ全体ということでいうと、業界紙のようなものがあったり、あるいは、広告全般を取り扱うところがあったり、その枠を超えていろいろと知見のある方々もいらっしゃるので、そういう方々にも協力いただいて、できる限り実態を調査していこうと思っていますが、おっしゃるように、物すごく難しいとは思っています。
(中川委員長)
私はアフィリエイト広告の検討委員会もやっているのですが、あそこでヒアリングをしていると、やはり業界団体の人はアウトサイダーのことをよく知っているのです。そこを何とかしたいということも、業界団体をつくる理由ですよね。おっしゃっていただいたように、業界団体の人に聞くというのは、一番簡単な方法だし、一番詳細に分かるところで、本人に聞いたってどうせ分からない、教えてくれないのだと思いますのでね。 -
問
度々すみません。読売新聞のイシイです。
まず、ちょっと確認をしたいのですけれども、先ほど、マルタさんの質問とか、アキヤマさんの質問の中で、要は、国センが注意喚起をしてから、中川委員長も、我々がやらなかったからとか、いろいろ調べても分からないとか、特にその間に目立った動きはなかったということもおっしゃっていましたけれども、少なくとも、前提として、いわゆる2017年に国センが注意喚起をした後、業界のほうでは動きはあったと思うのですけれども、行政としては特に何もしなかったという理解でいいですよね。
-
答
(中川委員長)
それは私がちょっと謙遜して言ったことを逆に大きく取られたかもしれませんけれども、国センが出した後で、業界団体が動きましたよね。その後、私の理解では、事故件数が減った。なので、これでうまくいくのかな、意外と業界団体が把握できているのかなと思っていた。だから、動かなかったのでしょうね。厚労とか、経産など、国センから意見を出されたところ、あと消費者庁ですか、恐らく事故数が下がったので、今すぐアクションをしなくてもいいのではないかと思った可能性はあります。推測ですけど。
その後、2019年ぐらいからまた事故数が徐々に上がってきたのですね。何かいろいろと背景があるのだろうと思います。テレビで紹介されたとか、いろいろな形で、有名になったのかもしれません。今、ネットで検索するといっぱい出てくるのです。業界団体に禁止されたはずなのにです。団体に入っていない事業者が多いのなという推測ができるかもしれません。もしかしたら、団体に入っていても、今、これで宣伝を打たないとお客が来てくれないという業界状況になっているのかもしれません。いずれにせよ急速にまた上がってきたので、さすがにこれは動かなければいけないと判断したわけです。
なので、我々が動かなければいけなかったというのは、消費者安全調査委員会が今回動かなければいけないという意味であって、前にやらなかったから増えたとか、そういうことではありません。その当時は、やはり様子を見ていたのだと思います。 - 問 分かりました。少なくともそれぐらいやるべきだったということは抜きにして、客観的事実としては、消費者庁も、厚労省も、経産省も、特に国センの注意喚起以降、何もやっていないということですよね。
-
答
(中川委員長)
何もやっていないというか、法規制はやっていないです。 -
問
分かりました。
それと、2点目なのですけれども、今回、そもそもHIFU自体が、いわゆる美容クリニックとか、医師の下で行われているものとそうではないものと主に2つに分けられると思うのですけれども、今回、事故調が問題視しているというのは、いわゆる医師が行う、医師が治療行為として行うもの以外のものを全て調査の対象にされるという認識でよろしいでしょうか。
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答
(中川委員長)
それが中心です。そこが一番事故が多いので。もちろん、美容クリニックで医師がやったからといって絶対に安全とはいえませんが、医師の場合は、皮下組織がどうなっているかとかは当然勉強して知っている。それに対して、エステティシャンは、先ほど言ったように、国家資格ではありませんので、誰でもなれるのです。全く何も考えずに照射してしまうことはあり得るというか、実際にそれがあるから問題が起きているわけですので、そこが中心的な対象です。 -
問
分かりました。
今回、私もちょっと美容クリニックの医師に取材等を行ったのですけれども、そのときに言っていたのが、こういうような事故が多発するまでに、医師側としては特に問題視していなかったと。その理由としては、世の中にそういうAmazonとかでいろいろ出てくるものは、結局、効果がないだろうと。医療機関でやるものは、例えば、1500万とか、2000万とか、こういうリクライニングチェアみたいな大きな形であって、一方で、Amazonで売っているものは、4万円とか、数万円、言ってみれば手で持てるようなマッサージ器みたいなもので、要は、効果がないのではないかということで、勝手にやっているけれども、気休め程度だったらいわゆる健康被害は起きないだろうと思っていたら、今回、健康被害が起きたから注視しているという人だったのですけれども、その話を聞いて、2つほど思ったのです。
一つは、つまり、健康被害が起きる事故、これはまさに今回事故調が調査するものだと思うのですけれども、もう一つ、国センの事例でもあったように、効果がなかったと。つまり、本当にHIFU自体がしっかりしたものであれば、医師でもそういう神経を焼き切ってしまうとか、そういう事故が起き得ると。まして素人が行ったり自分でやったりすると、それは非常にいわゆる危険であると。まさに事故調の本丸の案件だと思うのですけれども、一方で、HIFU自体が、HIFUとうたっているけれども、事実上、効果がないとか、言ってみればまがいものみたいな、そういったものも恐らく特にそういう市販品ではあふれていると思うのですけれども、そうなってくると、ちょっと事故調の対象からは外れるような気はするのですけれども、ただ、一方で、消費者問題という意味ではまさにどんぴしゃの事案だろうとは思いまして、こちらのほうについては、今回、調査とかではどうなるのでしょうか。 -
答
(中川委員長)
それは扱いません。それは景品表示法の問題なので、消費者庁の中では、我々ではなくて表示課のほうが担当だろうと思います。それは当然彼らもいつも見張っていると思います。誇大広告をやりやすいところですからね。 - 問 分かりました。ありがとうございます。
-
問
日本消費者新聞のマルタですが、事故調の手続として、自ら調査という形だと思いますけれども、例えば、国民生活センターが4年前に出した調査結果を他の行政機関の評価書の評価をして、それに対して、必要とあらばその場でその評価書に対しての当該行政機関の長に対して意見なりを言えるとなっていて、それでまだ不足の部分があれば、調査したり、報告書をそれなりにやって、勧告とか、意見を出せるようになっていると思います。
国民生活センターの4年前の調査結果というものに対して、事故調として、評価した上で、関係行政機関の長に対して何らかの意見をそれに基づいて出すということは、迅速さ、スピーディーさからいったら早いような気がするのですけれども、そういうものはあまり考えなかったということですか。
-
答
(中川委員長)
今回は、自ら調査といえば自ら調査ですが、国センがやった調査を引き継ぐ形でやるというパターンですよね。先ほど遠藤さんがおっしゃったように、とにかく調査が非常に広範囲にわたるし、誰もやったことがない調査です。国センもそこまではやっていないし、関係行政機関もやっていないので、まず、それを加えて、きちんとした対応を取るべき根拠というかエビデンスを集めていくというのが今回の調査です。なので、国センの調査を評価するというものではなくて、まさに引き継ぐというパターンです。
佐藤さんはいらっしゃるかな。発信力強化のうちの、あれは何でしたか。
(事務局)
発信力の強化について、より事案が継続する案件について引き続き調査をするという回答です。
(中川委員長)
そういうタイプです。書いてあります。 - 問 1つ確認なのですが、委員長が最初におっしゃったこの調査のきっかけは、申出によるということでありました。この申出というのはいつだったのでしょうか。
-
答
(中川委員長)
それは分かりますか。申出は複数来ているのですよね。
(事務局)
2020年10月。 - 問 複数と。
-
答
(中川委員長)
1件ではなかったと思うのだけれども、違いましたか。
(事務局)
選定に至ったのは1件という理解です。調査の対象とするものとしては1件と。
(中川委員長)
そうですね。 -
問
朝日新聞のスギウラです。
もともと事件記者なもので、刑事事件のことがすごく気になるのですけれども、2015年の大阪府警がやった事件に関して、それが一般化できない理由をお聞きしてもよろしいですか。先ほど、法規制上はっきりしない、医師法に抵触するのか薬機法に抵触するのか、そういうのもよく分からないというところで、1個、有罪判決まで出ている案件がある。それだけを聞くと、明らかじゃんと聞こえるのですけれども、その案件自体が特殊であるならしようがないのかなと、もっと実態を調べないと駄目だと分かるのですけれども、その辺り、ちょっと詳しくお聞きしてもよろしいですか。
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答
(中川委員長)
医師法に抵触というのは、医行為であるということで有罪となった事案ということですか。 - 問 たしか、記憶だと、未承認の医療機器を販売したというので、当然薬事法違反と。
-
答
(中川委員長)
そっちのほうか。 - 問 別のものもあったら、すみません。それも。
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答
(中川委員長)
承認されていない医療機器の流通に関しても、まさにそれが調査対象です。どういうふうに法令上のルールがあるのか、事前調査でははっきりしない。おっしゃった有罪判決は出ているようですが、たまたま特別の事情があるからこういう結論になったというように一般化できないものなのか、それとももっと一般化できるものなのか、それは判決の解釈によるのですけれども、そこも含めて調査する。 - 問 別の案件もあると、今、おっしゃいましたけれども。
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答
(中川委員長)
それは流通ではない案件ということですね。 - 問 医師法。
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答
(中川委員長)
医師法ですか。私は他の案件と混乱しているかもしれません。どうぞ。
(事務局)
2015年の大阪のほうは、その前年から、まず、健康被害が出ているのですね。その施術を受けた方に水膨れができたりということで、行政のほうから、大阪府のほうから、まず、商品の宣伝をやめろということで再三にわたって指導がなされたということのようです。それにもかかわらず広告と販売をやめなかったということで、最終的にその広告でうたっていたのは、Di-Lipoという機械なのですけれども、効果としては、熱で脂肪を破壊し、その壊死した脂肪が汗や尿として体外に排出されることにより痩せる効果が得られるというような宣伝をしていたということで、最終的には未承認医療機器で当時の薬事法に抵触するということで、そういった経緯が重なって、最終的に逮捕及び有罪判決になったと認識しています。 - 問 そのときの場合は、個別のDi-Lipoという機械が、被害が出ているというのは分かっていて、注意したのに続けたというので、この機械についてはアウトということが言えるかもしれないけれども、それがHIFU全般に敷衍できるかというと、そこまでは言えないかもしれないということですかね。
-
答
(事務局)
当時、裁く側がどういうふうな判断をしたかはまだ詳しく分からないのですけれども、Di-Lipoの広告と販売についてそういう判断がなされたということですね。一般化されなかったということはひょっとするとあるのかもしれません。 - 問 医師法の関係のもので、御記憶は。
-
答
(事務局)
医師法は、HIFUについてはありません。最高裁まで判決が出ているのは、エステではないのですが、タトゥーに関しての裁判に関しては、一審で有罪が出たのが最高裁で無罪というような例はありますけれども、HIFUについてはございません。
(中川委員長)
今のは医行為の解釈の案件ですね。
(事務局)
医行為のほうです。 -
問
確かに、タトゥーとHIFUでは相当違うかなと。
ありがとうございます。
-
問
すみません。2015年の大阪の事件なのですけれども、ちょっと遡って自分たちも資料を入手しようとはしているのですが、当時の記事を見ると、あまり大きく扱われていなくて、うちでも逮捕したというのが短くべたで載っているだけなので、恐らく大きな事件であればその後司法クラブが引き継いで起訴状を入手したりとか、裁判所に申請をかけて判決文を入手したりしていると思うのですけれども、それは、今、こちらも大阪に問い合わせているのですが、多分ないと思うのです。
その場合、恐らくこれは一審で執行猶予がついているので確定しているのだと思うのですけれども、そうなると、大阪地検のほうに資料があって、要は、確定事件の判決資料を申請するのは物すごく大変なのですよ。社会部長の上申書みたいなものを提出した上で、コピーさせない、閲覧のみとか、あいつら結構偉そうに言ってくるので、もし先ほどおっしゃっていた経緯が分かる資料があれば参考にいただけないかなと思いまして、つまり、記事だけだと、それがHIFUとどう関連しているかというのがなかなか分からなくて、また、こういうコロナ禍なので、上申書を出した後で数週間後に大阪地検まで行って閲覧してというのも、そこまでできればいいのですけれども、このコロナ禍でもしできないとなったときに、今ある範囲の資料をもしいただけたらなと思いまして。 -
答
(事務局)
一般に報道されているものは確かにそれほど長い内容ではないのですけれども、別にこの逮捕された社長の親族にインタビューをした記事がありまして、それも少し詳しく出ています。それと、判決主文については我々もまだ入手していなくて、これから請求しようと考えています。
(中川委員長)
先ほど御質問のあった判決を一般化できないのかという話は、そもそも当時の薬事法のどこに違反するという判決なのか自体、我々もまだ分からないのです。それも調べるというのは、そういうことなのです。 - 問 分かりました。