記者会見要旨
(2021年1月28日(木) 12:20~12:40 於:消費者庁12階 全省庁共用1208特別会議室)
発言要旨
(中川委員長)
それでは、本日の会議の概要をお話しいたします。
まず1点目、幼児同乗中の電動アシスト自転車の報告書、これは昨年12月に公表したものです。この中身について、特に消費者向けに周知すべき部分をピックアップいたしまして、分かりやすい資料をつくりました。この周知資料を特に消費者の皆さん、自転車を利用する皆さんに情報を共有していただきたいと思っております。消費者庁のウェブサイトに掲載するほか、内閣府、文部科学省、厚労省にお願いをして、幼児乗せ自転車が集中する幼稚園、保育所、こども園に周知する予定でございます。ちなみに、この資料は消費者庁の職員が全部手作りしたそうです。外注ではないということで、私は驚きました。
2点目に行きます。水上設置遊具による溺水事故、これは昨年6月に公表いたしました。これを受けて、昨年12月25日に経済産業省より「水上の設置遊具の安全に関するガイドライン」が公表されましたので、そのフォローアップについて検討いたしました。その結果について次の2点をお話ししたいと思います。
ひとつは、まず調査委員会としてこのガイドラインをどう評価するかということについてです。これまで水上設置遊具の安全に関する行政機関がつくったガイドラインがなかったということでありまして、今回経済産業省におかれて有識者による検討を経てガイドラインをつくられたということは大きな一歩であると評価したいと思います。また、ガイドラインにおける指摘事項はおおむね適切であると考えております。ただ、これはあくまで自主的な取組を促進するという趣旨のガイドラインでありますので、私たちとしては、この後フォローアップで具体的にどこまで安全が確保される対策が取れているか、それを注視していきたいと思っております。
もうひとつは、フォローアップの仕方です。今年の夏前、4月、5月、あるいは3月ですね。先方の都合もありますので具体的に何月になるのか分かりませんが、その辺りのタイミングで公開ヒアリングを行いたいと思っております。意見先である経済産業省の取組を確認させていただきたいと思います。先ほど申しましたように、本ガイドラインはあくまで自主的な取組を促進するものでございますが、それを効果的にやっていただいているかということを確認させていただきます。本ガイドラインがどのように、あるいは誰に対して周知されているのか、ガイドラインの活用状況、ガイドラインにもっと具体性を持たせるための取組の見通し、設計における本質的安全設計としてリスク低減策はどれぐらい検討が進んでいるのか及びそのスケジュールといったこと。さらには本件ガイドライン以外の対応状況についても確認をしたいと思います。これを今年の夏前に行いたいと思っております。
以上が2点目の水上設置遊具による溺水事故に関するフォローアップの方針決定です。
3番目ですが、これも1件目と同じように消費者に対する情報提供といいますか、注意喚起なのですけれども、特にこれはプレスの皆様を通じて注意喚起をしていただければという意味で今日発言するものであります。歩行型のロータリ除雪機による事故につきましては、令和元年5月に報告書を公表しております。その後、様々なフォローアップを行っておりますし、関係機関、関係団体から繰り返し注意喚起はなされておりますけれども、今年の冬、非常に降雪量が多く、除雪機の使用に伴う事故が発生しております。令和2年12月から令和3年1月までの間に6件の死亡事故が生じております。その事故につきましては、皆さんのお手元に資料として配付されていると思います。6件の死亡事故であります。そして、そのうち5件、除雪機にひかれるのが3件、オーガに巻き込まれるのが2件、この5件については報告書で取り上げたものと同じ類型の事故です。それ以外、一酸化炭素中毒は報告書では取り上げておりませんでした。そのときはそのタイプの事故がなかったので取り上げておりませんでした。そのほか負傷事故が5件起きておりますので、先ほど申しましたように、既に関係機関、関係団体から繰り返し注意喚起はされているのですが、とりわけまだ大雪が続く現在、特に注意喚起を調査委員会からもしたいと思っております。
注意喚起の内容ですが、古い除雪機,すなわちデッドマンクラッチが装備されていないものについてどのような取扱いをするべきかについて、再度注意喚起をしたいと思います。平成16年4月以前の製品にはデッドマンクラッチがそもそもついておりません。ですから、その場合には、3点注意していだく必要があります。除雪機から離れるときには必ずエンジンを止める。雪詰まりを取り除くときにも必ずエンジンを止める。作業中は周りに人を近づけないの3つです。今回は死亡事故のうち一つ、そばにいた子供が亡くなっているという痛ましい事故があります。ですから、その観点から作業中は周りに人を近づけないことが大切です。この3点について、改めて注意喚起したいと思います。
それから、デッドマンクラッチがついている比較的新しい製品について、これをひもで縛って固定化して無効化すると大変危険です。全く意味がなくなりますので、この点を絶対にやめていただくよう,再度注意喚起させていただきたいと思います。
先ほど申しましたように、一酸化炭素中毒、これは報告書には取り上げておりません。一酸化炭素中毒は別に除雪機に限らず起きるものなのですけれども、委員から,これもぜひ一般的によく起きることなので注意喚起は併せてしていただきたいという御意見がございました。除雪機の場合であれば、小屋などの狭い空間でエンジンを稼働する場合には必ず換気を行うということに尽きるのだろうと思います。ということで、注意喚起をさせていただきたいと思います。
以上が3点目、歩行型ロータリ除雪機による事故に関する注意喚起であります。
その他、今日は幾つか検討いたしました。その他といたしましては、まずはマンションの機械式立体駐車場で発生した事故ですね。報告書を作成せずに意見具申をする第1号として今月決定を予定していたのですが、いろいろ文言修正を私がいたしまして、ぎりぎりだったので間に合わなくなりました。なので、2月にずれ込みますが、来月決定をしたいと思っております。
もう一つ、学校の施設または物品により発生した事故等の、これは1年以内に終了しないという見込みですので、経過報告書について審議しました。これも2月、来月に発表したいと思います。この学校の施設等に関しては2月9日からウェブアンケート等も再開できると。コロナ禍の関係で大分自粛していたのですが、少しは再開できるという状況になっております。
もう一つ、エレベーター事故のフォローアップについては、本日はフォローアップでどういう質問事項を国土交通省に投げるかということについて詳細を審議し、決定をしたところです。フォローアップもいつになるか分かりませんが、この質問事項に対する回答を受けて部会で行いたいと思っております。
以上が今日の委員会の審議状況です。
続いて、部会についてです。今日は持丸委員が御欠席ですので、私から発言をいたします。今月開催した部会での議論は以下のとおりです。
まず、製品等事故調査部会においては、幼児同乗中の電動アシスト自転車事故の周知用資料案、先ほど最初にお話をしました。それから、マンションの機械式立体駐車場で発生した事故の追加意見案、家庭用ヒートポンプ給湯機事案、コージェネレーションシステム事案のフォローアップについて、それから、エレベーター事故のフォローアップに関して審議を行ったということであります。
サービス等事故調査部会では、学校の施設または物品により発生した事故等の経過報告案、水上設置遊具による溺水事故のフォローアップに関して審議を行うということです。
以上が部会の議論です。
私からは以上のとおりであります。
質疑応答
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問
共同通信のクニエダです。
2月に立体駐車場のほうは報告書がまとまるということでよいのでしょうか。そういう認識でいいのでしょうか。
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答
(中川委員長)
立体駐車場は報告書をつくらないで、追加の意見を具申するというパターンです。簡単な添付資料をつけるだけということですね。ですから、手間がかかっているわけではなくて、私がぎりぎりになってもっとこんなふうに書いてはどうかという修文意見を出したので今日に間に合わなくなったという、それだけの理由です。すみません。 -
問
分かりました。
今回の委員会が非公開だった理由を教えてください。
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答
(中川委員長)
フォローアップのことですか。 - 問 全体の。
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答
(中川委員長)
フォローアップの方向性を考える会議ですので、いろいろと戦略も考えますので、これを公開にするとフォローアップの相手にあまり手のうちは知らせたくはないなというのがあります。議論の結果として,どのようなフォローアップをするかというのは先ほどお話ししたとおりです。 - 問 公開するにしても、そうやって適宜状況と鑑みてということになるかと思うのですけれども、以前申し上げたように、後から動画とかで撮ってこれは差し支えないというものは公開するというような検討とかは、今、されていますでしょうか。
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答
(中川委員長)
なので、今言ったように、差し支えがあるということで対象にしておりませんでした。つまり、フォローアップというのは、どのように関係行政、意見先の行政機関に何を尋ねて、これは今回尋ねて今回は尋ねないのかといういろいろ工夫をするのですね。そこのところは公開するのは適切ではないだろうということなのです。 - 問 ありがとうございます。
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問
読売新聞のイシイです。
今回の幼児同乗中の電動アシスト自転車の周知資料ですね。これについては、前回の12月の第100回の事故調で決めた発信力機能強化の一環でつくったということなのでしょうか。
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答
(中川委員長)
そうです。今日お話しした幼児同乗中の電動アシスト自転車の周知資料、まさにこれは消費者に対して委員会が直接働きかけるというのが、前回お話しした中で一つありましたね。対行政機関だけではなくて直接消費者に対して安全調査委員会からも働きかけるという一つです。
ついでながら、先ほど水上設置遊具による溺水事故について評価を述べたのも一緒です。あれもフォローアップといえばフォローアップなのですけれども、機動的にフォローアップをするとしたことの一例です。フォローアップを機動的にやっていくという意味で前回の発信力強化にのっとった方針です。
それから、歩行型ロータリ除雪機について、先ほど注意喚起をお願いした。これも消費者に直接働きかけていますので、これも前回決めた消費者に直接話しかけるという発信力強化のやり方の一つです。 -
問
分かりました。
この自転車の周知資料なのですけれども、非常に分かりやすいイラストだと思うのですが、この中で委員長が特に消費者に強調して伝えたいこと、これがあれば教えてください。
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答
(中川委員長)
私の個人的なところでは「停車中の転倒事故を防止するために」というところの3番ですね。ちょうど表面の真ん中より少し下なのですけれども、停車中こそ安心してしまうといいますか、慢心するというか、実はそこに危険がたくさんあるのだということは今回の発見だろうと思います。
もう一つが、裏面の5と6ですね。子供を1人乗せる場合と2人乗せる場合というのは、自転車の考え方、選び方が違うのだということです。
7番のブレーキですね。前後どちらかではなくて両方なのだというところ、これも知っている人は知っているのですけれども、意外に片方だけかけている、私もこれを見るまでは後輪だけかけていたのですけれども、それでいいと思っていたのですが、そうではないとか、そういうちょっとした思い違いがあると思います。
ですので、3と5、6、7辺りですね。その辺りが特に分かっているようで分かっていないことかと思いました。私の個人的な印象です。 -
問
分かりました。ありがとうございます。
それと今の発信力強化のところでもう一点だけ、先ほど夏前に公開で議論を行うとおっしゃっていましたけれども、これもその発信力強化の一環で行うことになるのでしょうか。それともこれはそういうことではなくて、通例行う範囲内ということなのでしょうか。
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答
(中川委員長)
水上設置遊具は昨年6月公表ですから、普通であれば1年後ですね。なので、5月、6月ということになるわけですけれども、いうまでもなく,水上設置遊具のフォローアップを夏にやったって駄目でしょうということで、できるだけ前倒しということで、3月、4月辺りを念頭に置くとわけです。もうすぐですね。それで調整中というところです。これも発信力強化、機動的にフォローアップを行うことの一環です。