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記者会見要旨
(2020年12月25日(金) 16:10~16:55 於:消費者庁12階 全省庁共用1208特別会議室)

発言要旨

(中川委員長)
それでは、記者会見を始めたいと思います。
まず本日は、最初に、発信力の強化に向けた考え方という文書の取りまとめをいたしました。これは消費者安全調査委員会において、いわゆる報告書の取りまとめをしないで意見を具申することはできないのではないかという考え方もあったところですが、そういう制限を一斉取り払う等の趣旨で申合せをいたしました。
10月の委員会におきまして、井上内閣府特命大臣から、もう少し委員会の機能強化について検討してはいかがという示唆をいただきまして、また、委員の中からも同じような発言が以前からずっと出ておりました。そこで、今回、文書としてまとめることにいたしました。2回ほど委員の間で検討を行い、そして、皆様のお手元にある書面で、消費者安全調査委員会の発信力の強化に向けた考え方を取りまとめました。
中身は、機能強化と会議の公開の2本柱であります。
まず、1点目の機能強化でありますけれども、我々は「自ら調査」と呼んでいる事故等原因調査の対象として,ほかの機関がやっているものであっても連携してやっていくという形態も含めることがひとつ。それから、既に原因が明らかであり、再発防止策も取られているので、その意味では、今までは我々としてはやることはないのではないかと考えていたところもありますが、しかし、事故が再発しているという場合には、その再発の原因をさらに探るということで、これも「自ら調査」の対象であるということを確認いたしました。
また、意見具申権限の活用として、報告書をまとめないまま意見を出すということも、我々の職務であるというように考え方を整理いたしました。
フォローアップについては,これまで年に1回というのを原則にしておりましたが、これはもう機動的に行うということを明確にしました。別に1年たたなくても必要があれば行うということです。
さらに、社会へのデータ等の提供をすることがあることも明確にしました。我々が調査をしたときに、様々なデータ等を入手、あるいは作成いたします。それを、我々が調査を終えた後、統計的なデータ等,外部提供できる形にしたうえで,研究機関等に提供いたしまして、引き続きその案件についてさらに一層の調査をしていただこうというわけです。我々のする事故調査を、データの社会への提供という形でも発信したいと考えております。
以上が機能強化の点です。
もう一つが会議の公開等です。
会議自体は、引き続き個人情報の保護の必要性がある場合には非公開となります。ただ、そうではない場合には、積極的に会議を公開していきたいと考えております。先ほど申しましたフォローアップ等は原則公開になるだろうと考えております。
それから、調査報告書を作成した場合には、その内容のうち、特に消費者の皆様に伝える必要があると考えた部分については、我々のほうから積極的に分かりやすい文書ないしは映像等を作っていきたいと考えております。
そして、最後、記者会見においては今までも十分いろいろお話をしてきましたが、今後もそのスタンスを続けていきたいと思っております。
以上が、消費者安全調査委員会の発信力の強化に向けた考え方です。今後、これに沿って行動をしていきたいと思っております。
先ほどから申しておりますように、委員から今申し上げたようなことをできないものかという発言は常にありました。実際、報告書をまとめないで意見具申を行うという方式はすでに現在検討中であり、できれば1月か2月に意見を出したいと思っております。
同様に、社会へのデータ等の提供は、この後に御説明します自転車の案件につきまして、早速行う予定です。

続きまして、本日は,幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故の報告書の取りまとめも行いました。
幼児同乗中の自転車の事故は継続的に発生していること、2人同乗の認可、それから、アシスト比率改正から約10年であり、安全性検証をしたほうがいいのではないかということで、平成30年の11月に調査を開始いたしました。
内容ですが、以前は幼児同乗中の自転車の事故原因について、交通ルールの認識が十分でない、ルールを遵守していない、自転車の整備不良であるといった、利用者のほうに専ら原因があると考えられていたと思いますが、今回調査した結果、自転車設計上の対策がまだ不十分という面もあることが分かりました。
また、運転中だけではなくて、停車中の転倒が非常にわずかな傾きでも起きること。幼児同乗自転車ですから停車中であっても付近に幼児がいるわけで危ないのですが、思わぬところで転倒事故が起きているということも分かりました。
以上のうち、まず設計についてなのですけれども、従来自転車メーカー等において自転車を市場に出す前の評価は、人の主観評価で行うということが適当であると考えられていたようです。しかし、我々が行いました走行実験の結果、定量的な客観評価も重要であること,しかしこれがあまり行われていないことが分かりました。定量的な客観評価と主観評価情報、両方が必要である。その評価が異なる項目もありますので、両方が必要であると考えまして、バランスの取れた設計をすることを事業者に求めていく必要があるのではないかということを意見としています。
また、走行中においては、外的要因、特に段差5センチ、この段差もいろいろあるのですけれども、段差5センチというのは、これは本来自転車が入ってはいけないはずなのですが、乗り越えられそうなのでみんな乗り越えて、その結果、事故が起きているということ。そういう知識を得ていただきたいということです。
それから、子供の乗せ方や自転車のタイプ別でリスクが違うのだという情報も共有されるべきことです。子供を前に乗せるかどうか、2人乗せにするのか、一人乗せにするときはどうかといった、それぞれについての安全性の観点からのお勧めの方法は何かということも明確にして周知をしていただきたいという意見になっております。
このほか、先ほど申しましたように、今回の公表に当たりましては、この結論を導いたエビデンスとして、膨大な走行実験のデータがございます。それを社会に提供します。誰でも使えるというわけではなく、いろいろ約束していただいたうえで提供することにしております。
実態調査で記録された実際の停車中の転倒の様子を理解していただくために、ビデオを作ることにいたしました。今日これからお見せしたいと思いますけれども、なるほどこんなに簡単に転倒が起きるのかということを消費者の皆さんに理解していただくという観点から、報告書の作成だけではなくてビデオを作成いたしました。素材は実際の映像でございまして、保護者と園の同意をいただいた部分をお出しするということです。
利用者の皆様は、恐らく自転車については、どれに乗っても安全だろうと思われていて、安全性以外のところを優先して選択をされていたのではないかと思います。しかし、どのように使うとどのように転倒するのか、自分はどのような使い方をするのかということから、幼児乗せの自転車を選ぶときにはぜひ気をつけていただきたいということで、今後は、自転車を販売する側も利用する側も、安全性をまず基礎に置いて自転車を選ぶという意識に変えていただくことが必要です。自転車は個々に様々な機能の違いがあるということも分かりましたので、そこをよく知って、安全性を重視して買うという行動を、是非していただきたいということで、その第一歩として、この報告書を公表します。
意見先ですが、経済産業省には、必要に応じ警察庁の協力を得ながら、幼児乗せ自転車の設計面での対策を検討実施するよう促しております。
警察庁が入っているのは、場合によっては法制的な検討も必要になってくるかもしれないということです。警察庁の協力も得ながら経済産業省において、自転車の設計面についての改善をお願いしたいという意見を具申いたします。
それから、幼児乗せ自転車が集中する幼稚園、保育所、こども園などでは、とりわけ安全な利用に関する保護者への周知を行う必要があります。啓蒙していただく必要がありますので、先ほど申しましたように、今までの常識とは違う、安全に関する新しい情報を周知していただく,注意喚起をしていただくことが必要ですので、内閣府、文部科学省、厚労省にそのような意見を具申いたしました。
以上の内容で,幼児同乗自転車についての報告書を決定し、意見を具申いたします。
そのほか、本日は、学校の施設または物品より発生した事故等の調査が1年以内で完了しない見込みですので、経過報告案の内容を検討いたしました。
また、機械式立体駐車場で発生した事故の追加意見の内容も検討しました。先ほど申しましたように、恐らくですがこちらは、報告書を伴わない意見具申提言の第1号になる予定であります。これについて審議を行いました。
続いて、部会の動きについて、委員長代理からお願いいたします。

(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸です。
今月開催の部会の議論を紹介いたします。
製品等の事故調査部会では、今もありました幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故の報告書案、それから、家庭用ヒートポンプ給湯器事案、コージェネレーションシステム事案のフォローアップについて、同じくエレベーター事故のフォローアップについての審議を行いました。
それから、私が部会長を務めますサービス等事故調査部会では、自動ドアによる事故の報告書について審議を行いました。
私からは以上です。

(中川委員長)
ここで、先ほど申しましたビデオを上映いたしましょうか。

(ビデオ上映)

(中川委員長)
以上のように、停車中もかなり事故が起きている。あまりこれは皆さんが意識していなかったことかもしれませんが、まずそういう認識を利用者の皆様に持っていただくということが重要だろうと。
この地面のわずかな傾斜というのは、水はけのために少しだけどこでも傾斜がついているのですが、あれで倒れるのです。そのため、根本的にどうすればいいかの対策は難しいのですが、少なくともその程度の傾斜でさえ倒れますのでそばにいる幼児にはとても危険であるということは知っていただく必要があるということです。これは停車中の転倒のビデオです。走行中についてはは特に今のところビデオを作る予定はないのですけれども、それはまた今後、必要があれば考えますが、今のところは消費者に対して情報を得ていただくためビデオとしてはこれだけを作っております。
私からは以上です。

質疑応答

NHKのアキヤマです。
まず、報告書について伺いたいのですけれども、走行実験などのデータもかなり詳しく取られている印象でしたし、また、15の保育所の協力を得られて、実際にカメラをということで、いろいろなデータを取られたのだと思うのですけれども、消費者の利用で、例えばヘルメットがつけられていなかったとかシートベルトが使われていなかった、消費者側が注意しなくてはいけない、既に言われているようなルールが守られていないというとこも気になるところではあったのですけれども、それでもまだやはり足りない部分というのを、改めて中川委員長に、今回の報告書の件で教えていただけないでしょうか。

(中川委員長)
ヘルメットは転倒した後の話ですので、そもそも転倒しないようにということから、設計上の工夫の必要性、それから利用者がもつ常識の間違い、そういったところを今回指摘できたというところが新味かなと思います。
設計については、これは関係者が非常に驚いていたというか、多分、業界のほうも意外に思っていらっしゃるのではないかと思いますが、これまでは主観的評価、官能評価といいますか、乗り具合ということが中心でした。他方、客観データとして取ってみると、どのような傾き、どういうような状況だとどれだけ転倒リスクが高まるのかということをこれまではやっていなかったというわけです。そういう意味では、まさに、今回、客観データをつくりまして、社会で共有することができたのは非常によかったと思います。これは非常に新しい発見ではないかと思います。

今おっしゃっていたデータの公表で、今回の報告書ではなくて、強化に向けた考え方にも示されていたと思うのですけれども、いわゆる、情報を取得しながらも、公共財としてデータを活用していくことというのは、特にこのオープンデータで、今、どんどん進む社会の状況を考えるとすごく重要だと思うのですけれども、今回の報告書でデータを出す意義というところを改めて教えてください。

(中川委員長)
我々が客観的な評価をするためのデータをつくっておきまして、取りあえずこの報告書に関しては意見を出したわけですけれども、その後、引き続き、特に事業者のほうにおいて客観データを使った評価を開始してほしい。そのため、まず、このようなものを我々が取りました、それを今度は発展させていただきたいわけです。これを発展させていただいて、より安全な、場合によっては用途別に自転車を開発するとか、新機軸のほうに向かっていただきたいという思いで公開するということにいたしました。

ありがとうございます。

(持丸委員長代理)
私のほうからも。
データは、いつも何でも公開できるわけではないのですけれども、今回みたいに、委員長からも話があったように、様々な設計要件を網羅的に変えてやった実験はなかなかできないもので、こういうのは非常に価値があると思っているのです。その価値の、まず一番大きなところは、委員長も言いましたように、今後、各企業さんでも、こういうようなことを付け加えていく一つのベースにしてほしい。
もう一つは、これは研究している研究者というのがいるのですが、これだけの実験を自分たちのところでなかなかやることができないのです。その研究者には、中には、もしかしたら、今回、我々が調査をお願いした方々も入っている。その方々は、自分たちでそのデータを使えるかというと、これは消費者庁のデータになってしまうので使えないのです。一回、クラウドというか空中に投げられると、これに参加した先生もそのデータを取って、今回やらなかった分析の方法を思いついて、新たに分析できるかもしれない。これが2点目です。
3つ目は、ちょっと一般論で申し訳ないのですが、レファレンスとしての意味ということです。
ここで公開したデータというのは、公開元がはっきりしていてフェイクではないのです。ということは、今度、企業さんがやったときに、うちのはあのデータに対してこうだというのに、これはいつも串刺しされたレファレンスになるので、そういうような意味もあるかなと思っております。

読売新聞のイシイといいます。
このデータの公表なのですけれども、これは、報告書に書いているここのデータを公表するのか、さらにその基となるデータまで公表するのかという、その辺を教えてください。

(中川委員長)
基となるデータといえば基となるデータなのですが、公表できる部分を切り出してあります。社会と共有してもよいようなデータという形に編集しております。
ですので、我々は生データをそのまま出しているわけではなくて、ぜひこれは社会の共有財産としたいと思えるものを編集して出しているということです。

ありがとうございました。
それと、先ほどの発信力強化のところで改めて確認したいのですけれども、このようなデータの公表と、あと、今日、いわゆるビデオ映像公開ですが、これも発信力強化の一つの回答ということで、今回、それを受けて初めて導入したという形なのか、それとも、これまでもやってきた中の延長みたいな、そういう位置づけなのか、どちらなのでしょうか。

(中川委員長)
タイミング的には同時になったのですが、データを出しましょうというのは、前から委員の中で意見は一致していました。今までやったことないけれども,この報告書において初めてやりましょうと。そういうわけで、今回の取りまとめもスムーズにいったわけです。そのうえで,発信力強化の一環として、これを今後はルール化と言ったらおかしいですけれども、一般的に、委員会の考え方としてデータ共有はやりましょうということを明示したわけです。
それから、映像についても、これも以前から作成し発表しましょうということになっていました。映像のほうは、前、幼児の溺水事故の関して作成しましたので,こちらは先例があります。
このように、わたしたちは、個別の案件で、もう少し発信をしようという工夫をしてきたのですけれども、個別の案件で工夫したにとどまっていて、常にこういうことを考えようという取りまとめはしていなかったのです。今回は、既にやっていることが多いのですけれども、個別の案件で工夫したというだけではなくて、委員会の仕事の進め方として、社会にデータ提供できないかとか、あるいは、これは特に消費者に映像を提供すべきではないかとか、そういうことを常に考えようという意味で、我々の行動変容といいますか、そのために申合せをして明確にしたということです。

分かりました。ありがとうございました。
共同通信のクニエダです。
発信力の強化に関してなのですが、今後、会議を公開していくということなのですけれども、非公開と公開の線引きというのは、事務局のほうで決めるのか、どういう基準で今後決めていくのでしょうか。

(中川委員長)
事務局が決めることではなくて、やはり委員会で決めます。原則非公開になっていますから、その例外を認めるかどうかは、委員会で決めます。
どういう場合に例外的に公開するかはなかなか難しくて、事前には審議中に個人情報が出るかもしれないと思っていたら、結局、出てこず,後からみれば別に公開してもよかったという審議も確かにあるのです。ただ、後からみればそうとうことで、審議の開始前には,どういう発言が出てくるか全く予想がつきません。そういった意味では、原則非公開を維持せせざるを得ないなと思います。
他方で、報告書が出た後のフォローアップは事情が異なります。これは一回我々としては判断を終えているので、その後のフォローアップは原則として公開しようというように考えています。もちろん,フォローアップであっても、個別の具体的な事故を素材に、もう少し、今の対策では足りないとかそういう議論をすることが予想される場合は、非公開にせざるを得ないと思います。
そうではなくて、単に意見先から、どんなことやっていますか、それでは十分ではないのではないかといったやりとりをするのであれば、これは公開になるだろうと。非公開にする理由はないと。委員会ではそういう原則というか考え方を共有していますので、事務局からも、これは原則公開のフォローアップですから公開ですよねという感じの話が出てくると思います。
それから、委員会として今回,発信力の強化についてという形で文書で考え方を取りまとめました。こういうとりまとめをする機会はなかなか貴重でして、委員会の審議は,個々の事故調査で忙殺されていて、こういう"そもそも論"に時間を割いて議論することがなかなかできなかったのです。井上大臣に感謝したいのは、まさに取りまとめたらどうかという御示唆です。これは非常によかったと思います。こういう文書にしたことによって我々も,考え方が明快になりました。
ですので、こういう取りまとめというか申し合わせをするという作業は,引き続き、やってはどうかと考えています。我々がどこまで踏み込んでいっていいのかなど、あまり細かくは言えませんが、いろいろとふだんから議論になっている"そもそも論"がありますので,それを今後もやっていこうかなと思っております。

非公開にしたけれども、後から公開でもよかったではないかみたいな議論については、例えば録画をしておいて公開したりというのは。

(中川委員長)
それはどうしましょうか。

(持丸委員長代理)
まだ議論はしていないですけれども、一つの作戦としてはあり得ます。

要望としてお願いします。
朝日新聞のカネダといいます。よろしくお願いします。
先ほどお話に出ていた自転車業界としては、主観評価が従来中心であったというお話なのですけれども、これは これは業界へのヒアリングとかで分かったことなのでしょうか。どういう事実関係なのでしょうか。

(中川委員長)
私が調査をしたわけではないですけれども、ヒアリングで分かったことではないかと理解しております。
事務局から何かございますか。

(事務局)
調査の初期段階で、主要メーカーさん、全部で5社になりますけれども、ヒアリングを行いました。その中で評価方法について確認したところ、各社さん、こういう主観評価で行っておりますという御回答でございます。

(持丸委員長代理)
弁明ではないのですけれども、主観評価は別で悪いわけではなくて、自動車も主観評価で作っているのです。
今回、ちょっと専門的になりますが、因子の交互作用というのですか、たくさんの因子が起きたときの交互作用を、こういう定量的なやり方でやることまではしていなかった、あるいはこんなやり方があると思わなかったというところかもしれないです。

ニッポン消費者新聞のマルタです。
報告書のことについてまず1点なのですが、先ほどのビデオは、委員長がおっしゃっていました、どこかに提供するものなのか、どこなのかということをもう一度お願いします。

(中川委員長)
このビデオは、まず消費者庁のウェブサイトに掲載いたします。それから、意見先の文部科学省、これは特に幼稚園とか学校、つまり保護者がいらっしゃるところに伝えたいので、文部科学省と内閣府等を通じて、このビデオもあるよということも含めて周知をしていただくようにと意見を書いております。
実際、非常に関心を持っていただいているようだと聞いておりますので、恐らく素早い対応をいただけるのではないかと期待しております。

報告書についてはもう一点なのですけれども、乗っているときの幼児の動きについて、経済産業省の設計上の対策という中に、幼児の動きを盛り込んだものというのは何か入っているのでしょうか。それとも、注意喚起という形で、ほかの省庁になっているのかということを。

(事務局)
経済産業省さんへの意見の中には、設計上の対策ということになるのですけれども、幼児の動きというのは、このビデオにもありましたけれども、お子さんがお母さんのほうを向いて体を傾けたり手を伸ばしたりということと、それから、もう一つは、自分で大きいお子さんだと、後ろ座席に足をかけて自分で上っていくのです。その結果、自転車が傾いたり倒れたりというのもビデオで何件か記録されていまして、その2つを指しています。それについては、設計上というよりは注意喚起の中で申し上げることかなと思う。

分かりました。
それと、あと、発信力の強化についてです。最初のところに、国セン等の調査が行われたものということがありましたけれども、国民生活センターの場合は、商品テストということと、各消費生活センターからの依頼テスト、これは依頼テストの場合は、相談テストなので、結果は出たとしても過程は非公開になることが多い。つまり、各地のセンターの意向によるということがまずあるということで、ただし、200件ぐらいやっていると聞いております。
こういう国民生活センターが実施されている、要するに身近な商品テストの中でも、何回も繰り返し事故が起きているものがあるのですけれども、そういうものも今回対象に入るのかということが一つです。

(中川委員長)
入ります。
先ほど冒頭におっしゃったように、気をつけなくてはいけないのは、秘密にしてほしいという案件もあるということです。調査を依頼した方が、消費者事故調に持っていってもいいですよと言っていただければ、連携できます。私たちのほうから指示するわけではありませんので、お互いにとって意味があるという場合に連携するわけです。

分かりました。
それと、本日発表されたわけですけれども、気になっているのは、この発表の中に出てくるいろいろな施策、取組について、先日公表されました令和2年度の補正予算、第3次補正とか令和3年度の一般会計予算ということが発表されて、ずっと気になっていたのは、消費者事故調の予算というのがそんな多くないというか、要するに増えていないという形で出ていたような気がしまして、そうなると、例えば自ら調査を今度やっていくにしても、そういうことを考えると、いつからこれは実際にできるのかなということが心配になったのですけれども、どうでしょうか。

(中川委員長)
それは心配に及ばないと思います。これはお金の問題ではなくて、我々の法律上の権限として、例えば,安全調査委員会が,対国民に直接話していいのか、つまり委員会は国に対して意見を言うところであって,消費者に対して言うのは所管外ではないかといった懸念があったので,それを整理し解消させたわけです。
報告書なしで意見具申をしていいのでかも、そのようにして法律上問題はないかという話ですので、予算がかかるという話ではないと思います。むしろ、今までやりたかったことなのだけれども、やっていいのかはっきりしなかったので自制していたところを,自制しないという申合せをしたということになります。

分かりました。
そうなると、今、50人とか60人とかいる専門の技術者とか専門委員の方々が、例えば、今回の学校の物品対するあれが1年以上たつ可能性があるということの中で、今までの中の16件とかいろいろ言われましたけれども、遅れた理由というのが、今回、ここで書いてあることについて、発信力の強化ということの施策によってクリアされるのかどうかというところは気になったのです。

(中川委員長)
報告書の作成は本当に時間がかかりますので、恐らく今までのペースとそんなに変わらない。せいぜいプラス1件の年間に3件ぐらいかなと。どんなに頑張っても4件が限界かなという印象です。
ところが、ここで、今回申合せをしているのは、例えば申出事案で、私たちは調査をしないけれども、やるべきことは見えているじゃないか,それを意見具申しようということです。それを加えていくと、記者会見で発表する「今日はこれが決まりました」という件数はかなり増えるのではないかと思っております。

読売新聞のイシイと申します。
今の発表の、今後かなり増えるのではないかというところについて教えていただきたいのですけれども、今日、井上大臣の会見の中で、今回、100回の調査委員会で、今後の取組を、発信力強化などを決めましたという説明の中で、大臣については、来年以降、処理件数の増加や情報発信機能の向上が実現され、より多数の消費者事故を防止し、身近な存在になることを期待していますということで、発信力の数が純粋に増えるというのをかなり強調していたように感じるのですけれども、今のような報告書が年間マックスで3件、4件という中で、それ以外の、これまでやってこなかった部分の発信を合わせると、それを総数と考えた場合に、はっきりとは言えないにせよ、例えば倍以上になるとか10件を超えるぐらい出るようになるという肌感覚みたいなことがもし分かれば教えていただきたいと思います。

(中川委員長)
倍にはなりますよね。今まで年間2件なわけですから、あとプラス2件ぐらいすぐ出ます。実際、今回も1月か2月にもう一個出そうとしているわけですから、倍にはなると思います。もう少しでいくのではないかと思います。
ちょうどいい案件が来ることもあれば,止まることもありますので、どこまで増えるかは何とも言えません。だから、かなり増えるとしか言いようがないですが、2倍ではなく、もっと増えると思っております。

分かりました。
また、今日の大臣の会見の中で質問が上がったのが、要は人員の体制をどうするかと。大臣としてどうバックアップしていくのかという話になると、今日の消費者事故調の決定を踏まえてまた今後考えていきたいということで、含みを持たせるのか、まだ決めていないということなのか、いずれにせよそういうような回答だったのですけれども、例えば発信力を増やすためには、当然人出も必要だと思いますし、今、コロナ禍でそんなに大勢が集まって動けるということはなかなかないと思うので、そういう中で、例えば人員体制の補充とか拡充といった部分については、どういうようなお考えでしょうか。

(中川委員長)
現在も人員は少ないわけですから、それはぜひお願いするとしか言いようがないのですが、予算問題ですので、私としては希望を申し上げるしかないです。担当職員は明らかに仕事が増えます。今までだったら、これは結局できない、我々の所管ではないかということで、何も発表しなかったので、書類は作らなかったのですが,今後は、発表する以上は書面を作ります。ということは、発表相手、意見を言われる相手との交渉もしなくてはいけないということになりますので、かなり仕事は増えるだろうと思います。
ただ、報告書を作らなくてする意見具申や,連携してやるというところは、今までのように全部一からやる、膨大な調査をするということに比べると、それによって件数を増やすことに比べると、かなりコスト的には効率的かなと思います。ただ、人員が足りないことは確かです。

(NHKアキヤマ)
データの活用のところで、先ほどは報告書の話だったのですけれども、もう少し一般的なところで言うと、今まで調査に協力した方でさえもなかなかデータを活用できなかった現状があると思うのですけれども、ただ、このデータが有用ではないとか必要ではないと判断したデータが、場合によっては将来的に有用になる可能性というのは十分あり得ると思うのですけれども、そのあたり、いわゆる、出す、出さないの判断については、もちろん個人情報にかかるかそうでないかというのは一番重要だと思うのですけれども、有用か有用でないかみたいなのは判断基準に入ってくるのかどうかというのを教えていただけますでしょうか。

(持丸委員長代理)
少なくとも今回やったものについては入っていないです。先ほど、委員長が整理すると言ったのは、私たちから言うと、本当に取った生データを出すというわけではなくて、ちゃんとフォーマットを整理して、こういうドキュメントをつけて、使いやすい形で出すということで、もちろんそのときに、出すべきではない個人情報みたいなものは抜いていますけれども、計測したけれども、このデータは、今回、我々の分析で使わなかったから出さないでおこうということはない。
それはまさしく、このデータを、ほかの活用したときに、そこを紐づけると新しいことができるとか、AIの技術が進んでくると違った側面が分かってくるということを期待するところもありますので、多分、これからも基本的には公開していくということだと思います。

ということは、場合によっては、報告書の中に書き込まなかったのか、書き込めなかったのか分からないのですが、ないデータも、実験はしたから出してもらえるという可能性はあり得るということですか。

(持丸委員長代理)
そういうことです。これは報告書の書き方によるのですけれども、ちょっと細かい話になるのですが、実験をする際には、こういう実験をしますよということで被験者との同意を取っているので、何のデータを取るかということは、既に公開されているとも言えるのです。それを、全部、報告書に載せるかどうかというのは、その中の3つはほとんど相関も出なかったし、何だというときに、そこまで報告書に書くのか、いい結果が出たところだけを書くのかというのはあるので、もしかしたら、場合によっては報告書に記載されていなかったデータが、公開データには入っているということがあり得るかもしれないです。

(中川委員長)
その意味では、これまでにした報告書の案件について、遡及的に何かないかと言われたら、一応は検討することになりますよね。今まで想定していなかったので、そういう整理をしていなかったのですが。
それから、先ほどの質問にそういうニュアンスもあったのかなと思うのですが、現時点ではこのデータが社会に有用だと思って整理して出したと。ところが、後になってみると、実はそのときに我々の判断が間違って、もっとほかにもいいものがあったとか、あるいはこのように整理するとよかったという出し方もあるかもしれないです。関係者、事業者であったり研究機関であったりで、こういう調査を事故調がやっているのだったら、こういうデータはありませんかという問合せを受けたならば、やはりそのときにどうするかは一応考えるということになるのだろうと思います。
今回の考え方では、こちらが選んで出すということしか考えていないわけですけれども、向こうからオーダーが来るということもあり得るわけです。そのときに、それを直ちに断るということにはならないだろうと。ただ、委員会の仕事もいろいろありますので、どれだけ迅速に対応できるか分かりませんが、それは直ちには断らない方向に行くだろうと、私は思います。

(持丸委員長代理)
私も同じ意見ですが、研究をしている立場からいうと、対人、つまり人を対象にしたデータは、取ったときに公開するという同意書を取っていないと絶対公開できないわけではないのですが、もう一回、取った方に一人ずつお願いをして同意を取り直すという、どうしても今はそういう手続が必要ですので、できないわけではないですけれども、過去のデータはかなり厳しいだろうと。
今回のものは、実はもともと公開することを、大臣から言われる前から想定して実験もしていたし同意も取っていたということなのですね。多分、今後は、できるだけこういうような形で進めていって、公開可能にしていきたいというような考え方です。

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