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記者会見要旨
(2020年8月25日(火) 16:30~16:50 於:消費者庁12階 全省庁共用1208特別会議室)

発言要旨

(中川委員長)
お待たせいたしました。
本日の調査委員会について、3点を中心にお話をしたいと思います。
まず、自動ドアによる事故についての経過報告を審議、決定いたしました。
この自動ドアによる事故につきましては、調査開始が令和元年9月でしたが、今は8月ですので1年以内に事故等原因調査を終了することが困難であるということです。
理由は、新型コロナ感染症対応でヒアリングあるいは実験に遅れが出たということであります。そのため、消費者安全法第31条3項に基づきまして、これまでの調査の概要と今後の調査について示した経過報告書を公表するものです。本経過報告におきましては、これまでの調査で確認した事項として2点記してあります。
1点目は、全国自動ドア協会から事故情報を入手しました。そして、我々の調査対象である引き戸方式の自動ドアの利用に際して発生した自動ドアに接触した事故情報の要因を分析いたしました。機械的要因によるもの、センサーですね。それから人的要因によるもの、駆け込みであるとか斜め進入といった要因を分析いたしました。
もう一点は、自動ドア製造業者を対象とするアンケート調査を行いました。安全についてどのような認識、あるいは実態があるかについて調査をいたしまして、その結果も記載しております。
今後ですけれども、自動ドアによる事故に至る直接的、間接的な要因がまだ必ずしも明らかではないと考えておりまして、より深く実態に踏み込んだ検証をするため、自動ドアの実機を使用した事故の再現実験を行いたいと考えております。
もう一つ、自動ドアについてはJISが制定されたのですが、これは最近のことでありまして、平成29年3月であります。JISのA4722、歩行者用自動ドアセット、安全性というものですけれども、これによって安全性を高めたセンサーをつけた自動ドアによってどの程度まで有効に事故が防げているのかということを確認したいと思っております。
そのほか、自動ドアの設計、設置、保全に関わる関係者に関して、どのように安全について意識を持っていらっしゃるかの実態調査を行いたいと思っております。
これが、今後の調査ということになります。
以上が1点目です。
2点目は、歩行型ロータリ除雪機による事故のフォローアップの今後の方針について審議を行いました。
この事故につきましては、令和元年5月に報告書を公表しております。
その後、少なくとも3件の事故が起こっておりまして、3件ともこの報告書で想定していた類型に該当するものであります。こうした事故を防ごうとして報告書を出したわけですが、まだ現実には防げるに至っていない。ただし、事故類型については我々が認識したものであるということです。
報告書公表から1年たちますので、本来であれば公開のヒアリングでありますが、御承知の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえまして、公開ではなく書面により経済産業省及び消費者庁の取組について確認を行いました。
まず、経済産業省の取組の確認についてですが、以下のことが分かりました。
除雪機安全協議会に対し対応を経済産業省から要請をされた。そして、その協議会におかれてはまずSSS規格の改定です。これは業界の自主規格なのですけれども、SSS規格の改定に向けた検討を進めているということであります。その改定は、令和3年6月頃を目途にしていることが分かりました。
また、協議会においては、令和元年10月に経済産業省及びNITEも参加した形で事故情報交換会を実施している。今後も、年1回の頻度で事故情報の交換会を行うことが分かりました。
また、この協議会においては啓発動画やチラシの作成等、事故リスクの周知のための工夫をしているということも確認されました。
他方、今度は消費者庁のほうでありますが、消費者庁においては事故情報の収集及び通知制度についての周知ですね。これは事故情報が必ずしも上がってこなかったということが分かりましたので、その事故情報の収集及び通知制度について、関係行政機関あるいは地方公共団体に説明を再度行うということをやっている。これが1点目です。
消費者庁の2点目は、事故リスクの周知について自治体等に行っている。特に豪雪地帯に指定されている地域につきましては、防災等の関係部局と連携・協力をし、周知・啓発に取り組んでいるということです。
以上のようなことが確認されましたので、1年目の現時点ではきちんと対応されていると評価をいたします。
ただ、SSS規格の改定を進められておりますし、また先ほど申し上げましたように、やはり事故リスクの周知というのがまだまだ徹底されておりませんので、引き続き取組状況を次年度に確認をするということにしております。
以上が、歩行型ロータリ除雪機に関する事故のフォローアップです。
3番目です。電動シャッター動作時の事故のフォローアップについてです。
本件については、改正JIS原案について、令和2年2月の調査委員会で審議を行いました。そして3月に、JISにおける意見受付公告の手続におきまして、調査委員会から意見を出しました。その結果、おおむね調査委員会の意見を取り入れていただきました。改正JISについては8月20日に公示されたと伺っております。
以上が、今日のメインでお話をする3件です。
その他、本日は機械式立体駐車場で発生した事故のフォローアップや、ハンドル形電動車椅子の使用中の事故のフォローアップなどについて審議を行いました。これはまだ審議中ですので、本日お話しすることはございません。
では、続きまして、部会の動きについて委員長代理から説明をお願いいたします。

(持丸委員長代理)
委員長代理の持丸です。
今月開催した部会の議論を紹介いたします。
製品等事故調査部会では、幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故及び、機械式立体駐車場で発生した事故のフォローアップに関する審議を行いました。
それから、私が部会長を務めますサービス等事故調査部会では、自動ドアによる事故及び学校の施設または物品により発生した事故等について審議を行いました。
私からは以上になります。

質疑応答

日本消費者新聞のマルタです。
2つあります。
まず、自動ドアの件なのですが、ここの経過報告の中に、要するにセンサー本体が故障していたりとか経年劣化しているものがあるということが記載されておるのですけれども、調査の過程でこういう経年劣化等々が分かった場合に、事故調としては何か対応をされているのでしょうかというのが1つです。
調査期間が長くなると、事故は同時に起こってくる可能性があることもほかの事故でも言われていましたけれども、検討過程の中での事故の原因が何らかが分かった場合の対応ということがあるのでしょうかということが1点です。
もう一つがフォローアップのほうなのですけれども、今のお話では除雪機の事故防止ということの中に、消費者庁による周知・徹底のことは言われていましたけれども、豪雪地帯に対する周知が必要ではないかという感じはとても持っているのですけれども、これから雪の季節に向かって、具体的に消費者庁のほうから周知・徹底に向けた、要するにホームページとか一般的ではなくて、具体的に豪雪地帯に対して何か集中的なものがあるとか、そういうお話はあったのでしょうかということです。
この2点です。

(中川委員長)
すみません。とても途切れ途切れで私はよく聞き取れなかったのですが、そもそも1件目は自動ドアによる事故に関する御質問でよろしいですか。

そうです。
自動ドアの事故の原因調査をする過程で、自動ドアの不具合といいますか、経過報告の中にはセンサー本体が故障していたり経年劣化しているというものが何%と書いてあるのですけれども、そういう調査の過程の中で事故原因が何らかの形で分かった場合の事故調としての対応はあるのかどうかということです。1点目です。

(中川委員長)
ちょっとここで切ります。
持丸委員長代理のほうが詳しいと思います。
質問の趣旨がよく分からなかったのですか、調査をしている過程でセンサーが経年劣化していると分かった場合に、委員会として何をするかということですか。

そうです。
対応として何か出すものがあるのかどうかということです。

(中川委員長)
委員会として何か発表するわけではありませんが、当然それは調査している段階で、自動ドアの保有者に対しては指摘するとは思います。
持丸さん、何かありますか。

(持丸委員長代理)
私も委員長と一緒で、調査段階で個別事案で何かそこが出てくれば当然個別には指示をしますが、ここは基本的には個別案件を扱うところではないので、そういうのが多数件出てくるようであれば、やはりその部分のメンテナンスあるいはチェックの体制のところに関して、調査委員会としてしっかりやるようにというような何かの体制を提案するということになろうかと思います。

分かりました。

(中川委員長)
2点目が、歩行型ロータリ除雪機による事故のフォローアップとして、消費者庁による特に豪雪地帯の防災等の部局への連携の具体的な取組を説明してほしいという御質問でしたでしょうか。

消費者庁のほうからそういう説明があったかどうかということです。

(事務局)
委員長、事務局から答えてもよろしゅうございますか。

(中川委員長)
どうぞお願いします。

(事務局)
これは、消費者庁のほうから各自治体のほうへもお願いをしまして、それぞれの自治体の中で消費者部局だけではなくて、それぞれの自治体の中の防災などの部局と連携して、かなり周知・啓発はやってもらったというのが昨年の冬でございます。

NHKのアキヤマです。よろしくお願いします。
冒頭ありました自動ドアによる経過報告について伺いたいのですけれども、協会のほうからデータが出てきたということですが、まだ途中ではあるとは思いますが、委員長と委員長代理に、このデータで今まで想定していなかったような何か驚くべきことがもしあれば、現在の所感をお聞かせいただけないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

(中川委員長)
私はそれは分かりませんが、持丸委員長代理はいかがですか。

(持丸委員長代理)
若干、私個人になりますが、驚くべきことは正直少しありました。
図5の中で「検知範囲」とか「センサー起因」というものが大きな比率を占めている。特に検知範囲については、JISがもともと途中で改定したこともあって、その前に既に設置されているものもあるので、ここはあり得るなと思っておったのですが、「駆け込み」とか「斜め進入」とか、相当無理のある進入をしていらっしゃる方もいて、驚きました。エレベーターというのは駆け込まないとドアの向こうに箱がなくなってしまうのですね。だけれども次にドアが開くまで結構間があるので、いいとは言いませんけれども、駆け込む心理は分からなくなくもない。電車も同じです。あれは駆け込まないと電車の車体が無くなってしまうのです。しかし、店とかはなくならないので、閉まりかけたドアにどうしても駆け込まなければならないというのは若干私も理解できない部分もあり、驚いたと言うことです。人というのは必ずしも論理的に動いているだけではないので、事案として出てくるのだと思います。だから駆け込むなと言うだけでは消費者庁としての役に立たないので、そういうのを踏まえてどうやってしっかり検知できるようにしていくか、転倒を及ぼさないようにしていくかを見ていかなければいけないのだなと、改めてそう思ったというのが私の感想でございます。

ありがとうございます。
大変興味深いお話でした。

(中川委員長)
余談ですけれども、その気持ちはよく分かりますよね。
やはり少しでも開いているうちにドアの中に滑りこみたいと思うのが人の心理であるとすると、我々の問題としては、センサーはその心理を考えているのかということになりますね。