伊東内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(2025年10月21日(火) 9:47~10:12 於:中央合同庁舎8号館1階 S101記者会見室)
発言要旨
いよいよ1年間お世話になりましてありがとうございました。これが最後の会見になると、このように思う次第であります。
先ほど閣議におきまして、内閣の総辞職が決定をされたところでありまして、サインをしてまいりました。
私自身、昨年10月1日に国務大臣を拝命いたしまして、たくさんの担務をいただいたところでありますけれども、約1年1か月、386日でありますけれども、担当の各施策に誠心誠意取り組んできたところであります。あっという間の1年だったなという、そんな思いであります。
この間、皆様には、大変お世話になりありがとうございました。
退任に当たりましての所感をいくつか述べさせていただきたいというふうに思います。
たくさん担当があったものでありますから、少し時間をいただいてお話をさせていただきます。
まず、地方創生でありますが、石破内閣の最重要課題の一つとして、地方創生2.0を起動させるべく、「新しい地方経済・生活環境創生本部」や、あるいは、「産官学金労言」から成る有識者会議を立ち上げたところであります。
この有識者会議は、昨年11月以降、計10回開催したほか、地方出張の機会も含め、多くの自治体や企業の方々の声を丁寧に伺いながら、6月に「地方創生2.0基本構想」を取りまとめ、「若者や女性にも選ばれる地方」の実現、また、新結合による「稼げる」地方の創生などを打ち出してきたところでもあります。
国の支援といたしましては、自治体の自主性と創意工夫に基づく、独自の取組を強力に後押しするために、「新しい地方経済・生活環境創生交付金」を創設いたしまして、令和6年度補正予算で約1,000億円、令和7年度当初予算においては、昨年度から倍増となる2,000億円を確保したところであります。
新地方創生交付金につきましては、今年の9月末で1,580団体、約2,334億円の事業を採択したところであり、全国津々浦々で地域の意欲的な取組について後押しをしてまいりました。
また、国の職員が3人1組となり、中小規模の市町村を伴走支援する「地方創生伴走支援制度」を4月に創設いたしました。
約180名の職員が、全国60の市町村とのオンライン会議あるいは現地訪問を重ねており、先日の中間報告では、支援テーマが絞られ、市町村からも大変好評を得ているという手応えを感じているところであります。
また、特区につきましては、国家戦略特区諮問会議等を通じ、地方創生2.0を踏まえた特区の再起動を図り、新たな規制改革事項の取りまとめ、また、千葉県全域の追加指定を行ってまいりました。
地方分権改革につきましては、提案募集方式を推進し、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ち、先の通常国会では、第15次地方分権一括法案の成立に尽力をいたしました。
また、兼務しておりました万博担当大臣でありますけれども、大阪・関西万博につきましては、大臣就任直後の週末、早速、現地視察を行い、そのときは、会場はまだ工事中でありましたが、その後、万博が開幕し、つい先日の10月13日の閉会まで、万博会場に33回、足を運び、また、世界各国のナショナルデーに23回参加をいたしました。このときは、国家元首をはじめとする要人の方々とお会いし、各国との関係を一層深めることができたと、このように思うところであります。
また、多数の国内外のパビリオン、地方自治体・関係省庁・民間団体がそれぞれ実施をいたしましたイベント催事、日本企業と海外企業のビジネスマッチングイベント、各地の子供たちが海外の方たちと触れ合うイベントなどを訪問いたしましたが、改めてそれぞれの国や企業、自治体などの創意工夫及び交流の輪が広がったと感じているところであります。
特に、明日を担う子供たちにとっては、世界の魅力的な文化や未来の技術に触れる絶好の機会となり、未来について考え、夢と希望を持って明日へと踏み出していく、またとない体験ができたこと、また、北は北海道から南は沖縄までの全国の自治体が万博を機に地方の魅力を発信するとともに、参加国との国際交流を深めるなど、この万博を地方創生につなげることができたと考えております。
最終的に、これは関係者も含めてでありますけれども、来場者数2,901万7,924人となり、多くの皆様に御来場いただくことができました。
私としても、万博の開幕から閉会まで通して万博を見ることができ、非常に感慨深いものとなりました。万博にお越しいただいた皆様、万博の開催に御尽力いただいた皆様、万博を応援いただいた多くの皆様に改めて感謝を申し上げます。
私自身も万博に33回行きまして、なおかつパビリオンあるいは催事等々、約100以上の見学、視察をさせていただいたところでありまして、本当にどこも大変なにぎわいであり、喜んでいるところであります。
また、次に、沖縄振興についてでありますけれども、国家戦略として総合的・積極的に推進するため、多くの地元関係者の御意見、御要望を丁寧にお伺いしながら、必要な予算の確保を図り、税制改正にまた取り組んでまいりました。
具体的には、令和7年度予算におきまして、基地跡地の先行取得に係る新たな取組、小規模離島支援策の拡充を行い、また、沖縄経済界からも強い要望がありました6項目の税制改正を実現いたしたところであります。
さらに、将来の基地返還跡地と那覇空港との一体的な利用を目指す「GW2050 PROJECTS(ゲートウェイ ニセンゴジュウ プロジェクツ)」について、地元関係者等からの強い御要望を踏まえ、骨太の方針において、その早期実現を位置づけるとともに、令和8年度概算要求におきまして、跡地利用推進のための経費を拡充するなど、この構想の実現に向けて取り組んでまいりました。
また、北方対策につきまして、私は、大臣就任以来、地元選出の国会議員として、元島民の方々のお気持ちに何とかお応えしたいという思いを絶えず抱き続けてきたところであります。
ロシアによるウクライナ侵略により日露関係が厳しい状況にある中、多くの国民、とりわけ次代を担う若い世代の関心を喚起し、理解を促進していくことが重要であり、船舶「えとぴりか」の啓発事業への活用等に積極的に取り組んでまいりました。
今年の6月には、大阪・関西万博会場の近くの大阪港におきまして、この船舶「えとぴりか」の一般公開を行ったところであります。
大阪・関西万博に大勢の方が来訪する機会を捉えて、多くの国民が北方領土問題について関心を持ち、理解を深めるきっかけとなる機会とすることができたところであります。
また、北方領土隣接地域における地域一体となった啓発促進策につきましても、有識者会議を開催し検討を進め、令和8年度概算要求におきまして、北方領土館の建て替えに向けた基本構想・基本計画の策定、啓発施設の老朽化対策の経費として1億4,300万円を計上したところであります。
アイヌ施策につきましては、アイヌ施策推進法施行5年後の検討を進めるべく、アイヌの方々の御意見等を広く伺う意見交換会を道内及び東京におきまして約20回開催し、約230名の方が参加をされました。
そのほか令和7年4月に、英国所在のアイヌの方々の御遺骨の返還を実現することができたところであります。
また、本年5月には、大阪・関西万博を契機としてアイヌ文化の対外発信を推進するため、EXPOホールにおきまして、様々な地域の約200名のアイヌの人々が踊り手として参加し、各地域に伝わる多様なアイヌ古式舞踊やメッセージ性のあるアイヌ舞踊プログラムを、映像や音響を効果的に活用し、披露いたしました。約4,000人の方に御覧いただき、大盛況の中、アイヌ文化の伝承等を推進することができたところであります。
次に、消費者庁でありますけれども、消費者行政につきましては、高齢化やデジタル化など消費者を取り巻く環境が大きく変化する中、消費者の安全・安心の確保や消費者の自立の支援に力を注いでまいりました。
まず、さきの通常国会におきまして、「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」を提出し、成立に尽力をいたしたところであります。
今回の改正は、公益通報を理由とする解雇又は懲戒に刑事罰を規定するなど大幅な見直しを行うものであり、公益通報者の保護強化につながるものと期待しております。
また、本年3月には、今年度から5年間の消費者政策の方向性を定めた大綱として、第5期消費者基本計画を閣議決定いたしました。
食品ロス削減・食品寄附促進につきましては、食品ロス削減推進会議において、食品寄附及び食べ残し持ち帰りの促進や期限表示の見直しの取組の促進等を盛り込んだ取りまとめを行い、本年3月に「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」の変更を、これも閣議決定をいたしました。
地方消費者行政の充実強化につきましては、消費生活相談員や自治体の担当者の方との意見交換を行い、地方の相談窓口の機能維持や見守り活動の充実等を支援するため、地方消費者行政強化交付金の仕組みの見直しを進めました。
次に、公正取引委員会に関してでありますけれども、担当する大臣としては、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる取引環境を整備するため、さきの通常国会におきまして、「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」を提出し、成立に尽力をしたところであります。
次に、公文書管理でありますけれども、公文書管理につきましては、本年6月2日に新たな国立公文書館及び憲政記念館整備工事の起工式を執り行い、展示基本設計の取りまとめと併せて新たな国立公文書館の開館に向けた準備を進めてまいりました。
PPP/PFIにつきましては、本年6月にPPP/PFI推進アクションプランを改定し、これに沿った施策を積極的に推進いたしました。
具体的には、地方公共団体への支援の強化、民間事業者を取り巻く事業環境の改善、また、地域課題の解決に資する官民連携の推進、また、フェーズフリーの視点を取り入れた官民連携の推進等に取り組んでまいりました。
次に、ギャンブル等依存症対策でありますが、このギャンブル等依存症対策推進基本計画につきまして、本年3月21日に変更を閣議決定いたしました。
変更後の基本計画におきましては、公営競技のオンライン化への対応、若年者対策、依存症対策の基盤整備、違法オンラインカジノ対策等、昨今のギャンブル等依存症を取り巻く現状に対応する施策を盛り込んでおり、私も閣議の場で関係閣僚に協力をお願いしたところであります。
このように、私の担務は多岐にわたるものでありましたが、どの分野も欠かすことのできない大切な施策であり、就任以来、全力で取り組んでまいりました。
このたび大臣の職を離れることになりますが、それぞれの施策が今後も着実に進展するよう、引き続き力を尽くしてまいりたいと考えております。
結びになりますが、本日御臨席の報道関係の皆様はじめ在任中にお世話になりました全ての皆様方、そして国民の皆様に改めて心から感謝を申し上げまして、私の退任の挨拶とさせていただきます。本日は、誠にありがとうございました。
質疑応答
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問
どうもお疲れさまでした。
先ほど沖縄政策の部分で、振興策としては、国家戦略として位置づけという御発言もありまして、振興の部分については触れられていましたが、大臣としては、この沖縄政策に関わって、どのような課題が依然として横たわっていると感じましたでしょうか。その上で、今後の政権に引き継いでほしい施策や思い、どのようなことに目を向けて政策に取り組んでほしいとお思いか、お伺いしたいと思います。 -
答
沖縄振興につきましては、昨年10月の就任以来、5回にわたりまして沖縄訪問をさせていただいております。様々な現場を拝見し、また、地元の皆様の切実なる御要望等を伺ってきたところであります。
必要な予算の確保や、あるいは、税制改正に取り組んできたところでありまして、一例を申し上げれば、今後の基地返還跡地を核とした構想「GW2050 PROJECTS」の実現に向けた一歩を踏み出したところでもあります。
しかしながら、沖縄は、一人当たりの県民所得がいまだ全国最下位であることや、あるいは子供の貧困の問題など、なお解決すべき課題が存在をいたしております。
一方で、沖縄は、東アジアの結節点にあり、出生率が日本一高いといった多くの優位性、潜在力を持っているところでもあります。次の大臣におかれましても、こうした沖縄の強みを生かしながら、強い沖縄経済の実現に向けて力を尽くしてくれることを期待しております。
また、ちょっと余談になりますけれども、ジャングリア沖縄を見学させていただき、これがまた沖縄観光の大きな魅力、沖縄美ら海水族館に加えて北部地域の観光の力になればという、そんな思いをしたところでもございました。 -
問
今日はありがとうございました。
石破内閣が先ほど総辞職しましたが、高市政権に期待することがあれば教えていただきたいというのと、また、日本維新の会との連立を受けて、維新側が主張していらっしゃいます副首都構想など、地方創生に与える影響というのをどのように御覧になっているかというのを教えてください。 -
答
冒頭でも長々述べさせていただいたところでありますけれども、内閣発足以来、ちょうど丸1年、重要な任務に取り組んできたところであり、数多くの担務をこなすことができたと思っております。
ただ、成果が表れるのに時間を要する政策もたくさんあるため、この後の内閣におきましても、引き続き継続、発展させていただければという課題もたくさん残されておるところであります。
また、昨日、自民党と日本維新の会の間で党首会談が行われ、連立政権樹立に向けた合意が行われたというのは、承知をしているところであります。
まだ維新の会の政策、その他詳しいことは分からないところもたくさんあり、副首都構想をはじめとしてこれからたくさんの課題があるのか、私自身、再度ちゃんと勉強してみなければ何とも言いようがないなと思うところもありますので、お許しをいただきたいと思います。
次期政権において真剣な議論がなされ、連立政権として国民の皆様に御納得いただけるような、あるいは期待を持って応援していただけるような、そんな政策を私どもも期待をしているところであります。御支援ありがとうございます。
ありがとうございました。1年間お世話になりましてありがとうございました。