伊藤消費者庁長官記者会見要旨
(2021年9月1日(水) 14:00~14:15 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)
発言要旨
お手元にお配りしておりますが、令和4年度概算要求について、まずお話ししたいと思います。
消費者庁は、次年度要求として134.7億円、デジタル庁一括計上分の9.5億円を含めると144.2億円の要求をいたしました。内容ですけれども、最後のページを御覧いただければと思いますが、直近の消費者行政についての柱立てで言うと、新型コロナ感染症、新しい生活様式への対応、それから、デジタル化対応、消費者と事業者の協働を含めてのSDGs対応と、これらを支える地方消費者行政と、こういう形になっているかと思います。
具体的に言うと、緊急時対応で言うと、孤独・孤立ですとか、あるいは、特商法・預託法改正関連、デジタル化について言うと、PIO-NET改革ですとか、取引デジタル化への対応、SDGsで言いますと、食ロス、それから消費者志向経営、公益通報者保護法改正関連などがあります。これに対して、地方消費者行政としては担い手確保等々が大変大切な問題になっているわけです。
これに対して、2ページにありますように、概算要求の柱立てとしては、デジタル化対応、新しい生活様式と、それから、地域の消費生活相談体制の充実、さらに、消費者政策の基盤の整備という形での要求とさせていただいております。様々な法改正の施行の問題もありますし、新しい課題もございますので、こういったことをしっかりと取り組みたいと思っています。
なお、3ページ目に、地方消費者行政についての重層的な対策をお示ししておりますが、地方消費者行政強化交付金をベースにしながらも、消費者庁、国民生活センターが直接事業を実施するものと、それから、モデル事業として行うものという形で、重層的に対策を強化していきたいと思っております。今後、所要の予算確保に向けて努力をしていきたいと思っております。
質疑応答
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問
NHKの秋山です。
今の概算要求に関してですが、地方の話もあると思うのですが、新しい法律が、今回、複数成立しまして、その施行に向けた準備や執行強化などもあると思うのですけれども、具体的にこういったものに要求していきたいというか、活用していきたいということで、長官が今お考えのことがあれば教えてください。 -
答
デジタル化に対しては、取引DPF法を始めとする執行体制の強化というのがあろうかと思います。今、予算の話だけをしましたけれども、予算だけではなくて組織要求についてもやっていく予定です。また、特商法・預託法、公益通報者保護法についても、組織要求もさせていただいております。どちらにせよ、施行が来年度のものがちょうど多いものですから、今年度から周知をしていく必要があるものももちろんありますが、体制整備と、周知のための取組の強化が必要だと思っております。なお、デジタル広告を始めとして現に取り組んでいることもございますので、こういったことについても併せてやっていきたいと思っております。
- 問 現状、緊急事態宣言が出されているかと思いますが、この一年のコロナ対策を振り返っての対応策というのも幾つか盛り込まれているかとは思うのですけれども、昨年来すごい話題になっていた高額転売だったり買占めについての取組というのは、今どのようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。
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答
高額転売とか買占めの話そのものについては、直に今何かをやる必要がある状況にあるとは思っておりませんが、DPF法においては官民協議会を準備をしているところでありまして、こうした中において、問題があれば、関係の業界の方々とも意識合わせをしたいと思っております。
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問
読売新聞の松本と申します。
概算要求のところで、3ページ目の地方の特性に応じてというところの、地方行政の相談業務のデジタル化対応のところについてですが、ちょっと予算とは離れてしまうかもしれません。実際のところ、地方の相談業務というのはデジタル化は進んでいるのでしょうか。先行して、この地方ですとか、この県はメールで相談も受け付けているとか、既にやっているとか、そういった例はあるのでしょうか。 -
答
試行的にSNS相談を始めているところはありますけれども、総じて言えば、消費者相談の現場というのは、今は基本的には電話がメインということになっておりますので、そういうデジタル化対応は、設備も含めて遅れていると思います。
そのために、今回こういう緊急事態宣言下等において、例えばリモートワークを相談員さんにしていただくに当たっても、そういった設備が十分ではないとか、そういった非常に御負担をお掛けする部分もあるという状態です。
もちろん、電話相談自体をなくすということは全くございませんが、一方で、そういうデジタル化で相談する方がいいという人もいらっしゃると、若い人なんかはむしろその方がなじんでいるという方もいらっしゃると思うので、そういった消費者ニーズにも応えていく。あるいは、消費者相談の現場の方の負担軽減をできるだけして、システムをやりやすくするとかですね、そういったことができるようPIO-NET改革を進めているところです。
また、今ちょうど最終的な整理をしているところなので、近日中にその内容については御説明をさせていただく機会があろうかと思っております。いずれにしろ、消費生活相談のデジタル化対応は非常に重要だと思っておりますので、しっかりとやっていきたいと思っております。
あと、SNS相談は、徳島とか広島で試行をしているかと思いますので、詳しくは担当の方に聞いていただければと思います。 -
問
朝日新聞の前田です。
概算要求についてですが、成年年齢の引下げ対応にも予算を要求されていると思うのですけれども、幾つか私も記事を書いているのですが、記事への反響として、やっぱりまだまだ準備が足りていないんじゃないかというようなことを一般の方や専門の方から頂いて、非常に読者の関心が高いテーマなんだなと思っているのですけれども、成年年齢引下げへの対応の核となるような考え方、何に力を入れて成年年齢引下げに伴って起きるであろうと予想されるトラブルを防いでいくつもりなのかをお伺いしたいです。 -
答
手段と課題があると思いますが、御指摘のとおり、今はこういう状況ですので、なかなかイベントというのができないので、どうやって個々に、そういう若い方々に、この問題を届けるかという情報の届け方の問題があろうかと思っています。若者ナビなどいろいろ工夫はしているのですが、まだまだ不十分だなと思っています。
それとあわせて、もう最終年度ということで、4省庁で連携をして、それぞれのところが団体などを通じて情報提供をしっかりしていく。特に「社会への扉」等々、教育の現場、特に高校生に対し、教育の現場において、これを強化するということが大事だと思っています。前からお話ししていますとおり、公立の方はある程度進んでいるのですが、私立と、それから特別支援学校が不足しているので、私立について言えば、出前講座という形で、こちらの方で用意をして授業をしやすくしてもらう、受け入れやすくする。それから、特別支援学校については、なかなか「社会への扉」だと現場と合っていないというところがあったので、これも徳島の方でツールの方を用意をさせていただいたところで、それを展開しているところです。
具体的に若者に多いトラブルは、美容だったり、あるいはお金がもうかる話だったりが上位にあったかと思いますが、一番伝えなくてはいけないのは、18歳から契約が一人前にでき、未成年者取消権がなくなるということが大きいので、契約をするということは非常に重いことだということを一番お伝えしなくてはいけないというふうに思っています。できればできるだけ具体的な事例に即して伝わるようにしないと、恐らく抽象的では皆さん分からないと思うので、具体的な事例に即した格好で、皆さんに関心を持ってもらうような方法、いろいろ工夫を、まだ半年ありますのでやっていきたいと思います。
それから、令和4年度になっても、これは引き続きやっていく必要があろうかと思っていますので、これも予算要求の中で幾らか対応させていただきたいと思っているところです。またいいアイデアがあれば是非教えてください。 -
問
NHKの秋山です。
機構定員要求の方も少し話題になっていたかと思うのですが、間もなく職員数が400に近づいていくような形で、間もなく12年になる中で、この人員の方については、長官としてはどのように実現していきたい、要求していきたいというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。 -
答
機構定員要求で言いますと、参事官1、室長2、定員については29名という形になっていますが、これはそれぞれの、今回の法改正に合わせての執行体制の充実、それから、特に取引デジタル化などについては横串を刺した格好での参事官を要求したいと思っております。
消費者庁は非常に幅広い分野を対象にしていて、先ほどの新しい消費者問題がたくさん起きている中で、新しいことに取り組めるような体制整備というのも大事だと思っていますので、機構定員要求もしっかりとやっていきたいと思っております。 - 問 今日9月1日が防災の日ということで、先日も防災に関する保険のトラブルですとか、幾つか注意喚起もあったかと思うのですけれども、3月とかに発表していた、いわゆる備蓄用品と食ロスに関することについても、やはり引き続き消費者庁として取り組まれていくことなのかなと思っているのですが、改めて防災の日ということで、消費者被害というわけじゃなくて、備蓄食品と食ロスという考えで、何か改めてお考えがあれば教えていただけないでしょうか。
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答
防災の備蓄食品に関して言いますと、国においては、既に備蓄品について、賞味期限が切れる2か月前のものについてはフードバンク等々に提供するというふうに決めたところです。
それぞれの御家庭においても、備蓄品という形でずっと置いておくと、気が付いたら期限が切れているということがあると思いますので、9月1日を契機にして一度点検を是非していただきたいです。また、よく言われますように、日々の食品を買い足してその中で使っていくというようなやり方、ローリングストック法ですね、それも非常に有効だと思いますので、そういったやり方についてもお考えいただければと思います。9月1日は一つの契機だと思いますので、そういった取組をそれぞれの立場で是非進めていただきたいと思っております。 - 問 今のに関連して、以前、中央官庁での食品、備蓄をフードバンクにというのを、今後、地方行政にも広げていきたいというお話をされていたかと思うのですが、何かその後、地方自治体とか、地方の行政機関から何か連携したいとかっていう話は現状伝わってきていたりするのでしょうか。
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答
既に東京都の方もやられていると伺っていますが、総務省消防庁を通じて、各自治体の方にも国の取組について紹介をさせていただいているところです。また、問合せがあれば、賞味期限間近なものの扱いなども含めて、私どもの方からも積極的に情報提供していきたいと思っております。