堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2026年3月12日(木) 14:00~14:22 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
私から冒頭、適格消費者団体についてご説明をさせていただきたいと思います。先週金曜日、3月6日、全国で27番目となる適格消費者団体が内閣総理大臣から新規認定を受けました。この認定を受けましたのは、「特定非営利活動法人 消費者被害防止ネットながさき」です。適格消費者団体は、消費者団体訴訟制度の担い手でございます。消費者被害の発生・拡大の防止等のための重要な役割を担っていまして、健全な市場を実現するための社会的インフラの一つである消費者団体訴訟制度になくてはならないものでございます。そういったこともありまして、今日、適格消費者団体の認定のご報告に合わせて「消費者団体訴訟制度」について、改めてご紹介をさせていただきたいと思います。この消費者団体訴訟制度(Consumer Organization Collective Litigation System)は、「COCoLiS(ココリス)」と略しています。資料なども適宜ご覧をいただきたいと思うのですが、消費者団体訴訟制度とは、内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者に代わって事業者に対して訴訟等をすることができる制度です。大きく二つありまして、一つ目は「差止請求」です。適格消費者団体が、不特定多数の消費者の利益を擁護するために、事業者の不当な行為に対して差し止めを求めることができる、そして、もう一つは「被害回復」についてです。これは適格消費者団体のうち、さらに特定適格消費者団体として認定された団体が、不当な事業者に対して、消費者に代わって被害の集団的な回復を、訴訟を通じて求めることができると、そのような役割になっています。長崎が認定されて適格消費者団体が27になりましたというお話を先ほどしましたが、特定適格消者団体はこの中の4つの団体が現在ございます。このような適格消費者団体の活動によりまして、消費者にとっても健全な市場の実現のための成果が出ているのですが、お手元の資料で言いますと4ページのところに実績などを書かせていただいておりますし、2ページの資料のほうにはそれぞれの差止請求と被害回復のこれまでの件数を書かせていただいています。差し止めのほうですと、約1,200事業者に対する差止請求を行い、そのうちの約100事業者について訴訟を行ったと。そして、被害回復のほうについては12事業者に対する訴えが提起されたということになっています。先ほどお話しした4ページですが、これは今までの事案について3つ簡単にご紹介をさせていただいています。4ページの(1)のところは、芸能タレントのマネジメント等を行う事業者に対しまして、その事業者が消費者に対して虚偽の説明を行っていたということで、団体の主張が地裁で認められたケースですね。次の(2)のほうは、これはいわゆるNo.1表示というものに関してですが、不用品買取事業者が行っている表示についての事案、そして(3)については、これは大学の入試のときの得点調整についての事案で、これは被害回復ということで消費者の方々に被害の金額を戻した事案でございます。3つほど紹介をさせていただいておりますが、消費者庁のホームページの中に差止請求事例集という平成30年に作ったものがあります。この事例集の中では、業種ごとの様々な事案について事例を紹介させていただいております。次の5ページの資料ですが、これは全国の団体のリストと言いますか、状況でございまして、今回認定を受けた「消費者被害防止ネットながさき」、こちらは赤でくくっておりますけども、この団体におきましても今後大いに活躍をしていただきたいと思っているところでございます。ここで消費者の方々と事業者の方々にまた改めて呼び掛けたいと思うのですが、まず消費者の皆様方に対しましては、適格消費者団体は、それぞれの特性を活かしながら、消費者被害の発生・拡大の防止等のために取り組んでおります。各適格消費者団体の情報はCOCoLiSポータルサイト、これは消費者庁のホームページの中にありますが、このポータルサイトからご覧いただくことができますので、消費者の皆様方におかれましては、ご自身のお困り事、関心事項に近い活動をしている団体に消費者被害情報等をご提供いただけると幸いでございます。また、事業者の皆様方におかれましても、例えば、事業者と消費者の双方向のコミュニケーションを図って信頼関係の構築を図る、こういう活動をしている適格消費者団体もございます。このような団体と共に、より良いBtoC市場を作るため、活動を進めていただくということもあると思っています。さらに、適格消費者団体の活動の中で、特に差止請求は、仮に事業者の方が自覚をせずに法違反行為を行ったとしても、そのことの気づきにもなるということがあります。その事業内容が改善されて信頼性の向上に資するということがございますので、さらには差止請求については、制度上、いきなり訴訟が提起されるということもなく、事前に事業者の方とやり取りをするということに法律上もなっています。このやり取りをぜひとも前向きに捉えていただいて、真摯に円滑に対処していただきたいと考えています。それをすることで訴訟のリスクを減らすということにもつながるかと考えております。消費者庁といたしましても、消費者団体訴訟制度の効果的な運用を図り、消費者被害の未然防止・拡大防止、そして被害回復を図り、健全な市場の実現につなげていきたいと思っています。ぜひ皆様方におかれましても、この機会に消費者団体訴訟制度にご関心を一層寄せていただければありがたいと思います。
質疑応答
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問
共同通信の山本です。
発表事項の件ですが、これは内閣総理大臣が、消費者庁ではなくて総理が認定という、そういう理解でいいのですよね。 -
答
はい、それで結構です。
- 問 分かりました。先週金曜日というのは閣議決定か何かですか。
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答
いえ、閣議決定ではなく、認定を行うという、言わば決裁が取れたと言いますか、そういった形になります。ちなみに、また別途認定書交付式というものも考えておりまして、団体の方に直接認定書を交付するという形を考えています。また具体的な日にちなどは決まりましたらお知らせをしたいと考えています。
- 問 分かりました。閣議後大臣会見であるとか公の場でこの「ながさき」が認定されたということは先週金曜日以降、今日までの間に何かありましたでしょうか。
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答
閣議後の会見ではございません。消費者庁のホームページにおいて公表しているのですが、そういったこともありまして、今回改めて皆様方にお伝えをするとともに、せっかくの機会なので改めて背景状況なども含めてお伝えしたいと、そのような趣旨でございます。
- 問 分かりました。あと、冒頭でおっしゃっていたことと重なるかもしれませんが、この団体に対して消費者庁としては何か、どのような活動支援であったりとか、また課題があると考えているか、教えてください。
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答
適格消費者団体についてということでよろしいですね。先ほどご説明をしたように27団体あるということで、その団体それぞれの特色を持った活動をしていただいています。ただ、団体による活動の内容に差があるということ、よく指摘をされますのが、認知度が低い、あるいは非常に経済的に厳しい状況の中でやっていると、そのようなお話も伺うところです。適格消費者団体が行うことは、要は事業者と消費者の間に立ってということでございますので、消費者庁の立場としてできることということは限られているのですが、ただ一方で消費者庁としても先ほど申し上げたような健全な市場を作っていくという、その目的に大きく資する消費者団体訴訟制度ですので、予算的なところなどで支援を行っています。ちょっといくつかご紹介をさせていただきますと、例えばこれらの団体がそれぞれ所在をする地方公共団体がございます。そういったところと連携を深めて情報を連携できるような体制を作るということを支援するために自治体との連携の場を設置すると、これを令和6年度からやっていまして、そういったところの支援ですとか、あとは消費者被害の実態調査、そして差止請求制度、これは先ほど申し上げたものですが、新しい形での差し止めの在り方みたいな、そういったことを模索してより時代に対応していけるようにということで、モデル事業を実施したりしています。あとは、先ほど申し上げたCOCoLiSポータルサイトや、団体の間の連絡協議会ということで消費者庁としては予算を確保しています。ただ、やはり認知度の向上ということが非常に重要だと考えておりまして、そういった問題意識もあって今回改めて活動状況についてご報告をさせていただいたという次第です。
- 問 分かりました。団体の財政状況がちょっと厳しいという趣旨のお話は、これはこの団体は基本的に国や自治体の補助金であるとか一般からの寄附であるとか、そういったものが主な収入源ということになるのですか。
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答
そうですね。団体によって異なりますが、ただ今、山本記者がおっしゃったような内容、いろいろな形で事業を受託したり、あるいは補助金を、あるいは寄附を得て、そういった形で活動したりしているということが主になると思います。
- 問 分かりました。最後に、今は27団体ですけれども、これは別に各都道府県一つを目指しているとか、そういうビジョンがあるわけではないですよね。
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答
これは多分、以前も記者会見の場でご質問いただいたことがあると思います。そのときと同じ回答なのですが、個々の適格消費者団体の活動を伺いますと、必ずしも所在している都道府県だけの案件を処理しているわけではなくて、全国的にいろいろ似たような情報を収集して活動しているというところもあります。なので、必ずしも所在地には紐づいているわけでもないし、そういう意味で数値ありきという形で目標を設定しているということはございません。ただ一方で、やはり認知度の話とも絡むのですが、こういう団体があって何か困ったときに情報提供してみようとか聞いてみようというふうになるには、やはりちゃんとした活動ができる団体が増えていく、これは望ましいことだと思っていますので、そういう観点で引き続き団体の設立支援にも取り組んでいきたいと思っています。
- 問 分かりました。5ページを見た感じ、1県に2団体あるというところは今のところないですよね。
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答
大体そうですね。
(注:東京都のみ、全相協と消費者機構日本の2団体がある) -
問
フリーの相川です。
適格消費者団体と特定適格消費者団体の周知について長官からご説明があったことは大変重要だと思うのですが、適格消費者団体、創設されて20年でようやく27団体です。ずっとこれも長官もよくご存じだと思いますが、この団体は本当に弁護士さん、消費者団体の方、相談員さんがほとんどボランティアで、手弁当で関わってきていると。報告書などを分析しても、大体会費で運営しているので300万円に満たない団体が半数近くを占めているという状態で、ほとんど差し止めは裁判をしても何をしても、活動をしても全く収入が入ってこないと。このような状態では、後輩とか新しく関わってくる人を非常に誘いにくいと、重要な活動であるのだけれども誘いにくいというようなご意見がずっとありまして、やはり善意だけに頼る構造はいずれは崩壊すると。やはり長く続けるには一定の報われる仕組みであるとか、予算による下支えが必要だと。委託事業を受けている団体が多いのですが、委託事業を受ければ受けるほど実はそちらの活動にまたエネルギーを使うことで首を絞めてしまうという状況があり、ここはやはり行政の一端を担っているということを踏まえた何らか新しい財政支援の方法を考えることはできないのでしょうか。 -
答
昔から指摘をされているところで、相川記者のご指摘は制度を作ったとき、差し止め、そして被害回復、そういう都度都度のご指摘がありましたし、もちろん今でも適格消費者団体の方々とお話をしたり、いろいろな場でも第一に出てくるお話だと思っています。先ほどもお話ししましたが、消費者と事業者の間に立つという立場でやっていただいていて、そういう観点で中立的な国が関与できるやり方というのは一定、自ずから制限・限度があるだろうとは思っているのですが、ただそうは言ってもやはり厳しい状況の中でいろいろ消費者のために尽力をしてくださっていることについては心から敬意を表するとともに、それを行政としてどういう形でやっていくことがいいのかというのは常に我々も模索をしています。消費者スマイル基金などもいろいろな形で活動してくださっているのですが、我々として多分アプローチをするということになると制度面をいろいろ考えたりするときにどうするか、そういう意味では国民生活センターが立担保をするなどの制度見直しの中でやったりしているのですが、ただやはりそういう形の限界というところもあるというご指摘なのかなということで今受け止めました。いろいろと知恵は出していく必要があるだろうと思うのですが、やはり大前提として消費者の方にご理解をしていただくと、こういう活動があるのだということを分かっていただくというのがやはり最優先としてあるかとも思っていまして、今日、事例を三つほど紹介させていただいたというのは、事例を見ると分かりやすいということあると思いますし、また先ほど平成30年に作った差止請求事例集のお話も紹介をさせていただきましたし、またこういったところも色々な形で、さらにバージョンアップをしたりしながら周知をする方法を考えていきたいと思っています。また、予算的な部分は全体として国の財政、予算環境が厳しい中で我々としてもどういうことができるのかというのは引き続き考えていきたいと思います。
- 問 スマイル基金がクラウドファンディングをして27万円しか集まっていないと。なかなか寄附の環境がない中で非常に厳しいと。消費者団体訴訟制度の認知度、23年度の調査で16.3%、適格消費者団体が20.3%、特定適格消費者団体17.7%なのですが、「COCoLiS」とかいろいろとやってもなかなか引き上がっていかないと。頑張ってはくださっているのですが、なかなか光が見えてこないというのがずっと思いがありますので、もう少し実質的な検討を行っていただいて、本当に持続可能な、皆さんが本当に前に向いてもうちょっと精力的に取り組んでいけるような財政の措置がやはり不可欠だと思いますので、ここは改め検討のほうをよろしくお願いします。
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答
あと、やはり消費者の方々が被害を受けたと、そういう情報を我々は一生懸命取るのですけれども、被害が回復できた、あるいは差し止めが成功してよかった、あまりそういう声を取るということをそういえばしていなかったというのを、以前少し議論したことがあることを思い出しました。いろいろなやり方も含めてですが、今ご紹介いただいて認知度、非常にこれも重要なデータだと思っていまして、これももっと上げるようにしていくにはどうしたらいいか、そこもちょっとまたいろいろ皆さん、関係者の方の皆様方のお知恵も借りながら引き続き検討していきたいと思います。
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問
フリーの木村です。
最初の質問のやり取りの中で、長官から新たな差止請求制度を模索しているというような趣旨の、差止請求制度の私見を。ちょっと聞き間違いかもしれませんけれども、もし詳しく聞ければと思いました。 -
答
すみません。新たな差止請求制度の模索ということをお伝えした記憶はないのですが、どこの点に関してかというところを教えてください。
- 問 最初の課題の後に、消費者被害の実態調査などの話の後に、差止請求制度の。
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答
分かりました。団体に対する支援についてのお答えの中で、実態調査の後に申し上げましたのは、差止請求制度が今現行あるのですが、その中で差し止め関係業務について新しい分野とか新しい手法で差し止めを行う、そういうモデル、先行となるようなモデル事業をご紹介したつもりでした。確かに今ご指摘があったように、ちょっとはしょってご説明をしましたので、新たな差し止めについてのちょっと分かりにくさがあったと思いますが、内容としてはそういう内容です。
- 問 それは、例えば対象にする法律を広げるとか、そんなイメージも含まれるということですか。
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答
法律を広げるということになると法改正が必要になりますので、今申し上げた内容はむしろ今の制度、今の法律、例えば消費者契約法とか特商法、景表法、食品表示法という差し止めができる法律、それでやっていただいている、それをさらに新しい分野、手法、深掘りをしてこういう形の差し止めの請求の仕方も現行法でできるのだと、そういったことをやっていただくようなイメージです。これは7年度からの新規事業ということで6事業程度を実施しているというものでございますので、より詳しくは担当のほうにもしご関心があれば聞いていただければと思うのですが、そのような内容でございます。ちょっと説明が分かりにくくて、すみませんでした。
- 問 ありがとうございます。