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堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年12月25日(木) 14:00~14:24 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

本日、冒頭、私から3点ございます。まず1点目ですが、投資や住宅の売却に関する注意事項について、関係省庁に呼び掛けまして意識啓発を行うことといたしましたのでご報告をしたいと思います。この背景ですが、特に高齢者の方が内容をよく理解できないままに投資、そして住宅の売却を契約する、こういったことでトラブルに遭うという相談が多く寄せられております。全国の消費生活センター等に寄せられた、いわゆる「ファンド型投資商品」に関する相談件数は、昨年度は約5,000件でございました。今年度は、11月までで約4,000件となっていて、このうちの約4割が60歳以上の方からのご相談です。この内容についてですが、親がSNSで知り合った相手に言われるがままに投資をした、追加でお金が必要と言う、辞めさせたい。このような中身とか、あと何かに投資したけれども、契約の内容が不明だから解約をする、返金してほしい、どうしたらいいか。このような相談が寄せられております。また、住宅のリースバック、このリースバックは自宅を売却しても家賃を払って借りることで引っ越しまで住み続けることができるという自宅の処分の手段ですが、この住宅のリースバックについて、近年、相談件数が増加傾向にあります。昨年度は251件、今年度は11月までで152件となっていまして、約8割が60歳以上となっています。ご家族などから寄せられた相談内容としては、高齢で持ち家に独居している父から「今月の家賃が支払えない」と言うので、何で家賃なのだろうということで問い詰めたところ、リースバック契約を結んでいるということが判明をした。また高齢独居の認知症の母が、住んでいるマンションを訪れた不動産業者と、市場価格の半分以下の料金でリースバック契約をしていたので白紙に戻したい。このようなご相談が寄せられています。今日お配りさせていただいたチラシですが、まずこの表をご覧いただきたいのですけれども、そもそも「商品の仕組みが理解できない」投資には気軽に手を出さない、これが一つ。またリースバックに関しては、「住み替える意向がない」なら安易に自宅の所有権を手放さない、このようなことを基本としていただきたい。さらには、こちらの裏表紙になりますけれども、うまい話に見えても一度立ち止まって考えること。そしてその次のところですが、内容が理解できなかったり、ご自身のニーズに合わない、こういうときはきっぱりと断ること。そして3番目、おかしいと思ったら迷わず相談ということで、お一人で悩まずに消費者ホットライン188までご相談をいただければと思います。なお今回、関係者連名ということで消費者庁、金融庁、国土交通省、国民生活センター、そしてJ-FLECということで表紙のところの下のところに書かせていただいておりますが、この裏表紙の「迷わず相談」のところにも相談窓口ということでご紹介をさせていただいておりますので、ご参考にご覧いただければと思います。また、このチラシの内容等、詳細につきましては担当の消費者政策課にお尋ねをいただければと思います。そして、これから年末年始ということになりますので、ご実家に帰られるなどでご家族、ご親戚と、お話をする機会も増えるのではないかとも思います。そういったときに、例えばこのチラシをご活用いただくなどでぜひお声がけをしていただく、このようなことも非常に重要と考えておりますのでよろしくお願いします。
そして2点目でございますが、リチウムイオン電池の関係です。12月22日に開催をされました「リチウムイオン電池総合対策関係省庁連絡会議」におきまして、「リチウムイオン電池総合対策パッケージ」を策定したと、そしてお手元に資料を配布しているというところでございます。この対策パッケージにつきましては、リチウムイオン電池に起因する火災の防止、分別回収を働きかけることとともに、関係省庁が一体となって様々な取組を行うことを目的としています。こちらに、「3つのC」ということで示していますけれども、(1)賢く選ぶ(Cool choice)、(2)が丁寧に扱う(Careful use)、そして3番目が正しく捨てる(Correct disposal)ということで「3つのC」、これを政府全体で、ワンボイスで継続的に発信をしようということを考えていまして、情報を一元化するポータルサイトを今年度中に設置をしようということで進めています。特に消費者庁としてということでご紹介をさせていただきたいと思うのですが、このリチウムイオン電池の使用等に係る注意点、リコール情報、これまでも何度もこの場などでも周知をさせていただいたところですが、特に若者、高齢者、様々な消費者の方々に届くように、より効果的な方法で発信をしていきたいと考えております。具体的には、例えば特にリチウムイオン電池使用製品を使う機会も多いという若者向けには、全国大学生協連と連携をしまして、若者のご意見も取り入れたショート動画やポスターを作成する、そして若者の目に留まりやすい媒体、場所で発信をするという広報を検討していきたいと考えています。また、高齢者の方々にも、地域での見守りネットワークにおける活動ですとか、火災予防の啓発活動などにおきまして、本件に関する周知も合わせて行っていただくように、関係省庁と連携して、自治体、関係機関に情報提供を行ってまいりたいと考えております。冬も本番となって、これから年末年始になって、電熱ウェアとか充電式の暖をとる製品の使用、また大掃除の場合の廃棄、こういったことが考えられますので、「3つのC」を心がけていただければと考えております。これが2点目。
そして3点目ですが、これは年末年始ということにも関連しますけれども、高齢者の方の事故防止についてのお願いでございます。23日今週火曜日に、年末年始に特に高齢者に起こりやすい事故防止のポイントをまとめた注意喚起資料を公表いたしました。お手元にも配布をさせていただいておりますが、具体的に3つほど紹介したいと思います。まず、入浴の際には脱衣所、浴室を暖めておくことや熱いお湯での入浴を避ける、そしてお餅を食べる際には小さく食べやすい大きさにしてゆっくりと噛んでから飲み込む、また大掃除で高い場所で作業を行う際には身体のバランスを取りやすい用具を用いる、また滑りやすい場所で作業を行う際には、足場が濡れている場合には事前に拭き取るなどの転倒、転落に注意をしていただきたいという事故防止のポイントをまとめております。先ほどお話ししたように、例えば帰省などをされる方もいらっしゃると思います。それ以外にも、年末年始ということになると普段行わないような様々なイベントなどの機会があり、また、寒さも本格化するということもあります。せっかくのこの機会に事故などに遭わないように、特にご高齢の方が安全、安心に過ごしていただけるようにということでポイントをまとめましたので、こういった点についても合わせてご活用いただければと思います。私からは以上です。

質疑応答

NHKの佐々木です。
冬場の年末年始の高齢者の事故のところで質問なのですけれども、年末年始となると先ほどもお話あったようにお餅を食べる機会が非常に増えるかと思います。この中では、窒息の事故の件数が出ていますが、これはお餅に特化したものはありますでしょうか。

(消費者安全課)
資料に掲載している窒息事故についてはお餅に限らないものになっております。お餅に限ったデータについてはちょっと持ち合わせていない状況でございます。

ありがとうございます。家族とかが、親戚一同揃って食べる機会は多いかと思うのですけれども、だんだん飲み込む力も弱くなるというような記載もございますが、去年食べられたからといって今年はというところの部分もあるかと思うので、そういった点も含めて注意点をちょっともう一度言ってもらってもいいですか。

まず、お餅についてはやはり小さくて食べやすい大きさにするということ、またお茶や汁物などを飲んでまず喉を潤してから食べていただくということ、当然のことながらよく噛んだ上でということですが、そういったこと、そして一口の量、これもやはり個人差がありますので自分に合った一口の量を無理なく食べられるかどうかという観点から設定をしてそういう量で食べるということ、そしてゆっくりかんで飲み込む、このあたりが非常に重要だと思っています。また、詰まらせてしまったときの応急措置、こういったことも先ほどお話ししたポイントの中には書かせていただきますので、他人事ということではなく自分でちょっと読んでおくと急のときに慌てずに済みますので、ぜひそのような観点からも内容についてご理解いただければと思います。

去年も食べている人もいると思うのですけれども、高齢者ご本人であったりとか、その家族というところは、そういった点においてはどういう配慮が必要ですか。

ご自身の自覚、お餅だけではなくてやはり自分の嚥下の状況がちょっと変わってきたなとか、そういったことは多分普段の食事でも思い当たることがあるかもしれません。そういった方については、なおさらご本人やご家族の方に気を付けていただくということも一つあるのかなと思います。

ありがとうございます。もう1点が、一番最初の冒頭発言の項目なのですけれども、リースバックにおいては増加傾向にあるというところでしたけれども、これは何か背景、要因として考えられる背景みたいなものがありましたら教えてください。

具体的にこれが原因でというものについては、我々も分析はしきれていないところです。ただ、やはり例えば今回二つ、資産の運用という投資のところと、それからリースバック、2つ大きい項目ということで挙げさせていただいて、投資の部分はそもそもの全体の相談の件数の大きさというのがあるのですが、リースバックは投資全体ほどの件数ではないのですけれども、そうは言ってもやはり増加率が非常に著しいので、ですので何かこういう事情があってということではないのかもしれませんが、今回、関係する省庁、国土交通省さんにもお名前を連ねていただいて周知をしようと至ったところでございます。

今回、これをちょっと取り上げられるという意味で、投資についてもリースバックにしてもずっと続いてきた被害で、なぜこれを今、注意喚起しなければという、もちろん年末年始というのもあると思うのですが、被害の状況を鑑みてなぜ今なのかというのをちょっといいですか。

これは本件に限らず、これまでもこの場などでも申し上げてきたところですけれども、特に安全、安心、そういったことに関することについてはあらゆる機会を捉えて、かつ効果的に周知をしたいと消費者庁としては考えています。その一環で今回、件数をずっと追ってきたところ、今まで申し上げたような件数全体の大きさや、あと増加率、そういったことが見て取れたということが一つ、あとはやはり、高齢者の方の被害の割合が目立つということがあったものですから、こういった方々に呼びかけるのにはどうしたらいいか、そのようなことを考えました時に、1年中どのような機会でも呼びかけていくべきことではあるのですけれども、特に先ほどお話ししたような年末年始の機会、こういった機会というのは実家に帰省をするとか、あとそれ以外に普段なかなか会えないような方々とゆっくりお話をする機会がある、そういったときにさりげなくお話を出していただくということが身近な気づきにつながるということもあるだろうと考えました。ですので、このチラシも分かりやすくまとめたつもりなのですが、それはそういう趣旨もありますので、この機会にぜひご活用いただきたいと考えております。

共同通信の山本です。
リースバックの相談なのですけれども、例えば東京ですごく多いとか、地域的な特性はありますでしょうか。

(消費者政策課)
今、手元に分析したものはございませんが、やはり大都市圏中心になっております。先ほどのご質問にも関連しますが、私たちの方でも明確に因果関係というのが分析できていませんので資料等には書いてございませんが、リースバックに限らず、やはり住宅価格の高騰というところと非常に関係が強いのではないかということは感じておりまして、そこにつきましては今後バックデータも含めて検証していきたいと考えております。

ありがとうございます。あと、リースバックというビジネスモデル自体は現状違法ではないわけですけれども、ただこうやってがっちり注意喚起をするということについて、どういうところがグレーというか危ないのか、そこを改めてちょっと整理していただけますでしょうか。

リースバックのチラシの1枚をおめくりいただいて右側のところになりますけれども、そもそも、先ほどもお話をしましたが、リースバックというのは基本的には自宅の処分の手段だということになります。ですので、所有権が離れるという形になっています。結局、そのリスクをちゃんと分かった上でないと、自分の持ち家の所有権が離れてしまうと。非常に大きい、そういう効果をもたらすということがありますので、このチラシの右側の一番下に書いてありますけれども、引っ越しの時期が見通せる場合にこの形態を活用してスムーズに住み替えをできるという、そういう利点ももちろんあります。ただ、こういったケースではない場合にちゃんと内容を理解しないでやってしまうと所有権が手放されてしまうということになるという点、そして実際ご相談があるようなケースについては、必ずしもちゃんと趣旨を理解して契約をしたのではないのではないかと思われる事案が特にご高齢の方に多いと、そういったところに注目をして今回の注意喚起に至っております。

単に家を売るのとリースバックの違いの部分なのですけれども、今日のペーパーの主な相談事例にも市場価格の半分以下の料金でとかありますけれども、これは私の、僕が勝手に思っているだけなのですけれども、普通に売るのだったら高値、普通に売買を不動産業者に仲介してもらうのだったら高値で売れば売れるほど、業者にとっては得られる手数料とかが増えるのに対して、リースバックだと安く買い取って高く売るというビジネスモデルである以上、そこが元の家の持ち主からするとデメリットになり得る、売ってもそのまま住み続けられるというのはメリットだけれども、逆に普通に売るのに比べると安く買い叩かれがちという、そういう構造的な問題は一つあるのかなと思っているのですけれども、その辺についてはご認識はいかがでしょうか。

具体的にメリット、デメリットがあると、そこがどう出るかというのは本当に個別のケースによるのだろうと思っています。ですので、ずっと住み続けられるというところで、家賃は払うけれども、自分の将来設計を考えそれが非常にいいという感じで売却値について了解をするという形で成り立っているモデルとしたら、それがうまく循環している限りでは指摘をされるようなことはないのかもしれませんが、うまくはまっていないケースとか、そもそもその契約内容を、こちらにも書いてありますが、きっちりと説明をしていないのではないかと思われるようなケースも見受けられるということで、消費者の方も必ずしも理解が十分ではないケース、そのようなことが両方相まっているケースが散見されるので、そういうデメリットについてきっちり理解をしていただくということが本来の制度としての適切な利用を促すということにもつながるのではないかと考えています。したがって、このチラシの中でもよく言われるメリットの部分だけを取り上げて書いていて、ただこれは甘い勧誘文句、これだけではなくてリスクの説明をちゃんとした上で取引業者と取引をしてくださいという形で書かせていただいているというのはそういう趣旨でございます。

ありがとうございます。これで最後にしますけれども、私が聞きたかったのはどちらかというと単に売る場合と比べてのリースバックのメリット、デメリットとして考えられ得るポイントは何でしょうかというのをちょっと聞きたかったので、先ほどの話が答えでしたらあれですけれども、何か補足があればお願いします。

ございません。

(消費者政策課)
実務的な部分で申し上げると、リースバックだからといって本来の正しい使い方をすればリースバックの売却の仕方がおかしいというのではなく、通常の家を売却するのと何ら変わらないので、本来、チラシの右下に書かせていただいているように、次の住み替えの予定が決まっている人がなかなかタイミングが合わないと、一時仮住まいをしたりというのが通常のケースになるわけですが、元々引っ越す、普通に家を売却をするのに、次のスケジュールをうまく合わせられるというのが本来はリースバックの一番適した使い方になってまいりますので、そういう意味では普通に売るのと金額とか査定というのが変わってくるということは理屈上はないはずなのです。ただ、昨今はそれが住み替えということではなくて比較的現金化をするというところが表に出てきている傾向にございますので、よく押し買いという言い方もございますが、金額が安くなってしまったりという現象が出ているということで、先ほど長官からもご説明させていただきましたとおり、正しい使い方をしていきましょうという啓発を今回させていただいているという趣旨になります。

フジテレビの吉川と申します。
1点ご質問したいのですけれども、いわゆるカニカニ詐欺についてなのですが、近年、相談件数が急増していますが、年末年始に向けて特に長官から注意喚起をされたい点がありましたらお願いします。

カニなどの海産物を電話勧誘や送り付けで消費者に買わせるという、そういうトラブルが発生をしているということは承知をしています。全国の消費生活センターにもこういうトラブルについての相談が依然として寄せられているという状況でございます。これまでも消費者庁では、電話勧誘販売の特定商取引法違反事案に該当するものについては厳正に執行を行ってきたということになるのですが、他にも令和3年の特商法の改正でいわゆる送り付け商法に関して新たな規制を導入し、注意喚起を実施をしてきたところでございます。具体的に注意をしていただきたい点ということで申し上げると、まず電話による勧誘、これで契約をしてしまった場合は原則8日間、8日間以内であればクーリングオフができるということがまず1点、そして一方的に送り付けられた商品、この商品についてはすぐ処分していただいて構いません。そして、金銭を支払う必要もない、こういったことがございます。ですので、消費者の方にはこの点について覚えていただいて、もし仮に対応に困るようなケースがありましたらお一人で悩まずに188消費者ホットライン、あるいは最寄りの消費生活センターにご相談をしていただきたいと考えております。

ありがとうございました。
フリーの木村です。
今のご説明のところ、送り付け商法のところなのですけれども、すぐに処分、つまり食べても捨ててもいいかと思うのですけれども、その場合、何か消費者のほうで何か証拠を残す必要とか、何か注意点とかはありますか。

それもございません。

分かりました。ありがとうございます。

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