堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年12月18日(木) 14:00~14:20 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日、私から1件、冒頭お話をさせていただきます。まず、令和7年度地方消費者行政の現況調査の結果についてでございます。お手元に配布をしている地方消費者行政の現況ポイントから要点をご紹介したいと思います。まず、4ページでございます。令和7年度の消費者行政に係る予算に関してですが、自主財源、これは一般財源については前年度からプラスの7.2%、約13億円の増と大幅に増加をしております。国費も合わせますと220億円を超えているという状況でございます。また、3ページになりますが、消費生活相談員の処遇、これが引き続き、改善傾向にございます。1時間当たりの平均報酬は、賞与込みで前年度から175円増、これは8.5%の増加ということになります。金額は2,246円となっています。これは、5年前の令和2年度と比較をしますと、令和2年度が1,760円でございましたので、約3割近く増加をしているということです。これらは、地方公共団体の皆様のご尽力の賜物と考えておりまして、日頃からの取組に感謝を申し上げたいと思います。他方で、相談員の皆様は高度な専門性、そして職務の困難さ、こういったことがございますので、さらなる改善余地があり、地方公共団体におかれましては引き続きの処遇改善をお願いしたいと思っております。今回、交付金の見直しを行いますが、この中では見守り活動の活性化と消費生活センターの連携強化等に取り組む地方公共団体に対しまして、相談員の報酬等を含めて支援をする新たなメニューを設けています。こうした支援制度も活用して処遇改善を進めていただきたいと考えています。またちょっと戻っていただいて1ページなのですが、消費生活センターの数、これが847か所で、前年度と比較して11か所減少をしたということでございます。今年度に多くの地方公共団体で地方消費者行政強化交付金の推進事業、この活用期限が来るので多くの方々が心配をされていたということがございます。消費生活センター、消費生活相談員を含む相談体制をいかに維持していくかということは、とても大きな課題だと考えておりまして、積み上げてきた身近な相談窓口の充実という成果、これが後戻りをすることがないように、先ほどお話をしました交付金、この見直しを図りまして、推進事業を活用してきた自治体、地方公共団体で相談窓口の機能維持に取り組むところはこれまでと同様に定額の支援メニューを設けることとしています。この交付金が、しっかり現場で活用されるように、これまで以上に各自治体に寄り添って都道府県のみならず基礎自治体も含めて消費者庁の職員が全国の各地域の自治体に積極的に足を運んで丁寧にご説明をして利用促進に努めていきたいと考えています。なお、この調査結果の詳細ですが、この会見の後、16時半から地方協力課のほうでご説明の機会を設けていると聞いていますので、よろしくお願いします。私からは以上でございます。
質疑応答
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問
日本消費経済新聞の相川です。
消費生活センターが11減ったというのはかなり衝撃的な数字だと受け止めているのですが、長官の受け止めと、先ほど少し交付金の活用のお話はあったのですが、センターの縮小に関する対応策をお教えください。 -
答
まず、数字については、消費生活センター数は11か所の減少と、また消費者行政担当職員25名の減少という結果になっています。この受け止めに関してなのですが、理由をちょっと確認してみたところ、センター数に関しましては、複数のサブセンターを有する自治体が再編を行ったということ、また、担当職員については組織改編や定員の合理化等が図られたということで、このような数字になったと承知をしています。センター数につきましては、先ほどご紹介させていただいたように交付金の見直し、これで万全の対策を講じていこうと考えています。相談機能の維持のために着実に執行することが大事だと思いますので、そこの部分については先ほどお話ししたように自治体の職員に対する寄り添いと言いますか、消費者庁の職員から丁寧に説明していくと、これが重要だと思っています。また配置に関して、消費者行政担当職員をどう配置するかというのは、これはもっぱら地方公共団体の判断というところにもよりますが、やはり、ここは消費者庁としても地方公共団体と対話を重ねまして、そもそも地方消費者行政というのは、住民の消費生活のセーフティネットということで、その充実強化というのが暮らしの安全、安心にとって不可欠であるということや、単身世帯の増加や高齢化、デジタル化、こういったことに対応するために相談窓口の充実、そして見守りのネットワークの形成、こういう体制整備が必要だということを、丁寧にご説明を重ねて理解を求めていきたいと考えています。
- 問 取材をしているのですが、長野などは県のセンターを縮小して市町村でということなのですが、市町村のほうの相談が増えて本当に大変だと、全然回っていないという状況があるようですし、あと交付金の延長が間に合わずに、ちょっと断念して窓口がなくなったというようなところもありました。あと、相談員さんが高齢化して定年を迎えて、その次の相談員さんが見つからず広域連携をしたというところがありました。今回、相談員さんの年齢の調査の結果が入っていないのですが、それはどうなっていますでしょうか。
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答
まず年齢構成についてですが、これは詳細版のほうに入っておりますが、60代以上が54.2%となっています。これは昨年度の50.6%から増加をしたということでございまして、特に70代以上の相談員の方は市区町村等では12.8%ということになっていて、全体を見ても10%を超えるなど、相談員の方々の高齢化というのは急速に進んでいると考えています。このような高齢化が進む中で、担い手の確保というのはますます困難になるということが懸念をされていて、このような状態を放置していますと、先ほどお話ししたことにも関係しますが、住民サービスとしての相談機能の低下も懸念をされる、そして、それは取りも直さず地方から国に寄せられる情報が非常に重要な企画立案のベースにもなっているわけですけれども、そういう基盤の毀損、そういったことで、消費者行政の適切な実行に対して支障をきたすということもあるということを懸念しています。消費者庁としては、いろいろな対策を講じなければということで、まず自ら相談員の養成講座等を実施していて、相談員の資格保有者の拡充に努める、これは引き続きやろうと思っていますが、交付金の見直しにおきましても、都道府県が主体となって相談員の候補者の発掘から養成、終了までを一貫して支援をする新たなメニューを設けたいと考えています。また、高齢の方も含めてということにこれはなると思うのですが、現在、相談員ということで働いておられる方々が働きやすくなる環境整備というのもこれは大事だと考えています。来年度、PIO-NETの刷新を予定しておりますが、相談員向けのFAQの充実、そして、相談支援システムの導入、こういったことは相談員で働く方々の負担の軽減にもつながると考えています。そもそも、こういう操作を習得するということが刷新のときには必要ということにもなりますが、その研修についても交付金によって支援を行っていきたいと考えております。様々な対策を総合的に講じることで、地方の消費者行政を支える相談員の確保ということを進めていきたいと考えています。
- 問 今回の交付金の見直しは、消費者庁、消費者庁の職員さんは本当に頑張ってくださったと思っていて、ここは本当に地方自治体からも感謝の声が出ていると、そこはちゃんと伝えないといけないと思います。継続的な相談員人件費2分の1を確保するということは悲願でしたので、ここはお見事。ただ、今、自治体、2人に限定されていて、それもどうやってどう拡大していくかはこれからの現場である地方自治体、あと民間団体であり、あと消費者庁の職員さんたちの方にかかっていると思いますので、そこは今後よろしくお願いしたいと。それから、調査員の高齢化については会計年度任用職員であること、ここが大きなネックになっていて、やはり若い人が生活をできるような仕事になかなかなっていないと。ここもまだまだこれから乗り越えていかなければいけないところがありますので、それはぜひよろしくお願いします。
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問
日本テレビの市野と申します。
話題が変わって恐縮なのですが、昨今話題のSS義塾の問題についてお伺いいたします。日本テレビの取材でも、突如予備校が音信不通となりましてサービスを停止したことによって多くの生徒や保護者から不安の声を取材の中でもいただいております。この一連の問題について長官の受け止めと、そして今後の消費者庁としての対応を教えてください。 -
答
まず、総合型選抜、そして学校推薦型選抜に特化をしたSS義塾につきまして、連絡が取れなくなるとともに、授業動画が削除されたという報道は私どもも承知をしています。それで、消費者庁については基本的に所管法令に基づく処分等を行った場合を除いて、原則として個別事業者に関して、例えば相談件数が何件あったとか、そういったことについてはお答えをしていないのですが、学習塾に関してということで消費生活相談、これは令和7年度の件数は今のところ760件寄せられているところです。この中では解約や返金に関する事例というのも含まれていると承知をしています。特に、このような学習塾のようなことについてですが、消費者庁としての今後の対応ということについてのお尋ねがありましたけれども、これは従来からも、やはり高額料金の一括前払い、このようなケースがありまして、事業者が万が一倒産をした場合については返金を受けられないということがあるので、一括前払いを行う際には十分にご検討いただきたいと、このような旨の注意喚起をしてきたところでございます。具体的には、例えば事業者が前受金保全措置を講じているかどうか、また講じている場合にはその内容を確認すること、あるいは都度払い、月払い、そういう一括前払い以外の支払い方法がないか、こういったことを消費者の方々に確認をするようにということで呼び掛けています。今後も引き続き、このようなことについて関係省庁と連携をしながら注意喚起を行っていきたいと思います。また、各地の消費生活センター等におきましては、消費者に対して相談、あっせん等を行っています。また、相談内容に応じてですが、警察や弁護士等の専門家、あるいは専門機関への相談等を含めましたアドバイスをご相談いただいた消費者の方々に行っています。ですので、対応に困った際はお一人で悩まずに188にご連絡をいただく、最寄りの消費生活センター等に相談をしていただく、このようなことを改めて呼び掛けたいと思います。
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問
NHKの佐々木です。
今週、東京赤坂のサウナ店で2人が死亡する火災が発生しました。昨今、サウナ人気の高まりから、ビルに入ったプライベートサウナとか屋外のサウナテントを営業する店舗など、多種多様なサウナ施設が営業されています。今回の火災では、ドアノブが外れていたことだったりとか、非常ボタンの電源が入っていなかったことなどが明らかになっております。こうした今回のケースを受けて、万が一の火災などの事故を防ぐためにサウナを運営する事業者は非常ベルの設置とか、施設の点検とか、あとはサウナ室の安全基準だったりとかというところについて、見直しや強化といった面で消費者庁として、どのような安全対策を求めるお考えがあるか聞かせてください。また、消費者に対して、サウナ利用時の注意喚起があれば併せてお願いします。 -
答
まず、ご指摘の件についてですが、報道等で承知をしています。ただ、消防や警察が原因を調査している段階でございます。そのように認識をしておりますので、今回の件に関してということでのお答えは控えたいと思います。その上でということになりますが、そもそも火災予防や衛生等の観点から、サウナ施設については様々な関係法令や条例、また業界団体による実施基準等があると承知をしています。一般論として、サウナを設置・運営する事業者の方々は、このようなことを遵守していただくということが求められると考えています。また、今回の件と直接の関係ということではないのですが、消費者へということで今お尋ねがありましたのでお答えをしたいと思うのですが、近年、サウナというのは非常に幅広い方々、年代もそうですが、そういった方々に楽しまれていると承知をしています。一方で、やけどあるいは打撲、こういった事故情報が寄せられていることから、消費者庁では昨年、令和6年6月にサウナ浴について消費者への注意喚起を行いました。この中では、具体的に例えばサウナの構造等の基本的な知識についてでございますとか、施設の注意事項を確認してルールを守って利用すること、またサウナ室でのやけど、転倒に注意をすること、このような注意ポイントを様々ご紹介させていただいています。詳細は担当にお尋ねをいただきたいと思うのですが、このようなことに留意をしていただくということが重要と考えております。
- 問 先ほど話が出ましたが、各省庁に関係法令とか基準とかというのがまたがっていたりとかするというお話がありました。そういった意味で、なかなかうまく進まない案件でもあったりとか、ある種、隙間事案みたいになってしまっていた可能性もあるかなというふうには思います。そういった中で、消費者庁には事故調等もありますが、何かそういったところで動かなければいけないとか、そういうお考えはありますか。
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答
まず、この件の冒頭でお話をしたように、本件についてはまだ消防・警察の調査中ということでございますので、どのような形でそれを受け止めるかということについては今の時点でお答えは控えたいと思っています。ただ、消費者庁としましては関係機関とも連携して情報収集をし、注視していきたいと考えています。
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問
フリーの木村です。
15日に食物アレルギー表示のアドバイザー会議、こちらが開かれましたけれども、そのとき複数の委員の先生から中食・外食の取組が遅れているのではないかという指摘が出ました。そこでお聞きしたいのは、中食・外食のアレルギー表示について、現在よりも1歩踏み込んだ何か対策を講じるお考えがあるのかどうかについてお願いします。 -
答
これは、以前もご質問をいただいたことがあったかもしれませんが、アレルギーというのは関係者の方々にとっては重要な情報だと思っています。一方で、中食・外食につきましては非常に個別性が高かったり、なかなか一律に設定をするということが困難だということもございます。ですので、現時点で消費者庁としましてはパンフレットや動画でまず関係者の事業者の方々にご理解をいただく、そしてまた消費者の方々にもこういう点についてご理解をいただいて注意をしながら中食・外食を楽しんでくださいということを周知するということがまず重要と考えています。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
食物アレルギーの義務表示について質問させてください。ようやくカシューナッツとピスタチオの公定法が確立したということで、点検に踏み切るということなのですが、年度内の食品表示基準の改正は実現できそうでしょうか。 -
答
今、年度内の公布を目指して手続きを進めていきたいと考えています。
- 問 3月中にはできるということですか。
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答
年度ということになりますから、3月中が目途ということになろうかと思っています。
- 問 分かりました。それから、カシューナッツとピスタチオは両方ともウルシ科で、かなり交差反応性が強く、アナフィラキシーショックを起こすリスクが高いということが言われているのですが、今回、これまでくるみとペカンの場合はパンフレットで注意喚起をしてくださっていたのですが、今回、事務連絡で交差反応性について注意喚起をするということのようなのですが、この趣旨と何を期待されているのかについてお教えください。
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答
まず、くるみとペカンに関してですけれども、くるみを特定原材料へ追加をした際にペカンについては特定原材料等に含まれていなかったと。アレルギー表示の義務、推奨、いずれの対象品目にもなっていなかったのでパンフレットにおいて個別に注意喚起を行うように促したということがございました。一方で、今回、ピスタチオに関してはアレルギー表示の対象品目として推奨表示である特定原材料に準ずるものへ新たに追加をするということになっています。ですので、可能な限りアレルギー表示をすることが望ましい旨について関係者に周知を図る、そしてカシューナッツとピスタチオ、この交差反応性があることについても周知をするということで、可能な限り速やかに一括表示枠内に記載をされるということを期待しているところでございます。