堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年10月16日(木) 14:00~14:14 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
まず初めに今週14日に開催させていただきました「第21回全国消費者見守りネットワーク連絡協議会」について、改めてご報告させていただきたいと思います。協議会の当日に取材をしてくださった方もいらっしゃると思いますが、こちらの連絡協議会につきましては、50を超える様々な関係者の方が参加をしてくださっています。具体的には、福祉、警察、そして金融等の多様な分野の方々でございまして、今回、都道府県の関係者の方にもお声がけをしてオンラインで参加していただき、全国レベルの規模での開催でございました。当日、2団体から取組状況のご報告をいただきまして、まず生命保険協会から、生命保険業界というのは日常的に訪問をするということで、その訪問チャネルを活かして地域団体・機関と連携をしていると、そのようなお取組のご報告がありました。また、日本介護支援専門員協会からは、こちらも見守り活動の取組事例についてご報告をいただいたのですが、非常にいいお話だなと思いましたのが、日頃から信頼関係を作っていることでよりご理解をしていただきやすくなると、このようなご指摘がありまして、その後、活発な意見交換が行われたところです。意見交換の中身、ポイントをいくつか簡単にご紹介させていただきますと、見守りネットワーク、それを各地域において展開しているところですが、参加していない場合に参加することを希望する際、どこに接触をしたらいいのかという窓口情報などを教えてほしいと、そのようなご意見、あとは消費者庁としましても好事例をいろいろ発信しているのですが、好事例だけではなくて見守りネットワークをやるにあたっていろいろ困難な課題もある、その困難な課題をどういうふうに解決してうまくやっているかという事例が参考になるといったご意見もあり、あとは耳の聞こえにくい方とか聞こえない方、こういった方々に関して連絡の取り方についても一考してほしいと、このようなご意見がありました。特に今回いろいろな現場でいろいろな消費者の方に向き合っておられる、そういう立場の皆さんでございますので、とにかく消費者被害の早期発見・早期予防の重要性についてご指摘をいただいたところでございます。生まれてから死ぬまでいろいろなものを消費する消費者であり、誰1人として消費者ではない人はいないと、そういう中で地域におけるいろいろな方々が連携をして対応していく、そして消費者の安全・安心を守っていくということは非常に重要ですので、各地域の専門的知識や経験、ネットワークを持っている皆様方の活動を蓄積していくということが非常に重要だなと改めて連絡協議会に参加をして実感をしたところでございました。関係者のネットワークを組むことで、多様な情報共有ですとか効率的な啓発が可能となり、また構成員から消費生活相談に対する円滑なつなぎも可能になるスキームでございますので、消費者庁としましてもこの連絡協議会をはじめとしまして、まず認知度を高めていくとともに、こういう場を活用した意見交換を引き続いて実施しながら消費者の方々の安全・安心な環境作りに取り組んでいきたい、そしてさらに多様な連携のあり方を模索しながら見守り活動の活性化にも取り組んでいきたいと考えております。
質疑応答
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問
フリーの木村です。
昨日に、消費者庁の消費者教育ポータルサイトに、ダークパターンの啓発動画が8本ほどアップされているのですけれども、まず一つお聞きしたいのは、その啓発動画は小中高向けのものなのですが、小中高向けに消費者庁ではダークパターンについて何か啓発していくような予定というのはあるのでしょうか。 -
答
まず、小中高向けという形できめ細かいパターン化ということは現時点では想定されていないのではないかと思います。ただ、ダークパターンに関しては皆様方からもこれまでご質問をいただきご説明させていただいたこともありますが、そもそもそういうものがあるということを知ること、そしてその知識を日常の消費生活に役立てていただくことというのが大変重要であると思っています。私たちはダークパターンという言葉自体についても、あとはどのような類型があるかということについても、いろいろな機会を捉えて周知していきたいと思っていますが、一方でダークパターンというものの具体的な中身については、デジタルの状況の進展に伴っていろいろと変わってきて、新たなやり方が出てきているというご指摘も伺っています。従いまして、いずれにしましてもどのような方々に対しても分かりやすくダークパターンという存在とそのような典型的なものは周知していきたいと考えております。
- 問 ちなみに、ダークパターンの対策を中心的に考えていく省庁というのはどこになるのですか。
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答
いろいろな観点があり得ると思います。消費者庁としましては消費者の方に向けて様々な形で周知をする。そして例えば景品表示法や特定商取引法の問題と関わってくる部分についてはそのような既存の法律を執行するということもあります。デジタル、そしてネット、そういった観点からはそれぞれそういった部分を所管している省庁、こういったところとの連携も不可欠になってくると思いますので、この件に限らず消費者庁の取り扱うテーマというのはいろいろな各省庁と連携をしながらやることで効果をより発揮するということもありますので、そのようなスタンスで臨んでいくということだと思っています。
- 問 あと関連でもう1点だけなのですけれども、消費者契約法の抜本見直しの検討、検討会になるかと思うのですけれども、予定がまだ聞こえてこないのですがスケジュール的なところと、もう一つ、特商法に関する報告書という言い方が正しいかどうかあれなのですけれども、出ているのですけれども、特商法については今後どうされるのかという、そこについて教えてください。
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答
まず消費者契約法、多分、今、木村記者からご指摘があった点については、消費者法制度のパラダイムシフトの関連ということのご指摘だと思います。この点については、以前も木村記者からもお尋ねがあったと思います。今お答えできることについてはそのときのお答えと基本的には同じ内容になるのですが、すなわち消費者委員会からの答申を踏まえてその内容について消費者庁で精査をしていて、具体的にその内容についてどのような課題をどういう制度で対応していくかとか、あとは規律の手法、いろいろな枠組みが示されていますけれども、どういった形でやるという方向性があるのか、そういったことをまず事務的に整理をしています。今後の検討としましては、そのときもお話をしたと思いますが、関係者の方に幅広く話を聞く、そして検討を進めていく必要があるだろうということで、そのような場を設けるということを今考えておりますが、具体的にいつからかというところについてはもう少々お待ちいただければと思います。具体的に発表ができるときになりましたら公表させていただきます。また、併せて特商法についてもお尋ねがありました。特商法あるいはデジタルの取引の広がりに伴う様々な課題について、これは皆さんご案内のように消費者庁としても兼ねてより問題意識をもって課題等について整理をする、抽出をする、そういった努力を進めておりますので、この点についても併せて時期が来ましたら皆様方にこういう方針で検討を進めていくということをお伝えしたいと思います。いずれにしましても、パラダイムシフトの検討をするにあたってはより幅広い消費者法制度あるいは消費者法政策も頭に入れた上での取組が必要になると思いますので、そのあたりをどう整理するか、その点も含めてまた時が来ましたらお伝えしていきたいと考えています。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
先ほど長官からお話がありました全国消費者見守りネットワーク連絡協議会なのですが、これをやはり全国的な連絡協議会に、全国的組織と位置付けたことは大変意義が深いのではないかと思います。先ほどご意見が、ご紹介していただいたのですが、やはり地域の見守りネットワークに参画するのにどうやってアクセスすればいいのか、細かい情報をどうやって収集すればいいのか、どういうアクションを期待すればいいのかというような質問が相次ぎました。その中で消費者庁に連絡してくれみたいなお話もあったのですが、なかなかそれもハードルが高くてどういうふうにしたらいいかということを都道府県と連携して検討したいというような回答があったのですが、ここについてどのように今後考えていかれるのかお教えください。 -
答
今ご指摘があったように、そもそもその窓口の情報を入手していくためのご質問が出たというところがまさに現状を示しているのではないかと思います。連絡協議会のときも資料としてお配りをさせていただいた中に、協議会をめぐる課題という資料を手厚めに用意させていただきました。いろいろな局面があります。例えば、協議会の運用をするにあたってどうかとか、あとは実際の見守り活動するにあたってどうかとか、いろいろな局面ごとの課題を自治体から伺ったものについて出させていただいております。そうしますと、やはりかなりいろいろなご指摘があります。一つは協議会の単位となる地域ごとによってかなりばらつきがあるということ、このバラつきは必ずしも悪いことばかりではないと思うのですが、どのような体制でどういう構成員でやるかとか、あるいはもっと大前提として協議会の活動に対する理解が乏しいというご指摘もありました。従いまして、先ほど冒頭触れさせていただいたのですが、改めてこの協議会とかこの協議会の活動についての認知度の向上というのが不可欠なのではないかと。実際見守りをやっておられるいろいろな分野で活躍される人が個々の消費者のご自宅に行くと、明らかに不要と思われるぐらいの大量の物品が、同一の物品が購入されているので気付くとか、そういう端緒がうまく消費生活相談あるいは関係機関につながれるという好事例などもあることから、非常に重要だと感じてこの活動をやってくださっている自治体もある一方で、先ほど申し上げたようにそもそも活動の中身が分からなくて連携がうまく進んでいないというご指摘などがございました。また、これ以外にも、予算ですとか人員体制についてのご指摘もありましたので、そこは今、概算要求させていただいている交付金の見直しなどについても力を入れていきたいと思っているのですが、いろいろな個々のご質問・ご指摘を丁寧に拾って、できるところから一つずつ解決をしていくといったことが重要と思っておりまして、そのように進めていきたいと考えております。
- 問 自治体の3割まで連絡協議会ができてきたということで、長官がおっしゃったとおりすごく格差があると。50%、人口カバー率を50%という目標を掲げていたのですが、そこに満たないところが24都道府県あるというような状況ですので一つ一つ丁寧に、特に予算要求で消費者庁が本腰を入れて本気で取り組むという、こういう長官のメッセージとかが非常に重要になってくると思いますのでよろしくお願いいたします。