堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年10月9日(木) 14:00~14:19 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日、私から冒頭2点、お話をさせていただきたいと思います。まず1点目は、食品ロスの削減の関係です。今月10月は「食品ロス削減月間」になります。これに合わせまして、消費者庁では昨年度に引き続いて「食品ロス」をテーマとして、消費者の意識、行動の把握のためのアンケート調査を行いました。その結果の概要が今皆さんのお手元に配らせていただいているものです。ポイントを説明させていただきたいと思いますが、この資料のまず1ページの関係です。食品ロス問題の認知度に関してですが、消費者の方々の食品ロス問題の認知度は昨年同様約8割という状況でございました。年代別では70歳代以上の認知度が約9割である一方で、20歳代の認知度は約7割と低い結果になっています。合わせて、10代のところをご覧いただきますと赤の「よく知っている」という割合が高くなっているというちょっと面白い傾向が出ていると思いました。また、次の2ページのところになりますが、約8割の消費者の方が賞味期限と消費期限の違いを理解しているというデータです。一方で、(3)のところになりますけれども、約4割の消費者の方が食品を購入する際に消費予定に関係なく、なるべく期限の長い商品を購入しているという結果が出ています。次のページをご覧いただきますと、寄附に関してです。約3割の消費者が家庭で余った食品の寄附を、より行うために効果的な取組として挙げているのが、「食中毒等が起こらないように、寄附先が食品の安全に配慮し、適切な温度管理や衛生管理をしている」という項目になっています。そして図4のところの一番右側に「寄附をしたくない」という回答がありますが、ここに関連して年代別でご覧いただきますと、20歳代及び30歳代と比べて、60歳代が寄附に対して肯定的な傾向が伺われたというところでございます。飲食店で食べきれなかった際の対応と理由について聞いたものが次の4ページになります。「食べきれなかったことはない」というご回答が一番割合としては高かったのですが、一方で「持ち帰るという発想自体がなかったので、持ち帰らなかった」という回答も一定割合見られたところです。普及啓発する上での課題というのを改めて認識したところでございます。次に5ページでございますが、これは既に「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」の中で目標値が設定をされる内容にも絡むところですけれども、「食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合を80%とする」という目標がございます。今回の調査結果では77.2%という結果になっています。これらの調査結果の概要でございますが、これ以外にも調査をした項目というのがございます。そして、食品ロスの削減のためには、消費者がまずこの問題があるということを認識するだけではなくて、実際、食品ロスの削減につながる行動を選択していただくことが重要だと考えております。例えば、よく「てまえどり」のお話をさせていただいていますが、すぐ使う商品であれば商品棚の手前から取るといった形で、スーパー等における食品ロス削減の効果が期待できます。消費者庁では、昨年度に引き続いて、今月の10月、食品ロス削減月間に合わせて全国のコンビニエンスストアにおきまして「てまえどり」の呼びかけを実施しています。ちなみに、今回の調査では、「てまえどり」の認知度は約7割ということでございました。消費者の皆様方には、すぐ食べる食品の購入にあたりましては、無理のない範囲でご協力いただきたいと思っておりますし、また、ご家庭で食品を管理・消費をする上では、賞味期限はおいしく食べることができる期限「おいしいめやす」であるということもご理解いただいて、引き続き、食品ロス削減にご協力をいただきたいと思っています。この調査結果も踏まえまして、引き続き、メディアの皆様にもご協力をいただきながら、期限表示の理解促進をはじめとした消費者に対する普及啓発を、国民運動として推進をしていきたいと考えています。来る10月30日でございますけれども、千代田区と全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会主催の「食品ロスの削減全国大会」が東京都千代田区で開催されます。この際に、「食品ロス削減推進表彰」の表彰式も併せて実施をしたいと考えておりますのでよろしくお願いします。
2点目でございますが、来週10月14日(火)に開催いたします「第21回全国消費者見守りネットワーク連絡協議会」についてお知らせしたいと思います。この見守りネットワーク連絡協議会につきましては、地域で日々、消費者の見守り活動を行ってくださっている福祉関係者や民間事業者の方、そして関係省庁など、トータルでは50名を超える構成員に集まっていただき、毎年開催して関係者の間の連携の強化を図ってまいりました。こういう取組は非常に重要だと消費者庁としても考えていまして、特に高齢化ですとか独居化が進んでいて、なかなか自ら相談することが困難であるという消費者の方が増えていると。そのような中で、消費者へのきめ細やかな情報提供、あるいはトラブルを察知する、そういう役割を担うというこの見守りネットワークでございますので、この活動がより活性化されること、そして消費生活センターとの連携強化も非常に重要であると考えています。このようなことから、例年この連絡協議会を開催してきたのですが、来週10月14日の連絡協議会からちょっとバージョンアップというか、新しい取組をいたしまして、具体的には新たな構成員の方にご参画をいただく、株式会社日本郵政さんをはじめとして五つの団体に入っていただきます。また、初めて都道府県の担当者にもお声をかけて参画をしていただく、そしてこの見守りネットワークの言わば全国的な組織ということで、これからの見守り活動の活性化に向けた情報交換、意見交換をやっていきたいと考えています。この連絡協議会でいろいろな議論をしていただいて、そして全国各地にこれを広めていくと。官民様々な主体の方がいらっしゃいますので、見守り活動を活性化していくと、こういったことにつなげていきたいと考えています。詳細は担当にお尋ねいただければと思います。
質疑応答
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問
日本消費者新聞社の渡瀬です。
ちょっと質問があったのですけれども、長官のほうからお話があったのでそれは置いておいて、昨今の食品の値上がりというか、そういったものが多分、事業系にしても家庭系にしても食品ロス削減に向けては、ちょっと言葉は悪いですけれども追い風になるかというような感じもするのですけれども、そのあたりの見解とか認識とかはありますでしょうか。 -
答
まず、直接的に値上がりと食品ロスとの関係というところはなかなか難しいと思います。というのは、コメントするような形での検証というかエビデンスというか、そういったものがございませんので、直接的には難しいというのはそういう趣旨です。その上でなのですが、例えば事業系の食品ロスの削減は進んでいるけれども、なかなか家庭系の食品ロスが進まないとか、そういうご意見もあります。今回の調査、配布をした中には入っていないのですが、例えば家庭で出てくる食品ロスがどういう状況かというのをちょっと細かく見ることができる項目があります。具体的に、例えば数量のところについては2023年度ロス量でトータルで464万トンあるうちに、家庭からは233万トンということで約半分なのですが、その発生要因を見ると一番多いのが直接廃棄、家庭からのもので一番多いのが直接廃棄ということで、これが約100万トンある、次いで食べ残しということで97万トン、これも約100万トンあって、これでほぼ大部分を占めているという状況になっています。それで、何でそもそも直接廃棄をしてしまうかという理由を聞くと、賞味期限・消費期限を切らしてしまった、保存していることを忘れて傷ませてしまった、買いすぎて使い切れなかったとか、そのようなことがこの調査結果で指摘されています。あとは、廃棄してしまった消費者に何を捨てたのかということも調査で聞いていまして、そうするとその中で捨てていませんと、全く捨てていませんという割合も高いのですが、一方で品目別で見てみると、加工食品としては主に食パン、乳製品、豆腐、練り物、納豆が挙げられています。また、生鮮食品で見ると主にもやし、キュウリ、キャベツが挙げられています。これは、いずれも身近な食品でよく消費者の方々が購入をされるものだと思っていまして、多分、捨ててしまったというのはいろいろな事情があるのだと思いますが、よく身近に買うものを先ほど申し上げたような理由があって捨ててしまったということなのかもしれません。ただ、やはり食品ロスをなくすという観点からも、あとはやはり作っていただいた方に対する感謝もありますし、渡瀬記者のご質問に近いのかもしれませんがお金を払って購入しているものを廃棄してしまったらもったいないと、そういういろいろな観点から家庭内でこういう身近なものに着目をして自ら食品ロスをなくすという取組もしていただけるのではないかと思っています。そういったこととの関連でご紹介できるこの資料の中にも買い物とか保存とか調理の仕方でどういうふうにしたらいいか分からないというところに寄り添うような形で具体的なやり方をお示ししたりとか、1人1人の方が自分事ということで取り組んでいただけるように様々なアプローチを工夫していきたいと考えています。
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問
フリーの木村です。
昨日、栄養機能食品に関する検討会の初会合が開かれたのですけれども、今回の改正で製品を購入する側の消費者にとって改正によってどのようなメリットが生じるのかという点についてお聞きしたいのですが、よろしくお願いします。 -
答
まず、栄養機能食品に関する検討会につきましては第1回目ということで、基本的に改正する中身としましては上限値と下限値についての議論ですとか、いくつか表示の仕方ということで、最新の状況を踏まえた制度見直しが中心であろうかと考えています。したがって、消費者の方にとってはそのようなことを反映したもの、そういったことを参考にしながら様々な栄養摂取についての取組を図っていくと考えています。ただ一方で、今はまだ検討の途中でございますのでこれから議論を経た上で全体像を、また必要な手続き、例えばパブリックコメントなどを経て成案化していくということになると思いますので、またそういったものが揃ったタイミングで中身と、それから活用によるメリットも合わせて周知を図っていくということになろうかと考えています。
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問
毎日新聞の阿部です。
食品ロスに関する意識調査について質問させてください。飲食店での食べ残しに関する項目で、前回の調査よりも「持ち帰りたかったが飲食店から拒否された」、「持ち帰るという発想自体がなかった」という回答の割当が減り、飲食店での食べ残しを持ち帰るという気運が高まっているようにも見えます。長官のご見解を教えてください。 -
答
今回、調査結果の数値だけを見るとなかなか傾向値ではっきり出ているものなのか、あるいは誤差の範囲なのかということで、判断としては悩ましいようなものがある部分があります。ただ一方で、ご指摘がありましたように持ち帰れなかったときの、これは資料で言いますと4ページに関係する部分ではないかと思いますが、ここの部分について持ち帰りということについて好意的に考えてくださっている方が増えているとしたら非常に我々としてもありがたいことだと。持ち帰りについてはガイドラインなどの見直しをして、その考え方なども明記をしているところでございますので、ただこれは一方でいろいろな方々のご協力がいることではございます。提供している飲食店でございますとか、あるいはもちろん消費者の方についてもでございます。こういった方々に粘り強く働きかけをしていくということを、引き続き続けていきたいと考えています。
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問
テレビ朝日の高瀬です。
以前、長官も言及されていましたマクドナルドのハッピーセットの問題などがあったと思うのですけれども、今日、フリマサイトのメルカリさんが取引の基本原則 を改定してこういった価格の乱高下を招きそうなものだとか、そういう悪質な出品に関しては禁止できるようにしたと発表されました。消費者にとっては非常にありがたい話かと思いますが、こういった消費者に絡む転売に関するフリマサイトの対応などについて、所見を含めてお願いいたします。 -
答
まず、ご指摘の報道については承知をしています。具体的な細かい内容を把握しておりませんので、さらには個別事業者の取組ということですのでそのことに関するコメントというのは控えたいと思います。一般論としてお答えをしたいと思いますけれども、転売ということになりますと様々な関係者が出てくると思います。まず商品等を直接的に販売する方、そしてフリマサイトなどの運営をする事業者の方、そして合わせて消費者が関係してくるということになると思います。それで、消費者の方が安全、安心にそういった場で物を買ったり、あるいは売ったりするというふうなことを考えたときに、売るというのは販売業者が売るということになりますけれども、それぞれの方々が適切にやっていただくということが重要と思っておりまして、例えば販売業者の方でしたら、変な形での転売が発生しないように売り方の工夫をするとか、あと運営業者の方も販売業者の方と連携をして転売を防止するための適切な対策を講じるとか、あとは消費者の方も販売されているものについて見て、例えば値段とか相場との関係はどうなのだろうとか、いろいろ消費者としても知識を身につけて、そういう知識を踏まえた上で商品を購入するとか適切に対応していく、そのようなことが様々考えられると思います。いずれにしましても、安全、安心な形で消費市場ができていくということを期待したいと考えています。