堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年9月11日(木) 14:00~14:25 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日、いわゆる「健康食品」の適正な利用を促す取組についてご紹介をさせていただきたいと思います。お手元に配らせていただいております「健康食品Q&A」、この中にも書いてありますけれども、健康に良いことを謳った食品全般のことを一般的に「健康食品」と言います。様々な健康食品が市場にございますけれども、同じような健康食品でも国の制度に基づいて安全性や効果が確認されているものとそうでないものがあります。健康食品をきちんと理解をして、そして利用する際に注意すべきポイント、こういったものをこの冊子にまとめています。また、この裏表紙のところになりますが、健康食品に関する様々な情報についてもご紹介をさせていただいています。あわせて一般の消費者の方向けにいわゆる健康食品について、摂取をするかどうかの判断でございますとか、あと健康食品を摂取する際に留意すべき点、こういったことを分かりやすく解説をしたアニメーション動画を作成しています。「健康志向の康子さん」ということで、これもお手元にこういった資料を配らせていただいていますが、これは消費者庁のホームページの他、動画の再生サイト上で公開をしており、こちらは資料のQRコードからアクセスをして、ご視聴いただけることになっています。ポイントをこの動画の中でご説明していまして、例えば日常で気を付けてほしいポイントを六つとか、あとは摂るときに気を付けるポイント三つとか、そういった形で分かりやすい形で解説をし、あと表示ですとか、そういう関連した情報もこの動画の中でご紹介しておりますので、どうかご覧いただいたり、いろいろな機会で、皆様方にもご紹介をしていただけると大変ありがたいと思います。私からは以上でございます。
質疑応答
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問
フリーの木村です。
健康食品関連になっているのですけれども、9日の日に消費者庁のほうで機能性表示食品の検証事業報告書を全文公表されたかと思います。ちょっと長官のほうからこのタイミングで全文を公表した経緯について教えてください。 -
答
本年の6月6日、最高裁判所より平成27年度の事業報告書、これは具体的には機能性表示食品の機能性関与成分に関する検証事業報告書でございますが、この報告書に係る情報公開請求訴訟について、二審の東京高裁の判決を破棄して、そして審理をさらに尽くさせるということで差し戻すという判決がなされました。消費者庁といたしましてはこのような最高裁の判決も踏まえましてこの訴訟への対応について検討してまいりましたが、その結果、速やかな開示による消費者や事業者全般にとっての利益等を考慮し、そして差し戻しの判決を待つことなく情報を開示をして公表することとさせていただきました。これは事業者にとっては、これまで公表をしていなかった分析方法に関する検証、この結果についても公表をするということになりますので、これをご参照いただくと事業者全体による分析方法の改善への取組が促されるのではないかと、このようなことを期待をしているところでございます。また、引き続きになりますが機能性表示食品制度の趣旨に鑑みて消費者の方々が機能性表示食品に関する必要な情報を得た上で合理的な選択ができるように、消費者の方々に適切に情報を提供してまいりたいと考えております。
- 問 関連で、今年度合計1000品目を対象に機能性表示食品などの買入調査を行うということが、紅麹問題を受けて予定なのですけれども、そうすると買上調査で問題が見つかった品目については今後、商品名とか企業名などを詳細公表していくということになるのでしょうか。
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答
買上調査につきましても、この分析手法と同様な形で検証結果については公表していくということになると思います。
- 問 検証結果を公表するということは、商品名とか企業名、問題のあった商品名とか企業名も公表するということでよろしいですか。
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答
問題となったというところについての解釈があると思いますが、買上げ、それから分析手法についてのそれぞれの目的に従った形で結果が取りまとめられますので、その結果の内容につきましては基本的に今回公表する平成27年度調査と同様な形で公表するということを考えています。
- 問 分かりました。あと関連でもう1点だけなのですけれども、開示請求訴訟の中で国側が報告書の詳細を開示してしまうと今後の検証事業に影響を及ぼすという点を説明、主張していたかと思うのですけれども、今回の決定を受けて今後行う検証事業とか監視業務などに何らか影響が出そうなのかどうか、その辺についてお願いします。
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答
今回の判断というのは最高裁の判決を受けて、公開をすること、しないことについて多方面からメリット、デメリットということを考えた上で至っているというのがまず前提としてあります。具体的にちょっと長くなるかもしれませんが、最高裁の判決におきましては二審の東京高裁は情報公開法に基づく不開示情報に該当するとしたのが検証の手法や手順、検証結果、データ、考察内容、問題点等の情報であったわけです。そしてここの部分について、最高裁としてはまず特定の分析方法が妥当であるか否かを判断する基準は機能性表示食品届出ガイドライン中に具体的な記載はない、開示のガイドラインのいかなる部分を中心に事後監視を行っているかが推知される恐れがあるとは直ちには言えない、そしてもう1点、消費者庁から検証機関に対してどのような基準で問題視するかの具体的な基準が示されていない、それで検証機関は通常知りうる一般的な知見を用いて判断していると考えられることから、事業者が問題点の指摘を免れることを容認させる恐れがあるとは直ちに言えないとし審理不尽ということで、差し戻しをしたと理解をしています。木村記者からのお尋ねで端的に、消費者庁のこれから行うアクションに影響があるのかないのかというところについてはお答えは控えたいと思うのですが、このような最高裁の指摘ですとか、あとは冒頭のご回答で申し上げたようなメリット、そういったことも勘案して今回の判断に至ったということでご理解いただきたいと思います。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
木村さんの質問とほぼかぶってしまっていたというところはあるのですが、今回のこの最高裁の判決をどのように受け止められたのでしょうか。
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答
木村記者に対してお答えをしたことと重複する部分もあるのですが、最高裁の判決を受け止めまして消費者庁として情報開示の対応について開示のもたらす支障、公益、そういったことを全般として検討した、そしてその結果、速やかな開示による消費者と、そして事業者全般に対する利益等も考慮して速やかに開示をしようと考えたところでございます。
- 問 これまで主張されていた事後監視や検証機関による問題点の指摘を免れることを容易にさせる恐れがある、あと検証機関による忌憚のない検討結果の指摘を困難にする恐れがあるという主張に関しては最高裁の言われるとおりだと、一応判決を受けてそのように判断されたということでよろしいのでしょうか。
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答
具体的に個々の判断の、判旨の中のこの部分についてどうというお答えは控えたいと思います。ただ、様々なご指摘をいただいた中で私どももこれまで主張してきた内容、この重要性というのは我々としても実感した上で主張してきたことですから、そういったことの懸念が起きないようにしつつもやはり消費者、そして事業者全体に対する利益、こういったものを判断した上で公表すると、そのようなことでございます。
- 問 こういう真っ暗な、のり弁とかとおっしゃっていましたけれども、あとこういうものは、ここだけは一応公表がやっとされたということなのですけれども、そもそも機能性表示食品は国が審査をするわけでもなく、許可をするわけでもなく、事業者の責任で科学的根拠の資料を届け出ることで表示ができるわけで、ここに重大な資料通りの分析方法で機能性関与成分が分析できない、あとは関与成分の含有量が表示よりも少ないとか過剰に含まれているという製品があったことが件数だけしか公表されず、その後、何らの対応もされず知らない間に届出が撤回されたり修正されたりしていて、どの商品だったか、どのメーカーでどんな問題があったのかというのを消費者が知らされないというのはあまりにおかしかったのではないかと思います。今回、新たにいろいろなことが見えてくるのですよ。例えば、ルテインのカプセルの中身液を加水分解しない製品があったとか、2製品のうちの多くは黒大豆食品エキス由来であったと思われるということとか、イチョウ由来エキスの中の安全性に関わるギンコール酸の分析がなかったとか、トマトジュースの機能性表示にあるリコピンが過剰摂取に繋がる恐れがあるとか、快眠をサポートするL-セリンの安全性について安全性が担保されているか検討の必要性があるとか、様々なことがこの表から見えてきます。ですが、消費者が知りたい、それについてどのように対応されたかということはちょっと分からないのですが、これについてはどのように対応されてきているのでしょうか。
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答
まず、この検証事業はご案内のように機能性表示食品制度ができた平成27年度から実施をして、今回公表することになったのはその初回の報告書になっています。それで、この27年度の分析方法に関する検証については、まず具体的に届出資料に記載された分析方法につきまして、機能性関与成分の定性確認及び定量確認が可能かどうかを検証してそれぞれの評価を実施する、これがそもそものこの事業の目的でございました。それで、ちょっと解説をさせていただきますと、まず定性確認については機能性関与成分に特異性が高い場合は○というものがついていて、この特異性というのは由来がどうなっているかという由来の確認も含めて表示された成分が同定できる、特定できるか、こういった特異性が高いものは○、それが一部の情報が不足しているなどやや低いものが△で、情報が不足しているという場合は×というふうな印がついています。そして、定量確認については届出の資料の記載内容で分析が可能と考えられる場合については○、そして技術的な情報が一部欠けている場合は△で、第三者による分析が不可能であること、情報が不足している、こういった場合は×がついていると、このような表記が、分析方法が科学的な観点から検証したものということになっています。その上で、今回の調査の中で対象となった商品の数が146商品ありました。そして、この146商品のうち△あるいは×という印がついたものが68商品ございました。そして、大半の指摘の内容というのは情報の一部不足というふうな事業者が再確認をすることが容易なものでございましたので、実際、事業者ごとに結果を通知をしまして、この検証事業、事業者ごとに結果の検証、通知をさせていただくということにしていますので、それをした結果、62商品については分析方法を示す資料、定性、定量性が十分に説明できるものに補足あるいは修正をするという変更届が出されているという状況です。さらに、残りの6商品につきましては自主的に撤回届が提出をされ、68商品について現在、その対応は全て完了しているという状況になっています。ただ、いずれにしても基本的にこの機能性表示食品についてはご指摘のような制度設計であるということがありますので消費者の信頼性の向上、こういったことを努めていきたいということもありまして、今回このような対応をすることにしたということでございます。
- 問 商品によっては品質が安定していない、いなくて製品工程にいかに問題があると考えられると指摘があったり、あと15%以上含有量が少ないという指摘があるようなものもあるのですが、それは全部撤回されているということで受け止めてよろしいのでしょうか。撤回されてもまた販売されている、現在販売されている商品もあるのですが、それについてはどのようになっているのでしょうか。
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答
まず個々の商品1個1個とか、当時のものと現在の商品、ちょっとその点につきましてはお答えを控えたいというふうに思っています。ただ、先ほどお話をさせていただいたように定性確認、そして定量確認の部分につきまして27年度調査結果の中で指摘をされた商品、こういったものについては補足、修正の変更届がされたり、あるいは撤回をされたりしているという状況でございます。また、機能性関与成分の分析方法の検証を目的とした報告書でございますが、その際に専門家の方から安全性を含む指摘がいくつかあって、それで冒頭、相川記者からもご紹介があったような中身がございました。こういったことにつきましては、私ども消費者庁としましては機能性表示食品制度の適切な運用のための情報というふうに考えておりまして、消費者庁で例えば素材情報データベース、これは医薬基盤・健康・栄養研究所で素材情報データベース、こういったものを作っており、こういったものの情報の充実等に取り組んでいるということもございます。引き続き食品事業者の皆様方には本報告書の内容を参考にして届出資料の質の向上、こういったことに取り組んでいただきたいというふうに考えております。
- 問 1000件の今年度行った買上調査の結果なのですが、消費者はやはりどういう問題があってどう改善されてどのようになっているかが知りたいのだと思うのですね。2015年度の調査結果が今公表されているということなので、そこについて確かに細かく言うことも違うのかとは思いますが、今回調査した結果についてはそれも含めて消費者が聞いて納得ができるように公表をしていただけるのでしょうか。
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答
1000件の調査、買上調査というご指摘がありましたが、現在調査中のものも含めまして平成27年度の今回の報告書と同様に、原則として全て公表するという方針を今考えております。ただ、原則としてと申し上げましたのは個人の情報ですとか権利の保護等、こういった観点から不適切なものもある場合も考えられます。したがいまして、こういったもの以外の部分については基本的に原則公表していくと。このような方針のもとで過去の報告書、それから現在実施中のものあるわけですが、内容を精査した上で準備が整ったものから公表していくということで考えておりますので、また引き続きそのような情報をご参照いただければと考えております。
- 問 大きな全体的な話として、情報公開の消費者庁の姿勢についてなのですが、今後、この判決を受けて少しは変わってくるということなのでしょうか。
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答
全体の消費者庁の方針というところが、様々な具体的なケースを想定されているのかなと思いながら今聞きました。ですので、その点についてはお答えしかねる部分はあります。ただ一方で、今回の事案に関しては先ほどから申し上げているとおりですし、あとそれ以外の情報の開示あるいは情報の伝え方、そういったことについては、私、就任直後からこれは何度も申し上げておりますが、ともすると分かりにくくなるような非常に専門的、技術的な内容というのも非常に多くなっております。消費者行政、消費という分野がそれだけ広いからということになるのですが、そういったことを科学的知見にも基づきながらリスクコミュニケーションを図る、これは非常に重要なことでございますし、どういう形でそれをお伝えするのが分かりやすいかなというのは日々我々も考えながら、悩みながらでございます。今日、冒頭発言で健康食品についてQ&Aですとか動画について紹介をさせていただきました。これはちょっと前から実は公表しているものなのですが、ただ中身、今日的に改めてご覧いただきますと皆さんの中ではご存じの方は多いかもしれませんが、こういう中身もやはり気づいていなかったとか、改めてこうなのだと思われる方も多いと思うのですね。ですので、消費者庁としましてはあらゆる機会を捉えて情報の開示、公表ということは努めていきたいと思いますし、その際にできる限り分かりやすくということで心掛けていきたいというふうには考えております。
- 問 やはりサプリメント形状のものに対する規制のあり方については早急に検討すべきだと。注意喚起だけをしていても仕方がないと私は思っていて、そういう方は多いのではないかと思っています。消費者委員会からも意見が出ていますが、消費者庁はほとんど回答していません。これについては、検討はされているのでしょうか。
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答
サプリ形状ということで、機能性の部分が強く出て服用にあたって注意をしなければいけないとか、様々な点がございます。現在、そういう点につきましては消費者庁、そして厚生労働省の関係するところといろいろな形で意見交換をして検討しているとそういう状況でございます。
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問
ウェルネスニュースグループの石川です。
今日の一連の質問の関連で、検証事業報告書の全面公表というところですが、長官のご説明があったとおり、これは事業者にとっても利益があるから公表したというところ、ただ一方で不利益もあるのではないのかなというふうにも、というのはこれは実名で商品名を出している、社名も、先ほど説明あったとおり、既にこれは分析手法に関する指摘は改善されているというものが多々あるということになるのですね。にもかかわらず、この報告書は×だとか△だとか、そういうのもそのまま示しているわけで、これは一種、消費者に誤認を与えるようなものなのではないか、あるいは風評を起こすようなものになるのではないか、そんなふうに思いますけれども、そこはどうお考えでしょうか。 -
答
そもそも機能性表示食品を含めて食品の安全性の確保、これは非常に重要な問題なのですが、食品衛生法等の関連法令の遵守でございますとか、事業者が責任を持って担保される、こういったことが大前提となっている制度ということがございます。そういう前提のもとで消費者が信頼をし商品を買っていただくために事業者の方々もいろいろ努力をされているというふうに思いますが、その過程でこのような指摘があってこういうふうに直していくということ自体は、必ずしも風評に結びつくかどうかというのは、そこは議論があるところだと思います。それと、先ほどご質問いただいたときにあえて、ちょっと長くなるのですが、△とか×、こういったものの考え方というのをご説明させていただきました。それは、何か印がついていることで全部それが駄目とか、そういうこととはまたちょっと違う意味合いで、今回報告書の中にこういう考え方で使われているということをご説明したかったという、そういう趣旨でもあるのです。したがって、消費者庁としてはちょっとこういう疑問があるから情報を出さないという選択をするのか、あるいはここの部分をこういうふうにして解消して公表することで最終的にはいろいろな利益に繋がるのか、やはりこれはやや一般論に近い話になりますが、全体としての利益衡量をする、あとは判断するということが必要かというふうに思っていまして、そのような一連の判断に基づいて今回の事案については公表することにしたということでご理解いただければと思います。
- 問 △とか×の意味合いも多分説明した方がいいのかなと。かつ改善されているというのも分かりやすく伝えるべきなのではないかなというのが個人的な意見です。