堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年8月28日(木) 14:00~14:31 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日、私から冒頭、お子さんとご参加いただけるイベントについてお知らせをしたいと思います。消費者庁におきましては、関係府省庁と連携して、消費者に食品の安全に関する知識と理解を深めていただくために、食品安全に関する情報を提供しています。この取組の一環といたしまして、本年9月に東京で、また、11月に大阪で開催される2つのイベントにおきまして、「食べものの安全ってなあに?親子で学ぼう!体験しよう!」というテーマで、親子で食べものの安全について一緒に学ぶことを目的としたブースの出展を行います。日時、場所等の詳細につきましては、お手元のプレスリリースをご参照いただきまして、ご不明な点がございましたら担当課の消費者安全課にお尋ねをいただければと思います。なお、この出展のブースのコンテンツにつきまして、具体的には食品の安全に関するパンフレット・リーフレットといった資料の配布などとともにパネルを展示いたしまして、その学習効果を検定するクイズを考えています。プレス発表資料の2枚目に書かせていただいていますが、お子さまが取り組みやすいように「手洗いのようせい ソーピィ」というアライグマのようなキャラクターを活用し、検定を実施していきたいと考えています。例年このイベントは実施し、放射性物質や食中毒について周知をしてきたところでございますが、今回は食品添加物や残留農薬についても盛り込みまして、より理解を深めていただくことにしたいと考えております。
質疑応答
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問
NHKの佐々木です。
本日、新幹線の車内でモバイルバッテリーが発熱するというような事案がありまして、今、お一人の方が怪我をしてしまったというようなことがありました。モバイルバッテリーの取扱いなどについて、日頃から注意喚起等をしていただいているかと思うのですが、改めて注意する点だったりとかを呼びかけていただければと思うのですが。また、実際に相次いでいること自体についての受け止めというのをお願いします。先日も山手線でもありました。 -
答
今、佐々木記者からご指摘のあった件については報道で承知をしております。モバイルバッテリー、リチウムイオン電池を使用した製品についての注意ということは7月にも会見の場でお話をさせていただきまして、報道で取り上げていただいた社もあったのではと思います。改めてお礼を申し上げたいと思います。非常に暑い日が続いているということもあります。リチウムイオン電池というのは非常に便利なものでいろいろな製品に使われているということもあります。ただ一方で、熱ですとか衝撃に弱いという性質があって、取扱いというのは適切な形でやらないと火災等につながる、そして人命にも関わってくる可能性もあるということで注意をお願いしたいと思います。特に炎天下の車内ですとか高温多湿の場所での使用・保管のリスクも考えられると思っています。具体的な取扱いについての注意点ということでございますが、強い衝撃や圧力に弱いということがあります。また、損傷したもの、異常を生じたものは使用しないことも極めて重要でございます。また、以前もお話をしたと思うのですが、商品のリコールが発生した場合に消費者庁のリコール情報サイトというのを設けています。各事業者さんでもリコール製品についてホームページなどで周知をして対応されていると思うのですが、消費者庁のリコール情報サイトで、検索も可能な形にして、いち早く情報を掲載するということをしております。リコールの対象になった商品を使い続けるということは極めて危険ということもありますので、そういう場合については直ちに使用を中止する。その参考ということで消費者庁のリコール情報サイトなどもご確認いただければと思います。また、ゴミの収集所とか施設で火災が発生したということで、事前にそういう業務に従事する方の安全ですとか、施設への影響ということも指摘をされていると承知をしています。ですので、正しくリサイクル・廃棄、こういったことも引き続き心がけていただきたいと思います。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
2つ質問をさせてください。まず、不当寄附勧誘防止法の見直しについてです。施行後2年目途の見直しが附則第5条で規定され、2023年1月5日施行、完全施行が同年6月1日ですので、もう見直しが始まること自体遅いというところがあるのですが、8月5日に開催された不当寄附勧誘防止法執行アドバイザー会議、これはどういう位置付けなのでしょうか。この時点で法執行アドバイザー会議が立ち上がること自体が疑問で、見直しのための検討会は設置されないのでしょうか。 -
答
不当寄附勧誘防止法執行アドバイザー会議ということでご質問いただきましたが、この会議の位置付け、性格というところについてまずご説明をしたいと思います。今、相川記者からご指摘ございましたが、附則第5条に基づく2年後の見直しに関連しまして、寄附の勧誘等に関する優れた知見を有する方々から、不当寄附勧誘防止法の法律の施行状況でございますとか経済社会情勢の変化、そして多様な方々からのご意見を伺った結果を踏まえたご助言をいただきながら、法律の附則第5条に係る検討を進めるべく、今般、不当寄附勧誘防止法執行アドバイザーを構成員として会議を開催するということにさせていただいたところでございます。
- 問 まだ資料も議事録も出ていません。議事録も概要ぐらいは出ると思うのです。非公開にしなければいけない部分があるということは理解しますが。メンバーが被害弁護団も入っていなければ、当初検討に関わった方々も入っていない。この会議自体を設置することに対してはそれはそれでいいのだと思うのですが、本来、こういう法律の附則に規定されている見直しは、公開の見直しのための検討会でやるべきではないのでしょうか。
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答
今のご指摘に関してでございますが、まずこの会議の中でどのようなことを議論するかということについては法律の具体的な運用状況をお示しして、法の規定について議論が行われるということになります。その議論に際しましては、個人や法人等に関する情報、機微な情報も含み得るものでございます。例えば、被害者・弁護団等の方々から情報提供があった具体的事実でございますとか、具体的な調査・執行方法に関する内部情報、こういったことについてもお示しをした上で忌憚のないご意見をいただく、議論をいただくと、そのようなことを考えております。したがいまして、自由闊達なご意見をしていただくという観点からも、機微な情報を扱うという観点からも、この会議自体は非公開にさせていただいています。ただ、その上で今ご指摘があったように一体どういう議論がされたのかとか、そもそも今回の議論をする見直しについていろいろな形でご要望があった点があります。そういったどのような素材に基づいて議論がされたのか、こういったことについては私どもとしましても透明性の確保は重要なことだと考えておりますので、議事要旨そして会議における配布資料につきましては公開することを考えております。したがいまして、具体的にいつというところまでは今の時点では申し上げられないですが、少々お時間をいただきたいと考えております。
- 問 元々、この法律は機能しないのではないかということが国会で散々議論されました。現実に処理ケース、定期的に公開されていますが、禁止行為への勧告・命令・公表は1件も出ていませんし、配慮義務が遵守されなかった場合の勧告も1件も出ていないと記憶しています。こういう受理件数、処理件数、対応状況、そういうものは公開でまず第1回目の会議をし、その中で現実的に具体的な例に対して検討するときはその部分だけ非公開にするというのが前例です。前例もひっくり返してこういうことしかしないというのは、逆に機能していなかったことを隠したいのかとみんなに思われてしまうと思いませんか。これは透明性を持ってきちんとやるべきで、今分かっている受理件数、処理件数、対応状況、あと1件も勧告が出せなかったことについての理由についてお教えください。こんなものは公開の会議でいろいろな先生から説明を、意見を聞くべき内容です。長官会見で質問が出ること自体、本当は問題だと私は思います。
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答
まずこの法律が施行をされてどのような形で処理をされているかということについては、消費者庁はこれまでウェブサイトで半期ごとに公表することにしています。数字についてはご覧いただいているのだろうと思っています。消費者庁としてこの法律の執行にあたりましては、本法と証拠に基づいて厳格に運用しているという状況でございまして、その結果、現在のところ勧告あるいは命令、この対象になったという事案についてはないという状況でございます。その上で、行政上の措置や罰則を定めた不当寄附勧誘防止法の施行が、悪質な寄附の勧誘行為が抑止をされ、改善をされ、どう効果が出ているのか、こういったことを、会議の場などにおきまして法の規定について附則5条に基づき適切かつ着実に検討・対応するということだと思っています。現時点で具体的な資料が出ていないという点につきましてはしっかりと受け止めたいと思いますが、しかるべき時期が来ましたら、今のようなご指摘の点も踏まえましてデータですとか議論の経緯についてご説明をさせていただきたいと考えています。
- 問 第4期目に1701件というものが出ていて、調査件数とかが12とかになっていて、これは一体、施行後に現実的に調査ができたのがどの程度で、その調査結果がどういう内容で、全く何もできなかったのかというところがすごく分からず、勧誘を受けてから10年間は取消権の対象になるみたいな答弁まで行われていたのに一体どうなったのかというのが全く分からず、やはり被害弁護団の方たちのご意見とかが公の席で聞けるような状況を作るのがしかるべきです。これに関しては本当に問題があると思いますので見直してほしいと思います。誰が見てもおかしいと思います。
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答
先ほどの繰り返しの部分もありますけれども、具体的に今後、取りまとめなどの内容につきましては丁寧な説明をというふうに考えておりますので、少々お時間をいただければと思っています。
- 問 機能性表示食品の食品表示基準改正について、強調表示の禁止規定を緩和して、糖質ゼロ、食塩無添加、ノンカフェイン表示などを可能にする問題についてまず質問させてください。これ、意見募集がされていて、7件しか寄せられていないのですが、これをどう受け止めていますか。
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答
今ご指摘の食品表示基準の一部改正案に関するご意見ということでいただいたもの、7月24日時点のものですが、6月13日から7月14日までという期間で意見募集をさせていただきました。そして、寄せられた意見の結果でございますが、今ご指摘ございましたが7件ということで、1件の中に複数の内容が含まれているものもございましたので分割すると8項目という状況でございました。この他に、今回のご意見を募集した内容と直接関係ないご意見というのが2件あったという状況でございます。それで、この内容につきましても既に消費者庁の考え方等につきまして公表をさせていただいておりまして、消費者委員会の中のご議論を経て今回の結論に至ったということでございます。
- 問 質問で何が言いたいかと言いますと、食品表示基準は別表とかがあって条文だけ読んでも一般の方は理解できません。このような、いつもそうなのですが、わざと意見を寄せてほしくないのではないかと思うような募集の方法がずっとされてきています。消費者の方は、本当は自分の身近に感じるものであれば意見を出せると思うのですが、この食品表示基準の改正がまだ見直して1年で、強調表示のところを緩和する規定でどういうものが今まで禁止されていて何が対象になるかということをこの条文を読んで分かる人はほとんどいないと思われます。他のものも似たようなものもあるのですが、まず意見募集のやり方を見直してほしいというのが第1点です。みんなが分かるように、関心がある人が分かるような意見募集を、消費者庁のトップページに、見出しに出して具体的に解説をした文章とか表を付けて意見募集をすることをご検討ください。それについてはいかがでしょうか。
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答
今ご指摘ございましたように、食品表示基準に関しては専門的な知識、仕事でそういったことをやっている、あるいはそういったことを学んで関心を持っている方であっても非常に多岐にわたったり複雑だったり分かりにくいということがあるのかもしれないなというふうに思っています。ましてや通常、日常生活、食品を身近に扱う状況の中でどこまで分かった上でどういうふうに判断できるかというところについては、我々としても問題意識を持って常に分かりやすくやっていかなければいけないなというふうに思います。今、相川記者からお尋ねのあったように意見募集のやり方についていろいろ工夫をということでございました。個人的な感じとしては意見募集のみならず、周知とか様々な伝達の仕方においてもどういうふうにして分かりやすくできるかなということは悩ましいことであり、不断に努力をしていく必要があると思っています。ですので、この場で具体的にこの件についてこういうふうにやりますというお答えは差し控えたいと思いますが、引き続き関心を持っていくと。例えば、今、消費者庁で「知っておきたい食品の表示」とか「健康食品Q&A」になっていますけれども、一番分かりやすいリーフレット、パンフレットは何だろうかというのを中でも議論をしたりしています。ただ、やはり制度が見直されたときに、事業者の方もそうですが、消費者の方もご覧になって分かりやすい形で情報を届けていくということはとても大事だと思いますので、いろいろとご提案などもいただきながら、できるところから少しずつやっていくということかと思っています。
- 問 今回、あまりに複雑です。本当にどこで始めたのか、専門の方からも複数質問が出て非常に分かりにくいですので、きちんと今後も説明していく必要があると思います。それから、消費者委員会で結局、答申どおり認めたということなのですが、条件として意見が付きました。適正な表示を促すための手引きや不正表示を把握・是正するための指針の改定と適切な監視指導を求めているのですが、具体的にはどのような改正を検討されていますでしょうか。
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答
ちょうど昨日になりますが、消費者委員会の方で食品表示基準の一部改正案については改正案のとおりとすることが適当ということになりました。ただ、意見が付けられていまして、具体的には、今ご指摘が一部あったところでございますけれども、まず「本改正が消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保に寄与しうるよう、事業者に適正な表示を促すための手引きや不正表示を把握・是正するための指針の改定」、そして「手引き・指針の内容に準じて適切な監視指導」、そして「消費者向けのわかりやすいQ&Aを活用した普及・啓発」の実施、この意見がついたと承知をしています。このような意見を踏まえまして今後、消費者庁といたしましては、この改正食品表示基準の施行とともに「食品表示基準Q&A」及び「機能性表示食品の届出等に関する手引き」を改正することとしています。具体的にはこれからということにはなりますが、事業者に対して過剰摂取懸念のある成分について注意すべき事項等を示したいと考えております。引き続きこういうことも実施をし、パンフレット等を用いた消費者への分かりやすい普及・啓発を併せて進めていくということになろうかと思います。
- 問 食品表示部会で出された表示の見直しのモデルという、適切な例というのが出まして、これまでもいかにも切り出し表示、その関与成分だけを注目できるような、そこだけが見出しになるようなものではなくて、機能があることが報告されていますということと、ほとんど同じ文字で書いてくださいということと、あと「食生活は主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」取るということもきちんと同じぐらいの大きさで書きましょうということが合意事項になったはずなのですが、今回、本当に複数使っているときに関与成分だけが目立つようなものが出てきてしまったと。施行もされているのに、今は届出のため、届出等の手引きが出ていますが1行も入っていないと。そういうことについてもきちんと手引きを見直すというような答弁があったのだとは思うのですが、本来ならそういうものは事前に入っておいて然るべきものが今の手引きの中には入っていないと。今回の見直しによって過剰摂取になるような脂溶性ビタミンであるとか、そういうものについては注意喚起をするというご答弁がありましたけれども、本来盛り込まれるべきものが盛り込まれていないと。今禁止されている、例えば食塩無添加であるとかノンカフェインとかが禁止されているにも関わらず現行に表示されていると。それはどうするのですかと。今回も一応、表示は届出をしますから、新しくきちんと囲みで食品機能性表示であることを明確にして、番号も規定して、そういう新しいものにしか認めませんというようなご説明はありましたけれども、その後、勝手に表示が変えられたのか、その表示がずっと維持されているのか確認をしているのですか。それはどうやって確認するのですか。
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答
(食品表示課保健表示室)
届け出られた後に正しく監視指導ができているかというご質問でよろしいでしょうか。 - 問 調査をしているのかという質問です。1回届出をした後にどのような表示がされているのか調査をしているのかという質問です。ものすごい数の機能性表示食品になっていますので、今後それが本当に担保されるのですか。
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答
(食品表示課保健表示室)
届け出られている内容につきまして、表示見本が提出書類として付いています。そこにつきましては、届け出られた内容で食品表示基準に示している義務的な表示などが正しくされているかというところを確認しています。また、事後につきまして、チェックが十分でないというご意見が食品表示部会の中でもあったとは思いますが、その点は今後適切に監視指導を行うということは努めてまいりたいと思います。 - 問 よく分からないのですが、何人の体制でどれだけ監視をしているのですか。確認しているのですか。だって今違反があるわけで、あったという意見が出ていますよね。今すでに禁止されているものが書かれているのでそれに合わせて今回基準を改正するという話なのですけれども、それは順番的には本当に違っていて。違っていますよね。本当にちゃんと届け出た内容できちんと表示が続くのかどうかも分からないですよね。そういう事実があったときに。いつも事業者が容器包装を変えるのは大変なのでできるだけ食品表示基準の改正はまとめて行って頻繁には行わないとずっと言ってきています。添加物の見直しなどは本当に4年も進まないのだけれども、今回、事業者にメリットがあるものは頻繁に行われるのですね。おかしくないですか。
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答
今、いろいろとご指摘をいただきました。担当の方も資料を持ち合わせていない内容が多いようでございますので、そういった点についてはまた改めてと思います。ただ一方で、今回の見直しの背景、これは重々、消費者委員会の議論などでも把握をされておられることだと思いますが、結局、事業者のみならず消費者の自主的な食品、商品の選択に資する表示にするということの観点ももちろんありながら、成分を添加していない、成分を含まない、こういった表示につきまして、今、商品選択に資する表示として一般的な食品に広く用いられているとか、令和6年8月の基準の改正、こういったことで表示の明確化が図られたということが一部あるということ、そして様々な背景等を踏まえて一般的な食品と同様に容器包装上の表示を可能とするという見直しを今回提案して、いろいろなご意見をいただきつつ、消費者委員会の方でもお答えいただいたというふうな形で理解をしています。ただ、この中にあってやはり機能性表示食品制度の本来の趣旨ですとか、紛らわしいといった問題が発生しない、そういったことのように考えた上届け出た機能性、関与成分以外の成分を含むことを強調する用語については引き続き、一定の場合を除いてですが表示禁止事項のままとすると、このような議論になったと考えています。実際問題、食品表示は非常に重要なことでございますし、私どもとしても適正に執行していく必要があると考えています。ただ、食品の数が大変多くございまして、ご指摘もあったように職員執行の体制に限りがあるという中でどういうふうにしてやっていくのがいいかを常に考えながらということではございますが、制度の見直し、そして執行についてもワンセットのことでございますので、今回の制度改正をした結果、どのような形になっていくか、ここは注意深く見守りながら、いろいろなご指摘・ご意見も伺いながらやっていくということで進めていきたいと考えています。
- 問 特保では認めていないということで、明確な回答がないのですが、特保では個々に一つ一つ審査をして委員が認めてこなかったという話があります。整合性についてもやはり問題があると思いますので、もうちょっと丁寧に、本当に今、機能性表示食品が問題になっているのであれば、一般の消費者に分かるようにまず意見募集をすることです。それは最低限だと思いますのでよろしくお願いします。