堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年7月31日(木) 14:00~14:27 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭私から、経口補水液の使用方法について発言させていただきます。明日から8月に入りますが、夏休みやお盆といった外出の機会も増えてくるシーズンとなってまいりまして、連日猛暑が続いている中、脱水症なども懸念されることから、経口補水液の使用方法につきまして改めてお知らせいたします。経口補水液は、特別用途食品でございまして、脱水症時の食事療法として用いる病者用の飲み物です。スポーツドリンクと見た目が似ている飲み物でございますが、一般的なスポーツドリンクよりも、ナトリウムイオン等の電解質量が多く含まれているために、脱水状態でない方が普段の水分補給として飲むものではないと考えています。また、経口補水液の中には、ノロウイルスなどを原因とする、感染性胃腸炎による下痢・嘔吐に伴う脱水状態に使用できるものもございますし、熱中症による脱水状態に使用できるものもございますので、パッケージをよくご確認の上、購入をしていただくようお願いいたします。消費者庁といたしましても、消費者が経口補水液の適正な使用方法等を正しく理解をできるように、リーフレットや動画、政府広報等を通じて普及啓発を行っているところでございます。消費者の方々には、「経口補水液」を正しく理解していただき、適切にご利用をいただくようにお願いしたいと思います。
質疑応答
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問
NHKの佐々木です。
冒頭発言と内容が異なるのですけれども、7月に入って河川だったり海だったり、またプールで遊ぶ人も増えていて、その中で子供が亡くなる事故だったりとか、亡くなるまではいかないけれども重大な事故が多数発生しています。消費者庁では日頃から水の事故について注意喚起をされてきたかと思うのですけれども、改めて今年は相次いでいるということで注意喚起があればお願いいたします。 -
答
ご指摘のように最近、お子様のプール等の水難事故を報道等で耳にするところでございます。これまでも消費者庁には、プール等のレジャー施設ですとか教育施設、あるいは家庭等での溺水に関する事故の情報が寄せられてきていまして、消費者安全調査委員会における事故調査や消費者への注意喚起を行ってきたところでございます。改めてお願いしたいのは、まずプール等の遊泳施設や教育・保育施設を運営する皆様方におかれては、監視や救命処置のための体制づくり等を進めていただく、そして利用者の安全を最優先するという認識を現場で共有していただきたいと思います。また、消費者の皆様方におかれましても、プール等で水遊びをされる際の事故防止策としまして、こどもだけでは水に近づかない、そして大人が目を離さずに手の届く範囲で見守ること、水に関する危険と対処法を学習していただくこと、事前の準備をしていただくことなどの実践をお願いしたいと思います。お子様は声とか音を出さず静かに溺れる、大きくわーっと声を出すのではないために気がつかなかった、こういった指摘もあります。ですので、少しの時間だからとか水の量はそんなに多くないからと油断をしないで、事故の防止に努めていただきたいと考えています。
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問
日本流通産業新聞の星野と申します。
先週金曜日に東京地裁が、2023年10月に消費者庁がforty-four株式会社に対して景品表示法に基づく措置命令を行ったことについて取り消す判決を行ったのですけれども、これについて長官の受け止めと、今後控訴するかどうかについて教えていただきたいです。 -
答
まず今回の東京地方裁判所の判決におきまして、国の主張が認められなかったということについては大変残念だと考えています。今後の対応につきまして、判決内容を精査の上、関係機関と協議をして検討しているという状況でございます。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
実は本日午前中に行われた食品表示部会が、機能性表示食品の機能性関与成分以外の成分を強調する用語を緩和する食品基準改正案を提出した問題で紛糾しました。結論が持ち越されたのですが、昨年9月に食品表示基準を改正して容器包装の表面に機能性表示食品という文字を囲んでその下に番号を書くことで、消費者庁のホームページにアクセスをして消費者がそれを自由に見られるようになった、この改正を受けての見直しだという説明がされたのですが、この経過措置中でどの程度表示が変更されているのか。また、施行後、消費者からの消費者庁ホームページへの機能性食品の関与成分に関する部分に関して、アクセスがどの程度増えているのかは把握されていらっしゃるのでしょうか。 -
答
まず、午前中の部会については詳細についてまだ聞いておりませんので、フォローしたいというのが1点目についてです。2点目のデータ状況につきましては、担当の方からお答えをさせていただきたいと思います。
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答
(食品表示課)
昨年の9月の改正を受けて、具体的な中身・内容について現状どうなのかという質問なのですけれども、確認しないとここでは分からないので追って担当の方から連絡させていただければと思います。 - 問 前提として、こういうものが全くないというのはすごく疑問でしたし、例えばノンカフェイン以外にどういう表示が出てくるか全く分からないというようなご懸念があったり、それから、サプリメントについて無添加が当たり前の、砂糖無添加であるとか食塩無添加が表示された場合に、実際のものよりも良い商品であると誤認してしまうのではないか。また、脂溶性のビタミン1日分が取れますと書かれたときに過剰摂取をしてしまうのではないかというようなご懸念がたくさん出されました。それで、もう1点確認させていただきたいのは、補正予算から機能性表示食品買い上げ調査1,000件分の、半分の500件分は補正予算から入っているのですが、買上調査はどうなっているのでしょうか。併せて、買い上げですので、表示も調査できると思うのですが、表示の調査結果は一体いつぐらいに出るのでしょうか。併せて表示の調査もやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
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答
(食品表示課)
昨年度の補正予算で500件分の買上調査をやっているということは事実でございまして、こちらは繰り越しを行った上で現在まさに調査を行っているところでございます。年内を目処に調査の方が進められるようにまずは取り組んでいるところでございます。その結果については年内に終わった後、必要な取りまとめを行った上で公表してまいりたいと考えております。 - 問 新たに緩和する政策を打つときに、そういうものが全く出ない、検証が全くない、そういうのはあまりにも問題ではないかと思っていて、併せて表示も調査していただけないかと思いますのでご検討ください。それと、優良誤認があった場合の対応策として、景品表示法で対応するというふうに回答されているのですが、景品表示法の執行部隊が一体どの程度いらっしゃるのでしょうか。消費者庁はそれをどのように理解されているのでしょうか。
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答
(食品表示課)
まず1点、午前中の会議で、景品表示法で対応するということではなくて、今回の規定の、今回の府令の改正にあたっては当然、前提として景品表示法も含めた法令を遵守した上での議論であるということを申し上げた次第でございまして、全てを景品表示法で見るとか、そういうことを言っているわけではございません。 -
問
委員からも、景品表示法で対応するということに対してご懸念が出されていましたけれども、景表法の執行件数、2025年は今3件です。2024年、消費者庁は7件です。ずっと私は言っていますけれども、地方消費者行政は相談員が減っているだけではなく職員も減っています。専任職員が激減していて、都道府県は今、もう景品表示法を執行できるような体制はありません。昨年、都道府県で景表法の執行を行っているところは埼玉県と京都府だけです。一昨年は埼玉県と東京都ですので、地方に執行部隊があるというか、執行ができる人員がいるというふうに考えていただくのは全く間違いだと思います。それで、食品分野の専門の先生方はそういうことはなかなかご存じないと思いますので、景表法で議論するようなことは、そういう前提をきちんと説明してからにしていただきたいなと思いますので、今後、今日質問が出たものに対しては消費者庁から回答があって、食品表示部会の方で検討してくださるということですので、それをまた注視していきたいと思いますけれども、あまりに前提として何もない状態で、検証も何もない、どのくらい施行状況が進んでいるかも分からない時点で、緩和の提案をするには、やはりそれだけのデータを出す必要があるのではないかと、私は議論を聞いていて思いましたので、ご検討ください。
それからもう一つ、別件の質問をさせてください。29日に公表された日本版包装前面栄養表示ガイドライン案について質問させてください。パブリックコメントを8月以降に実施し、10月以降に決定する方針が示されています。食品表示基準には位置付けず、任意表示にするということですが、これはいつからのスタートを考えていらっしゃるのでしょうか。 -
答
8月以降のパブリックコメントと10月以降の検討会というところは今ご指摘があったとおりです。ですので、実際に食品関連事業者の方々が取り組むのは、ガイドラインが公表された後になりますので、今は確定的な日付を申し上げられませんが、10月以降に開催される検討会の後というスケジュール感で認識いただければと思います。
- 問 10月以降にガイドラインが決定されて、公表した段階からスタートするというようなイメージでよろしいのでしょうか。
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答
基本的にはそのような形になると思っています。
- 問 それから、日本の食品表示は、私は諸外国に比べ決定的に遅れていると思っているのですが、栄養成分表示もエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5成分だけが義務付けられています。今回対象になるのも任意表示とはいえ5成分ということなのですが、塩分の取りすぎが国民的な課題ということで食塩相当量のところを2重囲みにするということですが、今、「食物繊維」が大幅に不足していて、2025年版日本人の食事摂取基準では目指すべき摂取量が「食物繊維」に関しては引き上げられています。この推奨表示の「食物繊維」とか「飽和脂肪酸」を同様に前面に表示することは可能なのでしょうか。
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答
「食物繊維」と「飽和脂肪酸」につきましては、日本版包装前面栄養表示に追加をして表示をするということは差し支えないと考えています。ただ一方で、そもそも今回の提案・議論に至った背景として、国民の皆様に、見やすさ・分かりやすさが非常に重要なポイントかと考えておりますので、更に栄養成分を任意で追加する場合には、そういったこととの関係で齟齬がないように進んでいければいいと考えております。
- 問 2023年の消費者意向調査で表示してほしい栄養成分はたんぱく質、脂質に次いで、糖質が3位でした。今はロカボで糖質がカットみたいなことを前面に出しているものも多いのですが、糖質を表示する場合はどのような表示が望ましいのでしょうか。
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答
令和5年度の調査の中で必ず表示してほしい栄養成分名について問いを立てたところ、たんぱく質、脂質に次いで糖質と答えた割合が高いというのはご指摘のとおりでございます。今回の日本版包装前面栄養表示につきましては、大きく2つのポイント、5つの項目について、まず量を示すと。併せて1日当たりの栄養素等の摂取目安、具体的には栄養素等表示基準値に占める当該量の割合、この2つを示していただくというところが重要だと考えております。そういうことを踏まえますと、今ご指摘があったように糖質について今どうなっているかということですが、現在、糖質に関しては栄養素等表示基準値が設定をされていないという状況になっています。設定されていないということはその栄養素等表示基準値に占める当該量の割合という、先ほど申し上げた2つ目の表示のポイントが算出できないということになります。したがって、仮に糖質を任意で表示をしようとなると、今申し上げた栄養素等表示基準値に占める当該量の割合がない形になってしまうかと考えています。
- 問 パーセント表示はできないということだけれども、グラムは今、計算ができるようになっていますので、そこしか表示ができないということになるのだと思います。それから、任意表示の場合、例えばガイドラインに沿わない表示がされた場合、虚偽表示がされた場合はどのような措置が講じられるのでしょうか。
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答
虚偽表示と判断するにあたっては、個別の事案ごとに実際どうかというのを見た上でないと判断できないという前提がございます。そういう前提のもとでという回答になりますが、基本的には仮に虚偽だという形が本当に確認をされるようなケース、そういった場合については食品表示法等に抵触する可能性があると考えております。いずれにしましても、任意の取組ということではありましても、このガイドラインができた暁にはできる限り周知をして、分かりやすくという議論に沿った形での取組が進んでいくようにしたいと考えているところです。
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問
朝日新聞の井上です。
経口補水液なんですけれども、「医師や管理栄養士等と相談し」と書いてあるのですけれども、これは飲む場合は医師と管理栄養士に相談をすることを勧める程度なのですか。必ずした方がいいのか、そういうことをすることをお勧めする程度なのか、どちらなのでしょうか。 -
答
(食品表示課)
飲むときには、まず消費者庁としてはこういう食品だよというのは消費者の方々に知っていただいて摂ってもらいたいということでお願いをしております。実際この飲料は、先ほど長官も申し上げましたとおりに、スポーツドリンクとは違いまして、やはり成分量、電解質ですとか糖類が非常に多く入っておりますので、飲んだことによって健康被害が起きる可能性も想定されますので、きちんと自分はその食品を摂って大丈夫なものなのかどうかというのをきちんと確認していただきたいということでこの内容が入っておりますので、自分が例えば病気を持っているのであれば、この食品を飲んでいいのか悪いのかというのが必然的に決まってきますので、事前に確認をしておいていただき、適切なタイミングで摂っていただきたいということでございます。 - 問 今の話だと、医師に相談した方がいいのか悪いのかというのがよく分からなかったのですけれども。
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答
(食品表示課)
医師への相談、実際にこういったものを販売する際に、この食品のことをきちんと理解されている者に相談をしていただいて、適切に摂っていただきたいということでございます。 - 問 これを飲むときには医師や管理栄養士らに相談して飲むことを勧めているみたいな話でいいでしょうか。
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答
(食品表示課)
はい。 - 問 健康問題を引き起こす可能性がある人もいるから、ということですかね。
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答
(食品表示課)
健康被害が非常に懸念されますので、適切に使っていただきたいということです。 - 問 例えば糖尿病の人とかなのですか。具体的に言うと。
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答
(食品表示課)
成分によりますけれども、例えば糖尿病の人で、入っている成分がその人の糖尿病の状態によっては飲んで悪影響を与える場合もありますし、脱水の状態によっては飲んだ方がいい場合というのは多分、人によってケースバイケースなことはあるとは思います。電解質についてもその人が持っている疾患、病気の状態によっては、本当に元々取らない方がいい方もいらっしゃると思いますし、脱水の状況によっては必要な場合もあると考えます。 - 問 あと、ナトリウムということは、塩分が多く含まれていると考えていいのですか。
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答
(食品表示課)
そうです。 - 問 塩分などが多く含まれている。分かりました。
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答
(食品表示課)
補足させていただければなと思うのですけれども、例えば腎臓の機能が弱い人は、無機物の処理能力が弱かったりするのですが、そういう人には特にカリウムを摂取しすぎると腎障害を引き起こすこともございますので、そういったことも含めて、特別用途食品というのはまさに病者用のものでございますので、それを前提にしていただきたい。もし具体的な病名などがありましたら、食品表示課の方から説明いたしますのでお問い合わせいただければと思います。 -
答
今の点で私からも更に補足ということですが、今それぞれ担当からご説明、そして具体について気にかかることがあったらお尋ねをという話がありました。そもそも今回、配布をさせていただいた経口補水液についてのチラシはありますが、特別用途食品であるところの経口補水液、その前提となる特別用途食品というのはそもそも何だろうといったことも消費者庁の方でPRをしています。消費者庁のホームページ上でも、特別用途食品の許可がいる場合、あるいは特別用途食品に関しては医師、管理栄養士等からの指導によって行うことが適当ですといったことも記載しておりますので、今回改めて経口補水液について冒頭発言させていただきましたのは、そういった点も含めてご理解をいただいて適切な形で使っていただきたいという思いからでございます。
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問
フリーの木村です。
私も経口補水液についてなのですけれども、6月1日以降、店頭の売り場とかネット通販の売り方とかルールが決められたかと思うのですけれども、そのあたりの監視状況と適正に販売方法が守られているのかというところについて、何か分かる点があれば教えてください。 -
答
経口補水液については今までいろいろお話が出たように注意をするべきところがございます。特にその他の清涼飲料と容器形状が類似している、こういったものもありますので、間違えて、誤認をして購入・使用されるという可能性があるということがございましたので、消費者庁の次長通知におきまして販売方法に関する留意事項を定めて通知をさせていただいています。店舗、お店で売買する場合についての陳列方法などを経口補水液の表示許可取得者等に示して、販売店等におきましては経口補水液とその他の清涼飲料水を誤認させないように陳列等をしていただいているということになっています。消費者の皆様方にも冒頭申し上げましたが、商品のラベル、そして売り場での掲示内容、こういったものもご確認をいただければと思います。そして、具体的にその後の状況ということでご説明できる内容があれば、担当の方からお願いします。
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答
(食品表示課)
まさに今般、経口補水液に関連する府令改正であったり、通知の発出を行いました。このことについては今、自治体に対してお願いしている夏期一斉取締りの中で、ここも強調していますので、それを踏まえて全国的に行われるものと考えております。