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堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年7月24日(木) 14:00~14:24 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

まず私から、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律における『販売業者等』に係るガイドライン」の改正についてお話をしたいと思います。先週の7月18日(金)に、パブリックコメントを実施していた結果を取りまとめたところでございます。改正のポイントですが、大きく2点ございます。まず1点目は、販売業者等に該当することが推認される場合の考慮要素の例示を追加したこと。そして2点目としましては、消費者同士の取引がデジタルプラットフォーム上で行われる際の場の提供者に期待される役割を明示したものでございます。パブリックコメントの結果でございますが、団体・個人の方々から計52件の御意見が寄せられました。中身につきましては、今回のガイドラインの改正に賛同する御意見でございますとか、また、今後の施策の検討にあたりまして参考にさせていただくべきご意見がございました。原案を修正すべきと認められるものはございませんでしたので、改正後のガイドラインを原案のとおり決定し、7月18日に公表したところでございます。ガイドラインの改正の内容も踏まえまして、個別の事案における法の適用、出品者が販売業者等に該当するかどうかにつきまして、関係事業者の方々に適切にご対応いただく必要がございます。消費者庁といたしましても、通信販売取引の適正化の促進に向けまして今後も取組を進めてまいりたいと考えております。

質疑応答

日本消費者新聞の渡瀬と申します。
PL法の改正についてちょっとお聞きしたいんですけれども、消費者団体とかですね、学習会を重ねてもう何年もやっているんですけど、改正すべきポイントとかですね、論点も非常になんか明確化されていると。消費者庁の方も、今年3月に事業者ヒアリングみたいなのを行っていて、課題についても認識されていると思うんですけれども、なかなかその動きっていうのが見えないっていうのが消費者団体からも事業者団体からも声が聞かれてまして、この改正についての考え方とかですね、方向性なりをちょっと教えていただけますでしょうか。

PL法に関連しましては、欧州において大きな動きがございました。製造物責任指令の改正案が昨年10月に成立をしたということで、現在、EUの加盟国におきまして、来年12月までに同指令の内容を実現するように国内法の整備を始めていると承知をしています。消費者庁の動きというところについてご質問がございましたが、消費者庁といたしましては、こうした国際的な動きも踏まえて予算を確保しまして、EUの加盟国における国内法化の動向と、より具体的な裁判例等を把握すべく、予算に基づく調査を先月から開始したという状況です。また、昨年の夏以降、消費者庁でPL法に関連する有識者の方や実務家の方からヒアリングを行っています。このヒアリングの結果についてはホームページなどでも公表させていただいておりますが、こういった取組を進めていきまして、今後の考え方のベースにしていきたいと考えています。

日本消費経済新聞の相川です。
先ほどのガイドラインの改正についてなのですが、意見を拝見していますと、前回の試算で「隠れB」は大体7割ぐらいいるということだったのですが、この中で、「『隠れB』出品者には特定商取引法に基づく表記を出すように義務付け、それができない場合は出品停止にするなどの対応をすべきだ」というご意見があります。また、ゆくゆくはそのガイドラインではなく、法改正にするべきではないかというご意見もあり、これはやはりもっともなご意見ではないかと思います。それで、「今後の施策の検討に当たって参考とさせていただきます」というようなコメントが出されているのですが、具体的にはどういうふうに対応されるんでしょうか。

先ほど私から、今回、原案からガイドラインを変えていないというお話をさせていただきましたが、このガイドラインは、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法の「販売業者等」の該当性の判断のための基本的な考え方ですとか判断に資する考慮要素等を示すガイドラインということで、原案のとおりとしたところでございます。ただし、今ご指摘があったような、取引の保護の適正化、こういった観点から、より具体的な検討ですとか様々な制度見直しの必要性があるのではないかということに関しましては、通信販売取引の適正化を目的として、デジタルに関する今後の検討を、この間のデジタル社会における消費取引研究会の報告書などでも求められている部分がありますので、そういったところも含めて全体として検討していくということになるかと思います。

実はですね、第7回取引デジタルプラットフォーム官民協議会の報告の中で、販売事業者、出品者の連絡先をわかりやすく表示していると回答したところが33社のうち25社しか回答せず、25社のうち13社しか表示ありというところがなかったということだったんです。それで私、実は大手プラットフォームで買い物をしてみました。安い3,000円ぐらいのUVパーカーを買ったのですが、別の商品が届きました。それで、大手サイトの方に連絡をすると、これは返品の受付対象外だと言われて、実は連絡しようとしたんですが、中国の電話番号とアルファベットの英語の文字しかありません。それで、実は連絡ができない。メールで対応してくれなかったら全く対応ができないということがありまして、いろいろ別の事業者で買おうと思って調べたところ、ほとんどがそういう商品でした。中国の商品で、中国の電話番号しか出ていません。大手のプラットフォームなので文句を言うと返金はしてくれるんですが、送り返そうとしてもその送り返し先をその事業者から送ってくれませんし、そういうものが非常に多いことに驚きました。特商法で、実は中国の電話番号しか書いてなくてもOKということなんですが、消費生活用製品安全法では、今、日本の代理店を置くように法改正をして近く施行されるということもあるのですが、少しやっぱり見直しをして、法改正も検討していかなければならない時期に来ているのではないかと思うのですが、それについてはどのようなご見解をお持ちでしょうか。

具体的なケースについて前半ご紹介いただきましたが、個別のケースに関する判断などについては、この会見の場でお答えを申し上げるということはなかなか困難ではあります。越境取引ですとかデジタルプラットフォームの取引については、これまでも関係法制やいろいろな形での事業者・消費者への啓発、こういったことを組み合わせてやってきました。取引デジタルプラットフォーム消費者保護法に基づき、取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務ですとか、その利用の停止等に係る要請などについての対応もしてきています。ただ、こういったことも含めて、越境取引が増えていく中でどうなのかという問題意識は、いろいろなところで指摘がある部分でもあります。それが、先ほども申し上げた、研究会の報告書にも問題意識として反映されていると思いますので、全体として見ていく中でどういうやり方が一番良いのか、そして場合によっては、消費者庁のみならず関係省庁との連携ですとか、様々な機関との協力体制というのも必要になってくるかもしれません。そういったところも踏まえて検討していくということかと思っています。

今、パラダイムシフトの検討とかも始まっていて、他の消費者法制、消費者契約法以外の見直しもストップしているように見えてしまう。でも、その喫緊の課題で待ってはいられないようなものがいっぱいありますので、法改正の検討の方は止めずに積極的に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
日本流通産業新聞の星野と申します。
お伺いしたいんですけど、基本的なことも含まれていて大変恐縮なんですけれど、今回のパブコメを実施したガイドラインの改正案はどこが変わっているかというものを示すものはどこで見ることができますでしょうか。また、今回はガイドラインの改正ということなので、特に法令ではないので、ガイドラインの即日施行っていうことは可能だと思うんですけど、いつからガイドラインが施行か、教えていただけないでしょうか。

(取引対策課取引デジタルプラットフォーム消費者保護室)
ガイドラインの改正箇所は後ほど御送付したいと思います。施行日につきましては、これは考え方をお示しするものなので、改正日の7月18日としております。関係者にも周知しつつ、今後の実施を図っていくというものであります。

7月18日に改正ということですか。

(取引対策課取引デジタルプラットフォーム消費者保護室)
そのとおりでございます。

もう改正されたということですね。

(取引対策課取引デジタルプラットフォーム消費者保護室)
既に改正はしておりますので、改正したものを関係者に周知をしつつ、運用していくということであります。

ありがとうございます。
NHKの佐々木です。
先日、JR山手線の電車内で、スマートフォンを充電していたモバイルバッテリーから火が出て、乗客5人が怪我をした火災がありました。この出荷したモバイルバッテリーなんですけれども、リコールの対象になっていたということが報道でも明らかになっています。こうしたリチウムイオン電池が内蔵された製品のうちリコールの対象になっているものが、こうして事故になっていることについての受け止めと、これに対して消費者への注意事項っていうのがありましたら、呼びかけの方をお願いいたします。

佐々木記者からお尋ねの個別の事案、ご指摘の事項に関しては、私どもも報道により承知をしています。ただ、例えば個別の製品名とか、それが事故の原因かどうか、その製品に起因するかなど、これが特定をされている場合を除いて、個別の事案に関するお答えは控えさせていただくという前提で、私どもとしましては、やはりリチウムイオン電池についての注意喚起というのを引き続きやっていかなくてはいけないと考えています。せっかくいただいたご質問で、各社さんもいろいろな形で報道してくださっていますが、この機会に改めてお伝えをさせていただきたいと思います。リチウムイオン電池は熱や衝撃に弱いという性質がありまして、取扱いを誤ると、火災事故等が起こる場合がございます。最近とても暑い日が続いておりますので、特に真夏日など炎天下の車内や高温多湿の場所での使用・保管によるリスクも考えられることから、改めて取扱い上の注意ポイントを4点お伝えさせていただきたいと思います。具体的には、まず1点目、強い衝撃や圧力を加えないこと。そして2点目は、損傷したものや異常が生じたものは使用しないこと。そして3点目は、先ほど佐々木記者からもご指摘のあった点に関連をしますが、消費者庁のリコール情報サイトや事業者のホームページなどから製品のリコール情報を確認して、その対象品の場合は直ちに使用を中止すること。消費者庁のリコール情報サイト、ご覧になった方々も多いと思いますが、検索機能などもついておりますので、今一度ご確認いただけるとありがたいと思います。そして4点目は、ごみ収集車やごみ処理施設での火災、こういったことも避けなくてはなりませんので、正しくリサイクル・廃棄をしていただくこと。大きく分けて4点、これ以外にも細かく色々なホームページなどで周知をさせていただいていますが、こういったことについて実践をぜひお願いしたいと思います。便利な製品ですが、製品の特性を正しく理解し、安全に使用していただきたいと消費者庁としては考えております。

今回、リコール製品で起きたっていう報道もありましたけれども、やっぱりリコール情報については、なかなか、いろんな製品を、一般の消費者の人は持ち歩いているわけだと思うんですが、日頃からリコール情報が載ったサイトっていうのをこまめに確認するとか、なんかそういうところについては、もし呼びかけがもっと詳しくあればお願いします。

まさに今ご指摘があったように、リコール情報を見ていただくというのは大変重要だと思っていますので、消費者庁もあらゆる機会を捉えてPRをしていきたいと思っていますし、マスコミの方の報道をきっかけにというのも大変大きな要素だと思っています。したがいまして、皆様にもぜひ御協力をいただきながら周知をしていきたいと考えております。

共同通信の新為です。
食の安全に関してちょっとお伺いしたいことがありまして、今回の参院選ですけれども、主張の争点として、食の安全に関する政策を訴えている候補者がいくつかいたと思うんですけれど、濃淡はあるにせよ、要約すると、今の消費者庁などがやっている食の安全の政策では緩いんじゃないかというような主張されている方がかなり結構いらっしゃって、かつ世論調査であるとかマスコミの、有権者の関心を聴くとかなり関心の高いテーマなのかなというふうにも思うんですけれども、消費者庁として、現状の食品表示法の改正とかそういうところっていうのは現状検討されているものがあるのかどうかと、現状そういったような、主に野党系の候補者の方々の訴えだと思うんですけども、そういったことに関しては、消費者庁としては何か思われることはありますでしょうか。

まず、具体的に参議院選挙等の国政選挙に際しまして、各党において色々な公約ですとか、そのような形で出されたことについて、私の方でコメントする立場にはないと考えています。ただ、一般的に、新為記者がおっしゃったように、食の安全というのは大変重要なことで、消費者庁としてもそれに向けて様々な形で進めてきたというのは、ご案内のとおりかと思います。例えば、具体的な法律の名前も出ましたが、その法律を作った時、改正した時の状況なども踏まえて、検討事項については消費者庁としても機を見ながら検討している、こういったことは申し上げられると思います。あとは、必要なこととして考えているのは、科学的な知見をきっちり踏まえて、必要なリスク管理をやっていくということと、やはりリスクコミュニケーションが重要だと思います。消費者に対してきっちりと食の安全性に対して分かりやすい情報を送っていくことが重要だと思っていますので、基本的な軸はそういったところに置きながら個々の課題について対応していくということだと思います。このような記者会見の場も、着任の時の会見でも申し上げましたけども、分かりやすい情報を送っていく場として活用していきたいと考えています。

日本流通産業新聞の星野です。
取引DPFについて基本的な質問になってしまうかもしれないんですけれども、先日、経済産業省がTikTokを販売事業者に指定するっていう発表をされたかと思うんですけれど、今回パブコメを実施したのは「隠れB」の問題に対応する、そのCtoC事業者に関するガイドラインの改正についての関係だったと思うんですけど、それとTikTokを追加するっていう件については、今回のパブコメとは別関係なんでしょうか。これが1つと、またそのTikTokについて、まだその商品の販売する機能は追加されたばかりなので、消費者被害とかっていうのはどんなものがあるのかはこれからだと思うんですけれど、基本的にCtoCではなくて、事業者がTikTok上で何か商品を販売するっていうBtoCのプラットフォームになると思うんですけれど、ただ、その動画上からその商品の注文ができるとかっていうフローがあるとニュース等で拝見してるんですけど、そうすると、特定商取引法の表記をどうどうするかとかっていう課題もあると思うんですが、その辺りは長官はどのようにお考えでしょうか。

まず、1点目のところですが、経産省についての報道・公表等については、今回の私たちのガイドラインとは直接関係がないと承知をしています。また、後段のご質問につきましても、個別の件についてのお尋ねということですので、この場でお答えするというのは控えたいと考えております。

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