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堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年7月3日(木) 15:00~15:20 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

それでは冒頭、私からご挨拶をさせていただきます。7月1日付けで消費者庁長官に就任をいたしました堀井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。まず、消費者庁長官就任にあたりまして抱負と申しましょうか、考えていることを若干申し上げたいと思います。消費者あるいは消費者行政を巡る状況は大変大きく変わっていると思います。例えば、デジタル化の進展に伴います取引環境の変化でございますとか高齢化、そのような様々な状況を受けて、私ども消費者庁がやるべきことということも様々複雑化していると考えております。そのような中にありましても、これは一昨日私が着任をしたときに消費者庁の職員に対してもお話をさせていただきましたが、消費者庁が所管している法令につきましては厳正かつ適切に執行・運用を行うということ、そして様々なことに関して国民の皆様、消費者の皆様に対して分かりやすく説明をしていくこと、このようなことは一貫して求められることであると考えております。そのような中にあっても具体的に進めていく課題として、他にも様々ございますが、例えば地方消費者行政の一層の充実・強化、そして先ほど申し上げましたような消費者をめぐる環境の変化、この変化に応じた形での消費者法制度に向けた議論、そして持続可能な社会の実現に向けて、食ロスの削減あるいはエシカル消費、そして消費者志向経営、こういったことの一層の推進、また徳島の「新未来創造戦略本部」におきます将来を先取りする新たな取組、こういったことを強く進めていく必要があると考えております。これまでの間、新井前長官の下、消費者庁で進めてきた様々な取組を一層進めていきつつ、私自身も知識・経験を深めながら、特に非常に重要だと思っております先ほど申し上げた地方消費者行政の充実・強化の観点で、実際に地方自治体の方々、あるいは現場で消費者相談などに取り組んでおられる方々や、それ以外にも消費者行政に尽力をされている方々、こういった方々とのコミュニケーションを緊密に取りまして、そのような対話を踏まえた上で消費者行政の旗振り役、舵取り役として、安心・安全な暮らし、そして持続可能な経済、そのようなことを目指していくということを心がけてまいりたいと考えております。そして、この消費者庁も本年で16年目を迎えるということになっております。この消費者庁、消費者行政を支える消費者庁の職員、そして全国の相談員の方々、こういった方々との連携・協働が大変重要でございます。引き続き、総力を挙げて消費者行政に取り組んでまいりたいと考えております。また、冒頭申し上げたことでもございますが、いかに分かりやすく消費者行政の新たな動きについて国民の皆様にお伝えするか、そういう観点からはこのような記者会見の場で記者の皆様方にいろいろな形で聞いていただく、そしてお答えをする、そういったことをいかに進めていくか、またあるいはそれ以外の方法で、いかにして分かりやすく国民の皆様に伝えていくか、そのようなことを引き続き模索をしていきたいと考えております。正確な情報発信、これはこの記者会見だけではなくて日常的に消費者庁のそれぞれの担当から、国民の皆様、記者の皆様方にお伝えする内容、これについても同様でございます。取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

質疑応答

日本消費経済新聞の相川と申します。
衆議院消費者問題特別委員会で6月5日、消費者庁創設後初めて、26年ぶりに、全会一致の決議で、地方消費者行政の強化を求める決議が行われています。地方を支援する国の交付金制度を見直して、活用期限を終えた自治体が引き続き消費生活センターの運営等を維持できる、見守り活動や出前講座など積極的に地域に出向くことができる、消費生活相談員の専門性に見合った処遇が推進される、担い手確保や人材育成に自治体が取り組むことができる必要な対策を講じることを求めています。先ほど新長官は地方が最重要とおっしゃってくださって、現場の方たちとコミュニケーションをしてくださるというお話だったのですが、新長官としてこの決議を受けどのように取り組まれるか、お教えください。

まさに先ほど申し上げた我が国の消費者をめぐる変化、著しい激しい変化というのは地方の消費者行政の現場に色濃く表れているのではないかなと個人的には思っています。具体的には高齢化ですとかデジタル化、そして単身世帯の増加、このような背景もあると考えておりまして、このような背景がもたらす消費者行政への影響というのは非常に大きいものがあると感じています。多分、このようなことが、相川記者がご指摘をされた衆議院消費者問題特別委員会で、全会一致で決議がされたということの背景にもあるのではないかと考えております。また、各地域における消費生活相談で聞き取った情報というのは、これも皆様ご案内のようにPIO-NETを通じて国の消費者政策の企画・立案そして執行、こういったことに役立てられております。ですので、地方消費者行政の充実・強化というのは、国の消費者行政の基盤、これを強化していくことにつながる、消費者全体の安心・安全につながっていくものではないかと考えております。このような中、まさに行われた26年ぶりの決議と承知をしておりますので、この全会一致の決議については消費者庁としても大変重く受け止めているところでございます。また、6月13日になりますがいわゆる「骨太の方針」、これが閣議決定をされました。この骨太の方針の中にも盛り込まれておる内容ということも相通ずるところでございます。また第5期消費者基本計画、この中でも地方消費者行政ということが大きな形で打ち出されたというところが特色として申し上げられる、こういった様々なことをいかにして具体化を進めるか、こういったことを今、進めているところでございます。自治体の方々、あとは先ほど申し上げましたように最前線で活躍をされている方々のお声を伺って、夏の概算要求に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。もう一問質問させてください。私は長官が消費者制度課長時代のときから実は存じ上げていて、当時、消費団体による集団的被害回復訴訟制度を創設する消費者裁判手続特例法案がなかなか国会に上程できず、長官が経済界を回って丁寧に説明をされて理解を求めてくださったことが思い出されます。同法が施行された2016年10月以降、東京医科大や順天堂大学などから不正入試に伴う受験料の返還は実現しましたけれども、9年近く経過してなお、この訴訟が提起できる特定適格消費者団体は4団体に過ぎず、共通義務確認訴訟が提起されたのは10件にとどまっています。これをどのように受け止められ、また今後の課題にどのように取り組まれようと思うか、教えてください。

冒頭、細かく私のお話をさせていただかなかったのでご存じでない方もいらっしゃると思うのですが、私自身、2011年の夏から2年間、消費者庁に消費者制度課長ということで出向しておりました。ですので、今から10年以上前のずいぶん昔のことになりますが、それを相川記者が覚えていてくださって、そしてこのような場でご紹介をしてくださったこと、非常に嬉しく感じて今、聞いておりました。当時の思いとしましては消費者の方々が財産的被害を受けるような事案、こういったことがあると。そういったときにいろいろな形で消費者庁は予防したり呼び掛けたりいろいろ取り組んできたのですが、実際そういった事案が起きてしまうと被害を回復するというのが極めて難しいと。特に裁判を起こして事業者を訴えると、このようなことは1人1人の消費者にとっては本当にハードルが高いということで、何とかして財産的被害を回復するための方法はないかということで、かなり珍しい第1段階、第2段階の訴訟という形で新たな枠組みを作ったという経緯がございます。消費者庁として目指すところはそのような事案が本当にゼロになるということだと思っています。事案が少なくなればなるほどいい、そのためにずっと努力を惜しまないと、このようなことだと思っています。ですので、先ほど件数、共通義務確認訴訟といういわゆる第1段階目の訴訟の提起が10件ということ、そういったことを引用してのご質問がございましたが、個々の件数自体を見ての評価というのは難しい部分もあるとは考えております。ただ一方で、いろいろ努力をして作った制度が使いにくいとか利用しにくい、あるいは分からないと、そもそもそういう制度があったのですかと、そのような形になってしまって使われない、これは避けたいことだと考えております。したがって、既に相川記者がご案内のとおりですが、令和4年度に消費者裁判手続特例法改正をいたしまして、対象となる損害に一定の慰謝料を追加するなどの対象の範囲の拡大でございますとか、特定適格消費者団体の支援法人制度を導入する、こういった形でより利用しやすい制度にしようということで取組を進めており、制度を担う団体が活動しやすくなる環境整備をするための法改正も行ったということで承知をしています。また、こちらの消費者裁判手続特例法の方ではない差止めの方で適格消費者団体がおりますけれども、活動していただいて数も増えています。それこそ私がいたとき、こういう比較はやや分かりにくいかもしれませんが、平成23年~24年、この時点では当時、適格消費者団体も10とか11の数でございました。それが今ですと26に増えたということで、当時、私も適格消費者団体がない地域、県に出張して足を運んで、その地域の団体の方々とか様々な方々と意見交換をして団体を増やす取組、そのようなことをしたというのも今、相川記者のご指摘でにわかに思い出してきたという状況があります。いずれにしましても、いろいろな形で地道な取組と、あとやはり分かりやすい周知、これは肝になるかなと思っておりまして、消費者団体訴訟制度のポータルサイト、こういったものもより利活用を促していく、さらには消費者団体訴訟等支援法人による支援も充実させていく、このようなことを通じまして特定適格消費者団体の活動をより活発化していくような取組も進めてまいりたいと考えております。

やはり適格消費者団体を含め、皆さんボランティアでやっているという状況がずっと続いておりましてなかなか、特に悪質事業者で本当に被害が回復できそうもない、本当の悪質な事案には手が出せていないとか、課題が山積しておりますので、またよろしくお願いいたします。
(総務課広報室)
日本流通産業新聞の星野記者からご質問をいただいています。代読いたします。
AIを活用した違法な広告が後を絶ちません。先ほど適正な法執行について言及されましたが、昨今の違法な広告表示やAIを活用したフェイクニュースなどのWEBの表示の問題がどういったところにあるのかについて、長官のお考えを教えてください。

星野記者からのご質問で、フェイクニュースでございますとかAIという非常に新しいテーマについてのご質問がありました。もともと消費者庁はいろいろな形で関係省庁があって、それぞれの省庁、法律を所管して執行しているわけですが、どうしても隙間に入ってしまう事案、そういったことについてどうしたらいいのだろうか、隙間とは言っても深刻な消費者被害をもたらすものもあるだろう、そのようなことの対応も消費者庁設立にあたっての大きな問題意識、課題であったように思っています。今ご質問の点は非常に新しいテーマでもあり、既存の部分で対応できるところ、できないところ、あるかと思います。私自身もそういった点については今後いろいろな形で関係する方々からもご意見を伺って知見を深めた上で、どういったことが今の時点で対策として打てるのか、あるいは関係省庁と連携を取れることがあるのか、そういったことを研究し、検討していきたいと考えています。具体的に今日の時点でお伝えできるのは以上でございますが、またさらにいろいろな形で、このような事象があったけれどもどうだろうか、そういったことは私ども消費者庁の担当にもぜひお伝えいただいて、私どもとしてもそのような情報も踏まえた形で今後、検討し、取組を進めていきたいと考えております。

(総務課広報室)
星野記者から別の質問を頂戴いたしまして、読み上げさせていただきます。
クレジットカードの不正利用被害が後を絶ちません。2024年度は不正利用被害が555億に上りました。経済産業省やクレジット協会が対策に乗り出していますが、いたちごっこが続いています。クレジットカードの消費者被害についてお考えはありますか。

クレジットカードの被害については、私もこの職に就く前から様々な報道などで体験をしたことがあります。これにつきましても、まさにご指摘があったように関係省庁様々あるということと、それと、どのようなことが発端で被害になったか、こういったことについても個々の状況ごと違うところもあるかもしれません。ベースとしてあるのは例えば不正利用、いろいろな形での技術、デジタル関係の技術を不正利用した、そういったものというのもあるかもしれません。従いまして、いろいろな個々の今の取組なども確認をさせていただきながら、消費者庁としてどのような対応ができるかということを考えていくということかと現時点では考えております。

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