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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年6月26日(木) 14:20~14:31 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭、私からいくつか発言させていただきます。まず1点目でございますが、お手元に資料がございますけれども、8月6日と7日の両日、「こども霞が関見学デー」が開催をされます。こども霞が関見学デーは、霞が関に所在する各府省庁等が連携して、夏休み期間中のこどもたちを対象に、業務の説明や職場見学等を行うことにより、広く社会を知る体験活動の機会を提供すること、併せて、親子の触れ合いを深めてもらうことを目的としております。消費者庁では、「エシカル消費」、「食品ロス削減」、「食品安全」、「食品表示」といった身近なテーマについて、クイズやゲーム、実験などを取り入れ、楽しく学べるプログラムを開催予定であります。この機会に親子の触れ合いを深めていただき、有意義な夏休みを過ごしていただければと思っております。
それから2点目です。食品表示の夏期一斉取締りについてです。消費者庁は、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期に、毎年、食品表示の適正化に向けた取組を実施しております。今年度は、7月1日から31日までの間、全国157の地方自治体と連携し、食品表示の取締り強化を全国一斉に実施をいたします。具体的には、昨年8月に食品表示基準が改正され、機能性表示食品制度等の見直しが行われたところでありまして、引き続き、いわゆる「健康食品」について、食品表示基準第9条及び第23条の表示禁止事項に特に留意の上、食品関連事業者等に対する監視指導を徹底すること、特定原材料として追加された「くるみ」を表示することの徹底、また、カシューナッツは令和6年度の全国実態調査においても症例数の増加が認められ、マカダミアナッツは令和6年3月28日付けで新たに特定原材料に準ずるものに追加されたことから、アレルギー表示をしていない食品関連事業者等に対して、可能な限りの表示を促すこと、「経口補水液」については、特別用途食品の表示許可を取得することが令和7年6月1日に施行されており、特別用途食品の許可を得ずに「経口補水液」と表示を行っている事業者の監視を徹底すること、近年、日本で発生しております細菌性食中毒の中で、依然としてカンピロバクター食中毒の発生件数が最も多いことから、カンピロバクター食中毒予防対策について、啓発パンフレット等を通じて食品関連事業者等への周知啓発を図ることなどを重点としております。特に消費者におかれましては、カンピロバクター食中毒対策として、鶏肉は十分に加熱するよう心掛けていただくようお願いをいたします。報道各社におかれましては、これらの食品表示の適正化に向けた取組の周知にご協力をお願いしたいと思っております。
それから3番目になります。外食・中食における食物アレルギーに関する情報提供についてです。外食・中食における食物アレルギーに関する情報提供の取組に関しては、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針において、「国は外食事業者等が行う取組を積極的に推進する」とされておりまして、消費者庁としてはこれまで事業者・食物アレルギー患者及びご家族向けに、令和4年度はパンフレット、令和5年度は動画で学べる教材を作成し公表してきたところであります。令和6年度は、事業者向けに更なる取組の充実のため、外食等利用に際した患者ご家族の実際の声、すでに取組を行っている事業者の実例等を紹介した動画を14本作成し、本日公表いたしました。なお、本動画については、消費者庁ウェブサイト及びYouTubeに掲載し、スマートフォン等でも簡単に閲覧できるようになっております。ぜひこれらの教材等を活用して、引き続き皆さんが関心を持っていただくとともに、消費者庁としても周知・広報に励んでいきたいと考えております。

質疑応答

共同通信の新為です。
今回、退任されるということで、長官としての振り返りと、あと次の長官に望むものと、併せて、消費者庁の今後の課題について思われるところをお伺いさせていただければと思います。

ありがとうございます。本日が私の最後の会見ということになります。7月1日付けで退任をいたします。ちょうど3年間、皆さんにお世話になったということでございまして、毎週木曜日にこうしてお集まりいただき、あるいはオンラインという形で皆さんのご質問をお受けさせていただきました。本当にいろいろな質問の中で私が業務について気づかされることがとても多くて、それを十分政策に反映できたかどうかというのはまだ反省しているところでございます。3年前に着任した際には、消費者基本法が掲げる「消費者の権利の尊重・利益の擁護」「消費者の自立の支援」、この両立をしっかりと意識しながら、安全・安心な社会の実現に向けて、各種課題に取り組みたいというお話をさせていただきました。この3年間、社会的な課題として消費者庁が要請されるものとしては、不当寄附勧誘の問題、能登半島地震、ビッグモーター事案、紅麴事案等、いろいろ発生したと思っております。それらと並行いたしまして、向こう5年間の消費者行政の基本方針を定める基本計画や、消費者教育基本方針、食品ロス基本方針なども策定をいたしました。消費者を取り巻く環境の劇的な変化に対応した消費者法制度の在り方の見直し、デジタル取引の在り方等、消費者政策の今後を形作る取組を続けてきたと認識をしております。更には、体制面で、昨年春に、厚生労働省から食品衛生基準行政が移管をされまして、食品安全行政の総合調整機能の強化が図られ、定員も消費者庁設立当初の約200名から、3年前の着任時は385名でありましたが、現在では478名まで増員をいたしました。至急の対応を要する事案については、目の前の対応ということで終わることなく、消費者の権利の尊重・利益の擁護という観点から、その事案の背景にある根本的な問題を洗い出し、将来的な政策の在り方に反映するということを常に意識してきたつもりでございます。不当寄附勧誘の問題を受けました消費者契約法や国民生活センター法の改正、不当寄附勧誘防止法の制定、ビッグモーター事案等も踏まえた公益通報者保護法の改正、紅麴事案を踏まえた機能性表示食品制度の見直し等、短期間ではありましたが集中的に議論することによってそういった対応ができたのではないかと思っております。また、高齢化やデジタル化等の消費者を取り巻く環境の劇的な変化の対応としては、ステルスマーケティングを規制対象に追加し、製品安全誓約の枠組みを立ち上げ、執行課室にデジタルチームを編成して対応を強化しました。中長期的な施策の在り方を検討するため、消費者法制度の在り方及びデジタル取引の在り方について2つの報告書がまとまりまして、いずれも消費者法制の理念も含めた議論を行ってきたと考えております。また、日々寄せられる消費生活相談や消費者事故等の情報に基づき、注意喚起、事故情報の公表等にも積極的に取り組んでまいりました。これらについては、この会見で私から記者の皆様にご説明をし、皆様が記事としていただくことで全国の多くの国民の方に届けられるよう工夫をしてきたつもりでございます。さらに、消費生活相談を含む地方消費者行政は、消費者の権利の尊重・利益の擁護を実現するための礎であります。消費生活相談のデジタル化については、来年度のシステム移行に向けて道筋をつけることができました。新システムへの移行をよりスムーズに行うため、全国の消費生活センター等の職員及び相談員向けに、来年5月から7月に、国民生活センター相模原での集合研修を複数回予定しています。自治体の皆様におかれましては、ぜひ積極的にご参加いただきたいと思います。なお、参加が難しい方に向けては動画配信も予定をしております。また、着任当初から、現場に出向くことを重視してまいりましたが、3年間の在任期間中、47都道府県全てを訪問いたしまして、36県におきましては知事と直接お話をさせていただきました。訪問を通じて、地域毎の実情に応じて築き上げられたサービスの水準が低下しないようにするために、見守り活動と消費者教育による予防活動をセットで実施することが必要だと感じるとともに、また、いろいろ工夫を凝らしておられる状況を拝見し、地域が実情に応じて適切に対応できるような支援の在り方が必要であるということを実感いたしましたので、今そのための予算の見直しを検討しているところであります。「消費者の自立の支援」という観点からは、消費者自身が被害に遭わないように力をつけてもらうために、「気づく力」「断る力」「相談する力」等を「消費者力」として整理し、その強化を図ってまいりました。また、消費者市民社会の一員である消費者自身の責任として、持続可能な社会の実現のための行動変容を促すべく、今年度、消費者月間のテーマを「明日の地球を救うため、消費者にできること グリーン志向消費~どのグリーンにする?~」として各種周知を行うとともに、本年度の消費者白書では「グリーン志向の消費行動」に焦点を当てて特集をいたしました。その他にも、食品表示の見直し、リスクコミュニケーション、食品ロス削減の推進、消費者志向経営、公共料金に係る対応等、非常に多くの施策に取り組ませていただきました。この3年間、一つ一つ対応していたわけでありますが、消費者問題というのはまだまだいろいろな課題がその時々によって発生してくると思います。そういうときに、その課題に正面から向かって中長期的な視点で解決できるような施策を、今後とも消費者庁としてやっていくべきだと考えています。

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