新井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年5月8日(木) 14:00~14:17 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭1点目、お手元に資料がございますけれども、不当寄附勧誘防止法の運用状況について、令和6年度下半期について公表させていただきます。これは、令和6年10月1日から令和7年3月31日までの情報の受理・処理等についてということでございます。お手元の「寄附の不当勧誘に係る情報の受理・処理等件数表」を見ていただくとお分かりかと思いますが、令和6年度下半期について申し上げますと、情報の受付件数は合計502件、そのうち、調査対象と認められ、受理の手続を行ったものは、上半期からの繰越し8件を含め、合計31件ということであります。その31件の処理状況について類型別にお話をいたしますと、不当寄附勧誘防止法に基づき勧告又は命令を実施したもの、それから勧告又は命令を実施する法令上の要件を満たさないものはいずれも0件、寄附の不当勧誘の事実が認められないものは6件、匿名又は連絡不通等により、調査が不能なものが14件、法律施行日前の事案と認められるもの等が0件ということであります。引き続き調査中のものは、表の下段に掲げるとおり、合計11件ということであります。上半期、下半期を通じた令和6年度の年間の件数は、これを足したものということになりますけれども、情報の受付件数は1,201件、受理件数は令和5年度からの繰越し12件を含めて56件、処理件数は45件ということであります。消費者庁としては、引き続き、不当寄附勧誘防止法の厳正な運用に努めるとともに、この趣旨の周知・啓発について着実に取り組んでまいりたいと考えております。
それから2点目ですけれども、資料はございませんがご報告をさせていただきたいと思います。消費者基本計画で掲げた地方消費者行政の推進についての検討状況について報告をいたします。地方消費者行政強化交付金の推進事業の活用期限が多くの自治体で今年度に到来するということを受けまして、これまで自治体や消費者団体等から多くの要望書をいただいているところであります。消費者庁においては、4月24日に伊東大臣と地方公共団体の担当者や有識者との意見交換会を開催いたしました。意見交換会では、現場で活躍されている都道府県や市町村の担当者や有識者から意見聴取を行いまして、消費生活センターの運営、消費生活相談員の業務、消費生活相談体制の整備、見守り活動と消費生活センターとの連携の取組、消費者教育、啓発に関する取組について、現状や課題に関するご意見を伺うとともに、国の財政支援への期待が寄せられたところであります。これに対し、伊東大臣より、見守り活動や出前講座の充実など地域に出向く取組が不可欠であるということや相談員の担い手不足への対応が喫緊の課題であることを認識した、それから、推進事業の活用期限到来に際して、しっかり対策を講じていきたいなど、具体的に結果を残せるような活動をしていくというメッセージが発せられたところであります。また、私自身もこれまで昨年度以降23府県の知事、それから担当者の方々を訪問して意見交換を行いましたし、地方協力課の事務方では約70地方公共団体を訪問し、実態把握に努めてきたところであります。その上で、5月1日に消費者庁次長をトップとする「第二回地方消費者行政推進プロジェクトチーム」を開催いたしまして、この間にいただいたご意見を整理するとともに、今後の検討の進め方について議論を行ったところです。消費者庁としては、いただいたご意見や国会や党での御議論を踏まえまして、今後の地方消費者行政の充実・強化のために必要な施策について、骨太方針、さらには来年度の概算要求に向けて検討を進めて参りたいと考えております。
質疑応答
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問
NHKの絹川です。
兵庫県の公益通報の関係なのですけれども、斎藤知事の発言を受けて、消費者庁が、先月8日に、県の担当部署に「消費者庁の公式見解とは異なり、体制整備義務は、外部通報も含まれる」など、適切な対応を求めたと、先週複数のメディアで報じられました。この兵庫県の斎藤知事の発言を受けて、実際に、消費者庁は具体的にどのような対応を取られたのか、行政処分でなくともどのような指導をしてどんな対応を求めたのか、具体的に教えていただければと思います。 -
答
公益通報者保護法では、国の行政機関や地方公共団体に対して、消費者庁の行政措置権限を適用しないこととされておりまして、消費者庁では、地方公共団体等に対して同法に基づく指導を行う立場にはございません。これは繰り返しこの会見で申し上げていると思います。他方で、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として、地方公共団体向けの、通報対応に関するガイドラインを策定しております。それから、地方公共団体に限らず、民間事業者あるいは従業員の方等に対しても、法の解釈に関する一般的な助言や照会への対応等、様々なやり取りを日常的に行っております。兵庫県に対しても、法定指針に定める「公益通報者を保護する体制の整備」として事業者が取るべき措置について、公益通報者には2号通報者・3号通報者も含まれる旨、一般的な助言として伝達をしているということであります。
- 問 あくまで一般的な助言であって、何か具体的にこういうふうに対応しましょうとか、こういうことをした方がいいですよとか、そこまで踏み込んだことはおっしゃっていないのでしょうか。
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答
はい、そうです。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
先ほどの質問に関連して、国会では兵庫県の知事に対して、地方自治法に基づく技術的助言をすることを求める意見がかなり出ていました。それで、今回初めて2号通報と3号通報が指針の対象になるということを助言したということを明らかにされたのですが、国会の中ではそれを明らかにしてきませんでした。今回、兵庫県の県政改革課の方でもうそれを認めたということですので、国会の中でも明確に答弁されていくのではないのかと思うのですが、ただ報道によってはメールをしたとかいう報道もありますけれども、指針に内部通報が含まれるということをメールで通知しただけということなのでしょうか。もう少し具体的に、どうせ国会でここを追及されることになると思うので、4月8日の段階でそれを通知したということでよろしいのでしょうか。 -
答
(参事官(公益通報・協働担当)室)
おっしゃるとおりです。 - 問 大臣は国会審議の中でかなり、今後どんな助言ができるか検討してさらにできることがあれば助言をしていきたいというふうにも答弁されていたと思うのですが、今後、消費者庁はさらに何かする予定はあるのでしょうか。
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答
申し上げておきますと、この技術的な助言というのは、まず通報対応に関するガイドラインを策定すると。兵庫県ということではなくて、一般的に地方公共団体がやる場合のやり方を説明していると。これが地方自治法第245条の4に基づく技術的な助言の全体だというふうにご理解いただけると思います。それに対して、例えば技術的な助言の解釈でありますとか、あとは法律全体の解釈についてというものは、これは一般的助言でありまして、地方公共団体に限らず従業員の方でありますとか、あるいはマスコミの方からお問い合わせがあったときも答えているというものでありまして、4月8日のものは一般的な解釈基準として助言をしたというふうにご理解をいただければと思います。それに基づいて、地方公共団体であります兵庫県がどういう対応を取るのかというのは地方自治法に基づいて知事をしっかりと管理・監督する、監察というのですかね、百条委員会などの仕組みがありますので、地方自治法の中で自浄作用を働かせていただきたいということであります。
- 問 17日に立憲の川内議員の質問に伊東大臣は、地方自治体にいかなる指導ができるか内部で検討し、引き続きしっかりと助言をしていきたいというふうにおっしゃられています。それは、8日にまず技術的助言をして、その後の大臣の発言ということですので、それを受けてさらに何かをされるのかという質問です。
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答
今のところ、そういうことを考えておりません。
- 問 分かりました。別の質問をさせてください。先ほど冒頭発言にあった地方消費者行政の話です。24日、私は最後の大臣発言の部分のみ取材をさせていただきました。皆さんの関心が国の財政支援に集約され、そうした心配がなく活動できるよう我々も頑張りたいと。相談員も高齢化し、担い手不足などの課題がある中で、それぞれ地方で人材不足の手助けができればとは思っているというふうにかなり前向きな発言をされています。自治体からはどのようなご意見があったのでしょうか。
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答
今回、自治体の方、それから有識者の方ということで1時間をいただきました。消費生活センターの運営については、消費生活センターの存在意義は非常に高く、国・県の消費者行政そのものを支えている側面が非常に高いということ、それからセンターの影響はやはり国の支援を受けて作ったというところもございますので、非常に良い影響だというお話がありました。それから、相談員についてはということで相談員の人員確保ということとともに、PIO-NETの入力というのが、大変ではありますけれども、それが全体に役立っているということ、あとは計画的な後身の育成が非常に重要、それから雇用の安定も図ってほしいというお話がありました。それから、消費生活相談体制の整備については、これまでの成果を無駄にせず、継続していけるよう引き続き努力したいが、そのためにやはり安定的な財源の確保が必要ということ。それから、繰り返しになりますけれども、担い手不足が深刻な状態、今後大量退職の時期を控えているのでその補充が必要といった意見がございました。それから、見守り活動と消費生活センターとの連携については、日々の見守りの中で気づいた高齢者の方々等の消費者被害を消費者生活センター等につないで、高齢者被害の未然防止・拡大防止等を効果的かつ円滑に行うため、消費者安全確保地域協議会を設置して活用していく、それから見守りネットワークを機能させるために、そこに出前講座も加えてやっていくというようなお話がございました。消費者教育啓発出前講座についてはやはり重要なポイントですので、引き続きこれをしっかりやっていけるような体制が必要というようなご意見をいただいたということでございます。
- 問 分かりました。骨太の方針と来年の概算要求に向けて検討を進めるという長官のご発言もあって心強く思っているのですが、どのような形で検討を進めていかれるのでしょうか。
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答
まさに今いろいろな方々からご意見をいただいております。消費生活センターで皆様が相談を受けたり、あるいは出前活動ということで地域の方々に消費者教育をしていただいていることは非常に重要だということですので、その機能が十全に発揮できるように国としての支援体制をしっかり構築するということで、その旨を踏まえて概算要求をしていきたいと考えています。
- 問 分かりました。期待しております。それからもう1問だけ。不当寄附勧誘防止法の見直し期限が今年の6月ではないかと思うのですが、それに向けて何か準備のようなものはされていらっしゃるのでしょうか。
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答
不当寄附勧誘防止法の規定の検討については、法附則第5条に基づきまして、法律施行後2年を目途に、それまでの施行状況及び経済社会情勢の変化を勘案しつつ、所要の検討を加えることというふうにされております。今ご指摘がありましたとおり、不当寄附勧誘防止法の本格的な施行が2年前の6月1日ということですので、そろそろ時期ではないかと思っております。従いまして、この附則、それから参議院の附帯決議もございますので、それらを踏まえて十分に検討をしていきたいと考えているところであります。
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問
フリーの菅野と申します。
今日、関西の方では報道されているのですが、4月8日に、先ほどの質問でも出ましたけれども、消費者庁の方からメールをもって地方自治法に基づく技術的指導があったと。知事、首長の記者会見での発言をある種能動的に消費者庁が判断をし、その法解釈が間違っているよということを技術的指導するというのは誠に素晴らしい動きだとは思うのですけれども、ただ異例かなと思います。これまで首長の発言、記者会見や演説での発言が法解釈と違うということをもって、公益通報者保護法のみならず消費者庁が所管する法律でそのような技術的指導を昨年度何件ぐらい行われたか、件数を教えていただけますでしょうか。 -
答
(参事官(公益通報・協働担当)室)
個別の首長の発言等への対応についてお答えは差し控えますが、ただ消費者庁としては普段、公益通報者保護法に関し、地方自治体及び民間事業者に対して一般的な助言ですとか、あと照会への対応というのは日常的に多くやっております。 - 問 件数の方は公表を差し控えるということでよろしいでしょうか。
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答
(参事官(公益通報・協働担当)室)
日常的な助言とか照会への対応について、特に特定の知事に対して何かしたかということのご質問に対しては、お答えは差し控えたいと思います。 - 問 違うものが通常なのでしょうか。
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答
先ほど申し上げましたとおり、通常、法律の解釈でありますとか運用をどういうふうにしたらいいかとか、そういうお問い合わせがあったりとか、そういうものを私たちが助言するというのは通常ですので、特段、通常業務の中で行うということですから、その中で例えば件数をまとめたりとか、そういうことはしておりませんし、これからもする予定はありません。
- 問 分かりました。通常業務の一環であるということでよく分かりました。