新井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年4月3日(木) 14:00~14:16 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日、2点お話をさせていただきます。1点目は、本日から、若年層による消費者トラブルの被害防止を図ることを目的といたしまして、消費者庁と乃木坂46のコラボによる周知・啓発を行います。若年層の方々は現在、進学や一人暮らし、就職や結婚等をきっかけに生活環境が大きく変わり、それに伴って様々な契約を締結する必要が生じます。最近では、美容関係、エステ関係、それからアパートなどの賃貸借、マッチングアプリといった問題について、若年層のトラブルが散見されるところでございます。このため、今回、消費者庁と乃木坂46のコラボポスターのほか、オリジナルの歌とダンスで「消費者ホットライン188」をPRするコラボ動画を制作し、周知・啓発を行いました。まずは188に相談していただく、それによって解決の糸口を見出していく、あるいは契約前に必要な助言を得ていただくということが重要だと思いますので、この周知・啓発をやっていきたいと考えております。現在、全般的に見ますと188の認知度は約40%と言われておりますけれども、この認知度をこの活動によって高めていきたいと考えております。制作したコラボポスターは全国の大学生協を始め、地方公共団体や消費生活センターへ配布をしているところであります。また、コラボ動画については、本日、消費者庁のホームページやYouTubeチャンネルのほか各種公式SNSにおいて配信するとともに、今後も多様な媒体やイベントを通じて周知・啓発を行っていきたいと考えております。繰り返しになりますけれども、困ったときは、一人で悩まずに、消費者ホットライン188までご相談いただきたいと思います。
それから、2点目でございます。地方消費者行政につきまして、2つお知らせをいたします。1つ目ですけれども、今週4月1日に、消費者庁におきまして、「地方消費者行政推進プロジェクトチーム」を立ち上げまして、第1回会合を開催いたしました。本プロジェクトチームは、第5期消費者基本計画に記載した今後の地方消費者行政の推進に関し、地方消費者行政強化交付金の在り方を含め、具体的な方策の検討を進めていくものであります。新たな基本計画が計画期間に入る4月1日に合わせて立ち上げたということでございまして、これから検討を本格化させていきたいと考えています。それから、2つ目でございますけれども、消費生活相談DXの新システムについてお話をしたいと思います。先般、国民生活センターが調達を実施いたしまして、新システムの構築事業者が株式会社JSOLに決定をいたしました。新システムへの移行に向けて、これから具体的なシステム構築の段階に入っていくこととなります。地方自治体には、事業者決定に関して連絡を発出したところでありまして、引き続き、丁寧な情報提供等を行いながら、2026年度の接続を最優先の方針として、消費生活相談DXに取り組んでいきたいと考えております。今般、各自治体のシステム状況に合わせまして接続方式をいくつかに分けております。新システムへの接続方式では、3月時点で、約53%がLGWAN-ASP接続、約44%がインターネット接続、約3%がその他、あるいは検討中ということでございます。システムの構築事業者が決定したことによりまして、各自治体に、より具体的な情報を提供することができるということでございます。各自治体と相談しながらやっていきたいということでございます。それから、加えまして、新システム移行についての費用についてでございますが、国はクラウドサービスの構築費用、クラウドサービスの運用保守費用を負担いたしまして、地方自治体による新システム移行に必要な回線敷設費、セキュリティ対策費、端末購入費といった初期費用を地方消費者行政強化交付金で定額控除することとしております。他方、こうした国が構築したシステムを要するために、地方公共団体がクラウドサービスに接続するためのセキュリティや回線利用料など、経常的な経費は地方自治体にご負担いただくということでございます。いずれにいたしましても、システムが2026年に無事に接続できるように具体的な作業を開始していきたいと考えております。
質疑応答
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問
NHKの佐々木です。
先日、タレントの中居正広さんと元女性アナウンサーのトラブルをめぐる一連の問題で、フジテレビなどが依頼した第三者委員会で調査報告書が公表されたんですけれども、この中で、社内外に内部通報窓口などを複数設置されていた点などについて評価されている一方で、相談件数が少なかったことなどを踏まえて、相談窓口の実効性に問題があったなどと指摘されています。消費者庁として、今回のフジテレビの内部通報制度の整備や運用について、どのように考えられ、受け止められているかということと、第三者委員会の指摘を踏まえて、事実関係の聞き取りの実施の有無だったり、行政措置の実施の予定などがありましたらお聞かせください。 -
答
フジ・メディア・ホールディングスの第三者委員会の調査報告書の中におきまして、お話がありましたとおり、内部通報窓口等の相談通報窓口といった方におきまして、相談・通報の状況、あるいは運営状況といったものが分析されているということは承知をしているところでございます。消費者庁が公益通報者保護法というものを所管している立場で、公益通報の窓口について消費者庁がこうやってくださいというようなやり方を皆さんにお示ししているということでありまして、公益通報の窓口が法定指針に基づいて運用されているということが我々にとって必要ということでございますので、それ以上のものについては消費者庁として対応する立場にないと考えています。
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問
日本消費経済新聞の相川です。
冒頭のご説明に対して質問させてください。「地方消費者行政推進プロジェクトチーム」を開催されたということですが、どういうメンバーで何人くらいで構成され、どういう話をされたのか、それからどの程度の頻度で開催され、その結果はどのような形で私たちに伝えていただくことができるのか、お教えください。 -
答
(地方協力課)
メンバーにつきましてですけれども、チーム長を消費者庁の次長をヘッドとする形でございまして、その下に担当の審議官、それから今回の地方消費者行政の検討ということで中心的な検討をする課になります地方協力課、それから消費者教育も関わってまいりますので消費者教育推進課、それからオブザーバーとして国民生活センターからも参加をいただくというようなメンバー構成でございます。それから開催頻度、また、その取りまとめと言いますか、どういった出口にしていくのかというところにつきましては現時点でまだ未定というところでございますけれども、長官の先ほどの発言にございましたとおり、地方消費者行政強化交付金の問題等もございますので、これからしっかり検討を進めていきたいと考えているというところでございます。 - 問 国会で今、本当に、各党の議員の先生方が地方消費者行政の交付金が終了する問題を取り上げてくださっていて、大臣をはじめ前向きな答弁もしてくださっているのですが、検討がどうされているのかは見えないというご意見が出ています。今、このプロジェクトチームが立ち上がる時でその部分が少し解消されるのだとは思うのですが、どういう形で検討状況が見えてくるような形になるのかについてもう一度、今から考えるということなのでしょうか。そこについてもう少しご説明ください。
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答
まず基本計画の中でこの交付金について私たちの立場というか、地方消費者行政をしっかりと支えていこうということを表明しております。強化交付金という話に限って申し上げますと、強化交付金というのは予算要求という形で出てくるというものですので、その予算要求の段階のそれぞれまででしっかりと成果を出し、政府全体のものとしていくというふうにご理解いただきたいと思います。それから、この基本計画の中で電話相談やメール相談を待っているだけでいいのだろうかと。いわゆる電話相談になかなか自分から相談できないような方々も増えているというのが今回の基本計画の大きな筋でありまして、そういう意味ではアウトリーチ型と呼んでおりますけれども、「見守りネットワーク」とか教育といった形で消費生活相談の方々が出ていって、実際に現場に出ていくような活動をしていかなければいけないということで基本計画の中で書かせていただいています。このチームにおきまして、そういう形の消費者相談と、それから地方を支える行政ということで、見守りネットワークでありますとか、各機関との関係でありますとか、実際の事前に予防するための消費者教育とか、そういうものを一体的に議論していこうと。それが実際、私も既に多く数十県、訪問させていただいておりますけれども、消費者庁よりもより進んでしっかりやっていただいている市町村もたくさんあります。そういうモデルケースなどを見ながら一体的にこのチームでは議論をしていくということであります。交付金に限って申しますと、予算要求のそれぞれの段階で成果が出ていくとご理解いただきたいと思います。
- 問 検討会ではなくプロジェクトチームということで、専門家のご意見を聞いたりというようなこともされるんでしょうか。
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答
その辺はこれからの進め方だと思います。
- 問 次、DXについてお教えください。今、ようやく会社が決まったということなんですが、大体、画面でどういうようなものを相談員さんが、対応する画面がどういうものになって、具体的に研修ができるようになるのはいつぐらいの時期を想定されていますでしょうか。
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答
これは、既にお伝えしていると思いますけれども、2026年10月に新たなシステムになるということでございます。それまでに国民生活センター相模原事務所におきまして実際のデモ機を使って操作研修をしていただくということを考えております。その操作研修の手順が整い次第、できるだけ多くの方に実際に機械に触れていただいた研修をしようと考えているところです。実際にそれが4月になるのか5月になるのか、これはこれからの事業者の構築の具合によって変わってくると思いますが、いずれにいたしましてもできるだけ多くの方が操作研修をした上で10月に臨んでいただけるということを国民生活センターとともに計画をしているところです。
- 問 それから、LGWANも使わずにインターネット接続で接続するところが44%と想定外に多いのですが、これは経常経費がかかってくる。大体、経常経費の平均はどのくらいで見ているのでしょうか。それから、そのことに伴ってこれまで繋がっていたPIO-NETから離脱する自治体は出ないのでしょうか。
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答
今のところ、経常経費のそれぞれの費用についてはまだ集計をしておりません。それから、PIO-NETから離脱するところがあるという話は、今のところそういう情報は得ておりません。
- 問 私はいくつかの自治体でそういう懸念があると、そうせざるを得ないという話は聞いているのですが、そこは解消しているんですかね。きちんと調査をして、今までつながっているところは全てつながるというような調査の結果が出ているということでしょうか。
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答
(地方協力課)
自治体の皆様がしっかり接続できるようにという方針で進めていくというところでございまして、本当にそれが進められるかどうかというのをまさにこれから国民生活センターと、それから構築事業者と一緒にコミュニケーションを取っていくというところでございます。もしインターネット接続とすることで経常経費の不安があるという場合は、おっしゃるようなLGWAN-ASPという代替措置もございますので、そちらをご利用いただくという手もあると思います。インターネット接続につきましても、例えば消費者部局だけで負担するのではなくて、自治体、庁舎全体としてインターネットの方に今移行してきているから移行できるだろうかというところも出てこようかと思いますので、そのあたりは引き続き丁寧に確認とコミュニケーションを取っていきたいと思っております。 - 問 ありがとうございました。きちんとやってください。離脱すること自体、大きな後退になりますので、離脱する自治体が出ないようによろしくお願いします。