新井消費者庁長官記者会見要旨
(2025年1月23日(木) 14:00~14:16 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
冒頭発言なし
質疑応答
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問
日本消費経済新聞の相川です。
1月21日に開催された「食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議」で、2025年度中にカシューナッツを義務表示に、ピスタチオを推奨表示に追加する方針を決定してくださったことを高く評価したいと思います。関連して1点。交差反応性に関する海外の表示調査結果等を踏まえて、消費者庁は「新たな木の実類の交差反応性については、「くるみ」と「ペカン」の前例を踏まえて都度の検討を行う」としています。ピスタチオとカシューナッツはともにウルシ科で、交差反応性があることが知られていますので、早急な情報提供をしていただけないでしょうか。 -
答
今お話がありましたとおり、1月21日に、第7回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議を開いていただきまして、委員の方々にご議論を賜りました。カシューナッツについては「特定原材料」、それからピスタチオについては「特定原材料に準ずるもの」ということで、所要の手続きを経て令和7年度中に行いたいと考えております。これは既に進めております検査法が開発されることを前提にということでございます。いただきましたように、カシューナッツとピスタチオはともにウルシ科ということで交差反応性があると知られておりまして、本アドバイザー会議におきましても、「臨床現場で複数の木の実に、一体的な指導を行っていること等を踏まえると、患者及び事業者への情報提供の要否について検討が必要」としておりますので、これから具体的な情報提供の在り方について考えていきたいと思っております。
- 問 今回の調査でもやはりアナフィラキシーショックを発症する頻度が非常に高くて、ピスタチオとカシューナッツが4番目、マカデミアナッツが1位でした。小麦に次いでピスタチオ、カシューナッツがその次にありますので、これを知っておいて用心していただく方が。基本的に今カシューナッツのアレルギーが増えていますので、同様に増えてくる可能性がありますので、急ぎ対応をお願いしたいと思います。それから、今回の調査で分析した症例数は6,033例と前回6,080例と大差はなかったのですが、ご協力いただけるアレルギー専門医の数が前回の1,089人から772人と3割は減っていることがとても心配になりました。ご多忙な専門医にご協力いただいているということだと思うのですが、消費者庁は今後この数が減らないためにどのような対応をされるのでしょうか。
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答
すみません、今いただいたご質問にお答えする前に、1点、私の方から、事業者の方にもお願いしたいことがございます。消費者庁は食品のリコールサイト、自主回収の状況のリコールサイトを設けております。その中の回収の理由別を見ますと、アレルゲンの表示がしていなかった、ラベルの貼り間違いがあったというのが、1位という形になっております。いろいろな素材を含めて食材がありますので、事業者の方はなかなか大変かと思いますけれども、今お話がありました、アレルギーはものによっては、皆さん、食べた方に非常に重篤な影響を及ぼすということもございますので、ラベルのチェックについては一層注意してやっていただきたいと思います。それから、毎年、年末に行っております食品表示の監視指導の中におきましても、今回はくるみが特定原材料に追加されるということを中心に、アレルギー関係の表示について監視指導員の方々がそれぞれやっていただいたということでございまして、アレルギーについては事業者の方、それから食品表示の対策を含めてしっかりとやっていきたいということを、まず冒頭申し上げたいと思います。それから、ご質問がありました、全国実態調査の協力の医師の方が減っているということでございます。症例数は前回の調査が6,080例、それから令和6年度の調査が6,033例ということで、症例数自体は減っていないということで、今回も分析をするのに必要なデータを集められたと考えております。しかしながらご指摘がありましたとおり、協力していただく医師の専門医の数が1,089名から772名ということで減っているということでございます。アレルギー学会の先生方にご協力を得てやっているということでございますが、調査の参加の意思表明の仕方、それから回答の仕方、はがきとメールを使っておりますが、これをどういう形で使っていくのかということで、少し参加意思の表明について、私たちも改善すべき点があると思っていますので、これからまたよく相談して、次の調査においても必要な症例数がしっかりと集められて、それをもとに表示制度が検討できるようにしていきたいと考えています。
- 問 もう1問だけ。即時型アレルギーを発症した6,033例のうち、誤食によるものが2,052例でした。このうち、表示ミスによる健康被害が6.4%ありました。報告書は、これまでの調査と大きな変化が認められないとしています。食品表示法で食物アレルギー表示が管理されているにもかかわらず、表示ミスによる誤食は経年的に減少していないことから、違反事例及び自主回収事例に関する情報や行政による監視の結果に関する情報の収集に引き続き努める必要があり、さらに、表示ミスを防ぐための対策について情報提供する等、新たな対策を実施する必要があるとしております。先ほど少しお話はいただいたのですが、どのように対応され、今後さらに何か新たな対策を検討されるのかどうかについてお教えください。
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答
今、表示上の仕組み、食品表示基準に義務付けたものについて当該基準に従った表示がされていない場合には、指示や命令あるいは罰則の対象になるということ。それから、食物アレルギー表示については、患者の健康危害の防止を目的とした表示ということでありますので、その重要性について消費者庁ウェブサイトや各種事業者向けの説明会において啓発を行っているということでお話をいたしました。それから今申し上げたとおり、食品表示の一斉点検の中で監視指導員の方がそれぞれの事業者に指導する。それから、事業者の方々にもさらなる啓発をお願いしたいと思っているところでございます。これ以上、かつ当該商品の表示が間違っていることが判明したならば、速やかなる告知あるいは自主的な回収といった措置をとっていただきたいということでございます。これに加えてさらに何ができるのかということは大きな課題だと思っておりますが、日々食材が変わる中におきまして、まず、第一には事業者の方がしっかり表示をチェックしていただくことが出発点だと思っておりますし、その中でアレルギー表示について、特定原材料、それから推奨品目といったものを、例えばそれぞれの作業工程に掲示して、皆さんが認識できるようにするとか、いろいろな現場での工夫は、やり方があると思っていますので、例えばいろいろな優良事例などを集めて、それを加工の現場でやっていただくような、そういうきめ細やかな取組をこれからやっていきたいと考えています。
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問
日本食糧新聞の本宮です。
アメリカFDAの赤色3号についての件ですけれども、Q&Aの方で消費者庁としては、日本の対応について、最後の方の文章で「検討していく予定」とあったかと思うのですが、いずれかの段階、いずれかのタイミングで赤色3号についての使用の可否について消費者庁としても検討するということで、具体的なアクションをされるような流れになるのかどうか、そのあたりをお願いします。 -
答
食品添加物の赤色3号につきましては、消費者庁のホームページで詳細なQ&Aを挙げておりますので、まずそれをご覧いただきたいと思っております。その中のQ4において、「日本でも食用赤色3号は禁止されるのですか」ということでQを立て、それからAということで書いてございます。改めて読み上げますけれども「消費者庁では、米国における決定の内容を精査し、米国以外の諸外国における動向なども踏まえ、科学的な見地から食用赤色3号の食品添加物としての使用について検討していく予定です」ということでございまして、まずは米国の決定なり、それから米国なり諸外国ということで、各国のデータ、それから情報をまずは収集していくというのが現時点での立場ということであります。
- 問 そうしますと、この赤色3号についてのみのピンポイントの対応になるということであって、例えば合成着色料を幅広く見直すとか、そういう話にはならないというようなことで理解してよろしいでしょうか。
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答
いずれにいたしましても、食品添加物をしっかりと科学的な基準に基づいて使っていく、見直しについてもそれぞれ手順が決まっているということでありますので、今までの食品衛生法の運用をしっかり私たちは実施していくということであります。
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問
朝日新聞の井上です。
カシューナッツの件ですが、公定検査という言葉が使われていますよね。一般の人に分かりやすく言うには、公定検査の内容と、あとなんで公定検査の方法が確立しないと実施に踏み切れないのかをかみ砕いて。分かれば事務方の方からでも結構なので教えていただければと思うのですが。 -
答
いずれにせよ、まず形になって入っていると分かるかもしれませんが、例えば砕いたり、エキスにしたりとか、パウダーにしたりとか、いろいろな形で使われます。それを義務にするに当たっては、違反するかどうかということが客観的に判定できないと、その事業者に食品表示法の違反は問えません。客観的にやる場合に、その検出する手法も科学的な検出方法でいろいろなやり方があるので、一定のやり方で一定の精度で検出していただくことによって違反の事実を確認する。要するに客観的な証拠を集めるためには、それだけの客観的なデータがなければいけません。事務方から補足があればお願いします。
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答
(食品表示課)
長官がおっしゃられたように、基本的には検査法というものがタンパク質、アレルゲンというものを検出する方法ですが、義務・罰則がかかるところですので、そういった観点から一定の検査法が必要です。その検査法も妥当性を確認しなければならない。誰もが同じように検査をして、同じような検出ができるというところが必要となりますので、そういった意味での公定検査法でございます。 - 問 つまり、入っているかどうかを一定の方法で客観的に検出できるための方法を考える必要があるということですかね。
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答
(食品表示課)
そのとおりでございまして、加工食品はいろいろな加工度合い等もありまして、検査方法が確立していなければ、一定の指標というものがなくなってしまうので、そういった観点がないように、こう検査すると必ずこの結果が出ますというものが必要ですので、それを検査法として定めるということです。 - 問 あと、症状が即時性とショック性、2通りに分かれていますよね。今回の検査の結果、明らかになっているところで。簡単に言うと、即時性というのは1時間以内に症状が出たものということでいいですか。摂取から1時間以内に症状が出たものを即時性というのですか。
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答
(食品表示課)
今まで調査をしているもの、全国実態調査の中の即時型症例数のものに関しましては、そういった形で60分以内に出るものと定義しておりまして、これは報告書の方にも掲載しております。 - 問 ショックというのはアナフィラキシーのことだけじゃないのですか。
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答
(食品表示課)
いわゆる重篤な症状になったものでございます。 - 問 重篤な症状というのは、例えば呼吸困難とかそういうことを指すのですか。命に関わるような、と言っても大丈夫ですか。
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答
(食品表示課)
意識を失うとか、そういったものでございます。 - 問 あと、くるみは3月まで猶予でしたよね。
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答
(食品表示課)
今年度末、令和7年3月までが経過措置期間でございます。 - 問 4月からは完全に移行するわけですね。
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答
(食品表示課)
はい。