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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年12月12日(木) 14:00~14:15 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

「令和6年度第4回消費生活意識調査」の結果について、お話をさせていただきます。今回の調査は、令和6年11月に、初めて「消費者志向経営」をテーマとして行ったものです。調査結果のポイントを申し上げますと、配付資料1ページでございますが、消費者志向経営の内容を説明し、考えていただくきっかけをつくることを意図して、「企業の取組事例」や「消費者志向経営の概念」を提示いたしました。その上で、どの程度、消費者志向経営に興味を持ったか聞いたところ、「興味を持った」と回答した人の割合は51.4%でした。年代別では、70歳代以上が最も高く、次いで60歳代、10歳代の関心度が相対的に高いことが分かります。次に、配布資料2ページですが、企業が消費者志向経営に該当する取組を行っていることについて知っていたか聞いたところ、認知度は15.4%ということでありました。配布資料3ページ、消費者志向経営に取り組んでいる企業の商品等を購入したいか聞いたところ、「購入したい」と回答した人の割合は、60.6%でありまして、こちらも70歳代以上が最も高く、次いで60歳代、10歳代の購入の意向が相対的に高いことが分かりました。配布資料4ページですが、消費者志向経営に取り組んでいる企業に賛同し、その商品等を選ぶ場合、他の商品等よりどの程度なら割高であっても購入したいか聞いたところ、「割高でも購入したいと思う」と回答した人の割合は47.4%でした。こちらも70歳代以上が最も高く、次いで10歳代、20歳代の回答の価格許容度が相対的に高いことが分かりました。次に配布資料5ページですが、就職活動や求職活動を行う際、企業における消費者志向経営の取組状況を確認し、判断材料にしたいか聞いたところ、「判断材料にしたい」と回答した人の割合は、45.0%でした。次に配布資料6ページですが、取引相手や投資先を選定する際、企業における消費者志向経営の取組状況を確認し、判断材料にしたいか聞いたところ、「判断材料にしたい」と回答した人の割合は、50.2%でした。今回の調査結果から、「消費者志向経営」とはどのようなものかを考えていただくきっかけがあれば、60歳以上と10歳代を中心に、約5割の消費者が「消費者志向経営」に対して関心を持ち、取り組む企業との関わりに対して前向きな意向を示すことが分かりました。一方、企業における「消費者志向経営」の取組の認知度については、約15%にとどまっております。この調査結果を踏まえまして、優良事例表彰を通じた企業の優れた取組の周知、消費者庁ウェブサイトにおける自主宣言実施企業の掲載等、「消費者志向経営」の周知活動に取り組むとともに、本調査を継続することで消費者の認知度等の推移を確認していきたいと考えております。なお、本年度の優良事例表彰は、8月2日から公募を開始しておりまして、多数の応募をいただいたところです。現在、選考を行っておりまして、受賞者の公表は令和7年1月下旬頃を予定しております。

質疑応答

日本消費者新聞の丸田です。
今のご説明について、1ページですが、U字になっている、つまり70歳代とか10歳代の関心度が高いですが、まさに働き盛りである20代から50代、要するに働き盛りの若い方の関心度が相対的には他の年代よりも低いということについて、今回、何か結論として出てきているものがありますでしょうか。

エシカル関係あるいは環境関係で当庁が調査しているものでも同様な結果、傾向が出ているというのは、この記者会見でも何回かお話ししたところであります。しかしながら、今回の調査で着目したいのは4ページですが、価格許容度を年代別に調査いたしました。20歳から40歳代というのは価格許容度が実は結構高いということが今回の調査で分かりまして、20歳から40歳代というと、子育て中だったりとか結婚したりという形で、いろいろな意味で出費が多くなる年代です。そういう状況でも価格許容度が高いということですので意欲は相当高いということが今回分かったところでありまして、毎日、毎回はなかなか難しいかもしれませんが、それぞれのライフスタイルに応じて、社会貢献するものでありますとか、そういうものについて購入の意向を持っているということが分かりましたので、これからの企業活動においても、きちんと商品を作って訴えかけていくという活動を継続していくことが、20歳代、30歳代、40歳代にもこのような気持ちを持ち続けていただくことにつながると考えておりますので、そういう形の企業の活動を継続していただく、そういう意味で、私としては今回の調査の一番ハイライトは4ページではないかと考えています。

もう1点、消費者庁で、優良事例表彰を毎年やっていらっしゃいますが、この表彰についてはこれまでもバッジを出したり、いろいろ自主宣言されている方々とかということですが、制度としての重要性はとても大きいと思うんです。消費者団体が入って、プラットフォームをつくられているということで、広報といいますか、この制度の重要性のアピールとか、そういうものがあればちょっとお聞きしたいと思います。

優良事例表彰は、内閣府特命担当大臣賞を中心に出しているところです。これは先ほど申し上げたように、私たちが制度のPRをする、まさに消費者団体も入り、経済団体も入ったプラットフォームをつくっているということで、そこを私どもがPRするとともに、受賞された企業の方もいろいろな形でPRをしていただいている。それから、いろいろな取組、過去に受賞された方も、また違った取組をさらに進化させていただいているという面もありますので、それぞれ相乗効果を持ってやっていくというのが重要だと考えておりまして、おっしゃったとおり、この運動を絶やさず続けていくことが、全体としての地球規模の課題を解決していく大きな道になるのではないかと考えておりますので、継続的に行っていきたいと考えています。

フリーの木村です。
別件ですが、昨日開催されたの解約料の実態に関する研究会で結論が得られたということで、それを受けて今後、消費者庁はどのように動くのかというスケジュールも併せて教えてください。

昨日、第12回「解約料の実態に関する研究会」が行われまして、議論の整理案が座長一任になったと承知しております。この議論の整理の中では、現行の消費者契約法が主に想定している損失の補填という狭義の解約料にとどまらず、解約料には、「価格差別」、「解約抑止」、「売上安定化」といった様々な目的があるということが分かったところでございます。実は前回の令和4年の消費者契約法の改正のときに、その改正法の附則の中で「施行後(令和5年6月)五年を経過した場合」と規定しておりまして、解約料の整理もその一つの宿題ということになっております。今回の議論の整理を踏まえまして、全体として消費者法制度のパラダイムシフトに向けた検討を行っておりますので、その中に盛り込んでいくということを考えているところです。

共同通信の柿崎です。
先ほどの消費者志向経営をテーマにした調査結果について、5ページの就職・求職に係る希望ですが、年代でいうと70歳代以上の方が非常に多いですが、インターネット調査ですから多分無作為だと思うのですが、この結果だけ意外と関心がない人がそもそも少なくて、全体的に高齢の方の関心があるということですが、これだけはどうしてこんな結果、年代と結果がどうなのかなと思っています。

私どもの調査は1ページにありますが、全国の15歳以上の男女5,000人を対象に、インターネットで行っておりまして、その際、人口構成の比率に応じて割り付けを行うという調査方法を取っております。その中におきまして、就職活動や求職活動でありますので、ご高齢になっても働いている方もいらっしゃいます。そういう点を加味すると、70歳を超えて新しくいろいろな形で働きたいといった時にもそういう企業を選ぶという形で、興味・関心の度合いが出てきたという面もあると思っています。あるいは高齢の方は自分のご家族を想定されて答えた方もいらっしゃるのではないかと思います。これとは別に、いろいろな就職を支援するサイトでありますとか、そういうところが実際の新卒の年次の方々の調査をしておりますが、私が拝見している限りでは、同じような傾向、社会に貢献している企業、あるいは企業の統合報告書を見ながら就職活動をしているというのは、傾向として表れていると考えています。

高齢の方で働いていただくのはとてもいいことだと思いますので、ありがとうございます。
日本消費経済新聞、相川です。
先ほどの木村記者の質問に関連して、「解約料の実態に関する研究会」の報告書に盛り込まれた提言については、今後パラダイムシフトに盛り込んでいくというご回答でした。今回、この報告書が提言していることは、損失補填以外の目的で設定される解約料の存在に対応すること、手続面の問題を解約料の正当性の判断において考慮すること、解約料に関する情報提供の在り方を検討すること、ということで、まだまだ消費者契約法の改正にどういうふうにつながっていくのかが見えないという状況です。パラダイムシフトについては、今、消費者委員会の専門調査会で検討が続いていますが、解約料だけでも大変重い検討課題だと思っていまして、検討会を別につくるのか、どういう形で今後検討されていくのか、もう少し具体的にお教えください。

解約料の実態に関する研究会では、今回、議論の整理ということで、多くのいろいろな団体の方のお話をお聞きして、まずは実態を分析しようということで、今後の消費者契約法の議論のまず第一歩だと考えています。この実態を踏まえて、今の消費者契約法で規定する解約料のところをどうしていくのかということは、これをいただいたところで検討していきたいと考えています。

その検討方法について質問させていただいているのですが。

今の段階では、特に解約料についてどういう形で法制化していくのかということは、私どもはまだ悩んでいる状況だと理解していただければと思います。

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