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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年11月7日(木) 14:00~14:29 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

「令和6年度消費生活意識調査(第3回)」の結果について、配布資料の順にご説明させていただきます。今回の調査は、令和6年10月に行ったもので、「エシカル消費」をテーマとして行っております。調査結果のポイントを申し上げますと、配付資料の1ページですけれども、「エシカル消費」という言葉についての認知度は27.4%であり、昨年度からやや低下しているということです。年代別では10歳代、40歳代の認知度が相対的に高くなっています。次に2ページですけれども、「エシカル消費」という言葉や内容をどこからの情報から知ったかということを見ますと、「新聞・テレビ・ラジオ」と回答した人の割合が39.9%と最も高かったということですが、10歳代では「学校での学習」と回答した人の割合が58.0%と最も高かったということで、年代別の差が表れているということであります。3ページですけれども、「エシカル消費」の実践度は36.1%で、これは昨年度よりも上昇しています。年代別では70歳代以上の実践度が最も高いということでありますし、若い世代の中で見ますと、10歳代は20歳代及び30歳代に比べて実践度が高いという結果が出ています。4ページですけれども、「エシカル消費」を実践していると回答した人に「エシカル消費」に取り組む理由を尋ねたところ、「同じようなものを購入するなら環境や社会に貢献できるものを選びたい」と回答した人の割合が53.3%と最も高く、次いで「節約につながる」が50.4%、「環境問題や社会問題を解決したい」が49.2%となっています。同じく4ページですけれども、年代別で見ますと、10歳代では「家族や友人等が取り組んでいる」と回答した人、20歳代及び30歳代では「ストーリー性に共感する」と回答した人の割合が他の年代よりも高いという特徴がみられています。5ページ、「エシカル消費」を実践していないと回答した人に取り組んでいない理由を尋ねたところ、「どれがエシカル消費につながる商品やサービスか分からない」が23.0%、「経済的余裕がない」が20.1%ということで、ここが高くなっています。さらに、「参加方法がわからない」と回答した人の割合が前回より低くなっており、理解が進んだ可能性がある一方、「特に理由はない」と回答した人の割合が高くなっているということです。それから同じく5ページですが、60歳代以上では「どれがエシカル消費につながる商品やサービスか分からない」や「エシカル消費に本当につながる商品やサービスが分からない」と回答した人の割合が他の年代よりも高くなっています。6ページ、「エシカル消費」につながる商品を今後購入したいと回答した約6割の人に対して、エシカル消費につながる商品を、通常の商品よりどの程度なら割高であっても購入したいか聞いたところ、最も許容度が高かったのは「食料品」で77.0%、最も低かったのは「自動車」で60.5%ということであります。今回の調査結果を見ますと、10歳代で「エシカル消費」の認知度、実践度ともに約3割ということでありまして、情報源では学校での学習をあげる人の割合が高いということです。この世代の「エシカル消費」でありますとか環境への配慮は高いというのが、他の調査と同様でございますけれども、この調査でも表れているということであります。取り組んでいる理由として「取組を広げていきたい、周りの人にも勧めたい」という人の割合が他の世代よりも高いということでありますので、学校で学んだことを伝えていくという形での「エシカル消費」が家族や友人等それぞれまで広がっていくということを、私たちも期待したいと考えているところでございます。
2点目です。本日ホームページに資料を載せておりますけれども、令和5年度に実施した機能性表示食品等の買上調査の結果についてです。機能性表示食品等の買上調査の目的は、販売されている製品中の成分の含有量の分析・検証を通じて、事業者の品質管理の質の向上を図るとともに適正な表示による消費者への情報提供がなされることということで、買い上げた商品の分析結果が届け出た内容と一致しなかった場合については、届出事業者に対し、速やかに原因の究明を求め、その内容を踏まえて、変更届出や撤回届出を行うように求めることで、市場に流通する機能性表示食品等の適正化を図るものであります。令和5年度の調査では、調査対象101商品について関与成分等の分析試験を行っております。結果、大半の商品については申請等資料の記載どおりだということが確認されましたが、101のうち機能性表示食品2商品については、機能性関与成分の含有量が申請等資料に記載された値を下回る分析結果を得たところであります。当該2商品についてのその後の対応状況につきましては、プレスリリースの中に個別に記載をしているということでありますし、いずれの商品も届出が撤回されたということであります。機能性表示食品制度は10年目を迎えておりまして、届出件数は約7,000件に至っています。また、今年の3月に紅麹関連製品に係る事案を受けまして、5月31日に開かれた紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合において、当該制度の信頼性を高めるための措置として、事後チェックのための買上事業の対象件数の拡充が挙げられたところでありまして、現在、令和7年度の予算要求にて増額要求をしているところであります。引き続き、事業者の方も努力していただきまして、適正な表示の確保を図っていきたい、商品に対する消費者の信頼を確保していきたいと考えております。

質疑応答

朝日新聞の井上です。
買上調査の結果で2商品が含有量を下回ったということですが、これについて長官は何か一言ありますか。

この調査は例年やっておりまして、大体直近ですと1~2の商品が実際の成分量を下回っているという結果になっています。今回もそれぞれ原因を突き止めた上で、しかるべき食品表示法上の措置、それから事業者の再度の点検をやっていただいたということでありまして、このようなことがないようにするということがこの制度の信頼を確保していくということですので、最後に申し上げましたが、事業者の方の品質管理を徹底していくということが必要だと考えています。

日本消費者新聞の丸田です。
関連ですが、この2商品は今のお話だと届出を撤回したということでいいのでしょうか。

そのとおりです。

撤回した2商品については、消費者庁の方からは商品名は出していないということでしょうか。

はい、そうです。

それともう一つ、最初の消費生活意識調査ですけれども、エシカル消費は、例えば人と環境にいい消費をするということとして考えていくとしたら、エシカル消費を実践していないという人たち、取り組んでいない理由としては「どれがエシカル消費につながる商品やサービスか分からない」という回答があります。年代が高くなるにつれて多くなっているようですが、行政・企業の消費者への周知活動というか、それがまだ必要だということとして考えるべきなのか、全体的に、今回の調査の成果といいますか結果についての取組・課題があればちょっとお聞きしたいと思います。特に取り組んでいない理由、要するに何がエシカルか分からないという方々に対しての啓発とか何かあればと思います。

今ご質問ありましたとおり、エシカル消費に関する意識は、全体的にいいますと昨年度に比べてそんなに良い方向に行っていないというのが現状かと思っております。学習を経た若年層はだいぶ意識が高まっておりますけれども、その他の年代はなかなか足踏み状態にあるというのが今回の調査でもわかったということであります。今、お話がありましたように、「どれがエシカル消費につながる商品やサービスか分からない」、「エシカル消費に本当につながる商品やサービスか分からない」ということも含めると、結構多くの方々が、「エシカル消費」の気持ちは持っているものの実践に結び付かない。他方、企業の方は、自社の商品が環境に配慮して、例えば包装であるとか原材料の調達であるとか、いろんな素材の調達であるとか、あとエネルギーとか、いろんなことを工夫されている。そこがなかなか伝わっていないという状況があると思っています。先日開催された消費者教育推進会議でも、消費者の行動変容の中でグリーンなりエシカルなりということで、少し消費者側の意識、それから企業が何をどうアピールしていくかというところがうまくマッチしていないのではないかという話がありまして、少し詳細に議論してみようということになったと思っております。そのための準備を進めています。もう一つは、OECD消費者政策閣僚会合の中でも、グリーンへの移行の中心に消費者がいなければならないという提言がされていますので、消費者が積極的にグリーンに向けて選択ができるような状況をつくらなければならないということで、そういう点からも、専門家ですとかいろんな立場にいらっしゃる方々と少し詰めた議論をしてみようと思っておりますので、今回の調査結果は基礎データになります。

分かりました。エシカル消費はどうしても消費者市民社会の構築との関連でもいろいろ言われてきたことがあって、先ほどおっしゃった専門家というのは、そういうものも含めた、エシカルだけじゃなくて消費者市民社会構築ということも含めた上での検討ということで考えていいですか。

消費者が社会を変えていく一つの原動力になるというのがエシカル消費の中にありますが、全体で議論してしまうと少しぼやけてしまいますので、エシカルとか環境配慮といった分野を少し掘り下げて議論しようと考えています。

フリーの木村です。
買上調査についてですが、2品で含有量が下回ったということですが、事案1について、喫食時の状態と製造時の状態で、製造時は含有されていたけれども喫食時は下回っていたということなのですが、どういう形態・形状の食品なのか教えてください。

個別の商品についてはここに載っているとおりでございますし、原料と喫食時が違う商品というのはカテゴリーとしてそんなに多くはないと思いますので、その商品をそのまま食べずに何かの工程を経て、皆さんが自分で工程を経て喫食される商品だと思っていただければいいと思います。

何か調理するということですか。

調理をしたり、あとはそこから抽出をしたりとか、そういう形のものです。

あと事案2の方ですが、消費者庁の分析と事業者の分析、同一ロットで分析して分析結果が異なったということですが、分析結果が異なった理由、原因は何か分かっているのでしょうか。

分析結果が異なった理由、これは事業者との間で私たちが情報共有したところによりますと、その後の保管状況であったり、流通経路の長さであったりと確認しています。

日本消費経済新聞の相川です。
この機能性表示食品の買上調査は当初からいろんな記者からも問題の声があるのですが、例えば、問題が発覚して、ただ届出を撤回して終わりというのはやはりおかしいのではないですか。表示されていた機能性関与成分が含まれていなかったということは、消費者にとっては不利益を被っているということも考えられるわけで、商品名を公表するというような対応を考えられないのでしょうか。

これは従来の取り扱いの仕方を今回も変えていないということでありまして、この調査の結果として一定の成分が少なかったものについては、食品表示法の被疑情報として扱い、同法第6条の規定に基づく指示を行うべき事案と判断されたものについては、指示、あるいは同法第7条に基づき、商品名の公表を行うということでありまして、今回も同様の措置を取っています。

来年度からこれが1,000商品に、10倍に拡大するということが予算の時に明らかになっているのですが、その方針は変わらないということでしょうか。

予算が付いた段階でどのような調査をするかは検討させていただくということです。

いろいろ問題が明らかになったものですので、もう少し厳格な対応をご検討いただきたいと思います。それから、9月から義務付けられている機能性表示食品による健康被害情報は何件ぐらい寄せられていますでしょうか。

機能性表示食品等の健康被害情報の提供は9月1日から義務化されるということでありまして、これにつきましては引き続き厚生労働省に集約し、食品衛生法上の措置の要否について検討を行った上、定期的に結果を公表することになると承知しています。消費者庁から公表することは考えておりません。

定期的というのはいつごろなのでしょうか。

厚生労働省に聞いていただければと思います。

それもおかしいんじゃないですか。機能性表示食品は消費者庁がつくったわけですから、それで死者も出ているわけで、大体この報告を厚労省に丸投げしたような状況で収めていること自体も問題だと私は思っているんですけれども、それはそれでもう少しちゃんと対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

これは9月から制度を作った時に、健康被害情報と食品衛生法上の措置としっかりと接続するということ、それから必要な時には保健所が即時に立ち入りなり調査をする対応ができるということで、健康被害情報は厚生労働省にまずは集約し、その上で食品衛生法上の措置の要否につき検討を行った上で定期的に公表するということで、省庁間で合意したということでありまして、両省庁の措置が相まって皆さんの健康と安全を確保していくということで、この方向で進めていきたいと考えています。

それはそれでいいのですが、共有して、質問に対しては消費者庁も答えるぐらいのことはしていただきたいと思います。別件の質問をさせてください。公益通報者保護制度についてです。昨日の検討会で、公益通報を理由とする不利益取扱いについて、解雇と懲戒に限定して刑事罰を導入する案が消費者庁から提案され、ほぼこの点については合意が得られたものの、それ以外の配置転換や懲戒ではない降格、減給などについては意見が分かれている状況です。日弁連が2022年9月から2024年3月末までの7弁護士会の公益通報に対する法律相談の結果を分析して報告されているのですが、最も多い不利益取扱いは「事実上の嫌がらせ」で、次いで多いのが「配置転換」だと。裁判実務で最も困っているのが「配置転換」だと報告されています。「配置転換」とか懲戒ではない降格、減給などについては、今後どの方向で検討されるのでしょうか。

公益通報者保護制度は昨日検討会を行っておりまして、まだ多くの論点が残されています。この問題はいろいろな論点が相互に関連しているということもありますので、そのような論点をこれから限られた時間の中で詰めていって、全体としてバランスが取れた制度にしていくことがとても重要だと考えています。それから、刑事罰ということでありますので、やはり構成要件がそれなりに明確になっていなければいけないというのが前提条件だと思っています。また、実際に労働法の中で行われている各種の措置とのバランスも考えていかないといけないということであります。そういう点ではこの論点のみならずということで、他の論点といろいろ組み合わせながらやっていくということですので、全体としてどのような方向になるかということは、まだ議論している段階であります。

公益通報者の探索禁止について質問させてください。この問題については、不利益な取扱い、あるいは上司や同僚が特定する情報を漏らす行為に比べて悪質とはいえないということを理由に、罰則の対象とはしないと。現在の法定指針から法律に格上げして、探索禁止規定を条文で追加する方向で検討が進んでいます。果たしてこれで実効性があるのでしょうか。あと、元々前回の改正で導入された内部通報体制整備義務の中に、この探索行為禁止も含まれていると。この内部通報体制義務違反について、行政処分の対象として間接罰を求める意見も出ていますが、これについてはどのような方向で検討されるのでしょうか。

今お話しいただいた点についても、いろいろ論点と密接に結び付いているということでありますし、探索という行為自体をどのように見るのかということも結構微妙な論点を含みます。探索と、それから実際に通報を受けた時の調査とどういう関係にあるのか。これは実態的に見ても非常に難しい微妙な論点があると思っています。従いまして、今、細かな論点の組み合わせをどうやって解決していくのが、この公益通報者保護制度の目的であります、通報者を保護して会社なり組織なりとしてしっかりと自浄作用を働かせていただくということにふさわしいのかということと、それからどういう形で今回の法改正のパッケージを作っていくのかということについて、今、議論しているところでありまして、一つの論点について今どういう方向ということをお話しできる状況にはまだございません。

あと2回検討が行われるということでよろしいのでしょうか。次は11月18日だけで、12月4日には報告案が出るということなのでもう少しお話しいただけるかと思ったのですが、日程はそれで大丈夫でしょうか。

日程についても今お話しいただいた日程で進んでいくかどうかということを決定しているところではありません。

朝日新聞の井上です。
機能性表示食品の買上調査に話が戻るんですけれども、今資料を見たんですけれども、事案1・2は、一般の読者の方にこう説明してもどんな食品なのかちょっと分からないんじゃないかと思って。ヒントと言ったらおかしいですが、間違いなく読者の方に伝わるように、例えばカプセル状とか、そういうことを言ったら何か問題になるのですか。原則、商品名は発表しないというのは分かるんですけれども、どういう形状かというところまでは教えていただいても問題ないんじゃないかと思うのですが。

形状によってどうこうということでもないような気もします。

ただ、基本的には生鮮食料品じゃないというのは何となく分かるんです。そうすると、じゃあ何なんだと普通の読者の方は思うと思うのですが、イメージが湧かないままこのまま書いても、もやもやしたものが読者の中にきっと残ると思うんです。

逆に商品分類を明らかにすると、その商品分類全体がという印象をまた抱かせるのも得策ではないと思っております。そこは注意深くやっています。これらも被疑情報として、食品表示法上の措置を取ったものについては法令に従って発表するということが重要だと考えています。

つまり商品名の発表とか特定をしていないということは、それほど悪質性がないと判断してということですか。

悪質なものは商品名をすでに公表しております。商品名を公表して、食品表示法上の措置を取っています。このプレスとは連携させておりませんが、実態的には調査もし、社名も公表されているものがこの中にあるということであります。

あと、令和4年と5年、それぞれパーセント表示が書いてあるんですけれども、異なっていた件数は何件になりますか。機能性表示食品については98.1%と97.6%になっていますが。

まず令和4年度は実際に買い上げた件数が119点、機能性表示食品が103点、実際に表示と違っているのが2点。

令和4年は103分の2だったわけですね。

103分の2ですね。令和5年度は今回発表ですが、101分の2。このうち、令和5年度は機能性表示食品は84点ですので、nが84になっていますね。このうちの2つということです。nを足していただければ件数が分かりますので。

そうすると、今回は機能性表示食品84点のうちの2点になるわけですね。これはそれぞれ年じゃなくて年度になるわけですね。

年度調査です。

あと予算の措置ですけれども、8月30日に消費者庁で発表しているんですけれども、数字をもう一回確認させてもらってよろしいですか。買上調査のために10倍という話でしたよね。

令和6年度予算が1,500万円で、令和7年度概算要求額が0.9億円です(※)。

(※)令和7年度概算要求額について誤りがありましたので訂正しています。

これは買上調査のための費用ということですか。

買上調査のための費用です。

買上調査というのは、機能性表示食品だけじゃなくてということですよね。

公表資料に書いている3種類です。

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