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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年9月5日(木) 14:30~14:42 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭発言なし

質疑応答

朝日新聞の井上です。
兵庫県知事を巡る一連の問題を受けて、公益通報制度に関する世間の関心が高まっています。公益通報制度を所管する消費者庁では、この5月に有識者検討会を設置され、制度見直しに向けた論点整理を進めています。現時点で挙がっている検討課題や改正に向けたスケジュールを説明していただければ幸いです。また、通報者保護などの観点から問題があると指摘されている兵庫県の対応について、制度を所管する消費者庁の長官として思うところがあれば教えてください。

公益通報者保護制度については、本年5月から既に有識者による検討会を開始しております。この中では、今週2日の第4回検討会で、中間論点整理をいたしましたけれども、事業者における公益通報対応の体制整備の徹底と実効性の向上、この実効性の向上というところが非常に重要なポイントであります。それから、もう一つは公益通報を躊躇する要因への対応、これはアンケートなどを受けた対応ということです。それから、公益通報を理由とする不利益取扱いの抑止・救済のための方策。こういう軸に分けて、有識者の皆様に御議論をいただいているところでございます。第4回の検討会では、中間論点整理、これら大枠ですね、その他というのもありますが、この4つの項目に整理をしていくというところについては合意をされたということでありますので、中間論点整理の中でもまだいろいろ詰めるべきところ、それから意見が分かれているところがありますので、年内に報告書を取りまとめるべく、皆さんにご議論していただきたいと思っております。今お話がありました兵庫県の問題のみならず、一般企業においても、昨年来、通報への対応や体制の不備が指摘されております。公益通報者保護法の目的は、公益通報者の保護と事業者による国民の生命・身体・財産等に関わる法令遵守を徹底していくということでありますので、この目的の本旨が実現されるように、公益通報者保護制度を見直ししていくことが必要だと思っております。また、個別の件についてのお話がございました。個別の件について私どもはコメントする立場にはないということでありますが、いずれにいたしましても、公益通報の趣旨が生かせるような社会になっていくことが必要だと思っておりますので、それに向けて法制度として足りないところがあればそれを改善していくということだと考えております。

NHKの佐々木と申します。
先月のアメリカ出張ではどのようなものを見て、どのような成果が得られたのか、お聞かせください。

先週、会見を中止させていただきました。約1週間米国を訪問しました。この中では、農務省(USDA)、食品医薬品局(FDA)、それから農業関係、食品関係の新技術を行っている事業者団体関係者と意見交換を行ってきました。具体的には、農業及び食品のバイオテクノロジー分野、いわゆる新技術についてのものということでありまして、遺伝子組換え、ゲノム編集技術を用いた作物・食品の栽培・生産や規制に係る状況、それから、いわゆる培養肉の規制及びそれをとりまく環境等について意見交換を行ってきたということでございます。今回の出張を通じまして、科学的な規制の在り方や消費者の受容など、日米で共通の課題があるということが分かったということでございますし、今後も継続して新しい技術の動向、それから、それに対して国がどのように介入していくかということで、非常に有用な知見があるということが分かりました。また、リスクコミュニケーションをしっかりやっていくことが、これらの新技術を受容する上で非常に重要ということですので、その在り方についても意見交換をさせていただきました。

日本消費経済新聞の相川です。
8月23日に公表された、機能性表示食品制度見直しのための改正食品表示基準について質問させてください。6月27日から7月26日まで意見を募集していたパブコメ案では、健康被害情報の収集についての報告義務部分についての条文が、「収集した届出に係る食品の健康被害情報のうち、医師の診断を受け、当該症状が当該食品に起因する又はその疑いがあると診断されたものに関する情報を得た場合には、保健所等に情報提供する」というふうな条文になっていました。パブコメ後に修正されて8月23日に公表された条文は、「届出に係る食品について、医師の診断を受け、当該症状が当該食品に起因する又はその疑いがあると診断された健康被害に関する情報を収集するとともに、その発生及び拡大のおそれがある旨の情報を得た場合には、保健所等に速やかに提供する」と変更されています。この条文を文字面だけ見ると、医師の診断を受けていない消費者からの健康被害情報は収集の対象にすらならないと読めます。医師の診断のない消費者からの情報提供は収集の対象から外したのでしょうか。医師の診断を受けていない消費者から健康被害の訴えがあった場合はどのような扱いをされるのでしょうか。

今お話をいただいたパブコメ案の改正前と改正後の条文は読み上げいただいたとおりだと理解しております。そもそも健康被害情報の収集というのは、届出時に提出が必要な資料の一つということでありまして、情報収集体制について、健康被害に入る情報について、消費者・医療従事者等からの連絡に対応する窓口となる部署と連絡先、対応が可能な日時、届出者の組織の体制を示した図、あるいは健康被害に関する情報の収集、評価、行政機関への提供等に関するフローチャート、といったものを、それぞれの機能性表示食品について提出していただくということであります。このように医師の診断の有無に関わらず、健康被害に関する情報の収集を行う体制を整えていただく必要があるというのは、今までどおり変わりはないということであります。その中で要件化いたしましたのは、そのうち医師の診断を受けたものということでありまして、これは今回の食品衛生法施行規則の改正条文と平仄を合わせるということであります。なお、ご指摘を受けた、医師の診断を受けていない消費者からの健康被害の訴えがあった場合には、医師への診断を推奨していただく旨を規定しておりまして、食品表示基準の別表第27の3のところでありますけれども、「健康被害の情報の収集及び提供に関する事項」の中に、「情報提供者が医師以外であり、医師による診察が行われていない場合にあっては、届出者の責任において、情報提供者へ医師への診察を勧める等適切な対応を行うこと」と規定しております。消費者庁としては、健康被害情報が報告された場合には、厚生労働省と連携し適切な対応を行っていくことが必要であると理解しておりまして、情報を収集した上で、医師の診断を得たものを速やかに関係行政機関に提出していただくということが、今回の改正の趣旨であります。

長官から明快にご説明いただけてよかったと思いますが、厚労省のQ&Aには医師の診断を受けていない消費者に対する記述はありません。消費者が同意しなかった場合はどうするのかとか、医師が因果関係がないとした場合は完全に外していいとか、そういう話しか出ておりませんので、きちんと皆さんが分かるようなQ&Aにも入れていただいたほうがいいのではないかと思いますのでご検討ください。

今の諸点について、Q&Aにするかどうかというお話がありますが、全体として、機能性表示食品の届出に関するマニュアルを整備しております。これは事業者の方がやっていただくこと、全体で整備しておりますので、その中で読み解いていただける範囲内になっているのかなと考えております。

消費者基本計画について質問させてください。消費者基本計画の原案が現時点でいまだ公表されていません。今後の懇談会の予定や資料公表、パブコメ等の流れはどうなっているのでしょうか。基本計画には消費者庁だけでなく、各省庁の施策も盛り込まれることが重要なのですが、他省庁との調整状況はどのようになっていますでしょうか。以前の会見で、長官は、消費者委員会から出た意見も最大限反映させると発言してくださっていました。消費者委員会の意見も他省庁の課題が多数取り上げられていましたが、これらはきちんと盛り込まれる方向で調整が進んでいるのでしょうか。

次期消費者基本計画は今年度中に策定をするということで作業を進めております。しかしながら、例年と違いまして、大きく方向性が変わっていくということ、それから、消費者委員会というお話がありましたが、今、消費者委員会で全体としてのパラダイムシフトの議論をしていただいております。それも今月中に一定のより具体化したものが出ると聞いております。それらを受けて具体的な展開をしていかなければいけないと考えていますので、今、鋭意、事務方とまとめているところであります。他方、各省の施策については各省と順次話し合いをしています。確かに今までよりは少し遅いかもしれません。しかしながら、大きな方向性を考えるものとして、少しまだ事務方及び関係者の意見を聞きながら内容を練っているということであります。その後、消費者団体の方々、それから各都道府県の方々などの意見を伺う時期をしっかり持っていきたいと考えています。

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