新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年8月22日(木) 14:00~14:29 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
機能性表示食品制度の見直しとして、明日、8月23日に食品表示基準の一部を改正する内閣府令を公布するとともにパブリックコメントの結果、それに対する考え方も併せて公表いたします。内閣府令に関しては、その一部が9月1日より施行する予定であります。今回の制度の見直しにつきましては、健康被害情報の収集体制に関する規定の整備、錠剤・カプセル剤等食品の製造加工等におけるGMP基準の適用、表示方法の見直し、届出に関する事項の見直しを行うということでありまして、そのうち健康被害情報の収集体制に関する規定の整備については、9月1日に即日施行するということであります。消費者庁におきましては、重要な健康被害情報の収集体制の見直しをいち早く行うことが重要だということで、厚生労働省とも相談をいたしまして即日施行ということとしたわけであります。このように、施行間もなく事業者に義務を課すというのがこの制度の根幹だということに鑑みまして、健康被害情報の届出を受け付ける自治体及び、報告の義務が生じる事業者に早急に周知をするということで、今回の見直し内容が適切に運用されるよう8月16日より全国7か所で自治体や事業者向けの周知活動をしているところであります。これによりまして、9月1日に事業者がしっかりとこの制度を理解した上で運用していただきたいと考えているところであります。消費者の皆様には、今回の制度改正を含め、機能性表示食品制度をよく理解していただき、適切な商品選択をしていただきたいと考えております。特に消費者との関係で申し上げますと、表示方法の見直しにつきましては、実際の義務化が令和8年9月1日ということで2年間ございます。この2年間及び必要な残存賞味期限につきましては、現行の表示方法と、それから包材によって切り替えました新たな表示方法が併存するということになります。この点につきまして、消費者庁も普及啓発活動をいたしますが、消費者の方も旧制度と新制度をよく理解して選択をしていただきたいと考えてございます。それから、今回の制度見直しのうち、9月1日に施行されるGMPの基準の適用につきましては、表示方法の見直しと同様、2年間の経過措置期間を置くということでございますが、事業者の方々には可能な限り早急に新制度に沿った製造工程を整備していただきたいと考えているところでございます。今申し上げました自治体、事業者向けの説明は全国各地で行っておりますが、明日、内閣府令などが公布されるということも踏まえまして、8月26日(月)に、記者の方を対象といたします説明会を担当レベルで開催するということであります。冒頭の発言は以上です。
質疑応答
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問
朝日新聞の井上です。
今回、即日実施される健康被害情報の提供の義務化ですけれども、これはやはり小林製薬が2か月かかったということを受けて一番力を入れた点と考えていいでしょうか。 -
答
一番大切なのは食の安全性の確保ということだと思っております。従いまして、今回、小林製薬が遅れたということによりまして、亡くなった方、それから今なお入院されている方も相当数あるということを非常に重く受け止めております。それも踏まえまして、できるだけ早くこの分野については、事業者及びそれを受ける都道府県なり保健所の体制を整備しようということで、今回、新たに義務を課すもの、こういう短期間のものは実はなかなか無いのではないかと思っておりますが、それぞれの方の協力のもと、9月1日からの施行ということでやっていきたいということでございます。
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問
フリーの木村です。
先ほどの容器包装上の表示のルールが変わるということで、2年間は併存するということですけれども、新しい表示方法と今までの表示方法の違いを、一般の消費者に向けて具体的にはどのような形で周知していくのでしょうか。 -
答
まずは消費者庁のホームページでPR資料を作りたいと思いますし、必要な予算が確保できれば、皆さんのお手元にできるだけ届くようなチラシの作成などの啓発活動をしたいと思っております。今回の主要なポイントをお話しいたしますと、まずは機能性表示と届出番号が同一の視野に入るように表に書いていただくこと。それから、裏面の方にも届出番号をウェブでチェックしてくださいという形でございます。従いまして、機能性表示食品をお買い求めになる時には、届出番号を見て、初回に買う場合にはウェブをチェックしていただきたいということ。それから、医薬品との違いでありますとか服用上の注意については、よく分かるように最初の方に書くというのが今回の主な注意点でございます。それから、先ほど実際の義務化まで2年間と申し上げましたが、事業者の方々には包材なりの切り替えの時点でできるだけ早く、新しい表示方法に変えていただきたいということは併せてお願いしているところであります。
- 問 あともう1点、GMPについてですけれども、これも2年間の経過措置期間があるのですが、その間に消費者庁では立入検査を一通り行うという説明を以前いただいているんですけれども、具体的にいつごろからスタートする予定でしょうか。
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答
今申し上げましたように、GMPの実際の義務化は2年後ということであります。これは今月末に要求を出します予算・定員とも関係いたしますけれども、必要な予算を確保した上でこれから順次やって計画を立てるということでございます。具体的には概算要求の時に皆さんにお話しできると思います。
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問
NHKの絹川です。
先ほど冒頭でおっしゃっていた、8月26日の記者向けの説明会とおっしゃっていましたが、具体的にどういうものでしょうか。 -
答
(総務課広報室)
後ほどご案内を差し上げるようにいたします。26日(月)の午前中を予定しております。 - 問 記者レクみたいな感じでカメラが入れるものなのか、事務方ブリーフィングという形なのか。
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答
(総務課広報室)
ブリーフィングのような形で、撮影の件に関しては今、中で検討しております。 -
問
日本消費経済新聞の相川です。
8月16日から、「機能性表示食品等に係る健康食品の情報提供の義務化」等に関する説明会が食品関連事業者向けとして開かれていますが、7月26日までパブリックコメントを行っていた食品表示基準の一部を改正する内閣府令が公表される前に、決定事項が資料に掲載され、説明されているのは問題ではないでしょうか。まず、パブコメに対する消費者庁の見解と合わせて決定した内容を公にした上で事業者に説明するのが筋なのではないでしょうか。パブコメが形骸化して事業者の方しか見ていないと言われても致し方ないのではないでしょうか。 -
答
今のご指摘は、先ほど冒頭の発言の中で申し上げましたが、通常の施行、それから公布ということであれば、しっかり案が決まり、あるいは公布された後に順に説明を行っていくことが通常であるということは理解しております。しかしながら、今回、即日施行ということもございますし、事業者に新たに義務を課す、しかも厚生労働省の規則を読み下さなければいけない義務を課すということでありますので、案という段階で先立って説明をさせていただいたということであります。これは、健康被害をできるだけ発生させないようにしっかりと9月1日から施行するということで、消費者の側に立った説明会でありまして、それにつきましては厚生労働省と共催で行ったということであります。明日発表いたしますけれども、パブリックコメントを受けて幾つかの修正を行っております。これについては改めて事業者に私どもから個別に通知をさせていただくということであります。
- 問 パブコメを終えたのが7月26日で、確かに時間がないということはあるのかもしれませんが、それはもう当初から分かっていたことで、順番としてまずはパブコメに対する回答をするという姿勢が必要だったのではないかと思います。消費者庁の資料の中に変更点がそんなに見つからないのですが、機能性表示として届けられない食品の1項目で、アルコールを含有する飲料からアルコールを含有する食品に変更されています。この理由と、ほかに大きな変更点があるのか、お教えいただけますでしょうか。はっきり言って、既に改正された内閣府令が説明されています。それから、厚労省からは今まで全く明らかにされていなかった食品衛生法施行規則改正条文案等も、23日に発出される予定の通知の内容が明らかにされています。これについても資料として明らかに出しているわけですから、ここでご説明ください。
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答
いずれも案ということで提出をしていると思います。明日、先ほど冒頭でお話しいたしましたが、公布いたします内閣府令と、それからいただいたパブリックコメントに対する考え方ということで併せて表示をさせていただきますし、それにつきましては26日に改めて事務方から説明をさせていただきます。
- 問 説明会資料では、もう具体的に日数とか全て図も詳細に公表されていて、この中で、届出事業者が消費者から医療機関を聴き取って、医療機関名が分かった時が報告の起算点とされていますけれども、聴き取って、その内容を保健所と併せて消費者庁にも通知するということですけれども、同じ報告期限で消費者庁長官へ報告を求められるのか。それから、聴き取りの様式が明らかになっていますけれども、厚労省が作った聴き取りの様式が消費者庁が作成するガイドラインにも盛り込まれるのでしょうか。それからもう1点、いくら同意を取ったとはいえ、事業者が医師・医療機関から消費者の病状とか重症度とかを聴き取って回答するということに対する個人情報的な問題はないのでしょうか。
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答
消費者庁として答えられる部分のみお答えさせていただきます。消費者庁において、機能性表示食品届出者に対し、食品衛生法施行規則別表第17第9号ハの規定に従って収集した健康被害情報を消費者庁長官への報告を求める際には、厚生労働省が示すエクセルファイルの情報提供票の様式に記入し、保健所等に提出したものを消費者庁食品表示課担当宛てメールにて連絡するということで、健康被害については、まずは食品衛生法に基づく保健所で、その後に消費者庁に来るということであります。それから、そのほかの厚生労働省の食品衛生法の規則についてのいろいろなお尋ねについては、厚生労働省にしていただければと思います。
- 問 厚生労働省の方には質問をさせていただいていますが、今まで製品事故とかでなかなか医療機関にヒアリングをする時に消費者庁側は苦労してきた経験があります。厚労省が食品衛生法でやるということなのでさほどその主張がないのかもしれませんが、本当にそれがうまく機能するのかというのは、非常に不安があると感じています。この辺についてもまだ公表しないということなので、どこかで明確にご回答いただければと思います。
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答
まさにそれが大きな今回のポイントでありまして、食品衛生法に基づく権限を持つ保健所にまず情報が行く、このことが、食の安全上、重要であるということでありまして、今回の見直しの大きなポイントはそこにあると考えています。
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問
(朝日新聞:井上)
先ほどの相川記者の質問の中にあったと思うんですけれども、事業者向けの資料の中に、もう厚労省が既に発表している資料の中には、情報提供の期限が15日以内、医療機関が分かってから15日以内という説明が書いてあるんですけれども、この15日以内というのは都道府県知事のほか、消費者庁にも15日以内、全く同じ、同列と考えてもいいんですかね。 -
答
同列というのはどういうことでしょうか。
- 問 15日以内というのは、消費者庁への報告も15日以内と考えていいのですか。
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答
これは保健所に15日以内でありまして、その後に消費者庁という意味です。それは書いてあるとおりです。
- 問 その後というのはどういう解釈をすればいいのでしょうか。その後というのは、15日以内と書いてあって、15日以内に消費者庁にもという考え方とは違うのですか。
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答
消費者庁にも、とは必ずしもこの制度上なっておりません。
- 問 じゃあ、例えば20日後でもいいのですか。
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答
保健所からの写しが来るいうことでもございますし、今回、先ほど申し上げましたが、食品の安全について権限を持っているところに速やかに情報が来ることが要です。
- 問 必ずしも15日以内に報告がなかったからといって、何で報告しなかったんだということにはならない、そういう考え方でいいですか。
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答
そういうことではなくて、ここに書いてある消費者庁の食品衛生基準にのっとった期間内に行われなければ、食品表示法上の措置を取るということであります。そこには15日という日数はないということです。
- 問 何の日数がないんですか。
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答
15日にまず保健所に来るということが、今回の制度の肝です。それによって食の安全のアクションを起こしてもらうと。食品表示の基準の方は、今回、定期的に自己チェックをするとかいろんな条項があります。その中で必要があれば食品表示法上の措置を取ります。まずは健康情報について保健所に情報を提供して、保健所がアクションを起こしてもらうというのが今回の制度の肝ですので、私どもが健康情報を即座に受け取ったとしても、今回も大阪市の保健所に情報を提供してくださいと言っているように、法的権限と講ずることができる措置が異なります。そこには時間差があってもいいと考えているということであります。
- 問 時間差があってもいいのですか。
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答
いいです。われわれは食の安全に直接起こせるアクションはないわけです。われわれは今回の工場に立ち入る権限は、消費者庁は持っていません。しかしながら、食の安全に関する権限を持っているところがその一次情報をいち早く入手して、それに対してアクションがある、それがまず一番大切なことです。ですから、同時に来るというのが望ましいですが、まずは保健所に行っていただくというのが一番大切なことだと思っています。
- 問 じゃあ、報告はまずは保健所にしてもらって、それから速やかに消費者庁にもしてくださいということですね。だから、必ずしも同日という解釈でなくてもいいということですね。
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答
そうです。
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問
(日本消費経済新聞:相川)
最初の質問で、同様の条件で消費者庁に報告を求めるのかと質問したはずなのですが、昨日の説明会を聞いていても同じに見えましたけれども、重篤の場合は健康被害を診断した医療機関名を知った日から15日以内、重篤ではない軽症の事例の場合はおおむね30日以内に、同じ所見の症例が複数発生した場合は複数発生したことを知った日から15日以内ということですが、消費者庁への報告は全くこれとは違うのですか。 -
答
繰り返しになりますが、われわれの内閣府令に書いてあることを読み上げさせていただきますと、「届出に係る食品について、医師の診断を受け、当該症状が当該食品に起因する又はその疑いがあると診断された健康被害に関する情報を収集し、その発生又は拡大のおそれがある旨の情報を得た場合には、当該情報を食品衛生法施行規則別表第17第9号ハの規定により都道府県知事、地域保健法第5条第1項の政令で定める市の市長又は特別区の区長に速やかに提供すること。前号に掲げるところにより提供した情報について消費者庁長官に提供すること」ですから、この順番ということになります。従いまして同時が望ましいということですが。
- 問 同時が望ましい。
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答
このとおりに、「前号に掲げるところにより提供した情報について」ということでありますので、まず第1号が発動されるということであります。その旨を私は申し上げているということです。決してそれが1か月後、2か月後になることを言っているということではありません。
- 問 仕組みとして、23日に本当は出る通知の内容について、一応、案として出しているというふうに厚労省は説明していますけれども、その通知と同じ内容に合わせて消費者庁もガイドラインか何かを示すのではないのですか。15日以内に保健所には通知するけれども、そこから何日後でもいいのですか。そんなことってありますか。何日後でもいいのですか。
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答
何日後でもいいということは申し上げていません。それについて速やかに提供するということが食品表示の基準ですので、それに従っていなければ食品表示基準の違反になるということであります。
- 問 でも、速やかにと言われて小林製薬は2か月かかったんじゃないのですか。厚労省がやってくれるからいいということですか。速やかにって、もう少し明確に答えてください。分からないじゃないですか。
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答
繰り返しになりますが、食品衛生の基準については、厚労省の食品衛生法施行規則別表第17第9号ハの規定に基づいて速やかに提供するということでありまして、その情報を消費者庁に連絡するということが、この食の安全のところの順番であるということが基準に書いてあるということであります。食品衛生法上の義務付けは新設です。従いまして、両方とも速やかにということでありますので、同時に来るのが望ましいですが、まずは提供する先は保健所であるということが今回の改正の一番重要な点であるということであります。それによりまして、食品衛生上のしかるべき措置を発動する、それが食の安全を確保する一番の肝であるということを明確にしたということであります。
- 問 それから、指定成分と比較すると2つとも15日以内ということですけれども、製品重大事故などは10日としています。この15日については十分に早い期間だというふうに消費者庁は受け止めていらっしゃいますでしょうか。
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答
15日については、厚生労働省が今までこのような情報を受けているほかのものとの整合性を取って、今回の事案に鑑み考えたと理解をしております。
- 問 もうちょっと明確にしていただかないと、速やかに、同時にというような規定にしておいた方が事業者も行動しやすいと思うし、またトラブルにならないと思います。この説明会を聞く上で、じゃあ消費者庁にはいつでもいいというふうには受け止められませんでしたので、きちんと説明していただきたいと思います。もう速やかで押し通すわけですね。まずは15日以内に保健所に通知し、その後は速やかにと。じゃあ速やかにって何日ですかという話になりますよね。また同じように。
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答
(総務課広報室)
さらに詳細につきましては、週明け26日に予定しております、記者様向けのご説明会を設けておりますので、そちらの方でもお聞きいただければと思います。