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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年6月27日(木) 14:00~14:27 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

冒頭私から3つお知らせをさせていただきたいと思います。
1番目でございます。消費者庁設立15周年を記念するシンポジウムの開催についてです。本年9月に消費者庁は設立15周年を迎えます。これを記念いたしまして、7月23日に「15 Years Forward ~消費者庁15年の歩みと未来への展望~」と題したシンポジウムを三田共用会議所で開催いたします。このシンポジウムでは、消費者行政のこれまでの15年を振り返り、これからの15年について考えるということをテーマにいたしまして、未来予想に造詣のある国内外の有識者に御参加いただくほか、消費者庁の若手職員も参加して消費者行政と未来について意見交換をいたします。なお、このシンポジウムは、新未来創造戦略本部を中心とした有志の職員15人が、職員の発意により所属課室以外の活動をすることができる消費者庁独自の制度であります「複業」、これは複数の業務をやるという意味ですが、この「複業」制度を活用して発足した実行委員会で企画し開催準備を進めております。職員たちが主体的に消費者庁の未来について考える場を作り出したということについて大変うれしく思うと共に、これを契機にいたしまして、消費者や事業者の皆様が今後の消費生活についての未来の展望を描く上での有益な場となることを期待しております。
シンポジウムは、現地会場、それからオンラインでのライブ配信というのを予定しております。ぜひ多くの方にご参加いただきたいと思います。
次いで2番目です。食品表示の夏期一斉取締りについてお知らせいたします。消費者庁は、食中毒など、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期におきまして、毎年、食品表示の適正化に向けた取組を実施しております。今年度においては、7月1日から7月31日までの間、全国157の地方自治体と連携し、食品表示の取締り強化を全国一斉に実施いたします。具体的には、食品表示基準に基づくアレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に加え、今年度の夏期の一斉取り締まりにおきましては、3つのポイントを重点事項といたします。1つ目は、近年、日本で発生している細菌性食中毒の中で、依然としてカンピロバクター食中毒の発生件数が最も多いということから、カンピロバクター食中毒予防対策について、啓発パンフレット等を活用した食品関連事業者等への周知啓発を行います。
2つ目は、特定原材料として追加された「くるみ」を表示することの徹底及び特定原材料に準ずるものとして追加されたマカダミアナッツや近年症例数の増加等が認められますカシューナッツについて、食品関連事業者等に対しまして可能な限り表示することを促し、特定原材料に準ずるものから削除されたまつたけについて表示の削除を促すということです。3つ目は、社会的な関心が高まっております、いわゆる「健康食品」の広告も含む表示について、食品表示基準第9条及び第23条の表示禁止事項に特に留意の上、食品関連事業者等に対する適切な監視指導を行うというものであります。なお、消費者の皆様におかれも、カンピロバクター食中毒対策として、鶏肉は十分に加熱するよう心掛けて頂くようお願いいたします。これらの指導の結果につきましては、例年にならいますと10月から11月ごろ、指導結果の一覧として公表するという予定であります。
3番目です。製品安全誓約の日本での実施状況です。製品安全誓約、いわゆるプレッジと呼んでおりますけれども、オンラインマーケットプレイスにリコール製品や安全ではない製品が出品されている場合、オンラインマーケットプレイス運営事業者が自主的又は規制当局からの要請に応じた出品削除、また、こうした製品の販売阻止を行うための制度の構築・維持を自主宣言するというものであります。昨年6月29日に、国内における主要なオンラインマーケットプレイス運営事業者7社が署名をして実施をしております。今回、消費者庁において、製品安全誓約に署名したオンラインマーケットプレイス運営事業者から2023年の実施状況について提出を受けたところ、国内全体の状況として年次報告書を取りまとめましたので、本日公表いたします。この内容について幾つか言及させていただきますと、このうち、数量的なKPIといたしましては、署名したオンラインマーケットプレイス運営事業者による自主的な出品削除が1,927件実施されておりまして、当該1,927件は、全件、このオンラインマーケットプレイス運営事業者が製品を特定した日の翌営業日から起算して2営業日までに出品削除が行われておりました。また、規制当局からの要請に応じた出品削除が161件実施されておりまして、当該161件も、全件、2営業日までに出品削除されていたということで、いずれもKPIの観点から見ますと達成率は100%ということになっています。また、質的なKPIとしては、製品安全誓約に規定している全12項目の実施に向けた体制整備がなされていることが確認されました。その他にも、署名したオンラインマーケットプレイス運営事業者それぞれにおいて、例えば、法務担当を交えた実績レビューの実施など、消費者保護の確保に向けた様々な取組が実施されていることが確認されました。他方、規制当局からの要請に応じた出品削除のうち、約3割は国外に居住する販売者ということでありまして、国外向けの発信強化が必要である等、実際の運用を通じて課題も見えてきたところであります。製品安全誓約はオンラインマーケットプレイス運営事業者が自主的に取り組むということにより、消費者の取引の安全を保っていくという制度でありまして、日本においてより多くのオンラインマーケットプレイス運営事業者が参加し、この分野での活動が促進されるということを期待しているところでございます。

質疑応答

フリーの木村です。
今日の午前開かれました「デジタル社会における消費取引研究会」についてなんですけども、その中でSNSに関する調査とか、定期購入に関する調査とか話が出てきたんですが。確認なんですが、その3つの調査というのはもう既に実施済みなのか、これから実施するのか、そこの点がよく分からなかったんで教えてください。

取引対策課でございます。
ご質問のあった3つの調査は全て実施済みでございます。

あと長官のほうからは、期限を決めずに自由闊達な議論ということだったんですけども、おおよそいつまで開くとか、何かそういっためどというのはないんでしょうか。

目途はありません。

日本消費経済新聞の相川です。
消費生活相談のDX化について再び質問させてください。6月11日の長官会見で、テレフォニーシステムを一部に限定するのか質問させていただいたところ、相談員の方々を代表する立場の方にも入っていただき、限られた予算でどの機能を優先しなければいけないのかを議論していただいているところだと、詰めている段階だと回答されました。しかし、14日のアドバイザリーボードの内容について自治体に取材したところ、この日に、47都道府県のうち、テレフォニーシステムを導入するのは1自治体だと。そして、その市町村はその1自治体の中の1か2自治体だと説明されたということでした。これは事実でしょうか。このテレフォニーシステムを導入しないということになると、共通の電話番号とかパソコンで電話を受けるシステム、音声入力、これまで目玉とうたってきたものが全て見送られるという理解でよろしいのでしょうか。

新システムでは、クラウドサービスを活用する中で、テレフォニーシステムのような、高度な機能の導入も検討しているということでございます。テレフォニーシステムは、電話がつながりやすくなる、相談情報や文字起こしとの連携ができるなど、相談者の利便性向上や相談員の負担軽減に効果があると考えております。もっとも、現行のPIO-NETを上回る拡張的な機能でありまして、各地方自治体の準備状況なども踏まえながら、相談現場の準備や運営に過大な負荷なく円滑に進める観点から、段階的に導入を拡大していくという方向ではないかということで、先日お話をさせていただいたということであります。

1自治体ということになると、導入を見送ったというのが普通の認識ではないかと思っていて、住民の税金から予算を確保する時にどういうメリットが住民にあるのか、本当に説明ができるのかという声が上がっていますが、この辺についてはどのように説明されるんでしょうか。

そのようなお声があるのであれば、またそれぞれの自治体に回答させていただきます。

それからセキュリティポリシーに関する不安感が払拭できないという意見が多く聞かれました。自治体は総務省とかデジタル庁とかと交渉をして、セキュリティを確保しているということです。消費者庁が、総務省が大丈夫だと言っているというような文書が何もないような状況の中で、万が一個人情報が漏えいした場合は、首長の責任が問われ、住民による地方自治法上の事務監査請求が起きることまで考えなければならないと。こういう大きなデジタル化を進める時に、消費者庁だけでなぜやっているのかと。総務省やデジタル庁からきちっと明確な、大丈夫であるとか、こういうものを確保してほしいというような文書のようなものが欲しいというような意見が多く出ていますが、これに対してはどのように対応されるのでしょうか。

そのようなお話が出たことは当然でありまして、その要請を受けて、その方向で対応するということです。

それはもう解決する方向で話が進んでいるんでしょうか。

そのとおりです。

そのような状況でセキュリティを確保するためにどのくらいのお金が必要かも分からないと。予算要求もできない状況があると。消費者庁は2026年10月実現に向けて、どのようなスケジュールで進めていかれるのかと。

今お話があることも含めまして、2026年の10月時点において、全ての消費生活センターがセキュリティに基づいてつながっているということを確保するために、前回お話しいたしました各自治体のシステムが非常に異なっているということが分かりましたので、1つ1つ解決するために何をしていけばいいのかということで、おっしゃるとおり、今早急に解決すべきこと、大きな課題と、さっき事務方に申し上げたのは、課題をしっかりと分別をするということ、それからその時期を区分するということで具体的な手続きを指示しているところであります。したがいまして、その時に、まずベースのつながるという機能の確保とさらに拡張的な機能の確保、それからもしかしたら地元の住民の方へのご説明が若干遅れるかもしれないということはあるかと思っていますが、国民生活センターも含めた今の人員の中で、優先順位をつけてこれから皆さんに不安のないようにしていくということだと思います。個別の対応策も含めて、デジタル庁と今までも連携をしておりますけど、まさに具体的な現場でのシステム上の連携、システム上の課題を解くための連携というのをするということですので、ステージが異なった段階での連携を一層していくということでありまして、ご指摘いただいた課題はそれぞれ踏まえて今対応策を練っているということであります。

本来ならば現場の声を聞き、最初にどういう状況でつながなければいけないのかを把握してから制度設計するのではないのでしょうか。もうそこからして、皆さんに大きな不安を与えていて信用をなくしてしまう可能性がありますので、真摯に向き合って解消していただきたいと思います。
別件で、6月18日に開催された2回目の食品表示懇談会、個別品目ごとの表示ルール見直し検討会について質問させてください。今回もチルドハンバーグステーキ、チルドミートボール、チルド餃子について、一部事業者へのヒアリングとアンケートのみで、全てを廃止することをそれぞれわずか13分の意見交換で決めました。加えて、決定したものについては本年度中に食品表示基準を改正する方針が新たに示されましたが、本年度中に冷凍食品等を含めた個別品目ごとのルールを全て廃止されるのでしょうか。

個別品目の表示につきましては、品目の法定手続、消費者委員会に諮問をしてその審理を得た上でパブリックコメントをして適正な改正なりをするという手順を正式に踏んでいくということですので、今の段階で予断を持っていつまでということを申し上げる状況にはありません。検討会では一応の事務方の意気込みとしてお示ししたものだと思います。

これに関連して、衆議院消費者問題特別委員会野党筆頭理事の立憲民主党、大西健介議員が出された冷凍食品の個別表示に関する質問主意書に関連して質問させてください。この検討会の議事方法に瑕疵があるのではないかという質問をされていまして、それの回答には、消費者団体に所属する委員も含まれている分科会で決定をしたので問題がないというふうに回答されていますが、この検討会の中で、全相協の食の研究会からは、前回の分科会では、業界団体の資料が机上配布であったと。研究会で議論する時間もなく議論した結果、冷凍フライ類の衣の率などは残してほしいと、温度帯が変わっても品質が比較できる表示を残してほしい、原材料の表示に%表示をしてほしいというようなご意見が出ていますが、このご意見は無視されても瑕疵がないということでしょうか。

今ご質問の中で衆議院議員大西健介議員から提出されました冷凍食品の個別義務表示に関する質問に対する答弁書ということでお話をいただきました。全てこの答弁書でお答えしたとおりということです。

状況が変わっていますので、この答弁は成り立たないと思います。それから、これが全て廃止されると、今であれば、例えば肉餃子であれば、肉が30%を超える場合は割合を表示しなければいけない、あと冷凍食品でも、ハンバーグの40%、肉が40%を切る場合は、%を表示しなければならない、エビフライの衣も50%を超える場合は%を表示しなければならないという規定があります。これを全てなくしてしまった場合、消費者の選択の容易性は後退するのではないのでしょうか。

私はここでお答えができる事項ではないと思います。

消費者が選択する材料が減るということには変わりがないのではないのでしょうか。なぜお答えをいただけないのでしょうか。

個別品質表示基準の成り立ち、この検討会の中でもご議論をいただきましたけれども、表示事項を従来からも情報提供あるいは義務的表示それから任意の表示もありますし、事業者の方がいろいろ提供している別の情報というのがあります。それをたくさんにすることがいいのかということは表示のお話でもされていたと思います。いずれにしても義務表示の段階で何を見直すのか。個別の表示基準も大体40本ありますけれども、それをまず虚心坦懐に1本ずつ見てみようと。それでしかるべく共通の基準に持っていこうと。この個別品表がこれだけ多いというのもいろいろな経緯があって日本で発展してきたということでありますので、そこを見直すというのはこの議論の起点ですので、それに従って今整理をしているということであります。

大西議員が質問の中で、カニが8%未満の冷凍カニコロッケや、エビが15%未満の冷凍エビ焼売など、粗悪な冷凍食品が出回る恐れがあるのではないかと質問したのに対して、消費者庁は、粗悪な冷凍食品の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論としてどのような食品を製造するかについては、消費者の嗜好等を踏まえ事業者が判断するものであるところ、食品表示法等に違反する事実が認められた場合には厳正に対処してまいりたいと回答されています。農水省が2019年に45%の皮の率が超える餃子について、食品表示法違反で指示処分を行っています。この45%の皮を超えたら違反であるという、この45%というのは何の基準だというふうに消費者庁は理解されているんでしょうか。

農水省にお聞きいただければと思います。

これは食品表示基準に書かれているものなので、この食品表示基準に書いた45%の線はどういう理由で引かれたのでしょうか。

個別のお話は事務方にお聞きいただければと思います。私がここで、不正確な回答をしてはいけないと思います。

来週でいいのでご回答ください。それで、今回その横断的表示になった場合、この基準が全てなくなった場合と食品表示基準の9条、表示禁止事項で対応することになるんだと思うんですが、優良誤認を招くような用語は禁止されています。ただ、例えば、表示がない場合、65%の衣が超えるエビフライが販売されていた時に、優良誤認で処分をすることが可能なのでしょうか。

全て廃止するということが決まったわけでもありませんし、仮定の事案についてお答えすることはできないと思います。

仮定ではないのですが、合意されています。分科会ではそういう方針が示されていますので、どう対応されるのか。何をどう考えているのかは、ちょっと明確にしていただきたいと思いますので、次週でいいですのでお答えください。

地方協力課でございます。
先ほど相川記者からのご質問の中で、アドバイザリーボードで事務方からテレフォニーシステムは1都道府県の1、2の市町村のみに導入されるという話があったようだというふうに確かおっしゃっていただいたかと思います。非公開の議事の中でやっていることなので、具体的にどういうご説明を申し上げたかということをこの場で事細かにご説明するのは難しいんですけれども、事実として1、2の市町村をめどに導入するといったようなご説明はこちらからは差し上げておりませんので、申し添えさせていただきます。

日本消費者新聞の丸田です。
シンポジウム、消費者庁15周年、15年の歩みというこのシンポジウムなんですが、有志の職員15人ということで、なかなか面白いと思います。1つお聞きしたいのは、プログラムを見ると、未来のことであるとかこれまでの歩みっていうことを考えると、消費者団体っていうのもやっぱり必要なんじゃないかなというご意見とかですね。プログラムは団体が入ってないような気がしたんですが、どっかで何か消費者団体が関与できるような、そういうのっていうのは何か期待できますでしょうか。つまり何か資料を作るとか、何かそういうことであるとか。資料というか15周年とかですね。

15周年、これは今申し上げたように若手職員の有志ということですので、私も運営には関わっておりません。若い方々が将来を見据えてということであります。それぞれの各団体なりこの設立に関わった方々が、15周年ということでいろんなシンポジウムなり意見交換なり、あるいは冊子をということを予定されているのを聞いておりますけれども、それをまとめて消費者庁でどうこうということは考えておりません。

シンポジウム「15 Years Forward ~消費者庁15年の歩みと未来への展望~」実行委員会でございます。
15年を振り返る部分がありますので、こちらのほうで消費者団体の関係者にもヒアリングしている部分はありますので、消費者団体の関係者が全く関与していないっていうわけじゃないということでご理解いただければと思います。

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