新井消費者庁長官記者会見要旨
(2024年6月6日(木) 16:30~16:53 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)
発言要旨
本日冒頭発言はありませんので、皆さんのご質問を受けさせていただきたいと思います。
質疑応答
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問
通販新聞の佐藤と申します。
機能性表示食品制度の見直しの対応策が固まったかと思うんですけれども、健康被害報告の公表の際の評価のポイント、重篤度というのもありますが、ほかに何かポイントがあれば教えていただきたいんですけれども。被害を公表する際のということです。被害報告があってということです。機能性に関して。 -
答
公表する際はそれぞれの法令に基づいて公表するということですので、食品衛生法で必要があれば公表しますし、食品表示法でも表示法の公表する事項に当たれば公表するということであります。
- 問 重篤度とか、実際の被害を報告されたものの評価のポイントというか。例えば重篤度がどの程度とか、そういうのは何かないんですか。ルール化する際の。
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答
それは健康被害情報を報告する時のポイントだと思います。事業者の方が分かりやすくするために、府令等までしっかりと書き起こすということです。
- 問 そうすると、ちょっと似たような話になっちゃうかもしれないですが、公表の際の公表する内容のポイントはあったりするんですか。
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答
繰り返しになりますが、食品衛生法上の公表事項に該当すれば公表しますし、食品表示法の公表事項に該当すれば公表するということであります。それぞれ法律に基づいて公表するということです。
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問
(日本消費経済新聞:相川)
先週も質問させていただいたのですが、食品表示基準の個別品目ルールごとの表示ルールを見直すための分科会が5月29日に立ち上がり、その日のうちに、調理冷凍食品の義務表示であるとか表示禁止事項など、全てを廃止することで取りまとめたいと座長が集約されました。事業者のヒアリングと座長を除く5人の20分の意見交換しかされていませんが、このような手法で合意事項とされていくのでしょうか。 -
答
食品表示懇談会全体の今後の進め方、特に個別ユニット、それから全体のデジタルツール、あるいは国際基準との整合性について、改めてお話をさせていただこうと思います。昨年度開催した令和5年度食品表示懇談会におきましては、合理的でシンプルかつわかりやすい食品表示制度の在り方について議論されまして、個別品目ごとの表示ルールについては、横断的な基準に合わせる方向で見直すということを基本として、食品ごとの個別の事情や表示ルール制定の経緯、消費者の要望等を踏まえながら検討するということで取りまとめられました。その際にタイムスケジュールもまとめておりますが、大きく全体の大枠の議論、それから分科会としてデジタルツールの活用、もう一つの分科会として「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」ということで大きなタイムスケジュールが示されたところでございます。お話の分科会につきまして、先日、キックオフしたということでありまして、個別品目のルール、40品目以上あるということですので、順次整ったところから議論を開始しているということであります。この検討会の中で詳細な資料を示しておりますが、個別の品質表示基準、それからJAS規格、公正競争規約というものが、あるもの、ないもの、あるいは微妙にずれているものがありますので、それぞれ一本一本というよりは、大くくり化してこれから議論を進めていくということであります。お話の調理冷凍食品の表示ルールについては、廃止する方向で検討を進めるということが合意をされたということでありまして、これから残りの品目についても順次検討していくということであります。ここで改めて申し上げますと、食品表示基準の改正につきましては、食品表示基準の案を作ってパブリックコメントを実施する、それから消費者委員会に諮問するということでありますので、この分科会の議論のみをもって廃止をするということが決定されるものではないということであります。食品表示基準については、いろいろな制定の経緯があります。元々JASの規格と表示を一体的に政府としてやっていたということもありますので、JAS規格に付属するものとしてできたもの、JAS規格は廃止したが品質表示基準が残っているもの、それから公正競争規約があるものと、いろいろな形になっております。冷凍食品を見ますと、冷凍食品という形態、チルドという形態、それから総菜という形態がありまして、同じ品目でも形態ごとに表示の順番などが違っているというような、今いろいろな形のものが出てきていますので、それらを総合的に見直していくということでありまして、これから個別の品目ごとに実態を踏まえながら調査をしていく。いずれにしてもできるだけ統合していくという方向は変わりませんので、その範囲で議論を展開していくと理解をしております。
- 問 申し訳ないのですが、その説明で「はい、そうですか」とはとても言えません。食品表示懇談会の取りまとめでは、個別品目ごとのルールの見直しに当たっては、事業者、消費者等の意見を十分に聞いた上で丁寧な議論を進めるとしています。なぜ消費者のヒアリングを行わないのでしょうか。この日の分科会の中で、事業者団体が消費者団体を集めて意見を聞いたところ、基本的に受け入れられたと説明をしました。これを消費者の意見を聞いたということにするのでしょうか。私はこの中に参加したという消費者団体の会長さんを取材しますと、ヒアリングでも賛成、不賛成の表明の場でもなく、懇談会のセットの意見交換の場で説明を受けた。冷凍食品だけ義務があり不公平という主張については理解しないわけではないが、消費者の選択の助けになるルールなのだから、むしろ広げる方向が望ましい。消費者の選択に資する情報は書いてあるほうがよい、と発言し、賛成はしていないというご意見でした。消費者の意見をまず聞かないで、事業者の要望だけを聞いて決めるということに対してとても疑問を感じています。消費者庁の長官としておかしくないとお考えですか。
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答
繰り返しになりますが、この分科会の意見のみをもって決定するということではありません。食品表示基準はこれから案を示し、消費者委員会で諮問し、パブリックコメントを聞くということでございますので、個別の品目ごと、それぞれ議論した上で、最終的に繰り返し消費者委員会で諮問をするということでありますので、今回の議論をもって決定をするということではないということをご理解いただきたいと思います。
- 問 きちんともう一回やり直していただきたいと思っています。なぜかというと、パブリックコメントは、こういう問題は業界はこぞってパブリックコメントを出します。知らないままにあっという間に廃止されてしまいます。それはいつものことです。消費者がこういうことで事業者団体に上回る意見を出すことはありません。それから、調理冷凍食品は、例えばエビフライは50%を超えるものとか、とんかつであれば55%を超えるもの、ギョーザであれば皮の比率が45%、春巻きであれば50%を超えるものは表示がされます。これがなくなるということは、消費者は粗悪品すら判別できなくするということです。消費者庁は消費者が粗悪品を判別できなくなってもいいとお考えですか。これを外されたら、今の横断ルールになると、51%も衣のあるエビフライも重量順で、エビ、パン粉、小麦粉、卵になりませんか。こういうことを消費者の意見も聞かないで何で決めるんですか。消費者の選択に資する表示にしていくために消費者庁ができたんじゃないんですか。
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答
繰り返しになりますが、今回の懇談会での議論をもって決めるということではないこと。それから、そのような点も踏まえて懇談会で、関係者で議論されると理解をしています。
- 問 これは禁止事項もありまして、カニが8%以上入っていないカニコロッケ、エビが15%以上入っていないエビシューマイ、具の含有率が8%以上、かつ具の種類が5種類以上入っていないエビチャーハン、そば粉が3割入っていないそばはこの表示が禁止されています。これを解除してしまって、例えばカニが8%入っていないカニコロッケとか、エビが15%入っていないエビシューマイとかがもっと世の中にいっぱい出てくる可能性はないんですか。現行の、例えば冷凍食品のフライの衣率とか、例えば本当に市販で販売されている衣がどのくらいあるかとか、そういう調査もせず、何でこんなことが。いつも添加物の時とかは本当に丁寧に丁寧に事業者の意向とか実態とかを調査してからじゃないと何も決められないのに、これを20分で、わずか5人、事業者のヒアリングだけで何で決めるんですか。おかしくないですか。
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答
繰り返しになりますけれども、懇談会の運営の中で方向を決め、その後、消費者庁案を作り、消費者委員会へ諮問をするということであります。
- 問 そもそも昨年6月の政府の経済財政運営と改革の基本方針、骨太の方針2023には、食品表示基準の国際基準への整合化を推進することが盛り込まれました。食品表示懇談会では5か月かけて議論をして、長官の言葉で言わせていただくと、中長期的な羅針盤となる方向性を検討していただくということで、コーデックスの一般規格に合わせられるところは合わせていくことを合意したというふうに受け止めています。コーデックスは商品名や文字、図を強調して容器包装に書いた原材料の製品中の使用割合を表示するとしています。例えばEUではさらに進んでいて、水とか牛肉とか魚とか野菜とか果物とか、全てパーセントで表示します。韓国でもチョコレートにアーモンドとかカシューナッツとかレーズンとかの絵が描いたものが表示されていたら、ミルクチョコレートのパーセント、アーモンド、カシューナッツ、干しブドウのパーセントが全て表示されます。何で日本はそんなこともしないで、先に個別表示を外してしまうんですか。おかしくないですか。消費者の選択に資する表示にしてください。まずコーデックス化を図ってください。長官は共同会議でずっと消費者のための表示に尽力してくださってきたと私は思っています。もうちょっとちゃんと関わって、今、確かに機能性表示でそれどころではないんですけれども、その間にこういうことをあっという間に決めるのはやめていただけませんか。
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答
繰り返しになりますが、この懇談会の中では国際基準との整合性ということで、まだ立ち上がっておりませんけれども、デジタルツールの活用においては全体的にコーデックスの議論を踏まえるということになっています。今回の基準の中で、合理的で分かりやすい表示ということで、40品目の個別品目の品質表示基準があるということによって、同じようなものでも実は書く順番が違ったり、かつてのJAS制度との関係において発生したもの、そういう中でできるだけ原則に合わせていくということでありまして、その方向は揺るぎがないということであります。40品目それぞれをまず全体的に見渡した上で、消費者の方々が選ぶ時に分かりやすいもの、これはデジタルツールも併せてやっていくという大きな枠組みの中で、これからも懇談会においては議論をしていただきたいと考えています。
- 問 デジタルツールの活用の検討というのは口実に過ぎないんじゃないですか。東京都では、東京都消費生活条例で、上乗せ条例で、調理冷凍食品に原材料の一部の名称を商品名や名称にしている場合は、その配合割合を表示しなければならないという義務を課しています。都は、食品表示基準で規定がある冷凍フライとかは今は除外されていますが、エビグラタンはエビのパーセント、シーフードピザだったらエビ、イカ、アサリのパーセント、例えば五目炒めは対象外ですが、肉入り五目炒めと書いた時は牛肉のパーセントを全て表示しないといけないです。この会議の中で業界団体は、食品表示基準から個別ルールがなくなっても、東京都の問題があるので一本化をするように働き掛けてくれみたいな要望をされていました。消費者庁は条例に対して働き掛けることはできないけれども、研修会の中でこういう意見が出ていることを説明しますというようなことを言っていましたけれども、現実的に東京都はデジタル化なんかしなくたって実施しているじゃないですか。何で実施できないんですか。おかしいでしょう。先送りしているとしか思えず、シンプルで合理的なというのは、前回のパブコメで事業者からたった2件意見が出て、消費者庁が勝手に基本計画に盛り込んだ内容です。今まで食品表示部会では、分かりやすさというのは消費者によって違うと。全ての添加物の物質名を書いてくれたほうが分かりやすいという人と、本当に高齢者で大きく表示したほうが分かりやすいという人と、それぞれあると。何が分かりやすいのかについても引き続き検討することになっていたはずです。本当に消費者庁はどっちを向いて仕事をしているのかと、この会議を見てさすがに頭にきました。もうちょっとちゃんと、何のために消費者庁で表示を見直しているかをきちんと踏まえて検討していただき直してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
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答
繰り返しになりますけれども、昨年度開催した食品表示懇談会で一定の方向性が示されていますので、それに従って個別の品質表示基準、それからデジタル化についても工程表のタイムスケジュールの中で進めていくということだと理解をしています。
- 問 とても納得ができませんので、もう一度検討していただきたいと再度要望して、今回この質問は終わります。
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問
(通販新聞:佐藤)
さっきの関連の質問ですが、対策を検討している消費者庁でやっていた検討会でも、法整備みたいな話が検討されている構成員の方が何名か意見されていたと思うんですけれども、その辺はどういうふうに捉えていらっしゃるか、今後進めていこうと思われているか、ちょっと伺いたいんですけれども。 -
答
何の法整備でしょうか。
- 問 要は健康商品、サプリメントということです。
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答
31日の閣僚会合の中で、今後の事案を踏まえてさらなる検討課題というところに書いてございますけれども、食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制の在り方、許可業種は営業許可施設の基準の在り方などについて、必要に応じて検討ということであります。
- 問 今回、府令とかでの対応ですけれども、法整備を前提として検討されていくという意味合いに捉えてよろしいですか。
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答
サプリメントというのは、いわゆる機能性表示食品の中にもサプリメントがあり、普通の食品や生鮮食品、それからいわゆる健康食品、機能性表示食品ではない健康食品の中にもサプリメントがあります。特保の中にも本当にわずかですが、いわゆる錠菓という形でサプリメントがあります。それを横断的に何らか制度を作るべきであるという議論があると。これは検討会でも出ましたけれども、あるということです。サプリメントというのは、いろいろな由来のものを、本来天然に存在するものと成分割合が異なっていたり、凝縮したりとか、あとは化学合成をしているということで、今まで普通に食べている野菜とか、そういうものとやはり違うということで、衛生管理の基準もできていますし、やはりそれが蓄積しやすいというような問題もあるというのは検討会でも指摘されています。そういうふうに横断的なサプリメント、形状に着目した制度の在り方について検討すべきだということと、規制をするに当たってはそれをチェックする体制がなければいけないということであります。サプリメントの形状のものを作っている、ここに書いてある許可業種の営業許可施設についての基準の在り方というのは、その施設を、あるいは届出してもらえないとチェックができないわけです。そういうような実際の保健所の食品衛生法のチェックの仕方ももしかしたら見直ししていく必要があるということです。ですから、機能性表示食品ということではなく、形状に着目した規制については、今後の検討課題ということで受け止めるというところが、関係閣僚会合で決まったということであります。
- 問 そうすると、形状の定義をしていくということになるわけですね。
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答
消費者庁は表示の制度ということで機能性表示食品制度を所管していますが、いわゆる健康食品も含む食品という範疇ですから、農林水産省であり、普通の食品の監視であるとか、範囲ということで言えば食品衛生法の範囲ということになります。関係者がどうやっていくのかというのは今後の検討課題ということで受け止めるというのが、今回の閣僚会合の方向性ということです。それから、さっきいただいた質問の趣旨は、この閣僚会合の中で、いわゆる都道府県知事等に提供された健康被害の情報について、どうやって公表していくかというお尋ねが入っていたと思いますけれども、そこについては引き続き厚生労働省に集約し、医学、疫学的に分析、評価を行った上で定期的に結果を公表するということになっていますので、厚生労働省にお問い合わせいただきたいと思います。
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問
時事通信の池畑です。
機能性表示の府令、省令改正というのは、今後の手続や日程の見通しなんかはありますでしょうか。 -
答
できるだけ可及的速やかにと考えておりまして、今も消費者委員会の食品表示部会で閣僚会合の決定の内容については委員の方にご説明をしております。いずれにいたしましても、内閣府令でありますので消費者委員会に正式に諮問をするということが必要です。それに向けて今、諮問案の検討を事務的に行っているところです。